注意:この作品は、元ネタを知らないと分からないネタを大量に含んでいます。含有成分は、スペクトラルフォース2と今日からマ王!が心持ち大目です。この二つは最低限知らないと、わけが分からない可能性が大です。この作品は、あくまでも外伝ですので、読まなくても、本編には支障をきたしません
ここは喫茶店“ネバーランド”
今日も、このお店にはお客さんがやってきます
「こんにちわー!小雪さん、芽衣さん」
「あら、いらっしゃい、さくらちゃん」
「やっほー、いらっしゃい!さくらちゃん」
落ち着いた雰囲気をもつ少女と元気いっぱいな少女が、小さなお客さんを向かえる
「あっ、さくらちゃんも来たんだ。僕の隣に…って言いたいところだけど渋谷が喜ぶから、こいつの隣に座ってやってくれるかな?」
眼鏡をかけた少年が、さくらを手招きする
「アレ?有利ってばロリコンだったんだ〜?」
人の悪い笑みをにやにやと浮かべ、からかいの体制に入る少女
「違う!!あっ、いや、その、違うんだ、さくらちゃん。別にさくらちゃんが隣に座るのがいやなわけじゃなくて、むしろ嬉しいくらいなんであって」
あたふたと言い訳をする黒髪の少年
「ふふっ、村田君、藤原さん、渋谷君をからかうのはそこら辺にしておいてあげなさい。ほら、さくらちゃんも困ってるじゃありませんか」
くすくすと笑いながら、おっとりと止めに入るもう一人の少女
「ああ、ごめんね。さくらちゃん」
「ほんっとごめん!でも、さくらちゃんのことわすれてたわけじゃないから!」
「俺への謝罪はなしかよ!!」
いつもどおりの四人のやり取りを、ほえほえと笑いながら見ていた
さて、ここで彼らの紹介をしておこう
どこか神秘的な空気をもつ栗色の髪の少女は、斉藤小雪
天真爛漫なこげ茶の髪の少女は、藤原芽衣
この二人は、この“ネバーランド”で働くバイトの女の子達である
ちなみに、この“ネバーランド”という店名は、小雪がつけたらしい
店主がほとんど顔を見せないせいで、小雪はこの店で実質的に店主と同じ位置にあるといってもいい
眼鏡の少年は、村田健
もう一人の少年は、渋谷有利
この二人は、この店の常連である
性格には、ここの店主と知り合いであった村田が友人の有利を連れてきたのが、始まりらしい
性格も学校もばらばらなこの四人だが、実は意外な共通点があったりする
「あっ、そういえば。さくらちゃん、これ、侑子さんから預かってたんです」
そう言ってすっとレシピを差し出す
「んー、なになに?これ」
興味津々、と言った風情で芽衣が手元を覗きこむ
「気分を鎮めるための、お茶のレシピですよ。占いなんかの時に飲むと、効果が上がるそうですよ」
「うわあ、ありがとうございます!前に頼んでたんです。最近練習してるんだけど、時々気が散っちゃって」
嬉しそうにレシピを受け取って、いそいそとバックにしまう
「精進するのは、いいことですよ。でも、未来を視るのは、必ずしもよいこととは限りませんから。引きずられないようにしてくださいね。未来は、変えられるものだということを忘れずに」
どこか暗い面持ちで忠告する小雪に飲まれ、さくらはこくこくと頷く
「こらこら、あんまり脅かさないの。さくらちゃんは、あんたほどはっきり見えるわけじゃないんだし。でも、心を静める、ねえ。私はむしろテンション高い時の方が調子がいいけど」
むう、と首をかしげる芽衣
「それはあなたが得意なのが攻撃系ばっかりだからでしょう。しかも、制御は全然出来ていないし」
「うう、コントロールって苦手なのよぅ・・・」
やりとりを黙って聞いていた有利が口を開く
「やっぱり、俺もそういう魔術とかって習ったほうがいいのかなあ?」
「「「「やめ(ろ、なさい)」」」
さくらを覗いた全員の声がハモった
「あのねー、君のその努力はかうけど、渋谷はもっとやるべきことがあるだろ?」
「そーよ!王様が前に出てどうすんの。王様ってのは、後ろでふんぞり返って命令出すのが仕事よ?頭がやられちゃったら意味ないんだからね!」
「渋谷君、王の仕事とは、そういった魔術なんか遣わなくていいような状態に国を持っていくことであって、魔術を覚えることではないんですよ?あなたの性格なら、そんなもの覚えた暁には、確実に更に前に出ようとすると断言出来ます」
一斉に否定されうっとのけぞる有利
「村田はともかく、藤原と斉藤さんには言われたくない。特に斉藤さん。侑子さんから聞いたぞ?結構、前に出てたって。それに藤原だって、かなり危ない橋わたってるだろ」
それに、真っ先に反応したのはさくらだった
「でも、有利さん。人がやってるからって、自分がやっていいのとは違うんじゃないかなあ?」
まっすぐなその言葉に、有利は撃沈した
「ははっ、そうだよ、さくらちゃん。もっと言ってやってくれ」
少女二人も、うんうんと頷く
「大体、私は国民の皆様のお金で何もしてないのにご飯食べさせてもらってたのよ?宿とご飯の恩を返すのは、当然でしょーが」
びしっと指を突きつけて芽衣が言えば、
「私は魔術による遠距離攻撃が主で、前線で剣振り回して戦ってはいませんでしたよ。大体、そんなことは腕に自身がある君主しかやっちゃダメです。あまつさえ、君主自ら偵察にいくなんて、そんな事はやりませんよ。普通」
小雪が厳しい口調で諌める
完全に言い負かされた有利を見遣って、さくらが口を開く
「でも、どこも大変なんだ・・・異世界って」
「まあ、問題がなければ他所から呼ぶ必要なんてないし」
お茶を出しながらメイがいう
ついでに、冷めてしまった有利たちのお茶もサービスで淹れなおした
そう、彼らの共通点とは、全員異世界に呼ばれたことがあることだ
ちなみに、有利と村田は現在進行形である
どちらかというと、有利の方だが
「でも、問題がなくなったからお払い箱って言うのもいやですよね」
「だーかーら、私達が今必死で通路作ってるんじゃない」
この二人は、一度召還された世界からこの世界へ帰った後、この店の店主である侑子と出会い、彼女の弟子として召還先の世界とこの世界との通路を作る方法を模索中である
「まあ、侑子さんに頼めば早いんだろうけどさ。あの人は基本的に中立だし、やっぱり願いは自分で叶えなきゃね」
「うふふ、やっぱり二者択一より、どっちもかなうほうがいいですもんね。お互い、好いた殿方が向こうにいることですし?」
小雪が、珍しくからかうような色を瞳に宿す
「なっ・・・!うーっ、そう、そうよ!だから、あんた達にはがんばってもらわなきゃいけないのに、知り合った矢先からいけなくなってるし!」
びしぃっ、と有利と村田を指差す
「俺の責任か!?それ。こっちだって、いけるもんならいきてぇよ!」
「まあまあ、こればっかりは僕らにはどうしようもないからさ。逆に言えば、向こうに行く前にしっかりデータがとれるわけだし。帰って来れなかったら、研究も何もないだろ?」
「まあ、確かに向こうで帰らぬ人となられるよりはましだけどね」
変わらぬ表情で芽衣は言い放った
「芽衣さんは、優しいね」
それが、彼女なりの心配の表現であることを知っているから、さくらは笑う
芽衣は、天邪鬼なのだ
「芽衣も素直じゃありませんからね。さて、Closedの看板は下げたことですし、そろそろ今日の実験につきあってくださいね」
「あっ、さくらちゃん!お家の人には、ちゃんと遅くなるって言ってきた?」
心配げに、有利が問う
「はい!小雪さんのところでお夕飯を御呼ばれするって言ったら、ご迷惑のないようにって」
「あはは、迷惑かけてるのはこっちだけどね。さあ、いこっか」
さっさと奥の部屋に行こうとするの皆に、小雪が声をかける
「ああ、さくらちゃんに話があったんです。すみませんが、先に行っててもらえますか?」
「うん、わかったー」
そして、さくらの方へ振り返る
その瞳の色は、黒から紫へと変化していた
「こっちではあまり使えなかったはずなんですけどね。たまたまあなたの“先”が見えたので、お知らせしようかと思って」
彼女の瞳はあらゆることを見通す。“未来”も“過去”も全ての“真実”を
強すぎるその能力は、しかしこちらの世界ではほとんどつかえなくなっていた
「私の“先”を?えっと、それは教えてもらってもいいことですか?」
こういうところが、この子の賢いところだと、小雪は思う
むやみに未来を知りたがらない
それは、未来を知る術を持つものには、最も重要な素養だ
「ええ。もっとも、詳しくは教えられませんが。あなたは、いつか、召還された魂たちに出会うでしょう。そのとき、誰と、どんな絆を結ぶかは、貴方次第です。私からは、アドバイスを一つだけ」
静かで、えも知れぬ神聖さをまとったその姿は、かつての“女王”のものであったかもしれない
「彼らは、大きな悲しみの歴史を背負っています。貴方は、優しい子だから、その悲しみを共感する事も出来るし、人と同じように扱うことも出来るでしょう。だけど、その悲しみに引きずられては、いけませんよ。絶望に顔を向けている人間は、力ずくでも、希望に顔を向けさせないと。そう、首に縄をかけてでも。ええ!」
何を思い出したのか、最後の部分はやけに力を込めて握りこぶしで言われた
「ほええ〜、小雪さんの言ってることは難しいよぅ。えっと、泣いてる子がいたら、一緒に泣くだけじゃなくて、その後に思いっきり遊んで悲しいこと忘れてもらうってこと?」
さくらの言葉に、小雪はにっこりと笑みを浮かべた
「ええ、そうしてあげなさい。…“やり直しを求める王”も“セイギノミカタの成れの果て”も“この世全ての悪”も、思い知るべきなんですよ。幸せってモノを」
今夜も、願いを求めるための実験が始まる
それは、聖杯戦争が開始する半月前のお話
Fin
えー、マウスがいかれて本編が進まないからって、こんな意味不明な外伝を投稿してどうするんだ自分、とあらかじめ突っ込んで起きます
作中で出てきた彼らは、全員さくらちゃんの話の前に考えてた全サーヴァント入れ替え話のマスター候補だったりします。さくらちゃんのアイデアも、元はそっから。なるかはともかく、バーサーカーを養えるだけの魔力の持ち主、という基準で
紹介を少しすると
斉藤小雪:ゲーム内ではリトルスノーという名前。召還された先で、いきなり女王に祭り上げられる。召還するときに、その世界の全ての“真実”をしった(スペクトラルフォース2)
藤原芽衣:召還実験の暴走で異世界に召還された少女。異世界でもお気楽極楽に生きれる凄い娘。色んな意味で深い。男を落とすゲームのはずだが、結構シビアなとこも描かれている。元の世界に帰るルートでは戦争にも参加させられるし、潜入工作もやらされてる(ファンタスティックフォーチュン)
渋谷有利:いきなり異世界から召還された上に、いきなり“魔王”なんてやらされている羽目になった少年。小市民的正義感の持ち主(本人談)現在、不定期に異世界に呼ばれたり帰ったりしている。魔族の国、眞魔国(略称)で初心者王さま中。ぶちきれると“上様モード”になり、とてつもない魔力を操る(今日からマ王!)
村田健:登場時はただのいじめられっこと思われたが、実は眞魔国の建国の英雄である“大賢者”の魂を持ち、それから実に四千年間分の魂の記憶を持っている。有利の親友(今日からマ王!)
しかし、やらないでよかったですねー。どれだけの人が知ってるのやら
異世界召還で、なおかつ帰ってくるエンドがあるのが条件でした
小雪さんは、この話ではグッドエンドの彼女でしたが、最初の設定では、ノーマルエンドの彼女でした。ジャドウ(彼女の召還主にして恋人)を殺し、そのままジャネス(魔王)の導きで現代に帰るエンド
彼女は明らかにあの世界のアカシックコード…根源に触れてると思われるので、きっと魔法使いになると思われます。愛しき邪悪では、死者蘇生までやっちゃってます。下手したら全サーヴァントの真名を視ただけで当てれる可能性があり。本当の意味での真名がないハサンや小次郎さんは無理ですが
ユーリは特にセイバーとのやり取りが楽しそうだな、と。士郎とも結構立場的に。小雪さんやメイは全マスター&サーヴァント相手でのやりとりが楽しそうだな、と思いまして。メイは、結構軽いのりで確信をついてきますし、小雪さんは“全て”を知った上で謎かけのような問いかけをしますから
村田君はユーリとセットで考えてました
本編の方は、ちょうど今試験期間中なこともありなかなか進んでおりませんが、見捨てずにやってください