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「神凪構造改革(風の聖痕)」

テルヨシ (2005-01-22 21:35)

それはある男が四年ぶりに日本に帰ってきたことから始まった。
そして彼は誰かと電話で連絡を取っていた。


『久しぶりだな。よく帰ってきた』
「ただいま戻りました」
『堅苦しい話は抜きにしよう。早速用件を話すがもう押さえておくのも限界だ。
風牙衆が何時暴発してもおかしくない』
「こっちのほうはいつでも問題ない。すぐにでも行動に移せる」
『では手はず道理に。頼んだぞ』
「了解、あんたも頑張れよ。宗主にもよろしく言っといてくれ」
そして会話は終わった。


次の日神凪にとんでもない事態が起こる。
風牙衆が全員姿を消したのだ。

ただこの事件は神凪の宗家・分家を問わずほとんどの者が大きな問題と認知しなかった。
『あ? 風牙衆がいなくなったって? 別にあんなやつらがいなくても何の問題も無いさ』
この程度の認識である。


だがその認識が間違っていたことに彼らが気づくのに時間はさしてかからなかった。

炎術師は攻撃力は最強かもしれない。
ただ探査能力は風術師に比べるのがあほらしくなるほど無い。
よって神凪の生業である退魔が著しく効率が落ちた。

この事態によりまともな頭の持ち主は風牙衆のありがたさを認識し、今までの自分達の認識を恥じたがそれは圧倒的に少数だった。


そんな風牙衆失踪事態が起こって一ヶ月が過ぎた頃、突如として風牙衆が帰ってきた。
皆満身創痍であるが以前にはなかった自信に満ち溢れていた。

そして彼等と一緒に一人の男が神凪に帰ってきた。
男の名は神凪和麻。
兵衛により風術師としての才覚を見出され、厳馬に送り出され修行の旅に出ていたのである。
最強の風術師であり、風の精霊王と契約した『コントラクター』でもある。


神凪全体が騒然とする中、和麻はそんな周りをまったく気にすることなく敷地の奥へと入っていく。
そして、
「ただいま戻りました。宗主、父上」
と神凪のトップである神凪重悟、厳馬に挨拶をした。


「首尾は?」
三人の再会の会話が済んだ後、厳馬はそう切り出した。

「勿論風牙衆の方は問題ない。でそっちのほうは?」
「まともな頭を持っているものは気づき始めた。だが・・・」
そこで厳馬は渋い顔をした。重悟も同様である。


「まあ馬鹿は死んでも直らないしな。仕方ないだろうな」
難しい話はそこで終わり、その後は彼らは四年ぶりの再会を喜び、会話の花を咲かせた。


それから三日後。

神凪宗主重悟から宗家・分家・風牙衆に向けて布告がなされた。


一、神凪重悟は今までの神凪における風牙衆の扱いを反省し、ここに謝罪する。
一、今後は神凪と風牙衆は同格であり、これに反する活動・行動を禁ずる。
一、風牙衆代表に神凪和麻、神凪分家代表に大神雅人の就任を命ずる。
etc・・・。


風牙衆は快く神凪重悟の謝罪を受け入れ、この布告を支持した。
分家の良心たる大神雅人は布告自体は支持したが、分家代表就任には困惑し、断ろうとした。
が、神凪重悟・厳馬の説得、お前以外にこの役目を担えるものはいない、ほかは馬鹿ばかりだ―――その意見にはうなずかざるを得なかった――――
と言われては了承するしかなかった。


勿論というか予想通りというべきか。
この布告に対し、神凪の長老・分家の過半は激怒。重悟に文句を言ってきた。


内容はくだらないので詳しい説明は省くが、要は
『風牙衆ごときにそこまで譲歩することは無い』
という間違ったエリート意識全開なモノだった。


これに対し重悟はひとつの提案をする。
反対派の代表と風牙衆の代表で戦い、もし反対派が勝てたらこの布告を取り消す。
反対派が負けたら宗主に素直に従う。


この提案は反対派・風牙衆の両者に受け入れられた。

反対派にとっては風牙衆なんてそれこそ朝飯前に倒せる相手だと思っており、風牙衆にとってもいくら重悟が謝罪してくれたとはいえ、
散々馬鹿にしてくれた者達への格好の反撃の機会だった。


そして対戦当日。

決戦の場所になったのはとある郊外の森。
周りには人家も無い為、無関係のものに対する被害の心配は無用だろう。

対戦ルールとしては、全滅するか自らの陣地にある旗を取られたら負けというサバイバルゲームみたいなものとなった。


余裕ぶっこいてだらけきっている反対派をよそに、風牙衆は気合はいりまくりだ。
それを不思議に思った重悟は和麻に心当たりがあるか聞いてみた。

返ってきた答えは
「特に無いな。ただ『もし負けたらあの時の特訓の二倍の修行を受けてもらうからな』とは言ったが」
その答えは聞いた本人である重悟、隣で聞いていた厳馬を何とも言えない表情にさせた。


上記の布告がなされる前日。
和麻、重悟、厳馬は風牙衆と共に話し合いの場を設けていた。
その場において重悟は明日発表する布告の内容を公表し、厳馬と共に風牙衆に対して頭を下げた。

元々この二人は風牙衆に対し同情的であり、公正に扱っていた為風牙衆は素直にその謝罪を受け入れた。

そして今後のことについての話し合いになった。
この時点で彼らは反対派がこの布告に対して反対すること、風牙衆との対戦にも乗ってくることは予想済みであった。
ここで問題になるのは風牙衆のなの実力だが…。

それが気になった重悟はそのあたりのことを和麻に聞いてみた。
「和麻、風牙衆の修行はどうだったのだ?」
その言葉が放たれた瞬間、風牙衆に緊張が走った。


顔面蒼白になるもの、不気味に笑うもの、気絶しそうになるもの。
今まだは和やかな空気が流れていたのだが、それが嘘のようだ。


「どっ、如何したというのだ?」
質問した重悟も困惑気味だ。
厳馬は風牙衆の中でも比較的冷静な兵衛に視線で問いかけた。


「・・・アレはまさに生き地獄でした」
その兵衛ですらそれ以上の説明をしようとはしなかった。


その時の事を思い出した二人は納得する。
それならばこれくらい気合も入るだろう、と。


そして戦いの火蓋は切って落とされた。


反対派は作戦も立てず、ただ単純に相手陣地の旗めがけて突っ込んでいき、風牙衆が作った罠や自らの探知能力外からの超長距離の風牙衆の攻撃に数を徐々に減らしていった。
そして反対派の炎術師がすべて戦闘不能になるのにさほど時間はかからなかった。


この対戦結果を元に神凪の改革は実行されることになった。
諦めの悪い反対派は
「こんな戦いなど納得できるか」
「正々堂々戦っていれば我らが勝っていた」
などと文句を言っていたがそんな声は誰にも相手にされなかった。


そして神凪に所属する炎術師全員は和麻&厳馬の修行・炎術師バージョンを受けることになった。
反対・文句を言うものもいたが、和麻・厳馬の圧倒的な力の前には無力だった。


そしてそれから一ヵ月後。
炎術師にあった風術師蔑視・軽視はまったく無くなり、神凪と風牙衆は親密な仲になった。


理由は簡単。
彼らも地獄のような修行を受け、そんな修行に耐え切った風牙衆に対し、尊敬の念を持ったのだ。
そして以前のような思い上がった様子は微塵も無くなり、悪い意味でのエリート意識はまったく見受けられない。

風牙衆のほうは同じ地獄の修行を受けた彼等に対し仲間意識を初めて持ったのだ。


こうして神凪の改革は進んでいく。
神凪と風牙衆―――というより炎術師と風術師だが―――の特長を生かした新しい退魔スタイルが編み出された。

それは風と炎の同時攻撃により攻撃力を飛躍的に高める相互攻撃スタイル。
風牙衆が索敵・補足し本来炎術師の攻撃可能範囲外からの攻撃を可能にしたスタイルなどがその一例である。


この様にして神凪の改革は進んでいき、この後神凪は『炎と風の最強集団』の代名詞となりますます発展していったという。


あとがき

いかがだったでしょうか?

厳馬って有能だと思うんですが、そんな彼が一巻で風牙衆をこき下ろすのを疑問に思い、また和麻が風術師として見出されていたら? と考えこんなものを書いてました。
大神雅人もいいキャラだと思うんですが、すぐに死んでしまうしちょっと活躍してもらいました。彼には生きてもらいたかったな〜。
あまりSSッぽくないのですが、その辺はご勘弁を。


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