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「スクライドKey-Alters外伝第9話(Key-Alters三次創作)」

Pr.K (2004-12-25 23:25)


 夢を・・・・・私は夢を見ていました。

 あの人が生きていて、休日のたびにシェリスと一緒になってあの人を引っ張り合う。

 けんかもして、仲直りもして、それでも三人とも仲良く暮らしていく。

 そんな儚い幸せを、夢見ていました・・・・・・


                  外伝
               優しき義母の微笑み


――――――――――――――――――――――――――――――――

 夢とは醒めるが故に夢だ。人の夢であればこそ、その儚さは尊い。
 彼女もその例に洩れず、今日もまた夢より目覚める。
 そのいでたちを見たもののうちどれほどの者が彼女がまだ38歳だと信じるだろうか?
 髪は洗練された雪のように白く、皺は常人以上の速さで日に日に刻まれていく。
 だが、彼女は悲嘆に暮れる事はない。これは『彼』と『生命』の繋がりを得た代償であり、それを否定する気にはならないから。
 故にその身に纏う雰囲気からは≪老≫は感じさせず、今だなお≪生≫に満ち溢れている。
 コンコンとドアがノックされ、割烹着に三角巾を被ったぽっちゃり目の中年女性がひょっこりと顔を出した。
 全開までドアを開けて中に車椅子を運び込んでくる。

 「おはようございます。校長」
 「ええ、おはよう渡来さん」

 花山小学校校長。それが、現在の桐生水守を指し示す役職であった。


   ◆


 水守の朝、それは渡来トミへの挨拶と、彼女に着替えを手伝ってもらうことから始まる。
 着替え終わったら食事だ。彼女の作る料理は自身の見た目に合わず洋食のものが多い。
 そう思いながら、水守はゆったりとした手つきでプチトマトを口に運び、丁寧に30回は噛んでから飲み込んだ。
 お次はパンをちぎったその動作に見ほれながら、渡来はほ〜っというため息をついた。

 「いやぁ〜、校長は本当にお行儀よく食べてくれますねぇ。ウチの宿六どもにも見習わせたい限りですよ」
 「渡来さんったら・・・・・・ご主人以外に誰のことを言ってるんですか?」
 「そりゃもう娘の春奈ですよ。聞きましたか校長? あの子ったら、この前の日曜日にかなみ先生のとこのカズヤ君を月が昇るまで引きずり回していたんですよ」

 それぐらいの逞しさなら将来は安心ですね。そう言った水守は口元をナプキンで拭いてやんわりと微笑んだ。
 首を横に振った渡来はまたもほ〜っというため息をついて話を続ける。

 「それでもですよ、いくら自分がアルターを使えないからって、あたしゃあの子が瓜核先生に護身術を習おうとするとは思いませんでしたよ」
 「――よく瓜核さんが許可しましたね・・・・・・」
 「いや、ダメだったらしくて、その時先生を訪ねていた橘って人に“コツ”ってのを習ったみたいです。おかげで最近は漫画で読んだ“スケバン”ってなんだと聞きいてくるし」

 ――ああ、なるほど。
 水守は長らくあっていない、体つきは華奢な方の彼を思い浮かべて1人納得していた。
 荒野生活で筋肉がついたとはいえ生来体格的に恵まれていない彼は、武器を使用するとき意外は女性向けの体術を好む傾向にあったと劉鳳も話していた。


 「あらま、もう七時だわ。急がないと八時のホームルームに間に合わないわ! じゃあ校長、いいですか?」
 「はい。よろしくお願いします」

 渡来は車椅子を水守の横まで運び、その立派な体をフルに使って両脇に差し込んだ腕で水守を持ち上げ、車椅子に乗せた。
 車輪のロックを外してドアの外まで車椅子を押していく。
 預かっている合鍵で鍵をかけて、またあとで〜という声を廊下一杯に響かせてドタドタと走っていった。
 数分ほどボンヤリとしていたが、水守は廊下の端にある階段の横に設置されたスロープを下っていく。
 車椅子の操作にももう慣れてしまった自分に言い表せない何かを抱きつつ、彼女はとある場所に向かった。


   ◆


 二本の木々の葉がちょうど『そこ』にかかる朝日をブラインドで隠すようにして植えられたのは何のためだろうか?
 葉の隙間から洩れる光が『そこ』に当たり、静謐さと気高さすら生み出しているこの中庭にて、水守は手を組んで祈っていた。

 「――おはようございます。水守さん」
 「おはよう。かなみちゃん」

 後ろから聞こえてきた声の主を振り返ることなく、いつもの朝の通り挨拶を返す。
 決めているのだ。ここに来た時は『校長・先生』ではなく、あの頃のように名前で呼び合う、あの2人の前ではそうしようと。
 かなみは屈みこんで石碑の周りに生えた草を抜いていく。その横にいる水守は、いつものように話しかけた。

 「ごめんね、手伝えなくって」
 「いえ・・・・・・これだけですから」

 僅か数本を抜き終えたかなみは手を拭いてから、石碑の前で水守と同じように手を組み、祈った。
 その光景は何処の誰が見てもこう論ずるだろう。

 これは―― 一枚の絵画である、故に誰にも書き写せない。


 「夢を、夢を見ていました」

 かなみが言った言葉に反応して水守は目を閉じる。

 「夢の中の私は、いつもの私じゃなかったんです。閉じ込められ、愛する人と離され、その夢で泣いていました。
 希望もありました。愛する女性と、町でであった優しいひと。この2人に言ってるんです。『助けて』って。
 でも、私は知っていたんです。二人は重なり合おうとしてもすれ違ってしまったと。そこにいなかったけど、知ってしまったんです。
 そして、自分のこと以上に願っています。三人で、いえ他のみんなとも、暖かな時間を過ごしたい。
 それを、願っています」

 叶うでしょうか? 石碑からは何も帰ってこない。ただ、彼を思い出す。
 こういったとき、彼は言うのだろう。

 『まだ一歩も退いてないんだろ? ならそのまま進んでけ!』

 そう、どんなリスクやマイナスも起爆剤にしかならない彼なら、そう言う。

 「かなみちゃん、貴女はどう思うの?」
 「大丈夫です。だって――


 ――優しいひとの隣には、いつか見た赤と青が、縛られながらも必死に足掻いていたから。


〜後書き(大ピンチ)〜

ええ、KANONとAirとONEが全て(借り物ですが)バグってデータが消えました・・・・・・小説五冊は高かったね。
追試も決まったり、さあいでよ僕のスーパーピンチ(待て


キャメランさん>カノンとしての部分>これからは出来るだけそっち方面を押し出すようにしたいとは思っています。

大魔球さん>実は祐一は不殺・・・・・・奇跡?(オイ

九尾さん>バイオレンスか否かって指定がむずくて・・・


次回は多分 神父→本編→神父(完結?)です。


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