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▽レス始

「とある和樹の恋 第二話(まぶらほ)」

殻葉面 (2005-10-06 19:05)

 幼少時から剣を握っていたのは、家庭の事情というだけではなかった。
 家族も含む周囲の人々、家の伝統、そして自らの身に流れる『血』までもが彼女に囁き、哀願し、命令した。誰よりも強くなれ、と。
 それは彼女ら一族の家の風潮であると同時に、彼女自身のためでもあった。弱い者では『血』に耐えられず、さして時を待たずに『血』に囚われてしまうから。
 彼女、蛇如来斬斬子は一般的見解からいって『生まれつきの弱者』だった。
 だが、彼女はまだ生きている。そしてこれからも生き続ける。どこまで続くかわからない彼女の運命に、一人の少年が今、『再び』関わろうとしていた。


とある和樹の恋 第二話  by殻葉面


「うっがあぁ−−−っ!!」

 ヒロインらしからぬ怒声を張り上げ、夕菜が口から紅蓮の炎を吐き出す。
 ジュッ! という異音と共にコンクリ−トを一瞬で液化するほどの熱量に手加減はなく、その矛先は和樹を捉えていた。

「わあぁっ…………」

 その場に居合わせる一般人一同が「あ、こりゃ死んだな」と思い、メインキャラ一同が「後釜は誰かな」「第三部完!」などとぶっちゃけた思いを抱いた瞬間。
 何かが、空を切り裂いた。

「斬撃、焔を断つ」

 静かな声が和樹の傍らから響いた。
 それが蛇如来斬斬子という名の少女が発した言葉だと皆が気づいたとき、夕菜の攻撃魔法による炎が揺らめき、和樹を避けて左右に分かれて消滅した。

「炎を、斬った?」

 アタシも長いこと非現実的な連中相手にしてきたけどさすがに驚いたわつ−かマジですか、てな感じで驚き、呆然とする玖里子。

「あの攻撃を捌いたというのか……!?」

 凛の顔も強張る。彼女の目は玖里子より一段深く物事を見ていた。
 すなわち、いつの間にやら腰から抜かれ、斬斬子の手に握られた何の変哲もない一振りの竹刀を。

「あんな竹刀で!?」
「私が握れば変幻自在の刃となる」

 静かな口調とは裏腹に、斬斬子の顔には怒りの表情が浮かんでいた。夕菜に向けられた怒りである。

「今の攻撃、私が防がなければこの男に当たっていたぞ」

 そう言って傍らの和樹を示す。

「殺す気だったのか?」
「その人は私の夫ですから」
「夫?」
「ですから生殺与奪の権限は私にあります。全面的に」

 そして今度は、掲げた手のひらに火球を生み出す。それは周囲の酸素や精霊を取り込み、凄まじい勢いで大きくなっていく。どれほどの威力を秘めているのやら見当もつかないが、とりあえず人死にが出そうだった。周囲の人々が青ざめる。
 だが、斬斬子はそんなもの見てはいなかった。

「貴様、契りを交わした相手がいながら私にモ−ションかけたのか」
「違う〜っ!」

 彼女は和樹に詰め寄っていた。

「ほんのお遊びだったのか」
「だから違うってば!!」
「私のような女………」
「僕は、君と仲良くなりたかったから声をかけたんだ!!」

 そう言い、斬斬子の肩をつかむ。

「………強くなったんでしょ? 斬ちゃん」
「!? お前………!!?」
「だったら………守ってよ」
「和樹……か?」
「があぁぁあ−−−っ!!」

 見つめ合う二人。それによってさらに(物理的に)ヒ−トアップする夕菜。
 放たれた火球が全てを飲み込むべく、巨大な竜の形に変ずる。
 こうなったらてめえらも道連れだ−、何ぃ!? 離せ浮氣!! 仲丸、くたばれ−などと混戦する2−Bを尻目に、物語はようやくスト−リ−性を持ったかもしれない(多分)。


後書き

 書いていたら長く感じるけど、実際に眺めてみたらすごく短い。でもまあ、そろそろ顔合わせ編は終わるかなって感じです。
 というか、まだ二話目なのに急展開すぎるかな、と不安になったり。読んでくれる人が置いてきぼりになっていたりしないかな?
 というか、一番の問題は蛇如来女史の呼び名。ギャグの一発だし的キャラであるせいか、やたら呼びにくい名前なんですよね。「斬斬子さん」とか「斬ちゃん」とか。


機種依存文字を使っていたため、一話、二話を修正。管理人さん、申し訳ありません。

 ついでに返レスも誤って消去しちゃいました。感想書き込んでくださった方々、申し訳ありません。返レスは次回から書き込ませてもらいます。


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