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「在り得たかもしれない物語(GS+オリジナル)」

アルファミリア (2008-06-23 03:29/2008-06-23 18:20)


 魔神アシュタロス。
 魔界の一角を担う強大な力を持つ存在である彼女は、どう言う訳か人間界に居た。
 正確には、アシュタロスという存在の一欠けらで人間界で活動し易い様女性として作られた。
 そんな、一欠けらの彼女は、途方に暮れていた。
 彼女は、本体であるアシュタロスに今の人間界についての情報を可能な限り入手し届けると言う役目を受けている。
 それは、本体が人間界で何かを行う為の事前調査であり、その事前調査がいかに重要なのかは
 一欠けらである彼女ですらわかる。そりゃ、一欠けらと言っても同じ存在だから当たり前なのだが……
 話は、戻って彼女は途方に暮れていた。

 当初、アシュタロスが人間界の情報を得る為に選んだ地は、東方の島国日本。
 日本と言う国は、さまざまな宗教が入り混じり様々な情報が飛び交う坩堝であるからだ。
 と、言う訳で一欠けらの彼女は、その日本に拠点を置き其処を中心に情報収集を行う……はずだった。
 だった。と言うのは、今の彼女の目の前に存在する建物が、燃えた跡がそれを物語る。
 つまり、拠点住居に使用と思ってた建物が、火事と言う現象で燃え尽きたのである。

「………どうすればいいんだろう」

 ここ以外の拠点住居は、用意していない。正確には用意できなかった。
 それは、なぜかと言われれば、霊脈等のオカルト的観点からと……金の問題だ。
 魔界の一角を担うと言ってもそれは魔界での事であった、人間界では、ただの魔神だ。
 金がなければ何にもできないのが、人間界である。
 魔神だろうが、神様だろうが、お金がなければ人間界で何もできないのである。

「本当……どうすればいいんだろうか……」

 なお、人間界において活動する為の資金は、その拠点住居と共に灰と貸してしまった。
 拠点住居に存在した隠し部屋という所に金銭類を保存していたのが仇となった瞬間である。
 銀行に金銭類を預けておけば、こんな自体にはならなかったのだろうが……
 起こってしまった後にそんな事を思っても、後の祭りと言うヤツであり。現状は変わらない。
 さらに一欠けらの彼女にとって、不幸なのは、本体であるアシュタロスと連絡を取る為の通信手段も燃えてしまったと言う点。
 一切の支援無し。補給を立たれた戦場で一人でどうにか生きろと言われた様なモノである。

 そんな彼女に、風のいたずらか、一枚の紙が顔面に直撃する。
 不幸だっ! そんな事を思いながら彼女は、その紙を顔面からはずし見た。
 その紙は、ただの紙ではなく、広告の紙で広告内容は、よくある「募集」と書かれた従業員募集の広告。
 広告内容は、従業員募集。給料相談応じます。ゴーストスイーパー美神除霊事務所。連絡先……。
 と、ある。さて、現在彼女は、一文無しだ。サイフだって一緒に燃えて灰と化している。
 結果。彼女の取った行動は……

「……ここからそう遠くないから、歩いて……一応、霊力あるし……魔力あるけど問題ないよね……きっと」

 広告用紙を力強く握り締めて彼女は、天を仰いだ。すがすがしいまでに青い空。それが無償にムカついたのは気のせいだと思いたい。


「で? 貴女は、何ができるの?」

 美神除霊事務所の所長である、美神は目の前の女性を見てそう尋ねる。

「はい。雑務全般・文章作成から軽い除霊でしたら問題なく実行できます」

 その言葉に、そう。と、美神は顎に手を添えてこの部屋の床で転がっているボロ雑巾の様な物体を見やる。

「一応、もう助手として雇ったのが居るのよ」

 ボロ雑巾の様な物体を見ながらそう言う美神に、女性は引きつった笑みを浮かべる。
 美神は、しばらく思案し、目の前の女性が行える仕事のスキルと、それ以前に雇った……
 現在、ボロ雑巾の様になっている存在の仕事のスキルを照らし合わせ、考える。
 雑務全般を行える事は、嬉しい事だ。何せ同性であるので洗濯をやらせても不都合は無い。
 文章作成のスキルに関しても、仕事柄文章を作成するのは多々ある。
 そして、一番よい点は、軽い……低レベルとは言え除霊ができると言う点。
 非が無い。強いていうなれば、低レベルしか除霊できないと言う点だが……
 ボロ雑巾の様な存在よりは、使える。
 何せ、ボロ雑巾の様な存在は、荷物運びぐらいしかできないのだから。
 よし。と、美神は口を開いた。

「……よし。いいわ。貴女には、この事務所の雑務全般・文章作成と軽い除霊の仕事をやらせるわ」
「はい」
「で、給料なんだけど………」

 美神の口から給料という言葉が出た瞬間。女性の顔はいつも以上に真剣な表情になる。

「時給二千円でどう?」
「異議ありぃ!!!」

 二千円でどう? のあたりで、ボロ雑巾の様な物体が勢い良く立ち上がり叫ぶ。
 が、叫んだ瞬間美神が、いつの間にか手にしていた神通根の一撃で、再び沈んだ。

「はい。私としてはそれで十分です……あと、申し訳ないのですが……一週間分給料を前借させてもらえないでしょうか?」
「? 何故?」
「えっとですね……恥ずかしながら、住居が火事で燃え尽きてしまいまして……金銭類一切合切灰に……」
「……そ、それは……わ、わかったわ。一週間分渡すわ」

 それは、不運ね。と、もし自分がそうなったら……というIFを思い描き、心の中で冷や汗を流した。

 そんな美神の心内など知らない女性は、これで無駄遣いをしなければ当面は、すごせる。と、思いながらにありがとうございます。と、頭を下げた。

「じゃ、明日から頼むわね? 芦原 椿さん」
「はい。よろしくお願いいたします。美神所長」
「なっとくいかーん! 何故、俺が時給250円なのに彼女が! オブロッ!?」

 そう叫んだ瞬間再び神通根の一撃を食らわされ青年は、三度沈むのだった。


 とある、ボロアパート。

「あら? 君は」

 不意にそう声をかけられ後ろを振り向く。
 其処に居たのは、つい数時間前に出会った女性。

「横島君だったよね?」
「芦原さんっ!?」

 そう、芦原 椿だった。
 横島は、何故こんなボロアパートに彼女が居るのかわからず何時ものセクハラ行動を取る事を忘れてしまう。

「君、ここに住んでいたんだね」
「あ、はい」
「今日から、私もここに住むんだ。よろしくね」
「は、はぁ……」

 ポカンとした表情を浮かべる横島。
 そんな、横島を他所に椿は、アパートの一室に入っていく。
 その入っていく一室を見て、横島は唖然とした後で、あれ? これセクハラし放題? と、邪な思考を抱く。
 何せ、椿が入っていった一室は、丁度横島が住居にしてる一室の隣なのだから。
 俺の時代が来た!!! と、心の中で血涙まで流して叫ぶ横島。
 実際、そんな事はないのだが……まぁ、その事を横島が認識する事は多分一生ないだろう。


 あとがき
 初めまして……の方が、しっくり来るのでしょうか?
 アルファミリアという存在です。
 この作品は、もしこんな展開があったならば、と言う思考の元、書いた作品。
 まだ、序盤も序盤すぎて、どういう展開になるのかはわからない所です。
 一応、思考し流れは組んでいるのですが……

 美神の時給二千円については、正規で雇う場合を自分なりに考えて、美神ならどれぐらいで雇うものか? と、考えた結果です。
 ……美神にしては出しすぎな気がしないでもないですが……ご容赦を。

 いろいろと、突っ込みを入れる場所は、ありますが……(火事の点とか活動資金消失の点
 できれば、突っ込みを入れないでいただければこれ幸いです。

 何度か読み返し誤字脱字は、無いはずですが……
 もし、ありましたら、ご一報くださればありがたいです。

 では、ここまで読んでいただきありがとうございます。

 そういえば、一応TS……に、なるのでしょうか?

 同年六月二十四日 午後十八時十九分
 ふぁる氏の指摘により、修正。ありがとうございます。


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