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「あねさんの日常(るろうに剣心+某庭球汁博士)」

ラオ (2005-08-16 01:38)


「暇ね〜」
「・・・」
「暇ね〜」
「・・・」
「暇ね〜」
「・・・」
「暇ね〜」
「・・・飲んでみる?」
「いや」
先ほどから「暇ね〜」を連発しているのは神谷薫、片方は乾貞治である。
この二人、道場の師範代、近所の薬師という関係である。
日ごろから薫は騒動を巻き起こすのを楽しみ、貞治はそれを観ることを楽しんだ。
貞治はわけのわからない汁(飲み物らしい)を作りそれを人に飲ませることを趣味とし、薫はその手助けをすることを趣味とした。

二人は似たもの同士である。
普通は似たもの同士というのは同属嫌悪という言葉があるようにうまくはいかない。
けれどこの二人はどういうわけか周りが羨むほど、仲の睦まじさを見せ付けている。
今日も、薫は騒動を起こしたくてうずうずしているのだ。

「・・・」
薫が獲物を狙う獣の如く目を光らせている。
「何か面白いものはあったかい?」
「・・・」
薫の瞳に歓喜が灯る。
「あの男たちかい?」
薫と貞治の目の前にはごろつき風情の浪人たち、20未満と容易にわかる年若い少女に因縁をつけている。
「・・・」
薫は無言で歩き出す。
「やれやれ、姫君のお楽しみの時間か」
貞治も嬉しそうにそれを追う。

「やめてください!」
少女は気丈にも男の手を振り払う。
「そういうなよ。なかよくしようぜ?おじょうちゃ〜ん?」
『げはははは』
男たちはニヤニヤと下品な笑みで少女を見ている。
「どいて下さい!あなたたちに用はありません」
少女はきっぱりと言う。
「おいおい、このおじょうちゃんはじぶんのたちばがわかっていねぇらしいぜ」
「まったくだ。こりゃ、おしえてあげなきゃなぁ〜」
『ぎゃははははは』
「・・・」
少女は眉間に皺を寄せて男たちを睨みつけている。
「うわ、文字の漢字変換も出来ないなんて・・・。馬鹿?」
少女は呆然と男たちは硬直して声の主を見た。
そこにいたのは美しい人だった。
少女自身も整った容姿だと思ってはいたが目の前の人に比べれば意味の無い自負だった。
女性にしては高いスラリとした体は桜色の着物で包まれ可憐さを、腰までとどく艶やかな黒紫の髪は頭の高い位置で紫の布で纏められて艶を更に増している。
顔の造詣も素晴らしいとしか言えない。
完璧な左右対称の輪郭に耳、目、鼻、口、眉といった顔を構成する全てが文句のつけどころ無く収まっている。
極めつけはその凛とした雰囲気、何者にも屈しない王者の風格とでもいうのだろうか?少女の貧弱な語録では言いあらわすことが出来ない。
絡まれていた少女でさえこうなのだから、絡んでいた愚鈍な男たちは更にどうも思うことが出来ない。
ただ理解できることは、この美しい女はとてつもなく美しい、そして自分たちを馬鹿にした、と言うことだ。
「・・・んだと!」
「まぁおちつけよ。こんな上玉はみたことねぇぜ?」
「そうだぜ。なぁじょうちゃん、おれたちといいことしねぇか?」
「いや」
薫は薄く笑ってはっきりと断る。
「そういわずによ。たのしいぃぜ〜」
「そうそう」
「おもに、おれたちがな!」
『がははっははは』
男たちの下品な笑いは続く、その声に薫は眉をしかめる。
「うるさい」
薫の無感情な一言におとこたちは表情をかえる。
「あなたたち、私のことを知らないということは余所者ね」
薫の言葉にいつの間にか集まっていた野次馬たちは一斉に頷く。
「こんな奴らみたことねぇぜ!」
「最近、東北から来た浪人たちだって聞いたわ」
「それでか」
野次馬たちはそれぞれ自分の知っていることを言う。
「それがどうした!」
ごろつきが一喝する。場は静まるが一気に空気が止まる。
「・・・馬鹿を相手にするのは疲れるわ。とっとと出て行きなさい」
薫はやる気がそがれたのかダルそうに男たちを見る。
「あぁ!?んで、てめぇのいうことをきかなきゃなんねぇんだよ!」
男の言葉に集まった人々は凍りつく。

人々が思ったことは唯一つ、
『なんと愚かな!』
ちなみに絡まれた少女は
『・・・すごい・・・』
+汁男は
『馬鹿な男は薫の守備範囲外・・・と』
・・・記す意味があるのか?

「何で?決まってるじゃない。私が・・・」
ゴク
「私だからよ」
・・・・・・・・・・・・・
『確かに』
「んだと!」
野次馬と男たちの心は一致しなかった。

男が一人、薫に向かって大きく拳を振りかぶる。しかし
ばぢん!
拳が振り下ろされる前に薫の平手が男の頬にあたる。
「ぐぁ・・・」
一名脱落
残りの三人が同時に動く。
二人は左右に、一人は正面から襲い掛かる。
しかし、薫は慌てたりなどしない。
正面に向かって進みでる。正面の男の懐に入り腹に一発、男は白目で倒れる。
一名脱落
生き残りの二人は薫に向かって方向転換する。二人に逃げるという言葉は無い。
体躯を下げ二人の隙間を抜ける。
『なっ!』
二人の勢いは止まらず倒れている仲間に躓いてしまう。
ドサッ
「やっちゃって」
『おー』
ドカ バキ ベシベシ
薫の合図で周りで見ていた野次馬たちはごろつきに群がり私刑を執行した。
・・・あわれ・・・・ちーん・・・

「大丈夫?」
「あ、はい!」
絡まれていた少女は薫のあまりの美しさと、強さに緊張が高まる。
「じゃぁね」
「ありがとうございました!!」
こうして薫信者は増えていく。

「ご苦労様」
「冗談?」
「いや、少なくとも馬鹿を相手にして疲れただろう」
「まぁね」
場所はかわって貞治邸、邸というだけあって凄まじく広いし豪勢だ。
「そういえば・・・」
「どうした?」
「なにかした?」
「なんのことだ」
薫は憮然としている貞治をみて柔らかく笑う。
「皆が馬鹿たちに群がった後に薬を渡したそうね?」
「薬師だからね」
「ま、そういうことにしといてあげる」
薫は嬉しそうに貞治に纏わりつく。
「・・・今日は帰るな」
「皆が待ってるわ」
「かまわないだろう」
二人の蜜月は続く。

ちなみにあのごろつきたちは
正体不明の奇病にかかり、身体異状になったそうな。

ちゃんちゃん

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