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「i wish you were here〜貴方が此処に居て欲しい〜 第一話(ナデシコ+サモンナイトシリーズ)」

神威 (2005-01-10 14:50)


i wish you were here
〜貴方が此処に居て欲しい〜

第一話 来訪者は虹色の光と共に


〜ネルガル本社ビル・会長室〜

「来たみたいだね」

そう言うのはネルガル会長のアカツキ・ナガレ。

其の視線の先は、虹色の光で溢れている。

ボソンジャンプの印だ。

光が収まり、代わりに其処に姿を現したのはアキトとラピスである。

「一体何のようだ?」

ドカッと椅子に座って言うアキト。

ラピスは其の隣にちょこんと座る。

「いや〜そろそろ此処もやばくなって来たんでね。其れを君に伝えようかと思ってね。序に、君がこれから如何するかを聞きたくて、此処に呼んだんだ。」

書類を片付けながら言うアカツキ。

「そんなもの、通信で事足りるじゃないか」

解答に不満を持ったアキトは、不機嫌そうに言う。

「それでも良かったんだけど、直接君と向かい合って話がしたかったからね。僕が月の方に行っても良かったんだけど、ご覧の通り。仕事が片付かなくてね」

相変わらずせっせと書類を捌きながら言うアカツキ。

「それで俺を呼んだわけか」

明らかに呆れた顔をして言うアキト。

しかし、アキトを呼んだ本当の理由は・・・・・。

―――本当は彼女が此処に居るからなんだけどね〜。

である。

実は会長室の隣にある応接室に、アキトの事を慕って居る一人の女性が居るのだ。

そう。

電子の妖精こと、ホシノ・ルリである。

最近行方がつかめなかったアキトと、ネルガルに繋がりがあると考え、アカツキを脅したのだ。

―――これ、何か解りますよね?

素敵な笑顔と共にそう言った彼女が手に持っていたのは、アカツキのプライベートのデータがぎっしり詰まったディスクであった。

ご丁寧に、『ネルガル会長のまるひデータディスク(はあと)』などと書いてあった。

そのディスクと引き換えに、アキトを此処に呼んだのだ。

実際、そのディスクを見ると自分しか知らないはずの、あ〜んな事やこ〜んな事が入っていた。

「で、君はこれから如何するんだい?」

内心、親友に謝りながら言うアカツキ。

それに無言で居るアキト。

「草壁も北辰も、山崎だって君が殺したんだ。復讐は終わったはずだろ?」

「ああ。俺の復讐は終わった」

その質問には直ぐに答えるアキト。

「それなら、これから如何するんだい?」

再び、同じ質問。

「俺は――――、この子と共に生きようかと思う」

アキトは静かに、しかしはっきりと告げた。

「―――それは本気で言ってるんだね」

アキトの決意を感じ取ったアカツキが言う。

「ああ。俺の復讐の片棒を担がせてしまったこの子の為に、償いとは言わんが、この子の傍に居てやりたい」

ルリちゃん達には悪いけどね。

アキトは苦笑しながらそう付け足して言った。

「そうか・・・・・。ユーチャリスとブラックサレナだけど、君達が持って行ってくれて構わないよ。二つとも、君達専用に作り上げた物だからね。餞別代りに持って行くといい」

親友が前まで言っていた、――亡霊は消えるまでだ――という言葉を気にしていたので、生きると言ってくれただけでも嬉しかった。

―――ルリ君達には悪いけど、彼にとっては其れが一番かもしれない。

そうも思ったゆえの決断である。

「用はそれだけか?」

と、アキト。

「ああ。もう行っていいよ」

アカツキがそう言うと、アキトはラピスを伴い虹色の光と共に消えた。

「さて、ルリ君にはどう言ったものか・・・・・・」

当面の問題はそれだった。

一人途方に暮れるアカツキであった。


〜月・秘密ドック〜

アキト達がジャンプアウトしたのは、ユーチャリスが補給作業を受けている月のドックだった。

「エリナ、補給のほうはどんな具合だ?」

「ご覧の通り、完了したわ」

ユーチャリスを指差しながら言うエリナ。

「有難う。俺達はもう出発するよ」

アキトはそう告げると、ユーチャリスに乗り込んだ。

暫くすると、ユーチャリスは光に包まれ其の姿を消した。

後に残ったのは、哀しそうな顔をしたエリナだけだった。


アキト達は当ても無く宇宙を彷徨っていた。

「ラピス。これから何処に行きたい?」

ラピスの髪を梳きながら言うアキト。

「アキトと一緒なら何処でもいいよ」

梳かれるのが気持ち良いのか、目を細めて言うラピス。

その時、ユーチャリスのAIである『オモイカネ´』から報告が入った。

<マスター、連合軍が攻めてきました。どうやら本腰を入れて来たようです>

其れを聞いたアキトは席を立つと、ラピスに言った。

「俺はサレナで出る。ラピスはバッタで牽制してくれ」

「解った」

ラピスの返事を聞いたアキトはそのまま格納庫に向かった。

サレナに乗り、サレナ搭載の戦闘サポートAI『サレナ』に機体状況を聞く。

「サレナ、出れるな?」

『YES、何時でも出れます』

其れを聞いたアキトは、ブリッジに通信をつなげ一言。

「ブラックサレナ、出る!!」

戦闘、開始。


ズガガガガッッ!

ハンドカノンを連射し、敵を牽制する。

前方には連合軍の艦隊が。

「サレナ、敵の数は?」

『戦艦・百、機動兵器・五百です』

報告を聞くと、口の端を吊り上げる。

―――嘲笑である。

「その程度で俺を止められると思うなよ?」

丁度その時、敵艦隊から通信が入った。

ピッ

『S級テロリスト犯、テンカワ・アキトに告ぐ! 大人しく武装解除し、投降しろ!!』

「ハッ! 降伏させたければ力ずくで来い!!」

そう告げると一方的に通信を切り、攻撃を開始する。

ズガァァァァァァンッッッ!!

向かってくる機動兵器を次々と破壊していくアキト。

幾度と無くジャンプを繰り返し、敵の真っ只中に飛び込んでは破壊の限りを尽くしていく。

今では半数以下に減った敵を前にし、アキトはスパートをかける。

「堕ちろッ!」

ズガガガガッッ!

ズガガガガッッ!

ズガガガガッッ!

ハンドカノンを連射。

コックピット、或いは間接部をピンポイントで狙う。

その時、衝撃がサレナを襲った。

ズガァァァァァァンッッッ!!

「ぐっ!」

衝撃に顔を歪め、サレナに状況を聞く。

「サレナ、今のはなんだ!?」

『ボソン砲による砲撃かと思われます』

其れを機に、ステルスで隠れていたのだろう。

新たな機動兵器や戦艦が姿を現す。

そしてそれらに共通するのは――――、

「火星の後継者と手を結んだか・・・・・」

そう、火星の後継者を現すエンブレムである。

スラスターを吹かし、この場を退避しようとする。

が、スラスターは動かない。

ズガァァァァァァンッッッ!!

「くっ!」

それをチャンスとみたか、敵は更に攻撃を加えてくる。

「サレナ、如何した!?」

『スラスターが破損しています! ジャンプによる退避を!!』

ズガァァァァァァンッッッ!!

そうしている間にも、攻撃は加えられている。

「ジャンプ!」

其の直後。

ズガァァァァァァンッッッ!!

ピー、ピー、ピー。

アラームがなる。

「がぁぁぁぁっ!」

衝撃がコックピットを襲う。

『ジャンプフィールドに損傷! このままでは――――』

サレナの言葉を聞き終わる間もなく、アキトを乗せたブラックサレナはジャンプした。

そして、それ以降サレナの姿を目撃した者は居ない。


―――2197年十月二十日、ユーチャリス撃墜。

同日、ブラックサレナロスト。

後にこの日は、『史上最悪のテロリスト犯最後の日』として、歴史に残った。


〜此処では無い何処か〜

「・・ター、・・・・・さ・!」

――誰かが俺を呼んでいる。

「マ・・ー、起きて・・・い!」

――誰だろう?

俺はもう寝たいんだ。

「マスター、起きて下さい!」

――ますたー?

俺の事か?

「んっ・・・・・」

――光が、見える?

まて、ラピスと離れ離れになった今、リンクは機能していない筈だが?

念の為に確認してみるが、其れは変わらない。

確かにリンクは切れていた。

そして、其処には見知らぬ少女が。

「マスター、解りますか?」

少女が聞く。

「君は誰だ?」

どうやらアキトは膝枕をされているらしい。

「マスター、私が解らないんですか?」

哀しそうに言う少女。

「お前、サレナか!?」

自分の事をマスターと呼ぶのは、サレナか´しか居ない。

しかし´は此処に居ない。

自分はサレナとジャンプしたからだ。

消去法で考えると、残るはサレナしか居ない。

「はい! そうです、サレナです」

自分の事を解ってもらえて嬉しいのか、笑顔で言うサレナ。

「それで此処は?」

自分の目が見えることも疑問に思いつつ言うアキト。

「私達が居た世界とは別なのは確かです。しかし此処が何処なのか、そして何故私が肉体を持ったのかは不明です」

アキトの役に立つ事が出来なくて悔しいのだろう。

少しすまなさそうに言うサレナ。

其処に、五色の光が溢れ出す。

「これは一体・・・・?」

この後、アキトは衝撃の事実を知ることとなる。


後書き

第一話お送りしました。

先ずは、ここまで読んで下さった方に感謝を。

今回新規投稿になったのは、パスワードエラーによる為です。

管理人様には申し訳ない。

この場で謝罪させて頂きます。

では、感想・誤字報告。お待ちしております。


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