インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始▼レス末

「剣の王と珠の王(ぷろろーぐ?)(Fate + GS)」

Artena (2005-09-06 23:56/2005-09-06 23:57)


 目覚めると、そこは知らない場所だった。
 さっきまで居たはずの薄暗い洞穴ではなく、月明かりと街灯に
照らされたどこかの公園のベンチに横になっていた。
 内から剣に突き破られたはずの身体は痛みも無く、あいつの腕
も無くなっていた。
 夢――を見ていたんだろうか? そんな考えが浮かび頭を振る。
 夢であるはずが無い――と、言うよりは夢であっていいはずが
無い。
 あの時、愛する少女の為に理想を捨てた。
 そして、パートナーだった彼女の胸に短剣を埋めた。
 たった一人の味方で在るために"人"を殺した現実を放棄しては
いけない。
 彼女を殺して、神父を殺して、アレを破壊した……。
 手に残る感触。人を刺した感触。消えていく彼女。
 内を侵す剣の群れ。痛み。光の奔流。
 全てが現実だったと確信している。
 ならば、これはどういうことなのか?
 本来なら多分、死んでいたのだと思う。身体から生えてくる剣
の山に加えて頭上から降り注ぐ岩。
 既に動くことすらままならない身体では降り注ぐ岩を避けるこ
とは出来なかったし、何よりも剣の侵蝕は心臓の辺りまで迫って
いた。
 しかし、俺は生きている。失ったはずの左腕、血塗れのうえに
あちこちから剣の生えた身体は消え失せて、正常な身体になって
いた――――ただ、一点を除いて。

 そう、俺は――、衛宮士郎は――、3歳位の女の子になってい
た。


剣の王と珠の王(ぷろろーぐ?)


 暗い、暗い道を歩いていく。もう真夜中といっていい時間なの
だろう、辺りは静まり返り閑散としている。
 歩いても歩いても見知った風景はなく、ここが冬木ではないこ
とに薄々気が付いていた。
 そして、恐らくは違う世界に居るという事も……。
 頼れる人のいない状況。以前とは全く違う年齢、性別。正直に
いうと不安で押し潰されそうになる。けれど、パニックになるこ
とはなかった。
 不安を心の奥底にしまいこみ、とりあえず寝床を見つけようと
歩を進める――、と不意に後ろから声をかけられた。
「あら、お嬢ちゃん。こんな時間にそんな格好でどうしたの?」
 振り返ると綺麗な女性が、なんだかボコボコな男性を引きずっ
て微笑んでいた。
 この時、どうして逃げなかったのかはわからない。後から考え
るとその光景は異常だったと思う。けれど、俺は女性に言葉を返
していた。
「…………帰る家がない……から」
と。


 その日、その子を見つけたのは偶然だった。
 いつものように馬鹿夫の浮気に制裁を与えた帰りのことだった
から……。ボロ雑巾のような夫を引きずりながら歩いていると、
前に何かいることに気付いた。最初は犬か何かだと思っていたけ
れど、近づいてみると子供のようだった。
 時間は既に真夜中を回っていて、子供が出歩くような時間帯で
はなかった。
 人通りのない暗い道を歩いている小さな影。服装はシャツ1枚、
足取りはしっかりしていたけれど、どこか儚い印象を受けた。
 周りに他の人間の気配も無く迷子かも知れないと思って声をか
けた子が、「帰る家がない」と答えを返した瞬間、私の中で何か
が弾けた。
 それは怒り、それは哀しみ。子を持つ親として、この子の親が
許せなかった。
 気が付くと、それまで引きずっていた夫を投げ捨てて、その子
を抱きしめながら泣いていた。


 突然、抱きしめられた。突然の抱擁に一瞬呆気に取られたけど、
泣きながら抱きしめてくる女性を抱きしめ返して俺も泣いた。
 抱きしめられたことで心の箍が外れたんだと思う。抑えていた
不安が溢れだして涙が止まらなかった。
 ひとしきり泣いて、ようやく涙が止まった頃、女性が言った。
「帰る家がないなら、私の家に帰ってきなさい。あそこで伸びて
る夫の他に息子が一人いるけれど、息子はきっと妹が出来て喜ぶ
わ。夫には文句は言わせないから、ね?」
 母親っていうのはこういう人のことをいうんだろうと強く感じ
た。見ず知らずの子供のために涙を流せる人。その包み込むよう
な温かな愛に触れて知らないうちに頷いていた。


 結局、私は女の子を連れて帰った。この子の親を探すにしても
時間が遅すぎるし、警察に預けることも考えたがこんな小さな子
を警察へ預けるのもどうかと思ったからだ。
 足の状態を考慮して、女の子をおぶり歩く。歩きながら色々な
ことを聞いた。けれど、女の子からの返答は「わかりません」ば
かりで、どこから来たのか、両親はどうしたのかといった質問の
回答は得られなかった。なにより不思議だったのが、3,4歳に
しか見えない女の子がまるで大人のように話すことだった。
 家に着くと息子は既に寝ていた。馬鹿夫の所為で今日は一緒に
寝られなかったので少し心配だったが一人で眠れたようだ。
 少し前まで添い寝してやらないと眠れなかったのが嘘みたいだ。
 眠っている息子の布団をかけなおしてやり、その横に未だ意識
の戻らない夫を寝かせる。
 そして、女の子の手を引いてお風呂へ向かった。
 お風呂場へ着くと、女の子は一人で入れるからと言い出したが
どう見ても3、4歳位にしか見えない女の子を一人で入らせるわ
けにもいかないので、さっさと自分の服を脱いで女の子のシャツ
も脱がせる。そして、入ろうとしたところで女の子が鏡を見てい
ることに気が付いた。


 女性の背に乗ることには躊躇いがあったが、足を怪我していた
ので素直におぶってもらった。やはりというかなんというか、境
遇について尋ねられたが、「本当は高校2年生の男です」と答え
るわけにもいかず無難にわかりませんとだけ答えておいた。ただ、
それ以外の質問についてはきちんと答えた。例えば、食べ物の好
き嫌いなんかだ。嫌いなものは特に無かったのでそう答えたのだ
が小さな女の子の話し方なんてわかるはずも無く、結局普段どお
りに答えたので少し怪訝そうな顔をしていたけどこれはしょうが
ないと思う。
 家に着くなり、風呂場に連れて行かれた。
 一人で入れるからと言ったが取り合ってもらえず結局一緒に入
ることになってしまった。まぁ、確かに外見上3歳位の女の子だ
ろうからしょうがないんだろうけど意識が男なだけに女性と入る
のは躊躇われた。
 実際、自分が今何歳くらいなのかは俺にもわからない。ただ、
手、足の大きさから多分これくらいの年齢だろうと当たりをつけ
ているだけだ。確実なのは女の子になっているってことだけで、
容姿なんかは鏡を見ていないので全然わからない。
 そんなことを考えていると女性が脱ぎ始めたので慌てて目を逸
らす。目を逸らしたところに丁度鏡があった。と、いっても目線
が低いので自分の姿を確認することも出来ない。
 あっという間に俺の服も脱がされてしまった。Tシャツ一枚だ
けだったけど……。
 「鏡が見たかったんでしょ?」
 さっき鏡を眺めていたのを見ていたのか、突然抱き上げられた。
 目を鏡に向ける。映っていたのは女性と女の子。
 雪のように淡く輝く髪、ルビーのように煌く赤い瞳。白磁のよ
うな滑らかな肌。目を見張った。そこにいたのは記憶にある白い
少女をそのまま縮めたようなそんな女の子だった。


あとがき

はじめまして、こんばんわ。Artenaと申します。
仕事の合間に思いつきと電波で書きましたのでヤマなしオチなしの駄文ですが、今まで一度も投稿したことがなかったので投稿してみました。
一応、続きも考えていますがどうも文才というものが乏しいようで難しいかもしれません。
男言葉のイリヤ嬢(士郎)を徐々に女言葉に調教していく百合子さんとか、光源氏計画を本気で画策する大樹とか……、横島はルシオラとくっつくかないと可哀想なのでいいお兄ちゃんにしようとか、いろいろネタを考えてはいるんですけどね。
多分、続かないし読みにくいとも思いますがよろしくお願いいたします。


△記事頭

▲記事頭


名 前
メール
レ ス
※3KBまで
感想を記入される際には、この注意事項をよく読んでから記入して下さい
疑似タグが使えます、詳しくはこちらの一覧へ
画像投稿する(チェックを入れて送信を押すと画像投稿用のフォーム付きで記事が呼び出されます、投稿にはなりませんので注意)
文字色が選べます   パスワード必須!
     
  cookieを許可(名前、メール、パスワード:30日有効)

記事機能メニュー

記事の修正・削除および続編の投稿ができます
対象記事番号(記事番号0で親記事対象になります、続編投稿の場合不要)
 パスワード
    

yVoC[UNLIMIT1~] ECir|C Yahoo yV LINEf[^[z500~`I


z[y[W NWbgJ[h COiq O~yz COsI COze