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!警告!壊れキャラ有り

「孵らぬ卵の見る夢は(GS+エヴァ)」

豪 (2005-05-01 11:38)



―――――――――――孵らぬ卵は夢を見る

終らぬ夢を、重なる夢を、捻れた夢を

そして――――――――――壊れた夢を


孵らぬ卵は夢を見る

醒めない夢を見続ける――――――――――


人気の無い町の中、アナウンスが響いている、と思って頂きたい。
といっても、相撲取りが現れたりはしないのであしからず。


『緊急警報、緊急警報をお知らせします』


以下略。
というか、誰も聞いてない時点で内容に意味など無い。
唯一、その街に居る少年も公衆電話と格闘を繰り広げていたため
全くアナウンスなど耳に入っていないようだ。
もし少しでも聞いていたならば、すぐさまその場から逃げていたろう。
非常事態という事を理解していて呑気にしていたのなら、そいつは単なる大馬鹿野郎である。
さて、格闘とはいったものの、少年が電話と熱いバトルを繰り広げているのではなく
何度も何度も、十円玉、百円玉、はてはテレカに至るまで
入れては、差し込んでは、返却されるといった行動を繰り返しているのだった。
別世界へ逝ってしまったのか、電話は全く少年の要請に答えてくれなかった。
のべ十回を越える結果の出ない試みの後に
ようやく無理と悟った少年は、溜息とともに新たな電話機を探す旅に出た。
そこで、やっと周囲の状況に気付いたのか


「非常事態宣言・・・・・・・・・戦争でも始まった?」


などと、呑気極まる発言をかました。
哀しいかな、現状の理解にまで至っていないのだろう。
単純に考えれば、平和に慣れきった為の弊害とも言えるが
それだけ平和だったのだとすると、一概に悪いとも言い切れまい。
のんびりとした顔で、でも少しは緊張感を顔に滲ませながら一歩踏み出した。

その時―――――――――


ギュィィィィィィィィィッ!!!!


――――――突如として耳を劈いたのはブレーキ音。
ハッ、として振り返った彼の見た物は
自分へと飛び込んでくるバイク一台。


ドガァッ!!!!!

「ごふぁっ!」


そして舞う少年の体。少年は今まさに神話天使となった。
少年を天使に変えた魔法道具、バイクはその速度を殺し
数回スピンしてから、少年の落ちてきた場所の傍に止まる。
バイクに乗っているのは、体型から見て女性。


「あなたがシンジ君ね! 早く乗って!!!」

「人一人跳ねといて言う事はそんだけですかっ!!!」


意外と元気に起き上がり、自分を跳ね飛ばした相手にツッコミをかます。
シンジと呼ばれた少年は、しかしそれ以上言葉を続ける事無く


「な、何だアレ・・・・・・・・・・」


彼の視線が捕らえたのは、冗談としか思えない光景だった。
というか、何故に今まで気付きもしなかったのか。
一言で表すならば怪獣映画。それも出来は最悪にして最高。
よくあると言えるだろう、怪獣に向けて無駄な攻撃を続ける軍隊。
もはや使い古された感のある光景。だからこそ最悪。
だがしかし、本物を使った臨場感など他では感じられまい。
決して映画などでは見られない現実感。だからこそ最高。


「何ボーっとしてるの!!!!」

「ってうわぁっ!!!?」


そして、拉致られる少年改めシンジ。
バイクの後ろに置かれ、何処からとも無く現れた荒縄で身を固定。
安全のためにメットも被らせ、準備は万全。
ヘルメットを被ったままの女性は満足そうに一つ頷き
すぐさま飛び乗りアクセル全開、ロケットダッシュ敢行。


「ぅわーーーーーーーーーっ!!!
 誘拐されてる僕ーーーーーーーーっ!!?」

「人聞きの悪い事を言わないでっ!!!
 ちゃんと写真も送ってたでしょ!」


叫びと共に蛇行運転。
がっくんがっくん揺れるシンジの首。
周囲で巻き起こる爆音。吹っ飛ぶ家屋。
飛んで来た破片はメットで防がれた。有難うヘルメット。


「始めましてね、シンジ君!
 私が美神美智恵! 美智恵でいいわっ!!!」


今更ながらの自己紹介。
けれどバイクは全速力。仕方がないので叫び声。
しかし、シンジはそんな彼女の後ろで白目を剥いていた。


「意外と柔ねぇ」

「強制的に後ろ向きでバイク後部に乗せられた挙句
 街中で全力疾走かまされたら普通気絶の一つもしますっ!」

「でも、迎えに来るなんて心配性ね。
 ちゃんと道の把握くらいは出来るわよ」

「まぁ、お約束ですし」

「聞けぇっ!!!」


現在、彼らがいる場所はジオフロント内。
顔も知らない実の祖父と邂逅を果していたシンジも
無事に現世へと舞い戻り、元気良く不満を叫んでいた。
その対象でもある美智恵は右から左へと聞き流し
歩く途中で出会った女性と談話中。


「あ、シンジ君は始めてよね。
 彼女は美衣。髪型と黒子と猫が特徴よ」

「猫?」


思わず、不満を言うのも忘れて聞き返すシンジ。
だが、やはりというか彼の求めた答えは返ってこずに


「さ、逝きましょう。話は歩きながらでも出来るわ。
 時間も圧して来てることだし。」

「いや、猫って?」


不穏な言葉は聞かなかったことにしつつ、美衣に促されて歩き出す。
彼女を追いかけるようにして早足になるシンジは、
先ほど、喚いていた事すら忘れているようだ。
その後ろを付いて行くのは美智恵。
何だかしてやったりと言わんばかりに、ニヤリと笑っていた。


「まぁ、合うキャラが他に居ないんですよね」

「能力はさておいて、外見が此処までぴったりなのもねぇ。
 何といっても猫だし」

「だから猫って何!?」


同時刻、作戦本部において。


「では道真。後を頼む」


顔色の悪い時代に取り残された格好をした男、菅原道真にそう言い残し
一人のマッチョがエレベーターに乗り込んだ。
後に残された道真がぽつりと一言。


「初の対面か・・・・・・・・・・哀れな


さて、誰にかけた言葉だろうか。


所変わって、暗い部屋へと案内されたシンジ達ご一行。
間をおかずに照明を点けられ、視界の開けた後
シンジの放った第一声は


「角っ!? カブトムシッ!!?」

「「違う」」


シンジの言葉を否定する二人。だが、其処に居たのは確かに見た目はカブトムシ。
角も在る。外骨格だって在る。何に似ているかと問われれば、連想の一つはするだろう。
ほら、彼の台詞に『あー、なるほど』と頷いている奴だって結構いる。
睨みを効かされて、すぐに仕事へと舞い戻っているが。


「これは汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン逆天号機。略して『初号機』よ」

「何処をどのように略したのかお聞きしてもよろしいですか?」


当然というか、シンジの問いに返答は無い。
もはや諦めたのか、彼も溜息を一つ吐くに止めて


「これが父の仕事ですか」

「そうだ!!!」


上から落ちてきた声に導かれるようにして上を向く。
見上げた彼の視界に入ったのはグラサンをかけた男。


――――――――――そしてウェーブヘアー。止めにマッチョ



「始めましてだなシンジ!!!」

「いや誰だよアンタ!!!」


「ふっ、出撃!」

「いやいや訳解んないし!?」

「臆病者など不要だっ!」

「いやいやいや早いよっ!!?」


そこで無駄会話は一旦終了。
闇の奥より現れたマッチョは
腕組みしつつ、ふんぞり返ったままで


「私は芦優太郎! 君の父から全権を委任された者だ!
 ぶっちゃけその中には君自身の処遇も含まれる!!
 なお拒否権黙秘権逃避権はその悉くが無い!!!」

「やっと説明っ!? ていうか酷過ぎるだろそれはっ!!!
 アンタ、僕の父さんとどんな関係なのさ!!!」

「ふっ、語れば長い事ながらっ!
 互いの親子関係失敗談を話し合った結果、意気投合した仲だっ!!!」

「短い事はさておいて仕事関係一切無視っ!!?」

「さらに付け加えておくと君の父は現在居らんっ!
 伝言を預かっているのでここで読ませて頂こうっ!
 『任せた』――――――――――以上っ!」

「最悪過ぎるぞうちの親父っ!!!!」


ちょっとずつシンジの柄が悪くなってきている。
周りにいる人たちの視線は、それに伴い優しくなっていた。
だからといって、シンジが救われる訳ではない。同情するなら夢をくれ。


「ふっ、乗りたくない気持ちは解らないでもない。
 だがあえて言おう! 君は自分から乗せてくださいと頼むようになると!
 でわ、彼女を此方に寄越せっ!」


ごにょごにょと交わされた会話の直後
スタンバっていたのか、間髪居れずにやって来たストレッチャー。
現代医学はぁぁぁぁぁっ、と吼えている医者は器用に無視するとして。
その上に乗せられていたのは、一人の怪我人だった。

痛々しくも無数の包帯によって包まれた体。
自身の状態を気にもしていないのか、無機質な目。
空洞のような瞳は、微かにシンジへと向けられた。

そう、それは――――――――――――


「ぽー」

ハニワだった。


思わずハニワ顔になるシンジ。
その場にいた皆様は、解る解ると言わんばかりに頷いていた。


「彼女の名は『ハニワ ヘイ』
 君が乗らなければ彼女が乗ることになるのだ!
 それでいいのか男として! いやそれ以前の問題で人間として!
 ハニワに命を賭ける気合や根性が君に在るか!!!」


まだハニワ状態のシンジ。
性別あんのかいハニワ、というツッコミも言葉にならない。
そんな彼に親近感でも抱いたか、彼へと紙を差し出すハニワヘイ。
その紙には、こんな事が書かれていた。



『私が死んでも代わりは居るもの』

「黙れ土器っ!」


「黙ってるぞ」

「解っとるわい!」

「土器土器したの?」

「どやかましいっ!!!!」

「シンジ君、逃げちゃ駄目よ!
 お父さんから・・・・・・・・・・何より自分から!」

「どう考えても先に逃げたのは親父だっ!!!」


トリプルなボケに全て返すシンジ。
その芸を見て、拍手する周りの人間。
万雷の拍手の中、シンジは魂込めて叫んだ。


「誰か僕と会話をしてよーーーーーーーーっ!!!」


切実だった。周囲の涙を誘うほどに。



(・・・・・・・・・・・逃げちゃ駄目か?)


段段とやさぐれつつあるシンジ。気持ちは痛いほどに解るが。
そんな彼がいるのはエヴァンゲリオンの中。
いつの間にやら、気付けば放り込まれていたLCL。
そして耳に飛び込んでくるのは、美智恵と名乗った人の声。


「シンジ君! まずは歩く事だけ考えて!」

「逃げる事だけ考えちゃ駄目ですか?」

「冗談を言ってる場合じゃないわ!」


まさにその通り。
シンジの言葉に冗談など無く、目も本気だ。
恐らく全力で逃げていただろう。目の前に邪魔者さえいなければ。

その邪魔者は、一言で言うならば全身タイツ。
肩をいからせた二足歩行に二本の腕を持つ人間型。
仮面を付けているようにも見え、あるいはそれが実際の顔なのか。
そして、あえて付け加えるならば・・・・・・・・・・・・・・


マッチョだった


そして、風にウェーブヘアーな髪が靡いていた。
何処かで見たような外見である。具体的には三分前にケイジで。
角や仮面やタイツを除けば、嫌な真実が見えてくるかもしれない。



「今目の前に居るのが使徒よ!」

「神への冒涜ですね」


半眼での呟きは、嘘偽りの無い本音である。
そしてシンジは葛藤する。



(逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か?
 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か?
 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か?)


正直に言って、戦う理由も意味も意欲も欠片さえ無い。
いっそ敵はケイジに在り、とか叫びつつ、転進したいくらいだ。
だが、そんな時間を許すほど使徒は甘くなかった。
胸の辺りで腕を組み、ホスト系に流し目チック。
キランと光る片目と共に一条の閃光。
そう、それは即ちアイビーム。


「うおおおおおおおおおおおっ!!!!」


避けた。それはもう全力で。
色々な意味で喰らっちゃマズイと思った。



「シンジ君っ!」「避けたっ!?」「危ないっ!」「チィ、おしいっ!」

「誰だ今残念がったのわっ!!!!!」


シンジの無事を喜び合う仲間たち。
ああ、チームワークとは素晴らしい。
溜息吐きつつ、一撃で敗北、と書いた券を破っている奴からは
どうぞ目を反らしていただきたい。
何も出来ない彼らは、シンジの様子を心配げに見守っていた。
その手に握り締められた、辛勝、圧勝、楽勝と書かれた様々な券からは
繰り返しとなるが、どうか目を向けないで頂きたい。
そのような心温まる応援を受けているシンジは
何とかかんとか、本能で攻撃を回避し続けていた。

悩ましげにアイビーム
狂おしげにアイビーム
腰をくねらせアイビーム



(逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か?
 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か?
 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃ駄目か? 逃げちゃおうか?)


避けながら葛藤を続けるシンジ。ちょっぴり本音が漏れている。
ケーブルが繋がっている事に気が付かなければ、とうに逃げ出していたろう。
だが、度重なる攻撃に精神と神経が擦り切れつつあるのか、
それを引き千切っても逃げたろか、という思いに心を支配されかけていた。
しかし、業を煮やしていたのは使徒の方も同じだったのか
何度もポーズを決めながら放っていたアイビームを一旦止め
その代わりか、腰の後ろ側が蛍のよーに光った。
それと共に、くいっと腰を後ろに引く使徒。

シンジの脳裏に、何故か見たことも無い光景がフラッシュバックする。
それは肘が光った後、掌から打ち出されるパイルの姿。
なら腰が光ったなら、何処が打ち出されるのか?

――――――――――考えるまでも無い。というか考えたくも無い。
解りやすく言うならば先行者。言い換えるならゲイボルグ。
もし逃げようとして背後を見せようものならば・・・・・・・・・・

シンジに浮んだ風景は、ぽとりと落ちる椿の華。


『逃げちゃ駄目だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!』

シャギャァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!


「まさか―――――――――断末魔砲っ!?」

「シンクロ率、100%を越えてますっ!!!」

「シンジ君が追い詰められたから!? 逝けるっ!!!」


何処にだ。
それはともかく、忽ち騒然となり活動を始めるオペレーターの皆々様。
今まで何してやがったんだ、とつっこむ立場の少年は此処には居ない。
対照的に司令室に居る二人は、冷徹とさえ言える静かな面持ちで


「勝ったな」

「ええ・・・・・・・・・・いいんでしょーか、色々と

「かまわん。我々に続きは無いのだ」

「短編ですからな」

「昔の言葉にもあるではないか。
 終わりよければ全て良し、後は野となれ山となれ」

「諺が化学反応を起こしかけておりますが」


そんな会話を続ける二人の眼前に控えたモニターでは
初号機が泣きながら使徒をどつきまわしていた。
確かにシンジと初号機とはシンクロしている。
もはや泣いて暴れる以外にどうしろと。


この後にも様々な戦いが在った。


鞭だとか、UFOだとか、人魚だとか

分裂したりとか、空から降って来たりとか。

詳細を此処で語るのは辞めておこう。

ただ、その度にシンジは叫びまくっていた事を付け加えて置く。

世界が救われたのならば、それはシンジの断末魔のおかげである。


魔神によって生み出された、幾つもの宇宙のタマゴ

その中には、こんな並行世界もあるという事で


△記事頭

▲記事頭


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