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15禁注意

「まぶらほ どうでも良いセカイ(仮題)(まぶらほ)」

参式 (2005-07-23 22:42)

「はん、抜け穴だらけだな」

真っ黒な服・・・・・警察や軍などの特殊部隊が着るアサルトスーツやアーマーベストなどと言われるものを着込み、顔をフェイスマスクで覆い暗闇に溶け込んでいる人間・・・辛うじて声色から男性である事が判別できる。

「しかし・・・馬鹿みてぇにでけぇな。この屋敷は」

生業が非合法なもの関すこと常としている男が赤外線スコープを覗きながら屋敷の周囲を見回している。さらにこのスコープはある程度の電磁波を捕らえ、男の覗くディスプレイにその発生源を示し、さらには魔法や魔術的なトラップまで感知してくれる優れものだ。アサルトスーツも赤外線をカットし、その手のトラップから身を守ってくれる。

ゴソゴソとポケットから携帯端末を取り出し屋敷の地図を呼び出し・・・・・警備員が巡回しているコースが表示される。

「よし、よし・・・ここまでは情報通りだな」

念のため再び赤外線スコープを覗き周囲を見渡す。

「うん?」

ごく小さな警報音がし、男がディスプレイに表示された指示に従って視線を動かすと熱量の高い物体が移動しているのが分かった。ピントがあってないせいか、映像がぼやけていたが、自動補正がかかり映像が鮮明な物に変わる。

「な!?戦車だぁ!?」

思わずスコープから目を離し、眼を擦り再びスコープを覗く。やはり、間違いなく戦車二輌が並んで進んでいた。

「中東とか、アフリカでT−34を見たことあるけどよ・・・・・」

中東やアフリカ・・・それに朝鮮半島の北半分の国で現役として活動している事はあるが、男が眼にしている戦車はそれから外れた存在だった。

「パテルンUだぁ?なんで、こんな所に・・・屋敷の主人の趣味か?」

ある意味であっている男の意見だ。ドイツ第三帝国が第三次世界大戦に投入させたパテルンUは日本が作り上げた七式中戦車よりもマニアの中では人気が高い存在だ。それを確認する術を彼は持たない。そんな事よりもさらに驚くべき状況が発生する。

パテルンUが動きを止めて砲塔を動かし始めた。

「おい、おい!!まさか」

さらに、砲身の角度を微調整させている。あきらかに男の方向である事が分かった。男が逃げようとした瞬間、キングティガーの88ミリ砲が火を噴いた。


重い咆哮に窓ガラスがピリピリと震える。その音に顔を向ける少年。ベッドから裸身の上半身を起こすと、ベッドの脇にあった電話を取りアドレスから『リーラ・シュルンホルスト』を選ぶ。二回ほどコールをするとアドレスに書かれていた本人が出る。

「リーラ、今のは?」
『申し分かりません。式森様・・・・侵入者です。今しがた仕留めたとこです』
「侵入者?・・・・珍しいね」
『はい、対策プログラムの新規書き換え、立ち上げの直後を狙った模様です』

式森・・・・・式森和樹は隣で寝ている黒髪の少女の髪をやさしく撫でながら口を開く。

「リーラにしては失態だな・・・・・・御仕置きが必要かな?」
『・・・・・甘んじて受けます』

ちなみにこの場合のお仕置きは男女の営みだったりするが・・・・・それは置いておくとして、和樹は続ける。

「まぁ、それは冗談として・・・・でも、戦車砲なんて、すこし、オーヴァーキルじゃない?」
『いえ、弱装弾と捕獲用に改良した弾丸を使用しました』
「それは、それは」

和樹が納得したように相槌を打つ。

「で、誰なの?侵入者って」
『不明です。外見的特長からすれば東欧系・・しいて言えばロシア人と言ったところです』
「イワンか・・・・モスクワを総統殿に奪われてから元気がなかったけど、ウラルより東連中は、さぁ・・・・最近元気だね・・・・GETTOが落ち目なだけかな?」

和樹は嫌味をこめてせせら笑う。電話の向こうの彼女は答えようとしない。彼女の祖国であるからだ。

「まぁ、いいや、政治的なことは父さんに任せておくとして・・・・・」
「式・・・・森?」

和樹が続けようとしたとき、下の方から声がした。和樹が視線をそちら向けるとベッドから半身をおこす少女の姿を捉えることが出来た。和樹同様、着衣を見につけていない。

「凜ちゃん・・起こしちゃった?」
「いや・・・・なんでもないよ」
「凜ちゃんが気にする必要はないよ」

そう言って凜・・・神城 凜の額にキスをする。凜は半分の寝ぼけた瞳で和樹を見る。額にキスをされたことによって満足したのか、力なくベッドに倒れる。

『・・・・・・・式森様?』
「あ・・・いや、なんでも」
『神城様・・ですか』
「気に入らない?」
『はい』

和樹が苦笑する。和樹の身の回りの世話の全権を預かっている。それを抜きにしてもリーラの世話好きも大したものだ。特に女性関係には・・・

「まぁ・・・侵入者に関してはよろしく頼むよ。もしも、イワンだったヤクーツクにでも対地ミサイルを叩き込んでもかまわないから」

ヤクーツクには表沙汰に出来ない施設がある。爆撃されても事を構えるような事が出来ないほど物だ。

『了解しました』
「じゃ・・・おやすみ」
『お休みなさいませ』

電話を切り机の上に置く。

「リーラの警戒網を突破したヤツが出て来たか・・・・おもしろいな・・・ククククク・・おもしろいな・・・」

ベッドに身をゆだねる。真横で静かな寝息を立てている凜の髪を撫でながら、これから起こる出来事に夢を膨らませていた。


葵学園・・・・・日本が開国後、西欧列強に劣る事ない優秀な魔術師の育成を目的として創設されたものだ。当初、優秀な『士官』を育てる傾向が強まったが、日露戦争で陸軍の敗退で大陸から締め出され実質上の敗戦を契機となったかは不明だが、葵学園を士官学校化する傾向は永久に封印された。それが、第三次世界大戦でアメリカ大陸での戦闘がどれだけ凄惨になっても・・・・・だ。

無論、今の世・・・東西アメリカを日本。ドイツ、イギリス・・・・『時代の三賢者』と呼ばれる存在が、いかにして彼の地で利益を上げるかを、それぞれの都市で行なわれる会議で決定する世の中・・・だが、彼等、学生には特に関係なく時間は進む。

ゆっくり流れて欲しい時は速く

早く流れて欲しい時はゆっくりと

和樹が登校した時間は既に遅刻に類する時間といえる。それでものんびりとした足取りで廊下を歩いていた。和樹の2年B組の最短ルートを辿るには保健室を通る必要がるのだが・・・

「アレは・・・仲丸・・なにやっているだ?」

保健室の扉の前でしゃがんでいる仲丸・・・自称。親友はになにやら、コソコソと何かやっている・よく見れば、魔術を展開しているようだが・・・

「何、やってるんだ?仲丸」
「ぬぉ!?なんだ、我が親友、式森ではないか」
「誰が親友だ・・・うん?透視魔法か・・・・」

仲丸が展開していたのは視覚系の魔術・・・・物体透視であり、特定の物質を視覚的に排除するものだ。

「ジャミングか・・・・おい・・まさか」

和樹が半眼で仲丸を睨む。どうやら、中の状況を察したらしい。

「ッフ・・・この先には影の生徒会長 風椿 玖里子があられもない姿を晒しているのだ!!これをバッチリと押さえ、これ持って脅せば・・・フフフフフ」

ガッチリとガッツポーズをとる仲丸。

「脅し・・って、それをしようとして何回失敗しているんだよ」
「ッフ・・・昔の偉い人は言っただろう、失敗の数だけ、あとで吸う甘味は甘美なものだとな!!」
「誰だよ・・それは」
「おう、どうせなら。お前の魔術でパッパとジャミングを消してくれよ。向こうさんいバレンように」
「断る・・誰が、お前の・・・」

和樹が・・・一瞬、遅れて何もない一点を見た。光の粒が集まる。空間移動・・・テレーポート類の魔術が行使され、目的地に『アウト』する時の現象だ。ちなみにアウトしてきたのは少女であった。外見は悪くない・・いや、いや、かなりの美少女といえる少女だった。

「な〜〜〜か〜〜〜ま〜〜る〜〜〜」

地の底から響き渡るような声だった。はじめて彼女見た人間は幻滅するかもしれない。

「げぇ!?松田!!・・・・なぜに、ここに!!」
「B組協定6章第12項違反よ!!」

松田 和美・・・仲丸と並ぶB組の悪玉である。もっともB組の連中は似たり寄ったりの人間が多いため、どうしようもないが。

「あら、式森君、おはよう・・・また、遅刻?」
「『今日は』はね・・・松田さんこそ、授業は?」
「特別条項3条を採用よ。気にしないで」

和樹は合えて突っ込まないが、和樹自身は『B組協定』を理解していない。毎週・・いや、毎日、増え続けるので面倒なので覚えていない。

「まぁ・・気にはしないけど・・・・仲丸のヤツ・・・逃げたけど?」
「ああ!!!!こら!待ちなさい!!」

と、既に小さな背中しか見えない仲丸を追っていく和美を見ながら、嘆息をつく和樹。

「ったく、毎回、毎回、面白い夫婦漫才を見せてくれるな」

ガラ・・と軽めのドアを空ける音。保健室からでてきたのは、高校生にしてはやや華美と思われる下着を着けた少女だ。女子高生の平均を超える『良い』プロポーションの持ち主だ。

「ったく、うるさいわね・・あら?和樹じゃない?」
「おはようございます。玖里子さん」
「おはよう。私を誘いにきたのかしら?」

和樹を誘うように寄りかかり、その豊かな胸を和樹の二の腕に当て、手を和樹の胸に当て、耳元で囁く。

「いえ。流石に学校では・・ね?」
「ふ〜〜〜ん・・・・・・じゃ、これはいいの?」

胸元からメモリースティックを取り出す。和樹はそれを受け取ると、鞄からハンディPCを取り出し、メモリースティックを指す。そして、情報を引き出す。

「これは・・・」
「ビックリしたでしょう?・・・・・昨日、あんたの屋敷に入った男の情報よ」
「リーラが?」
「ええ、和樹は実家の力、使うの嫌でしょう?まだ、情報網としては和樹自身・・・というか、リーラのじゃ、まだ、不備があるでしょう?で、うちにお鉢が廻ってきたのよ」

和樹はその言葉に苦笑する。

「やれ、やれ、新興財閥に負けるなって、うちもまだまだだな」
「そうよ、だからご褒美頂戴♪・・・・・なんなら、和樹の遺伝子がいいわね〜〜」
「リーラから、それ相当の報酬が払われていると思いますが?」
「なんだ、知ってるじゃない?」

つまらなそうにため息をつく玖里子。無論、和樹の言葉は事実であり、かなりの額が振り込まれている。

「やっぱり、イワンか・・・・・・KGBなんぞ、シベリアの針葉樹の数を数えさせないようにしてれば、いいのにな」

メモリースティックを外し、玖里子の胸元に戻す。

「僕自身の『お礼』はいずれまたの機会に」
「あら?本当?」
「ええ」

和樹は玖里子の腰に手をまわす。下着だけであるため直に和樹の手が肌に触れる。

「あん」
「じゃ、僕はこれで」
「うん」

和樹が玖里子の腰から手を離し、去ろうとした時、玖里子が軽く引き止める。和樹がそれにつられ振り向くと、玖里子の唇が和樹の頬に軽く触れた。和樹は軽く微笑むと、和樹は彼女の首筋に口を当て貸し、自分のクラスに向っていった。


昼休み、教室で和樹は弁当を広げていた。ちなみに、その他は偽造食券の売買で多数揉め事が出ていたが、いつもの事なので気にしない。

「ニュース!!ニュース!!皆!!特ダネよ!!」

鳴尾来花が入ってきた。かなり慌てているようだが、B組一同は、やや冷淡な視線を送った。和樹も、その一員である。『デマの鳴尾』とよばれ、『宣伝と煽動こそマスコミの命』と公言しており、彼女が発行する学校新聞は九割方がデマである。そのため著しく信頼性に乏しい。

「転校生よ!!転校生!!しかも極上美少女!!!」

男集からどよめきが起こる。彼女の情報に嘘、偽りが多いとしても自分の都合の良い情報を信じるのは性だったりする。来花の周りに男子生徒が集まっている中、和樹はさらに冷淡な目でそれを見ていた。

「あら・・・式森君は興味なの?転校生」

和樹が視線を声の主に送る。高校生・・・・いや、日本の女性にしては背が高い・・・182あるのだ、和樹が座っていなくても見上げなければならない。

「沙弓・・さん。まぁね」
「ふ〜〜〜ん」
「って・・あ!!!」

沙弓・・・杜崎沙弓は和樹の弁当の中からエビフライを取り上げ、自分の口の中に放る。

「最後にとっておいたのに!!!」
「あら、そうなの?・・・・やっぱり、リーラさんって凄いわね。冷めていても美味しく食べられるようにしてあるわ」
「だから、とっておいたのに!!」
「・・・・・昨日は神城 凜とよろしくやっていたみたいね?」

ポロ・・・と、箸を落す。いやに冷たい汗が一筋流れる。

「まぁ・・・・複数の女性に手を出す・・のは、許すとして・・・・・・・神城 凜は連続でしょう?」

和樹の肩に沙弓の手が乗る。ギリギリ・・・・・と肩の骨がキシミを上げる。

「アハハハハハハ・・・な、何のことかな?」
「ふ〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・で?」

押し黙る和樹・・・・・・立ち上がり、沙弓の手を取り

「今晩、どう?今日は寮に止まっていく予定なんだ」
「そう♪」

ニッコリと微笑む沙弓・・・・・・だが、次の瞬間、恐ろしいスピードの蹴りが和樹の顔面を襲ってきた。だが、和樹は手で受け止める。

「沙弓さん」
「なに?」

和樹は少し息を吐き・・・重々しく口を開いた。

「ショーツは白より、黒の方が似合っていると思うよ。君には」

和樹は本日最高の笑顔で答える。沙弓はゆっくりと脚を下ろし、こちらも最高の笑顔を送ってきた。

「そう」

沙弓が下を向く。手をガット開き・・・笑顔が消失した。手に光が集まっていく。

「いっぺん死になさい!!!」
「こ・・・これは!!!シャニング・・!!!」

2年B組の一角で爆発が起こったとか、起こらないとか。


「まったく、君は何をやっているのだね」

ボロボロとなった和樹を見て、優雅に紅茶を啜る長髪の美麗な白衣を着た男性。和樹がいるのは保健室だ。特におかしい事柄ではない。

「いや・・イロイロとあるんですよ。紅尉先生」

名を紅尉 晴明という。和樹の持つ尋常では図りえない魔力に興味を持ち、隙あらば和樹を解剖したがるマッドなお方である。それでも、和樹が彼に接触するのは、彼の類まれなき人脈と情報力があるからだ。実家の力を極力使わないようにしている和樹のとっては貴重な存在といえた。

「まぁ、私としてはありがたいがね。貴重なサンプルがはいる」
「・・・・・サンプルって・・・・・」

おそらく、和樹の血液や皮膚の一部だろう。

「あ・・・・そう言えば、頼んでおいたもの、出来ましたか?」
「あああ・・・アレね。うん、届いているよ」

ガラと引き出しを開け箱を取り出す。和樹がその箱を受け取り、箱を開ける。箱の中には一丁の銃が入っている。フレームやグリップの部分にルーン文字や装飾が施されている。

「ガバメントでよかったのかい?」
「え?・・・ああ・・・・良いですよ。これで」

ガバメントと言っても、STI社・・・ガバメントのカスタムモデルである NIGHT HAWX4.3に似ている。和樹がオーダーしたのは、さらに日本軍向けにグリップに改良を施したものだ。・・・といっても日本軍では不採用に終わっているが。

和樹が銃を確かめている。

「ふむ。君には銃など必要ない・・・と思うがね?」
「魔術を形成するより、トリガーを引く方が早いですよ・・・それに、オーダーしたとうり、作ってあるなら、少々の障壁ぐらい突破できるでしょう?」
「まぁ。それは、そうだがね・・・」

目の前の少年が実質的なこと言っている。魔法使用回数や体術・・・・いや、体術という接近戦なぞに持ち込まずとも、圧倒的する魔力で粉砕する事が可能だ。それに和樹には家事から戦闘までこなすメイドがいる。
それを考えれば『人間臭い』事を言っている。

「問題はなさそうですね」
「そうかね・・・ああ・・・・・それとだね」

白衣のポケットから一枚の紙を取り出す。そこには住所が書かれていた。

「ずいぶん近いですね・・・これ・・・・・」
「ああ・・・紫乃がこっちに来るのでな」
「はぁ・・・」
「君に会いたがっていたよ。『生きている』モノには興味のない紫乃が、君にだけは興味を持っているのだからね」
「そうですか。それは嬉しい限りですね」

和樹が笑ってみせる。銃を懐のフォルダーに収め、立ち上がる。

「おや・・・もう、帰るのかね?今日は魔法回数診断のだが?」
「もう、調べたでしょう?・・・なら、いいじゃないですか」

和樹は軽く手を振りながら保健室をあとにする。残された紅尉は和樹の診断書を取り出し書類の作成を始めた。

「2年B組12番 式森和樹、魔法使用回数は8回と変わらず・・・・・・・本人によると、使用回数以上に使用されたのこと・・・ただし、一日での回数は7回以上の使用は無いの事・・・コレを基にすれば、彼の魔法使用回数は『回復』する模様である。原因は一切不明・・・・・継続的な診断が必要である」


久しぶりに学生寮にある自分の部屋に来た和樹がドアを開けると、そこには少女がいた。

「きゃ・・」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!・・・・・・・フゥ・・・勝った」

勝利のあとの一汗を拭う和樹。ちなみに前者は少女の悲鳴だったりする。和樹は顎に手を当て、少女観察する。下着姿である・・・まぁ、見慣れたものモノなので・・・・・いや、悪くはないのだが・・いまさら・・といった感じだ。

「なに?誘ってる・・・・でも、なさそうだな・・・悲鳴上げたし・・・・・・で、誰?」
「え・・え〜〜と、着替えたいんですけど・・・ですから・・その・・・ドアを・・」
「ここは、断じて、女子更衣室ではないのだが?」
「え〜〜と、あの・・その・・・・」

少女は必死に隠そうとしているが、和樹は目を逸らさずに少女を見ている。そらに、ドアが開いているため羞恥心が大きくなっていく。ついには座り込んでしまう。

「・・・・・むぅ、こちらが悪者みたいだな・・・・・・・・・しかたない。ドアは閉めるから、さっさと、着替えて」

和樹はダを閉めると、すぐに携帯を取り出し、電話をかける。

「ア・・リーラ、あのさぁ」
『こちらから、連絡をしようとしたところです』
「あ・・いやさぁ、こっちの部屋にいる・・・・女の子・・・・・」
『女の子・・・・・女性がそちらに?』

やや怒気を含んだ声色だった。

(うぇ・・別件だったか・・・・まぁ、こっちに監視は置いてないし・・・当然か)

『その件は、後日・・・聞かせてもらいます・・・・・・それよりも、本家から・・・・・』
「断る・・・・」

和樹の声色が変わる。

「本家の事は全部、送り返せ・・・・・・あと、一年は口を出さない約束のはずだ」
『しかし・・・・・』
「却下だ・・・・・それよりも、昨日の件は?」
『・・・・・・ハイ、侵入者の装備一式は東アメリカ製・・・・しかも、最新鋭・・・・・・最精鋭部隊でも一部のみ配備されているものです』
「ハイリッヒおじさんのドラ息子とイワンか・・・・・・・・何を考えているのかな?それとも、ドイツが絡んでるかな?」
『Nicht・・・・・おそらく、ドイツは関係ないと思われます』
「私見かい?」
『Ja』

和樹は少し考え、口を開く。

「まさか、自分の祖国だか・・じゃないだろうね?」
『Nicht。現在のドイツは公式、非公式ともに日本と事を構える必要性を感じていません。それよりも、日英と共同で如何にして、北アメリカ大陸で稼ぐかを考えています』
「良い答えだね。僕も同じだ・・・・・・ドイツが絡んでくれた方が面白いけど・・・・・そうも行かないか」

和樹は壁に寄りかかり、ため息をつく。

「あの・・・・・」

ドアを少しだけ開けて、先ほどの少女が声をかけてきた。

「ああ・・・チョット、待って」

和樹は手で彼女を制し、再び電話の先にいるリーラに話し続ける。

「じゃぁ、レポートにまとめておいて」
『分かりました・・・それでは』

通話ボタンを切り、少女の方に向き直る。

「で・・誰?君」


「宮間・・・夕菜さんね・・・・生憎だけど。僕は知らないけど?」

和樹は即答した。彼女の言い分によれば幼い頃に知り合ったらしい。

「そんな事をありません!!和樹さんは私に『雪』を見せてくれました!!」
「雪・・・・?」
「はい!!」

和樹はしばし、記憶の底を浚うが、どうにも出てこない。

「う〜〜ん、なんか、それらしい記憶はあるんだが・・・・・・・・・・っは・・・ま・・まさか・・!!」

背中に滝のような汗が流れる・・・・いやに冷たい。

と、ドアがノックされ引かれる。

「式森君、居るわね?」
「○×△◇Σ刄カι〜〜〜!!!!」

声にならない悲鳴を上げる。

「はぁ、はぁ、はぁ、な・・・なんだ、沙弓さんか・・・オ・・脅かさないでよ・・・・・」
「随分な言い方ね・・・誘ったのは、貴方でしょう」

部屋の入り口には沙弓が立っている。勝手知ったる部屋である和樹を一望する。あり前だが、夕菜に眼が止まる。

「式森君・・・・・・・女の子が好きなのは、どうしようもない・・・・とは思ったけど・・・私と約束した日に連込むわけ?・・・それとも3Pをご志望かしら?」
「いえ、そんな事は・・・・・・・・ありません」
「今の間は、なにかしから?」

ニッコリと微笑む・・・・・満面の笑みといっていいが、みなぎる殺気はなんとも言いがたい。

「どうせなら。凜ちゃんと、どう?ほら、裸の付き合いはなんとやら?って、言うじゃない?」
「いわないわ」
「いわん!!!」

声が重なった。沙弓が振り返ると・・・・小柄な少女・・・神城 凜が立っていた。

「おや、凜ちゃん」
「なにが、3Pだ!!!しかも、杜崎の者となど!!」
「でも、ネリーと一緒にやったじゃない?」
「○×△◇Σ刄カι〜〜〜!!!!」

声にならない叫び声を上げる。それと、同じくして、もう一人・・・・・・

「はぁい♪、和樹・・来たわよ〜〜〜」

凜と沙弓を押しのけ和樹に抱きつく。

「わぁ!?・・玖里子さん」
「「風椿先輩!!」」

凜と沙弓が叫んだが、まったく意に返さずに、和樹に自分の身体を摺り寄せる。ふと、彼女の視線が夕菜と交わった。

「アラ、夕菜ちゃん?お久しぶり」
「お久しぶりです・・・・・って!!!なに、和樹さんと抱き合っているんですか!!!」

噛みつかん、ばかりに夕菜が吼えた。

「先ほどから聞いていれば、まるで・・・その・・その・・・・」
「ああ・・それは、さぁ」

夕菜が言い難そうにしているので、和樹が代弁する。

「凜ちゃんと沙弓さんは、彼女達の家が、ちょっと、手を出してきてね・・・まぁ、色々あって、僕がかこってるんだ。玖里子さんはビジネス関係での知り合い・・・・・まぁ、プライベートでも仲良しだけどね」
「あと、リーラ達もいるじゃない?・・・知ってる?和樹の屋敷には男がいないのよ・・ぜ〜〜いん、女性・・・メイドばかりなのよ」

和樹と、玖里子の話を聞いて顔面蒼白になる夕菜だが、気力を振り絞って叫ぶ。

「そ・・そんなの、嘘です!!か・・和樹さんが、・・・私の和樹さんが、そんな事するはずありません!!」
「いや、事実出し」

間一髪をいれず、和樹が答えた。

「で・・でも、私に雪を見せてくれました!!証拠だってあります!!」

バン!!・・・と、当時の新聞を取り出した。一面にデカデカと真夏に雪が降った事が記事になっている。

「まぁ・・たしかに・・・これをやったのは僕だけど・・・さぁ」

和樹は重々しく口を開いて言った。

「あれは、母・・・・為だったんだ・・・うん・・・」


あとがき

関係ない話ですが・・第三次α・・・・・発売日が私の誕生日だ・・・延びないで欲しい・・・・と、思うこの頃です。
まぁ。18禁的な展開は・・・可能です・複数で・・・まぁ、私に、そこまで力が無いので・・・・・・・はぁ・・・です。
 NIGHT HAWX4.3は現在、サバゲーで愛用している銃です・・古いですけど


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