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「継がれる刀(オリジナル+エヴァ(?))」

アラストル (2005-03-06 14:45)

               継がれる刀


ある夏の暑い日だった

17歳の誕生日の一月後

僕は宝物を手に入れた


「シンジ、出かけるぞ」

「へ?」


よく晴れた暑い日に、父さんはいきなりそう言い放った

あの戦いから3年。ネルフや使徒が人々の話題に上ることも少なくなった

今父さんは人々の復興支援にあたっている。いわく、贖罪・・・だそうだ

あのときのことは今でも忘れられないが、最後がどうなったかよく思い出せない・・・というよりわからない

でも別に知りたくはないと思ってる。父さんと一緒に住んで、綾波と付き合い、みんなと笑い、泣く

それ以上は何もいらないし、失いたくもない


「相変わらずいきなりだなぁ・・・まぁ暇だからいいけど」


昔と違って父さんが苦手じゃなくなった今、むしろ寡黙で静かな父さんといると落ち着く感じがする

僕はそれが好きになっていた

――――母さんもそういうところを好きになったんだろうか


「それで、どこいくのさ?」

「気にするな」


ささっと準備を済ませ、車に乗り込む

昔では耐えられなかったであろう二人きりの空間、それが今では二番目に心地よい

・・・・不思議なもだよね

父さんは例によって無言で車を走らせ始めると、山のほうに向かい始めた

二人でドライブにでも行こうというのだろうか


「最近、レイと喧嘩などしてないだろうな」


ブフゥ!・・・・いきなりの問いかけに思わず飲んでいたお茶を吹き出した


「げっほ、げほ・・・なんだよいきなり」

「いいから答えろ」

「まぁ・・・特にしてないよ」

「ならいい」


それでまた会話が途絶えた

やることがなければ寝るか曲でも聞くか外でも眺めるか

一瞬悩み、外を眺めることにした

のどかな農村地帯が見えてくる。鮮やかな緑にきらめく川、天空を舞う鳥

今度綾波とここに来ようか、などと思う

彼女はきっと気に入るだろう

1年前にとった自動二輪の免許も二人乗り解禁だ。練習するのにちょうどいい距離だろう

・・・残念ながら原付しか持っていないが


「ついたぞ」

「へ?」


まさかキャンプでもしようというのか。そう思い視線を走らせるとガレージがあった

若干古ぼけた感じがするが、それを見る父さんはどこか誇らしげだった

車が止まっているのはそこの前の広場である

ここはどこだろうか、聞こうと思うと父さんが先に口を開いた


「今日で免許取得1年経過だな。今からお前に渡したいものがある」

「・・・え?」


そういって小屋に歩み寄ると、ガレージのシャッターに手をかけ上に押し上げた


「これって・・・バイク?」

「そうだ」


差し込む日の光に照らされ、ガレージの中があらわになる

棚に押し込まれたよくわからない部品、工具、タイヤ、その他のいろいろなもの

それらに囲まれて1台のバイクが有った

特徴的な形をしたそれは、白い車体に日の光を浴びて燦然と輝いていた


「これを、お前にやる。ここも好きにつかっていい」


そういって父さんはカギを僕に放った

バイクとガレージ、二つのキーが僕の手のひらでチャリンと音を立てた


「へ?」


よくわからないまま僕は間の抜けた声をあげていた

こういうときは父さんの寡黙さがじれったい


「これは・・・母さんと俺が乗ってたものだ」

「!!
 ・・・母さんと?」

「そうだ
母さんはこのバイクが好きだといってくれた。車があるのにこれに乗り、いろいろなところにいったものだ」

「何で僕にこれを?大切なものなんじゃ・・・」


問うと、父さんはタバコを取り出し火をつけた

ひと息吸い、吐き出すだけの時間を空けて答えた


「大切だからこそだ。走り、風を切ってこそのバイクだ
眠らせ飾っておくのでは意味がない
・・・だが俺はもう乗れん。一人では乗りたくない」

「・・・母さんと、乗っていたかったんだね」


それに対する答えはない

だがサングラス越しでもわかる微妙な表情

きっと、昔を思い出しているのだろう


「これからはお前が乗ってくれ。レイと共に、走るといいだろう」

「・・・うん。大切にするよ」


バイクに歩み寄り、キーをまわす

重低音がガレージに響き、ライトがカッと閃く

それが僕に対する挨拶のように思えた


「・・・このバイク、名前は?」

「GSX―KATANAだ」

「KATANAか・・・よろしくね」


帰りはKATANAに乗ることにした

後ろからついてくる父さんの車のライトに照らされ、向かう先は家とは微妙に違う方向だった

綾波に見せに行こう、きっと彼女は気に入ってくれると思う

綾波のメットがないのでタンデムできないが、明日にでも買いに行こうと思う

―――この白いKATANAで


△記事頭

▲記事頭


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