大神一郎率いる帝国華撃団・花組は、青き叉丹が駆る神威に苦戦を強いられていた。あの巨体で光武以上の機動力を誇るのだから簡単にはいかない。それでも、徐々に霊力を削られ花組の光武には損傷が目立ち始めていた。
「はーはっはっ!!どうした、帝国華撃団!!私をもっと楽しませてくれないのか?!」
「くっ!!このままでは!!」
「わかったか!!以下に貴様らが非力な生き物かということが!!所詮、正義など何の力も持たぬただのガラクタなのだ!!」
「ちがうっ!!俺たちにはこの帝都を守る使命があるんだ。貴様のような奴に崩されるほど、俺たちの心はやわじゃない!!」
大神の叫びに他の団員もうなずく。どんなに圧倒的不利な状況にあっても、自分たちは負けられないのだ。自分たちが負けることは、帝都が滅びることを意味する。そこに暮らす人々の生活や幸せが崩れ去ってしまうのだ。それだけは絶対に阻止しなければならない!!
「いくぞっ!!皆、総攻撃だ!!」
「はいっ!!大神さん」
「承知しましたわ!少尉っ!!」
「了解しました!!」
帝劇本部も固唾を呑んで見守っていた。今の時点では明らかに不利なのは分かっていた、しかし、その状況を覆せるだけの実力と意思を彼らが持ち合わせていると米田は信じていた。そして、その思いは通じた。花組の光武はどこにそんな力があったのかと思わせるように、ありったけの霊力を補充されて息を吹き返した。少しずつではあるが神威の装甲にも損傷が現れ、花組の初勝利は目前だった。
「これで決めます!!破邪剣征・桜花放神!!」
さくらの光武が振り下ろしたシルシウス太刀から、桜吹雪のごとく霊力が放たれ、神威に直撃した。
「やった!!」
「ふんっ!!まぁ、田舎者のあなたにしてはよくやりましたわ」
しかし、その喜びは一瞬の出来事だった。濃い土煙の向こうから、神威が突如姿を現したのだっ!!
「ふふふ・・・おしかったな。だが、真宮寺一馬には遠く及ばない!!もはや打つ手はあるまい、安心して死んでいくがいいっ!!」
「さくら君!!逃げろぉぉぉぉぉっ!!」
「さくらさん!!」
「さくらっ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
もはやこれまでっ!!と、覚悟を決めたさくらだったが、とどめの一撃は打ち下ろされなかった。恐る恐る目を開けてみると、さくら機と神威の間に紫電の輝きを放つ【何か】があった。【何か】は神威の前に立ちはだかると、突如【吼えた】。狼のような咆哮が帝都中の犬の耳に届き、そこらじゅうから答えるように遠吠えが聞こえた。そして、紫電の拳が神威に向かって放たれた。突然殴り飛ばされた神威は、そこから10mほど転がって木にぶつかってようやく止まった。胸部に凄まじい損傷をくらいながらも、神威は何とか立ち上がった。
やがて、その輝きの向こうから徐々に姿が見えてきた。その全身が現れたとき、その場にいた全員が息を呑んだ。それは【紫電の鬼神】だった。身長は2mほどだが、その全身は紫色で肩に鎧のようなものを取り付けている。何より異様なのはその顔だった。肉食獣特有の頑丈そうな牙と顎、光る鋭い瞳、そして【鬼神】と言わしめて当然とばかりの【角】。
「き、貴様っ、いったい何者だっ!!」
「・・・・・バキャァァァッ・・・」
「「「「?!?!?!?!?!」」」」
「アオォォォォォォォォォォォォンッ!!」
狼のような咆哮と同時に、凄まじい霊力が殺気となって放たれる。そこらの鳥や獣があっという間に静かになり、木々が風に揺れる音がはっきりと聞こえた。
「くっ!!何者かは知らぬが、次はこうはいかんぞっ!!覚えておくがいい!!」
「はっ!!待てっ・・・逃げられたか・・・」
大神は悔しそうに叉丹が消えた方向をにらんだが、すぐに【鬼神】に向き直った。
「あ・・ありがとう・・・俺は帝国華撃団隊長・大神一郎。君は何者だ?」
「・・・・初号機。がんばってくださいね、七色雪だるまさん」
「「「「はぁっ?!」」」」
【七色雪だるま】
これが、帝国華撃団とEVA−01【碇 シンジ】のファーストコンタクトであった。
続く!!
こんにちは、初めて投稿します。まりあっち1号と申します。今更ながら、EVAとサクラ大戦のクロス物です。アドバイスやご指摘など、よろしくお願いします。できるだけ、週一ペースでの更新を目標にがんばります!!