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「〜Valkire of the Glass work〜 Episode 01(ナデシコ+オリジナル)」

B-クレス (2005-03-19 19:12)


 全ては、流れるべき道へと流れているはずだった・・・


 地球へと進行した無人兵器軍、『木星蜥蜴』

 その進行によって火星が制圧され、多くの人々が死に

 その進撃は止める事が出来ず、地球圏内での戦争が続いていた・・・

 そんな中、木星蜥蜴と同じだけの技術力を持ってネルガルという企業に作られた


           ND-01 『ナデシコ』 


 そして、ネルガルはその『ナデシコ』を持って火星へと向かう計画を実行しようとしていた

 その『ナデシコ』に、火星の生き残りである青年、

 テンカワ・アキトという名の、平凡な青年が乗り込む事で

 全ての歯車は動き出し、その歯車の動きが再び変化する時に

 彼、テンカワ・アキトはどこにでもいるような、平凡な青年から

 全てを怨み、死の中で生きる、『闇の王子』へと変わるはずだった・・・

 だが、歴史という物はほんの少し、ずれが生じるだけで大幅に変わるものである

 ならば、その歴史という名の劇に新たな主役が加わったらどうなるだろう?


 そう、これはそんな、もしもの物語

 そして、そのIFは、彼、テンカワ・アキトが運命の悪戯のような形で

 彼が乗る船、先に述べた『ナデシコ』の発進の為の囮をしていた時から始まる・・・


 「くっ・・・そぉ!!まだなのか!!」

 全高6mほどの機動兵器、エステバリスに乗るアキトは、愚痴をこぼしていた

 それも仕方ないだろう、本人は半ば事故でこのエステバリスに乗り込んだのだ

 それをいきなり王子様だとか囮だとか言われて、敵が大量にいる地上に出されたのだ

 アキトは、恐怖で硬直しそうな自分を叱咤し、必死に囮としての仕事をしていた

 それを追う敵、エステバリスに比べれば比較的小型な機械が2種類

 一種類は赤色を中心としたカラーリングの、地上を駆けている機体

 もう一種類は、黄色を中心としたカラーリングで、空中からエステを追撃している機体

 前者はジョロと呼ばれ、後者はバッタと、一般的には呼ばれている

 「くそっ!!死んで・・・たまるか〜!!」

 アキトは叫びと共にエステを反転させ、腕を飛ばし、バッタを一機撃墜する

 飛んでいった腕は繋がっているワイヤーによって、再びエステに戻っていく

 アキトは、無意識にこの攻撃を繰り返していたが、それは現状ではかなり有効だったといえるだろう

 何せ、アキトの乗っているエステには現在、まともな武装が無い

 元々出撃する予定も無かったのだ、仕方が無いといえば仕方が無いだろう

 かといって、白兵戦を仕掛けて勝てるほどアキトが強くなければ、敵の量も少なくない

 だからこそ、現在唯一の武装ともいえる、ワイヤードフィストを使うのは正解なのだ

 時折反転しては攻撃するため、バッタもジョロも、迂闊に間合いが詰めれないでいた

 実はこれも無意識なのだが、アキトはエステに一定距離以上近づいた敵に対してだけ

 ワイヤードフィストによる迎撃を行っていたのだ

 バッタ、ジョロ達無人兵器部隊は、無人であるがゆえに柔軟性こそは無いが、戦術を駆使してくる

 今回は、それがアキトに幸いした、一定距離を保てば攻撃をされないと、バッタ達が学習したために

 迂闊に近づいて被害を増やすのではなく、追い詰めた後に一斉に潰す作戦に出たのだ

 そのお陰でアキトは被害らしい被害も無く、囮を果たしているが

 そう、状況は甘くは無かった・・・・・


 機動戦艦ナデシコ ブリッジ

 アキトが囮を勤めている間、ブリッジは緊迫した空気が張り詰めていた

 「えっと・・・ルリちゃん・・・だよね?

  後何分くらいでナデシコは出港できる?」

 「相転移エンジンの出力20%、作戦遂行までは後六分はかかると思います」

 その空気の中で、ナデシコの艦長『ミスマル・ユリカ』がオペレーターを勤めている少女、『ホシノ・ルリ』に話しかける

 「ん〜・・なんとかならないかなぁ・・・」

 ユリカは、目の前に表示されているアキトの状況と、簡易化された勢力頒布図を見てそう呟いた

 「浮上後、フィールドのエネルギーも全て回せば2分は縮まりますが・・・
 どうかしましたか?」

 「うん、このバッタ達の動きだと、多分、後三分後にはアキトは包囲されちゃうと思うの

 でもフィールドのエネルギーを回しちゃうとナデシコの方が危険だし・・」

 ユリカは必死に考えていた、どうやってアキトを救うかを、どうやって無事に勝つかを

 そんな時、ルリが淡々と、新たな報告をした

 「バッタ達の後方から急速で近づく機体を一機確認

  信号照合・・・識別信号、ネルガルです」

 「えっ!!ぷ・・プロスさん!!」

 その報告を聞いたユリカが、驚愕の表情のままネルガル社員であり、

 クルーを雇った本人である、眼鏡をかけた細身の男性であるプロスペクターの方を向く

 ユリカの驚愕も仕方ないだろう、ユリカは艦長として全クルーについての書類を渡されており

 流石に全ては覚えていない物の、確実に密接な関係になるパイロット達とブリッジクルーは覚えているのだ

 今囮をしているアキトは、ナデシコ出港寸前に雇った上に、元々コックとしての契約だったので

 流石のユリカも知らずにいたが、他のパイロットについては覚えている

 そして、一足早く着たが、骨折のため出撃不可になっている一人以外は

 三日後に、サツキミドリという名のコロニーで合流するという事も覚えている

 それ故に、急速に接近してくる機体が何なのか、また乗っている人物は誰なのか

 それを聞き、その情報で作戦を変更しようと思ったのだ

 だが、ユリカに振り向かれたプロスも、首を横に振った

 「残念ながら私も知りません、機体の映像があれば分かるかもしれませんが・・・」

 プロスがそう言うと、ユリカは即座にルリの方を向いた

 「ルリちゃん、接近してくる機体の映像、取れる?」

 「可能です、と言っても衛星からの映像になりますから画質は落ちますが
・・・出します」

 ルリがそう言うと、ブリッジの中央部分に大きめのウィンドウが開かれた

 そこには、アキトの乗るものとは大分形状は異なる、エステバリスが映っていた

 まず、最大の異なる部分は、その背中にある大きな羽のような物だった

 アキトの乗っている機体とは異なるフレームである空戦フレームを元にした物ではあるようだが

 一番特異な点は、その背中部分にあるスラスターだろう

 宇宙戦の高機動用の機体と言いたくなる位に、大型のスラスターが背中についており

 現在も、そのスラスターを用いて、急速に接近しているようであった

 「これは・・・エステ・・・・?」

 「ネルガル機、交戦圏内に入ります」

 ユリカが頭をかしげた時、ルリがこれまた淡々とした声で報告した

 そして、ルリが報告したと共に、ナデシコブリッジに向かって通信が入った

 「ネルガル所属ナデシコへ、助太刀しますので作戦を教えてください」

 通信によって開かれたウィンドウには、黒い髪と白い肌の、金色の目の女性が映っていた

 「えっと・・助太刀は有難いのですが、どなた様ですか?」

 ユリカが、通信してきた女性に問いかける

 「あ・・・すいません、名乗らずに信用してもらうのは虫が良すぎましたね

  私の名前はミライ、アカツキ・ミライ、ナデシコにコックとして乗る予定でした

  ちょっとした事情があってパイロットもする事になりまして

  その手続きで遅れたので、この新型でこちらに来ました」

 「確かに、コックとして登録されているようです」

 「わかりました、今回の作戦はエステバリスによる囮で

  敵をグラビティブラストの有効範囲内に入れ、ナデシコの主砲で殲滅します

  現在ナデシコは、基地の地下ドックですから

  海底ゲートを通り、このポイントに浮上します

  また、有効範囲はこの部分で・・・・

  すでに囮をしている機体もありますので・・・」

 「わかりました、その機体の援護に向かいます」

 ミライの言葉が終わるとほぼ同時に、ルリがユリカに報告した

 ユリカは、その言葉に頷くと、即座にミライに作戦概要を話し

 ミライも、それを聞き、頷くと即座にアキトの援護に向かった


 ミライが来て、戦況は大きく動き始めた

 バッタの多くが、アキトからミライへと攻撃目標を変更したのだ

 その事で、囮作戦の遂行が難しくなったと思われたが・・・

 ミライが乗るエステは、余裕を見せ付けるようにバッタ達を翻弄し続けていた

 グラビティブラストの範囲外から出ることなく、螺旋状にバッタ達は引っ張られていたのだ

 一方のアキトも、バッタがミライの方へ向かったために、かなり楽に囮を勤めていた

 螺旋状に引っ張り、敵を中空で足止めするミライに対し

 相手を一直線上に引っ張る形で、ナデシコへと向かうアキト

 両名とも、囮としては十二分な働きをしていた


 ナデシコ ブリッジ

 「ふむ・・・流石ミライさんですね」

 ミライの戦況を見ていたプロスが、そう漏らした

 「あっ、プロスさん、やっぱりあの人の事知ってたんですね?」

 それを聞いたユリカが、プロスにそう尋ねる

 「いやいや、まさかエステに乗ってくるとは思いませんでして

  もともとエステのテストパイロット等を引き受けて下さっておりまして

  最初はパイロットとして登録したかったのですが、ミライさんの家族との交渉でコックになりまして

  パイロットとして契約をしたとは私も初耳でして、はい」

 プロスが、営業スマイルのままユリカの問いに答えた

 ユリカは、少々不満げながらも、ブリッジの正面の方を向きなおした

 「注水八割方終了、ゲート開きます」

 「エンジン、準備いいわよ?」

 ルリと、ナデシコの操舵を勤める女性、ハルカ・ミナトがユリカのほうを向いて報告する

 「ナデシコ、発進!!」

 ユリカの命令と共にナデシコはゲートを通り、海底の道を突き進んでいった


 「くそっ!!海か!!」

 一直線に合流地点に向かっていたアキトは、道が途切れた事で動きを止める

 そして、別方向へと退避を始めようとした時・・・

 「アキト!!そのまま海に向かって飛んで!!」

 アキトへと通信が入り、アキトは反射的にその言葉に従った

 そして、アキトのエステが海へと沈むかと思われた瞬間

 「遅くなって御免ね」

 そんな声と共に、アキトのエステの真下からナデシコが浮上してきた

 「ミライさん、急いで範囲外に出てください!!」

 アキト機が無事合流したと同時に、ユリカはミライへと通信を入れた

 そう、ミライはいまだに主砲の有効範囲内に存在しているのだ

 「私は大丈夫よ、3カウント後に発射して頂戴」

 「・・・分かりました、ルリちゃん、3カウント後に主砲発射よ」

 ユリカがそう言うと、ルリは静かに頷いた

 「3!!」

 ユリカのカウントスタートとほぼ同時に、ミライ機の動きが停止した

 「2!!」

 そして、その背中のスラスターから火が消え、失速し、地上へと落ちていった

 「1!!」

 バッタ達は、その急速な下降に対処しきれず、その場で完全に静止した

 「0!!発射!!」

 ユリカの声と共に、グラビティブラストが放たれ、ジョロとバッタを押しつぶしていく

 そして、それとほぼ同時に、地面へと落ちていくミライ機のスラスターに火が入り

 ギリギリと言っていい高度で体勢を立て直し、そのまま低空飛行でナデシコへと向かっていった

 「作戦成功です、お疲れ様でした」

 ユリカは、笑顔のままアキトとミライにそう言った

 「えぇ、お疲れ様、ナデシコに着艦してもいいかしら?」

 「はい、構いませんよ」

 「了解、アカツキ・ミライ、ナデシコに帰還します」

 ミライは、そう言うと僅かに笑みを浮かべ、ナデシコへと向かっていった


 ナデシコ 格納庫

 そこには先ほど出撃したアキトの機体と、ミライの機体が帰ってきており

 整備員のほぼ全員が、その両機の周辺に集まっていた

 「しかし・・・でかいな、こいつは・・・」

 整備班長のウリバタケ・セイヤはミライのエステを見て、そう呟いた

 そう、アキト機は全高6mに対し、ミライ機は約7〜8mほどはあるのだ

 そんな中、アキト機のコックピットが開き、中からアキトが出てくる

 それと同時に、整備員達は一斉に歓声を上げ、アキトに感謝の言葉を述べていた

 アキトも照れくさそうに、それに対処していた時、ミライ機のコックピットが開いた

 「ふぅ・・・」

 そんな溜息と共に、パイロットであるミライが、格納庫へと降り立った

 ミライが降りた瞬間、格納庫は静寂に包まれた

 そう、誰もが、実際に、眼で見たミライの姿に見惚れてしまったのだ

 ファッションモデルと言ってもなんら違和感の無いその体形

 腰まで届きそうな、長い、絹糸の様な質感を見せる黒髪、まるで雪のような、真っ白な肌

 そして、何よりも眼を引くのは、その、宝石の様な輝きを見せる、金色の瞳

 ミライは、固まった面々を見て、不思議そうな顔をした後、アキトのほうに向かっていった


 「あなたが、さっきの機体のパイロットよね?」

 「あ・・・は、はい、そうっす」

 アキトは、ミライに話しかけられ、少々どもりながらも答えた

 「そっか、じゃあ同じ職場になるのかな?

  改めて挨拶をさせてもらうわね

  私の名前はアカツキ・ミライ、パイロット兼コックよ」

 「あ、俺はテンカワ・アキト、コックです」

 ミライは、微笑みながら手を差し出し、アキトは、戸惑いながらも握手をした


 この二人の出会いが、全ての歴史の流れを変えると誰が気付いただろうか?

 たった一つの出会い、その出会いによって生じたもう一人の主役の登場により、歴史は大きく変わる

 その先が光か、闇か、それは、歴史と言う名の劇が終わる時にしか分からない・・・・


 あとがき


はい、皆さん覚えてますでしょうか?B−クレスです
激しくスランプに陥ってしまい、もうどうにも筆が進まなくなっていたのですが
あえて原点回帰と言う事で、現状打破を計ろうと思い今作品を出展いたします
まずスランプの原因ですが・・・・

鬼畜将の方は、ランス6情報によってカオス、日光の存在立場が動いたため
それらをどうするか、また、変化によって出場するメンバーをどう纏めるか
まぶらほの方は、こちらは純粋に筆が進まなかった事です・・・
闇人の巻はダーク方面へ進み始める予定で、それが私の性に合わなかったらしく
まさしく自爆によるスランプでした・・・・orz

原点回帰で何故ナデシコかと言うと、分かる人は分かると思います
私が純粋に作家として投稿した最初の作品が、ナデシコなんです
まぁ・・・それもスランプ入ったせいでまったく更新してなかったり・・(ぉぃ
実はいまさら永遠のアセリアにはまってたとはいえません
そのような現状もありまして、打破するためにあえて新連載として投稿しました
これから身の回りに大きな変化が生じると思いますので・・・
最低でも、一ヶ月に一話は、どれかを更新できるように頑張らせてもらいます
では皆さん、また会えたらお会いしましょう(マテ

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