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「彼女彼女の事情(マリみて+ばればれ?)」

千手必勝 (2005-01-10 11:28)

私は自分が好きだ。

群集より抜きん出た者、憧れの対象として見られる自分が。

私はそのためだけにあらゆる努力をしてきた。

そう、見栄を張るためだけに!

皆に思われている『上品なワタシ』はただのソトヅラ!

性格がいいなんてオオウソ!!

ほんとは私は誰より人に尊敬されたり

アコガレられたり

特別扱いされたり

ちやほやされたり

誰よりも一番をとるのが大好きなだけの『見栄王』なのです……。

でもこの高校に入学して以来私はイラついている。

なぜなら

「見て、志摩子さんよ」

「綺麗よね〜」

「白薔薇さまの妹に選ばれたそうよ」


こいつだ!


藤堂志摩子!!


ことの起こりは中学三年の秋に遡る。

「ユキちゃん、リリアンって学校から何か来てるわよ」

「なにそれ」

私はそう言いながら手紙を受け取り、封を開けると一枚の手紙がついていた。

「なになに、特待生としてわが校に来ませんか〜!?」

「どおゆうこと?」

「この間受けた模試で成績がよかったからみたい。ただ一応試験があるみたいだけど」

向こうは試験に受かるだろうっていう人にだけ送ってるだろうから私の成績ならまず受かると思うけど。

「で、どうするの?」

お母さんが一緒に入っていたパンフレットを見ながら聞いてくる。

私立……ねえ。

特待生は授業料免除みたいだし。

「受けてみるだけ受けてみようかな。それでもし受かったら行ってみるのもわるくないし」

そう、私立のカリキュラムにも少し興味がある。

それに私には下に月ちゃんと花野ちゃんがいるからお金が掛からないならそっちの方がいい。

そういったことから私のリリアン受験が始まった。

私はそれはもう、猛勉強をした。

こういうものが送られてくる以上私のほかにも、全国から頭のいいやつらを呼んできてることも考えられる。

そういったやつらを叩きのめさないと学年総代は無理だろう。

公立から私立に代わったところで私の高校デビューの計画は変わらない。

総代になっていっちょ私の存在をぶちかましてやる!!


そんな決意をしていた私を地の底へと追いやってくれたのがあの女藤堂志摩子だった。

幼稚園の時からリリアンにいるくせに成績がよく、総代に選ばれたやつは当然クラスの話題を独り占めだ。

さらに白薔薇とか言う三年生の妹とやらに選ばれ、いまや時の人となっている。

人生十五年、こんな屈辱ははじめてだわっっ!!

だから決めたのよ、必ずやつを倒すってね!

そして私の素敵さを皆に気付かせなければならないの!!

……ムカつく!

もう二度と!やつに一番なんか取らせはしないっ。

ジャマしてジャマして……おじょうちゃんに人生の厳しさを教えてやらなければならないわっっ!!


「ごきげんよう、雪野さん」

おっと、そんな事を考えてたらやつが話しかけてきた。

残念な事にクラスメイトの上、席が隣になってしまった事から意外と話す機会が多いのだ。

それにしてもこの挨拶は何とかならないものか。

むず痒いというか。

「ごきげんよう、志摩子さん」

私は上品そうな笑みを浮かべ挨拶をする。

私の鉄壁のマスクが崩れる事は無い。

「今日も朝から薔薇の館に行くの?」

こいつは白薔薇のつぼみという立場らしく、山百合会という生徒会を手伝っているらしい。

「いいえ、今日は薔薇様たちは皆来られるみたいだから放課後でいいの。
 そういう雪野さんは部活に入ったりはしないのかしら?」

「いろいろとやってみたいのは山々なんだけど、私の家は遠いから」

実際家からリリアンまで一時間半も掛かる。

その上今はやるべき事があるのに部活に時間なんて使っていられるわけが無い。

「それじゃあ、仕方ないわね」

等とこいつに付き合いながら雑談をし、マリア様の前でお祈りをして教室に向かう。

そして教室に着けば他愛も無い一日が始まる……筈だった。

下駄箱についたとき藤堂志摩子が爆弾を落とさなければ。

「ところで雪野さん、前から聞きたかったのだけど何故偽ってるのかしら?」

「……………え?」

今彼女はなんと言った?

偽る?何を?

「何の話?」

「だから、雪野さんはどうして演技をしているのかしら?」

「な!な、なななななな何を言っているの。

 私は演劇を習った覚えは無いけど」

まさか、まさか!何か知ってるの?!

「家ではジャージでいるのに」

「何で知ってるのよ!」

私は家の外でへまをした事は無い、だから絶対にばれるはず無いのに!!

周囲に気を使いながら問い詰める。

「ふふふ、やっぱりそうなのね」

「ま、まさか。引っ掛けたの?!」

「由乃さんが家では時々そうしてることがあるって言っていたのを聞いた事があったから。」

その言葉の裏に『私は着ないのよ、おーほっほっほ』なんて言っているように聞こえる。

ちなみに由乃とは黄薔薇の蕾の妹とやらで、今この女についで有名な奴だ。

「ベ、別にジャージを着ているだけでしょう。演技なんてしてないわ」

何とかこれだけはばれる訳には行かない。

既に手遅れのような気がしなくも無いが、それだけは防がなくては。

特に誰かに言われたりすることは。

「いいえ、しているわ。だって雪野さんから同じものを感じ取ったんですもの。
 類が友を呼んだ見たいですわね」

同じ物? それはつまり……。

「あ、あんたも仮面をかぶってるってゆうの……!?」

言われてみれば優雅に微笑んでいるその様が偽者っぽく見えなくは無い。

「あらやだ、そんな言い方されたらまるで私が皆をだましてるみたいじゃない」

「ち、違うって言うの?」

一向に途絶えないその笑顔に段々嫌な汗が流れ出す。

「私ってばシャイだから…」

嘘つけーーーっ!!!と叫びたいが、彼女の黒い波動に口が止まる。

身近にこんな奴がいたなんて一生の不覚!

「それよりも雪野さん、さっき’あんたも’って言ったわよね」

…………はあ!

「ち、違うのよ!ちょ、ちょっとした手違いというか、勘違いというか……」

ヤバイ、支離滅裂な事を言ってる。

「そんなに動揺していたらイエスと言っているようなものよ」

「くっ!何が望み!?」

まさかこいつに知られるなんて。

皆にばらして笑いものにするのか!?

それとも同情でもする気?

「あら、そんな言い方されたらまるで私が脅迫してるみたいに聞こえるわね」

「何も無いのならこんな事言い出さないでしょう?」

私と彼女のどちらの言が真実味があるかというと明らかに私の方が分が悪い。

彼女は一年生の憧れの的なんだもの。

それが分かっていて言ってくるのは脅迫以外何物でも無いじゃない!

「そうね。
 まあ少しお願いがあるだけよ」

「何?」

「手伝って欲しいのよ。
 山百合主催の演劇を、ね」


あとがき
どうも、千手必勝と申します。
GS以外では初めての投稿です。
今回の話ですが、え〜どこからとも無く電波が来てこんなのを書いてしまいました。
黒い志摩子さん好きなんです。
リリアンに特待生制度があるか?とかいろいろ間違ってても聞かないでください。
マリみてはかなり前に読んだのを何とか思い出しながらといった感じですから超適当。
それでは次回?……続くかどうかは分かりません。てゆうか絶対続きません。


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