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「機械仕掛けの魔術師 プロローグ(まぶらほ)」

漢長 (2005-08-21 03:57/2005-08-22 10:51)

うだるような暑さの夏の午後、一人の少年が走っている。

午前中に今日の分の夏休みの宿題を終わらしていつもの遊び場である空き地で友達と遊ぶため走っていた。

しかし、目的地に着いてみると誰もいない。

少年は、少し早く着すぎたと思い木の下でしばらく待ってみることにした。

少年が木陰に近づくとそこには、女の子がひざを抱えて座っていた。
よく見ると、下を向いて泣いているようで時々泣き声が聞こえる。
知らない女の子なので、一瞬躊躇したが少年は思い切って声をかけてみることにした。

「どうしたの?」

少年が声をかけると泣いていた少女が顔を上げた。

「グスッ……だれ?」

少女は泣きながらもそう答えた。

「ぼくは、しきもりかずき。せかいいちのまじゅつしだよ。きみは?」

少年、式森和樹がそう答えると少女は今にも消えしまいそうなほどの小さな声で答えた。

「わたし、ゆうな。みやまゆうな」

「ゆうなちゃんっていうんだ。」

「うん。」

「ねぇ、なんでないてるの?」

和樹は、笑顔でそう聞いた。

夕菜は迷った。自分が、泣いている理由を目の前の男の子に言ってもよいものかと。

だが、なぜか和樹の笑顔を見ているとこの子なら言ってもよいのではないかという気がしてきた。

「あのね。わたし、すこしまえにこのまちにひっこしてきたの

だけど、またひっこすんだってせっかくおともだちができたのに……ヒック

そう言うと夕菜は、また下を向いて泣き出してしまった。

それを見て和樹は、慌てて「だいじょうぶだよ!ともだちは、どんなにとおくにいってもともだちだよ」と言
うと。

それを聞いた夕菜が顔を上げて和樹を睨みながら

「そんなのうそだもん!まえのまちにいたときのともだちはこっちにひっこしたらでんわもてがみもくれない
んだもん!だからともだちは、はなれたらともだちじゃなくなるんだもん!」

「そんなことないよ」

和樹は、そう言うとしゃがみこんで夕菜と目線を合わせると夕菜の目を見てゆっくりと話し出した。

「たしかにそうゆうこもいるかもしれないよ、だけどそんなこばかりじゃないよ。すくなくともぼくはちがう」

「そんなのうそにきまってるもん!」

「うそなんかじゃないよ」

「じゃ、しょうこをみせて」

「しょうこ?」

「うん、かずきくんがうそをいっていないしょうこをみせて」

「…わかった。でも、どうすればいいの?」

「さっき、かずききくんはじぶんのことを『せかいいちのまじゅつし』っていったよね?」

「うん」

「だったら、ゆきをふらして」

「ゆき?」

「うん、ゆき」

「わたし、いろいろなところにひっこしたけどまだゆきをみたことがないのだからゆきがみたいの
そしたら、かずきくんのことしんじてあげる」

夕菜は、簡単なことのように言ったが実際天候操作系の魔術はかなり高位の魔術である。

しかも、この真夏に雪を降らせるとなるとそれこそ何十人もの魔術師が集まって時間をかけて下準備をしてからでないと出来ないレベルである。
勿論夕菜は、その事について知っているただ和樹を困らせたかっただけである。もしかするとこの時夕菜は、少し人間不信だったかもしれない。

「やっぱりできないんだうそつ「できるよ」…えっ?」

夕菜は驚いた。真夏に雪を降らせるなんて普通は不可能だからである。

しかし、和樹はそれができると言った。

夕菜が驚いていると和樹は立ち上がり空き地の中央まで走っていった。

和樹は空き地の中央に着くと目を瞑って両手を胸の所でクロスさせ意識を集中し始めた。

すると、和樹の体が光り始める。

そして、目を開いて右手を開き空に向け光の球を放った。

光の球が、空に昇っていき見えなくなった次の瞬間、空を眩い光が包み込んだ。

余りの眩しさに夕菜が目を閉じると光が収まった後に頬に冷たいものがあたった。

驚いた夕菜が、目を開けてみると周りに白くてふわふわしたものがゆっくりと空から降っていた。

雪だ。空は曇っていないし気温も暑いままだが夕菜はそう思った。

始めてみた雪は、真夏の太陽の光を反射してキラキラと輝いてまるで宝石のように見えた。

自然と夕菜の口から「うわ〜きれい」と言葉が漏れる。

夕菜が雪を見て唖然としていると和樹が近づき「これでいいかな?」と夕菜に話しかける。

「うん!」

今度は、夕菜が立ち上がって笑顔でそう答えると和樹は夕菜の手を握り「じゃ、あそぼ!」と言った。

「なにしてあそぶの?」

夕菜がそう聞くと和樹は

「そうだね〜「かずきくん!なにやってんのよ!」ん?」

和樹が何をして遊ぶかを考えていると、空き地の入口の方からとてつもなく大きな声が聞こえた。
空き地の入口を見るとそこには、肩で息をしている女の子がいた。

「あ、ちはやちゃん」

「あ、ちはやちゃんじゃないわよ!」

千早と呼ばれた少女は、和樹を睨むと凄まじいスピードで和樹目掛けて走ってきた。

「さっきのゆき、かずきくんがやったんでしょ?」

「うんそうだよ」

和樹がそう言うと千早は和樹に詰め寄ると更に大きな声で和樹に言い放った。

「あれだけいったじゃないわかってんの?いまのゆきで、かずきくんのまほうかいすうがさんかいになっちゃったんだよ!」

「あれだけわたしがくちをすっぱくして「あの〜」なによ!」

今まで千早と和樹の行動を黙って見ていた夕菜が千早に話しかけてきた。

「…だれ?」

怒っていたせいで和樹以外が目に映っていなかった千早が初めて夕菜の存在に気がついたらしい。

「みやまゆうなちゃんってゆうんだ。たったいま、ともだちになったんだよ」

和樹が言うと夕菜は少し慌てて

「はじめまして。みやまゆうなです」

そう言って夕菜はペコリとおじぎをした。

「はじめまして。わたし、ちはや。やませちはや」

今度は、千早が夕菜に対しておじぎをした。

「で、なにかようなの?」

「あ、はい。えっと

夕菜は返事はしたものの何か悩んでいるようである。

「ようがあるならはやくいってよ。これからわたし、かずきくんにおせっきょうしなきゃいけないんだから」

千早が急がせるように言うと夕菜は少し控えめに聞いてきた。

「あの〜。かずきくんのまほうかいすうがのこりさんかいってとゆうのはほんとうなんですか?」

「そうだよ。」

夕菜の質問に対して和樹が答えた。

「なんで」

「え?」

「なんでつかったの?」

「かずきくんだってしってるでしょまほうをつかいきるとどうなるか」

この世界では魔法の強さや使用回数に個人差は有るものの誰もだ魔法を使える。
しかし、誰でも使えるゆえの代償なのか使用回数を使いきった者は体が灰になって死んでしまうのである。
故に、魔法使用回数の少ないものにとって1回1回の魔法の使用には慎重さが必要である。

だが、この少年は自分の残り少ない魔法回数を使って今日始めてあった自分の我侭を叶えてくれたのだ。

夕菜は、それが不思議でならなかった。

「それはね。ゆうなちゃんがないていたからだよ」

「たったそれだけ?」

「そうだよ。おとうさんがいってたんだ『男の子は、目の前で女の子が泣いてたらどんな事をしてもその涙を止めなくちゃいけないんだぞ』って」

夕菜は驚いた。

たったそれだけの理由でこの少年は魔法を使ったとゆうことに。

「ごめんなさい…ヒック

夕菜は悲しくなった。

この少年は、本当に優しいのだと。なのに自分は彼に意地悪を言って彼の残り少ない魔法回数を使わせてしま
ったのだと。

「ほんとうにごめんなさい」

そう言うと夕菜はまた泣き出してしまった。

その光景を見た千早が、和樹に尋ねてきた。

「ちょっ、ちょっとかずきくんなにがあったの?」

和樹は、千早に聞かれると今までのことを千早に話した。

「そうだったの」

「まったく、かずきくんらしいわね。まっ、そこがいいんだけどね。

千早は、そう言うと泣いている夕菜に近寄り手を握ったそして

「じゃ、わたしもおともだちになる」

「え?」

夕菜は泣くのをやめて千早を見た。

「かずきくんのともだちなら、わたしのともだちでもあるわ」

「ね。いいでしょ?」

「えっ、えっと〜」

夕菜は困って和樹のほう見た。

すると和樹は笑顔で右手の親指を立てる。

「うん!」

夕菜は、笑顔でそう答えた。何故か頬が赤かった。

「よし、じゃなにしてあそぶ?」

千早がそう聞くと夕菜は直ぐに「おままごと!」と言った。

「いいわね〜」

「え〜やだよ」

「じゃ、たすうけつをとりましょう」

「おままごとが、いいひと」

「「は〜い!」」

夕菜と千早が手を上げる。

「よし!きまり!」

「やった!」

「え〜〜」

夕菜は喜んでいるようだが和樹は不満そうである。

「だめだよ、かずきくん。ちゃんとみんしゅしゅぎにのっとってるんだから」

「ひきょうだぞ!ふたりしてくむなんて」

「おとこのこがそんなこまかいこと、きにするもんじゃないの」

「お〜ぼ〜だ〜。さいはんをようきゅうする〜!」

「うるさいな〜」


「クスッ」

夕菜は2人のやり取りを見て笑った。


結局、和樹が折れて3人でおままごとをして夕方まで遊んだ。

それからとゆうもの夕菜が引っ越すまで3人は、毎日1日中おままごとをして遊んだらしい。

因みに、毎回和樹がお父さん役でいつもお母さん役をドッチがするかでもめたとかもめなかったとか……


―――某所―――

「以上が、今回の観測された魔力のデーダです。」

「解った。」

暗い部屋の中2人の人間が、たった今送られてきた報告書を読んでいた。

「で、今回もなのかね?」

「はい、過去4回のデータと検証した結果、魔力固有係数とアストラルパターンの両方が一致しました。98.7%、ほぼ間違いないかと。」

デスクの椅子に座っている男が尋ねると男の目の前に立っている女がそう返答した。

「確か、1回目が高純度の攻撃魔法、2回目と3回目が超長距離の転移魔法、4回目が物質変換だったかな」

「そうです。」

「そして今回が天候操作の魔法と……観測された場所は日本だったな、確か今の時期は夏だな。」

「はい。」

「全く、…いくら日本が四季があるお陰で天候操作系の魔法が使いやすいとはいえ真夏に雪を降らせるとは…ふぅ

男がそう言ってため息をつく

「報告では、実際に雪が降ったのは小範囲で時間は十分にも満たなかったとのことです。」

「それでもだ。」

「は、申しあけありません。」

女が頭を下げる。

「で、今回は掴めたのかね?」

「はい、1回目は計器の故障と思われ2回目、3回目共に魔法の発動時間が短かった為と測定は出来ても転移
魔法の性質で場所は掴めませんでした。
4回目は物質変換だった事もあって発動時間も長く日本である所までは掴めていました。」

「そして、今回やっと日本の何処かまでは掴めたのですが……」

「『誰か』までは掴めていないと。」

「はい。」

「大至急だ。直ちにその場所に行って調べろ。」

「人選は、君に一任する。」

「わかりました。では早速。」

女はそう言うと部屋から出て行った。


―――4日後 空き地――――

「あのね。かずきくん、ちはやちゃんふたりともきょうでおわかれなの」

「え!ゆうなちゃんきょうひっこすの!」

「うん」

いつものごとく和樹と千早が夕菜と遊ぶために空き地に来ると夕菜がそう切り出した

「ほんとはもうしゅっぱつしなきゃいけないんだけど、おとうさんとおかあさんにおねがいしてまってもらってるの」

「そうなんだ」
「さびしくなるね」

和樹と千早は本当に寂しそうに言った。

「ふたりにはほんとうにかんしゃしてるよ。おかげでみじかかったけどたのしかったよ。」

「ぼくもだよ。」
「わたしも。」

和樹と千早は夕菜の言葉に少し気恥ずかしいものを感じた。

「それでね!ふたりにプレゼントがあるの!」

「「プレゼント?」」

二人がそう言うと夕菜は笑顔で「うん!」と元気よく答えた。

夕菜は洋服のポケットから1つのネックレスを取り出した。

「このネックレスをちはやちゃんにあげる」

そう言って千早にそのネックレスを渡す。

「うわ〜かわいい!」

ネックレスには赤いハート型の石が着いており縁取りに銀が着いていてその周りに更に銀が円状に囲っている。チェーンも銀のようだ。

千早は早速ネックレスを首にかけた。

「ねぇ、かずきくんにあう?」

千早は和樹にそう聞いた。

「うん。にあうよ」

和樹がそう言うと千早の顔から笑顔がこぼれた。

「それはね、わたしとおそろいなんだよ」

夕菜はそう言うと胸元からさっき千早に渡した物と同じネックレスを取り出す。

「そうなんだ。ありがとうゆうなちゃん、たいせつにするね」

夕菜にお礼を言う千早。

「で、ぼくにはなにをくれるの?」

和樹が夕菜にそう聞くと夕菜は下を向いて頬を赤らめながらモジモジし始めた。

「ん?ゆうなちゃんどうしたの?」

夕菜の行動に疑問を感じた和樹が夕菜にそう聞いた。

すると夕菜はモジモジしながらも和樹に話しかけてきた。

「///あ、あのね。かずきくん、わたすまえにひとつやくそくしてほしいの///」

「やくそく?」

「///うん、やくそく///」

「いいよ。で、なに?」

「///あ、あのね。かずきくん、わたしとかずきくんがおおきくなったらまたあおうね///」

「うん!そのくらいのやくそくおやすいごようだよ!」

「///あ、ありがとう!やくそくだよ。///」

「うん!」

「///じゃ、じゃぁかずきくんのプレゼントをわたすね。///」

「///そ、それでね。できればめをつむってほしいんだけど///」

「いいよ」

和樹はそう言うと目を瞑った。

「これでいい?」

「///うん///」

夕菜は返事をすると和樹にゆっくりと近づいて行く。

そして

  チュ

「え?」

和樹の唇に柔らかくて暖かい感触が当たった。

「あーーーーーーーーーーーー!!」

唇の感触と千早の途轍もない大声に驚いた和樹が目を開ける目の前にはトマトよりも真っ赤な顔で照れ笑いをしている夕菜の顔があった。

「/////あ、あのおとうさんたちかまってるからもういくね/////」

夕菜はそう言うと顔を真っ赤にしたまま走り去っていった。

「か〜〜〜ず〜〜〜き〜〜く〜〜ん」

ビクッ!

唇に指を当てて夕菜の後姿を見送ってた和樹が後ろからのまるで地の底から響く様な声にビクビクしながらも振り返るとそこには……


般若が居た


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


「かずきくんのエッチ!スケベ!、変態!、ヘタレ!、かいしょうなし!」

凄まじい罵声を浴びせる千夏。

「もう!しらない!」

そう言って走り去る。

「あ!まってよ〜ちはやちゃ〜ん」

情けない声を、あげつつも走る千夏を追いかける和樹。

「ついてこないで!」
「そんな〜」

拒絶されても追いかける和樹、どうやら今日は追いかけっこで遊ぶらしい。


―――某所―――

男が一人部屋の中でデスクの上のパソコンに向かって作業をしていた。

室内にはパソコンのキーボードを叩く音だけが響いている。

プルルルルルルッ

すると突然デスクの上にある電話が鳴る。

男は、いったんパソコンの操作をやめると電話の受話器をとる。

「なんだ?」

男が受話器越しにそう返事をすると受話器のイヤホンから女の声が聞こえた。

【私です。先日の命令の報告書が、こちらに届いたのでお届けに上がろうかと。お時間はよろしいですか?】

「あぁ、構わん。」

【解りました。では、5分後に…プッ


コンコン

キッチリ5分後男の部屋のドアがノックされる。

「入れ」


シュ!

空気が少し抜けるような音がして部屋のドアが開いた。

「失礼します」

女ほそう言うと部屋に入り男の前まで来てレポートを手渡す。

「これが、先日の件の報告書です。」

男は手渡された報告書を開いて目を通す。

パラ

パラ

部屋には男がレポートをめくる音だけが響く。

パサッ

暫くして男がレポートをデスクに放り投げる。

「いかがなさいますか?」

「連れて来い。」

「解りました。で、家族の方はどうしますか?」

「連れて来るのはこいつだけで言い。後は殺せ

「おおせのままに」

「但し、証拠は残すなよ」

「解っています。」

女は、そう言うと部屋から出て行く。

男は、女が出て行った後もう一度レポートを見る。

「式森和樹、推定6歳。家族構成は本人を入れて父と母の3人家族。家は代々神社を生業にしているか。」

男は、レポートを手放すと部屋の棚にあるグラスとウィスキーを取る。さらに、クーラーボックスにある氷をグラスに入れウィスキーで満たした。

そして、ウィスキーを一気に半分くらい煽った。

「まさかあれだけの魔法を使ったのが、こんな子供だったとわな。面白いものだな、世の中というのは。」

男はそう言うとグラスに入っていた残りのウィスキーを一気に煽った。


―――翌日 空き地―――

「ねぇ、ちはやちゃん。いいかげんきげんなおしてよ〜」

「ふ〜ん!」

昨日のことで未だお冠な千早、そしてその側でひたすら謝る和樹。

「ねぇってば」

和樹の顔は今にも泣きそうである。

「なんでもゆうこときくからさ〜」

何気に凄いことを口走っている和樹。

「それほんと?」

「え?」

「いま、なんでもゆうこときくっていったよね」

ジト目で睨みながらもそう聞いてくる千早。

「うん!いったいった」

「わかった!じゃぁゆるしてあげる」

「ほんと!」

その言葉に喜ぶ和樹。

「そこかわり!あしたわたしとデートして!」

「で、でーと?」

「そう、デート」

「わかったよ。あした、ちはやちゃんとデートするよ。」

そう言って千早とのデートを了解する和樹。

「で、デートってどおすやるの?」

と千早に聞く。

「そ〜ね〜。あしたのじゅうじにここにくること」

「わかったよ」

「で、そのあとどこにいくかは、かずきくんがかんがえてくること」

「え〜そんな〜」

「なんでもゆうこときくっていったでしょ」

「そ、そうだけどさ〜」

「それに」

「な、なに?」

「ふつうデートのコースってゆうのはおとこのこがかんがえてくるものなんだよ」

「そうなの?」

「そなの」

「ふ〜ん。そうゆうもんなんだ」

「いいわね。あしたのじゅうじにおめかししてここにくるんのよ」

「おめかしなんかするの?」

「するの!」

「は〜い」

「じゃ、あしたね」

そう言って千早は帰ろうとする。

「え!もう帰っちゃうの?」

「そうよ」

「なんでさ?」

「おんなのこのじゅんびはじかんがかかるの」

「ふ〜ん、そっか」

「じゃぁぼくも、かえらなきゃ」

「なんで?」

「だって、ちはやちゃんがいってたじゃん。デートのコースはおとこのこが、かんがえてくるものだって。」

「そうだよ」

「だからぼくも、はやくかえってデートのコースをかんがえないといけないから」

「そっか。うん、そうだね」

「じゃぁ、ちはやちゃんバイバイ」

和樹はそう言うと家に帰える為に走り出す。

「あ!かずきくん!」

「ん、な〜に〜?」

「あしたのじゅうじだよ!わすれないでね!」

「やくそくだよ!」

「わかってるよ〜!」

返事をすると和樹は、また走り出した。

そして、それを見送る千早。

彼女の顔は微笑んでいた。

(やった!これであしたかずきくんとデートだ!)

千夏は、一人空き地で考えに耽っていた。

(あぁ、あしたなにきてこうかな?やっぱおひるはおべんとうをつくってもっていったほうがいいのかな?)

(おひるになっらふたりしてどこかのこうえんのベンチにすわって「あ〜ん」とかいってたべさせあいっこしたり……)

訂正、千早は一人空き地で妄想に耽っていた。

(デートのさいごはゆうひをばっくにキッ、キスなんかしちゃったりして)

「///キャーーーーーーーーーーーーーー!!はずかしーーーーーーーーーー!!///」

「よし!あしたは、がんばるぞーーーー!!」

「ゆうなちゃんになんかまけないんだから!!」

恋する乙女というのは、どんなに幼くても強いようである。

しかし、悲しいかな彼女の妄想思いは叶えられなかった。


―――AM2:00―――


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォン!!


草木も眠る丑三つ時、住宅街の外れの高台にある神社がある方角で突然轟音と共に爆発した。

当たりは一時騒然となる。

そして、1人の少女がパジャマ姿のまま走っていた。

爆発音のした神社に向かって。

「ハァハァハァハァ」
(かずきくんおねがい!ぶじでいて!!)

神社に着いて見ると既に警察が来ていて野次馬を下がらせていた。

少女は、群がる野次馬を掻き分け警察が張っている非常線まで来た。

目の前には少女が良く知る家が燃えていた。

目の前の光景に唖然としている少女の耳に周りの野次馬の声が聞こえる。

「おい、消防車はまだ来ないのかよ」

「あぁ、なんでも少し前に町外れの製薬工場が火事になってこっちに来れないんだってよ」

それを聞いた少女は警察の張ったテープを潜り燃えている家に向かって走り出した。

驚いた警察官がすぐさま少女を取り押さえるが少女は警察官の腕の中で暴れる。

「お嬢ちゃん!なに考えてるんだ!危ないぞ!」

「はなしてよ!あそこにはかずきくんがいるんだから!たすけなきゃ!」

「無茶だ!お嬢ちゃんまで焼け死ぬぞ!」

警察官の腕の中で暴れる少女、山瀬千早は警察官の話を聞かずその腕から逃れようとする。

「かずきくーーーーーーーーーーーーーーーん!!」


翌日、新聞の隅に小さく昨夜の火事のことが掲載されていた。


昨夜深夜、○○市住宅街にある式森神社にて火災が発生。
幸い深夜だった為、参拝客は無かったが母屋に住んでいた式森さん一家が犠牲になった模様。
警察は、出火場所が台所だった為何らかの原因で一般家庭用の都市ガスが漏れて火に引火して爆発したと発表。


後書きといふもの


初めまして漢長というものです。

こちらにある皆様の作品を観て自分でも書いて見たいと思った怖いもの知らずです。

今回、SSなるものを始めて書いた為文章がおかしな点が多々あるかとおもいますが何分SS初心者なのでご
勘弁の程を

題名にある「機械仕掛け」の意味は次回で書く予定です。

これから自分の納得できる作品を書いていけたらいいなと思っている次第です。

誤字脱字等は自分でも気を付けてはいますがもし、ありましたら作品の感想や批判と共に書いて頂けると幸いです。


△記事頭

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