じゃりじゃりと、音をたて荒野を征す赤い外套の男。
青い青い硝子の月の下、音もなくたたずみ、それを迎える目隠しの男。
それは必然。
『死』に接しながらにして異なる道を選んだ男の運命。
赤い外套の男、死に触れ、自らを殺し、今を捨て明日を殺す男。
目隠しの男、死に触れ、殺人に囚われ、明日を渇望し今に生きる男。
壊れたのは自身。
壊れるのは世界。
一つを創る魔術回路。
全てを殺す青き魔眼。
『死』に触れ、浸り、囚われ、飲み込まれ、回帰せし二人の男。
無から有を行う、最強の魔術使い、剣製のエミヤ。
生を死に帰す、真祖の守護者、殺人貴。
「何の因果だろうな」
「何がだい」
「私はお前の生き方が嫌いではない。だが無性にお前が好きになれない」
「そうか、奇遇だな」
「何がだ」
「俺もあんたの生き方は嫌いじゃなかった。けどあんたのことは大嫌いだ」
「なるほど奇遇だ」
静寂。
言葉はいらず眼前の相手に手加減など不要。
手加減など不要、千の戦場で培った心眼は最適な武装、戦術、戦略を提供。
「――――I am the bone of my sword.」
両手には最早体の一部となった夫婦剣。
沈黙。
自分を見据える鷹の目を魔眼殺しを外し迎え撃つ。
敵を見よ、線をなぞれ、点を衝け!
「さあ―――殺し合おう」
相対する二人は必殺の意思を込め、言葉を放つ。
「いくぞ殺人貴――――魔眼の調子は万全か?」
「は――――上等だ、エミヤ――――!」
ここに道を違えた二人の男は最後の死闘を開始した。
あとがき
そんなわけでVSギル様戦をベースにしつつ、
オフィシャルで気があわねーと、
言われてた二人の戦いの入り口を書いてみました。
BGMは『十兵衛ちゃんラブリー眼帯の秘密』メインテーマ(マテ
両者ともに好きなもんですからあえて決着はつけずにこれで終わりです。
ではでは。