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「メフィスト・ワルツ(GS)」

にょふ (2008-05-03 15:42)


「横島君、今晩空いてる?」
 そんな何気ない美神の一言……そんな軽い言葉ではあったが、その一言により、美神令子除霊事務所の気温は残暑の厳しい秋口な筈なのに、零下数十度とまでは言わないものの、それに順ずる気温にまで低下してしまった。

「あれ? どうしたのみんな?」
 そんな冷房要らずな現状に、電気代の節約になるかな? と考えていた美神だが、それ以上に、何か仲間はずれ間が否めない現状に、ちょっと疎外感を感じていた。

「み、美神? 何の冗談なの?」
 いち早く氷解したのはタマモだった。
 おキヌは、美神の言葉の意味を考えて、『やっぱりあの時に……女としてとか、奪ってやるとか、抱いてとか、自由にしてとか、忘れさせてとか、メチャクチャにしてとか、言っておくべきだったのね…』と呟き。
 シロは、美神の言葉の意味を理解はしていないものの、『なんでござろうか、この不穏な空気……先生に危害が及ぶ様な事はないと思うのでござるが……何故であろうか、美神殿の言葉に深い意味がありそうで……あぁぁぁ!!』と、未成熟な脳を活性化させて、苦悩していた。
 横島は横島で、『連載が始まり苦節17年! やっと、やっとこの時が来たっ! そして少年誌では描けないようなあ〜んな事やこ〜んな事が……あっヤベっ、鼻血がとまんね…』と、電波を拾いつつ鼻血を出しながら、美神にルパソダイブをする事を失念する程に、妄想が暴走している……とっても格好良い。

「何でこんな事に、嘘を言わなきゃいけないのよ?」
 そんな三者三様の考え、もしくは暴走の意味を知る由もない美神は、平然と答える。

「そんなに早く結婚したいの?」
「何言ってるの? 私は当分結婚しないわよ、今日も所詮はお遊びだし」
 美神からすれば、今日は遊び半分、仕事半分以下の用事でしかない……しかし、主語を抜いた言葉に、美神令子除霊事務所の面々は驚きの表情を浮かべている。

「あ、遊びって……そんな…」
 おキヌには理解出来ない。男女の仲は結婚を軸とした古風な考え。そんな考えを持つおキヌには、遊びで男性と一夜を共にする等とは考えられない。

「何故でござろう、危険な香りが…」
 シロは理解出来ない。そもそもシロは、男女の付き合いを知らない。しかし、人狼の本能からか、美神の発言の危なさを嗅ぎ取っている。

「遊びで……遊びで……くふふ」
 横島はスルー。

「それはいいとして、なんで横島なの?」
 タマモは美神と横島がそういった関係になる事に、別段興味が湧かない。おキヌやシロの様に、横島に対して同僚以上の感情を向けていないのもその要因だろう。

「まぁ、前もそうだったし」
「前って?」
「あぁ、タマモはその時、事務所に居なかったから知らないでしょうけど、前回のお見合いの時も、横島君に代理恋人を頼んだのよ」
 美神の言う通りに、一年以上前に、金成木財閥の御曹司、金成木英理人なる人物から、お見合いに誘われた時に、横島を偽恋人として同行させていた。
 そのお見合い自体は、英理人のオカルト恐怖症からご破算になったが、何を血迷ったが再び金成木の関係者から美神の自宅へお見合いの打診があった。
 金成木財閥といえば、日本はおろか、世界屈指の財閥。更に言えば、美神令子除霊事務所へ、年間150億円もの仕事を回してくれる上得意。そんな上得意の顧客の頼みとあらば書面や電話での断りも好ましくない。
 ならば前回同様に、会うだけは会って、英理人本人に断りを入れ様と美神はお見合いの席でもある、金成木財閥の新ビル竣工記念パーティーに出る事を承諾した。
 相手はオカルト恐怖症をもっている人物。オカルト関連の話をすれば、青い顔をして逃げ去るだろうと考えていた。
 と、言うのが建前で、美神の本音を言えば、最近減ってきた横島との二人っきりの時間を合法的に増やす為に策を弄したいと思っていた所に、お見合いの話が来たので、渡りに船といった具合に乗っただけだ。

「へ?」
 無意識に虚空から取り出した包丁を持ちながら、少し暗い、それでいて非常に黒い笑みを浮かべて、『ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な♪』と美神と横島を見据えて、何やらとんでもない事を呟いていたおキヌが、いつもの清楚然とした雰囲気に戻ってきた。

「はて?」
 未成熟な脳をフル稼働させていた所為か、頭から何色とも言えぬ煙を出しながら、己の師である横島の貞操の危機であると察知出来なかったシロの意識も、現世の淵へと舞い戻ってきた。

「少年誌にあるまじ……え?」
 横島は邪なのでスルー。

「おキヌちゃんにシロ……横島君はどうでもいいとして、一体何を考えていたのよ?」
「えっと……あ、あはは」
「今晩空いてる? の言葉に、何かしらの危険を感じただけでござる」
 美神の問いに、おキヌはお茶を濁したが、シロは未成熟故の素直さを発揮した。有体に言えば、『赤ちゃんは何処から来るの?』と問う子供と一緒だろう。

「……ばっ!? な、何、言うのよっ」
 横島と一晩一緒に過ごす事を想像したのだろうか、美神は照れに照れている。頬どころか顔中赤い。
 そんな素直な顔色とは別に、美神の言葉では、真っ向から否定している……バレバレなのに。

「そうですよね〜♪ 美神さんが横島さんと一緒に一晩過ごすだなんて〜♪」
 笑顔が非常に黒いおキヌ。
 おキヌもまた美神と同じ場面を想像したのだろう、笑っているのに笑っていないと言う、とっても難しい表情を浮かべている。

「それもそうね〜、美神が横島に対して特殊な感情をもって……あぁ、持ってるわね」
「タマモ、それはどういう意味でござるか?」
「ちょっと考えたら解るでしょ、あんなに殴り甲斐のあるヤツ、他に居ないんだし」
「まぁ、先生は丈夫でござるからな〜」
「そ、そうよっ。私が横島君に対する感情なんて、殴り易い相手として…」
「ですよね〜♪」
 そんな美神令子除霊事務所の平和な時間……ある一人は完全に黒い瘴気を醸し出してるのだが。

「それで、横島はどうなのよ?」
「ふっ、ここまで俺をブッチで無視しといて急に話を振るとは……優しさと言う言葉を知らんのか!」
 美神の言葉で、現世に戻っていた横島は、己の邪さ故に、スルーされていた事実を無視して、タマモに優しさを求めている。

「まぁ、タマモの優しさ云々は置いといて……どうなの横島君?」
 勿論、そんな横島の戯言に答えを与える程に事務所の面々も甘くない。絶対的に横島の味方であろう、おキヌとシロも、横島の邪な思考を感じ取っていたので、苦笑いを浮かべる程度で助け舟も出さない。
 しかし、そんな埒もない時間に業を煮やした美神が話を進める。

「んなもん行くに決まってんでしょ。あの金持ちは気にいらないけど、パーティー会場に用意されてる豪華な料理をタダで食えるんスから」
 横島は、前回金成木財閥のパーティーで豪華絢爛な食事をとれなかった。あまりにも豪華過ぎて、気後れしたと思えば、英理人が美神とダンスを踊りだしたので、そちらの方向に呪詛を送っていて結局食べ損ねていた。

「自重すればね。私の事務所に泥を塗るような言動は御法度よ」
 そんな横島の切なる願いを聞いて、美神の脳裏に懸念材料が浮かぶ。
 横島忠夫と言う人物の食事マナーの悪さ。一言で言えば食べ方が汚い。更に言えば、咀嚼をしているのか? と言わざるをえない程に食事のペースも早ければ、周囲に食べこぼしを散らかす。
 そんな横島の食事マナーを思い出した美神からすれば、各界の著名人が集まるであろう金成木財閥の新ビル竣工記念パーティーに、事務所のメンバーである横島の悪態を晒すのは得策ではない。
 依頼主の中には、マナーに五月蝿い人物もいるのだ。そんな人物が集まるであろう場所で、横島が食事にがっついたら……美神の懸念は尤もだ。

「大丈夫っスよ。これでも美神令子除霊事務所の最古参所員なんスから」
「最古参って、おキヌちゃんとそんなに変わらないじゃない」
「ちょっと、それ以前に、なんで最古参所員ってだけで納得してるのよっ!?」
「タマモ……お前は何時のも訓練をなんだと思っているんだ?」
「……納得」
 横島の言葉にタマモは頷いた。
 然もあらん、美神令子除霊事務所は、超一流のGS事務所。超一流の事務所に来る仕事といえば、他のGSが苦労するであろう難度の高い除霊作業が多い。
 除霊作業と言ってもピンからキリまである。純粋に悪霊を払う事から、霊脈の流れを正常に戻す事等々……状況、装備の整わない場面での除霊作業もあり得る。
 そんな難解な除霊作業をするとなれば、幾ら美神が天才的なGSであろうとも、日頃の訓練が必要。勿論、所員である横島、おキヌ、シロ、タマモも、その訓練に参加する事は義務付けられている。
 それも偏に、美神が所員の安全を願って……と言う建前と、労災が発生すれば労働基準監督署からの査察やらなにやらが来るので、帳尻を合わせた帳簿やら、裏の帳簿やらを持つ美神にとっては、いらぬ腹を探られる査察はなんとしても避けたいと言う、裏の事情も相まって、所員との訓練には結構力を入れている美神であった。
 閑話休題。

「まぁ、こんな場面は想定してませんでしたけど。それぐらいの腹芸なら出来ますから、大丈夫ですよ美神さん」
「そうね、それじゃ今晩はタダ飯食いに行くわよっ!」
 美神と横島の今晩の行動が決まり、美神は事務作業に戻り、横島はソファーでキツネ状態になったタマモを膝の上に載せてのほほんとお茶を飲み。

「流石に、これは止めれないかな? かな?」
「おキヌ殿? 何故に包丁を研いでいるのでござるか??」
「ふふふ、シロちゃんも素振りしといた方がいいと思うな♪」
「む? 何故でござろう……おキヌ殿の言葉が的を得ている気がしてならぬ…」
 若干二名程、不穏な空気を残したまま、美神令子除霊事務所の面々は、平和を謳歌していた……と思いたい。


◆◆◆


「またここに来るとは…」
 仕事を定時で終らせて、美神と横島が向かった先は、一年以上前に一度来た事のある、金成木財閥の私邸。相変わらずの豪邸っぷりに横島の顔は引きつっている。

「……」
「? どうしたんですか美神さん?」
「え?! う、うん……横島君もちょっとは成長しなのかなって…」
 時間の都合上、車の中で着替えた横島の姿を見た美神は息をのんだ。
 パーティーに出る為に、正装で着飾った横島を見るのはこれで二度目。前回は、まったく似合っていなかった略礼服。
 またったく似合ってなかった一年前と比べて、今の横島と言えば、幾分引き締まった顔の造詣。目元に漂う哀愁薫る色気。結んだ口元にもエロティシズムをちりばめ。首元からも確認出来る程の歴戦の証染みたしなやかな筋肉。
 礼服に着られる事無く、しっかりと礼服を着ている横島を見て、美神は嫌が負うなしに横島に男を感じてしまった。
 随分と前から……それこそ前世からの恋愛感情を横島に抱く美神にとっては、今の横島は途方もないご馳走に近かった。

「? そうっスか? まぁ、一年も経てばそれなりに成長しますよ」
 横島は美神の言動に不審を抱くが、それ以上に略礼服の窮屈さに辟易している。
 着慣れない服の所為で息が窮屈で、目元に浮かぶ落胆に近い感情を美神に気取られぬ様に抑え。
 口元にはその窮屈さ以上に、美味しい食事の事を夢想して思わずニヤケそうな自分を美神にバレて折檻される事を思い出し、必死になり自制して。
 略礼服がキツイ事で、一年前よりも筋肉がついた事を確認した時は、『あんだけ重たい荷物を背負ってればこうもなるわな〜』と車の中で一人ゴチていた。
 美神の見た横島は、完全に恋する乙女の錯覚であった。

「やぁ、美神さん。お久しぶりです」
 そんな思惑のずれている二人に声を掛けたのは、今回のお見合いをセッティングした金成木英理人。
 英理人は久しぶりに会った美神に、嬉しげな声を上げる。

 金成木英理人――あのお見合いの日から彼は変わった。おキヌと自分の祖母がいると言う覆しようのない事実を目の当たりにして、彼はオカルト関係の出来事を信じる様になった。勿論それだけではない、先の事件も英理人にその事実を飲み込ませた要因だった。
 先の事件で大打撃を被った金成木財閥は、復興作業とは別にオカルト事業にも今まで以上に強い関心を示した、その責任者として抜擢されたのが次期当主である英理人。
 あの人類未曾有の大災害と、先のおキヌと自身の祖母の事もあった。彼は必死に勉強した。英理人は勉強が苦手ではない、苦手どころか得意と言ってもいい、優秀な頭脳と努力を惜しむことのない性格。更には、これから金成木財閥を背負って立つ男が、これぐらいの勉強で根を上げていては、これからの金成木財閥の未来も危うい。それに…

「お久しぶりです、金成木さん」
「美神さん、その様な他人行儀な言葉遣いは止めて下さい、これから僕の事は英理人と呼んで下さい」
「それには及びません、なにせこの度も、婚姻関係を結ぶのは難しいと思いますの」
「……貴女がGSだからですか?」
 美神は知らない、英理人の努力も、英理人の情熱も、英理人の心も。

「そうですわ、貴方とは住む世界が違いますから」
「はっはっはっ、大丈夫ですよ。貴女の凄さは私も知っていますから」
 英理人は心の底から美神を欲した。
 容姿やその頭の良さ。行動力と判断力、図太い神経も好きだが、それ以上に憧れた。
 英理人は勉強する内に、先の事件の顛末を知る事になる、それは一部だが、その一部をとっても美神の活躍は、英理人の心を奪った。

「えぇ、今日も大変でしたから。この様な広い屋敷に蔓延る悪霊……それもスプラッター顔負けの酷い場所でしたわ♪」
 美神は嘘をつく。今日は除霊作業を行っていない、更に言えば、金成木財閥の私邸の様な場所には霊的な防御結界が張られている為に、その様な場面になりうる事は少ない。

「そうですか、それは申し訳ございませんでした。その様な作業の後に、斯様な場所にお呼び立て致した事は、こちらの不手際でしたね」
「? そうですか…」
 美神の思惑は外れた。美神の知る英理人ならば、この様な場所で霊障があると言う噂だけで、ダッシュで自室にでも逃げ、ベットの中で震えるばずだった。
 美神は思惑が外れた事により、頭の中で構築していた公式が崩れた。

「では、場所を変えましょうか? 生憎とホテルぐらいしかとれませんが」
「令子さん……私の紹介はまだでしょうか?」
 そんな美神を見て、今まで沈黙を続けていた横島が助け舟を出す。美神の為に、慣れない腹芸が看破されようとも、美神の困る所など見たくもなかった。
 横島の思う美神令子と言う女性は、いつでも気高く、いつでも強く、いつでも美しい女性でなければならない。
 素直ではないが、それでも優しくて。傲慢であるが、それでも一本筋の通った性格で。金にがめついが、それでもそれは、お金を掛ける場面を知っているだけの事。
 そんな優しくて素直でない、自分に自信をもっているだけなのに誤解され。お金を使う時の為に貯めているのに理解されない。
 横島は――そんな美神が大好きなのだから。

「……そうね忠夫」
「おや、そちらの方は……確か、去年も一緒だった」
「横島忠夫です、本日は“私のフィアンセ”の令子さんを、斯様なパーティーにお招き頂き誠にありがとうございます」
 横島の仮面は外れかけている。苦手とは言え腹芸が下手ではない……しかし、横島が惚れている美神をお見合いの席に呼んだ英理人を目の前にして、その腹芸が解け掛けていた。

「あぁ、吉本関係のお方でしたね」
「違いますよ、もちろん松竹でもありませんけどね」
 英理人のあからさまな皮肉を笑顔で返す辺り、横島の顔の皮も結構厚い。段々と美神に似てきた……似なくていいのに。

「そうでしたか、これは失礼致しました。文珠使いの横島さん」
「……よくご存知で」
 横島は平然と答えるが、内心驚いている。
 横島が文珠使いと言うのはオカルトに関係する人物の間でもあまり知られていない。
 偏に、その霊能力の稀有さ故に、美神令子を初め、オカルトGメンの美神美智恵、西条輝彦などが、緘口令を敷いている。もちろん前者は横島に対する贖罪だったり、後者は後者で、恋のライバルに無駄な塩を送っている事を気付いていない。

「これでもオカルトに関する書物は、寝る間も惜しんで読みましたからね。もちろん、貴方がどういう人物であるかも調査済みです」
「へぇ、随分としなくてもいい勉強をしたんですね? 餅は餅屋だと思うのですがね」
「そうでしょうね、生憎と私には霊能力を表に出せる程の霊力は持ちません。だからと言って、オカルトに対して無知のままではいられませんから」
「そうですか、それではパーティー会場への案内、お願いしてもよろしいでしょうか?ホストが会場に居ないのも問題でしょうし」
 美神は英理人の変貌ぶりに驚きながらも、一刻も早く断りをいれたかったが、それ以上に、パーティー会場にあるであろう、豪華絢爛な食事に興味を持っている。
 本音を言えば、合法的に横島との距離が近い現状から、更に長い時間を必要とするであろうパーティー会場で、横島の傍に居たかった……恋する乙女は偉大だ。

「そうですね、ではこちらへ…」


◆◆◆


「うん、美味しい」
「一流の食材に、一流の調理、一流の食器……それ以上に集まっている面々の凄いこと……流石金成木財閥といった所だわ」
 美神と横島はパーティー会場にある食事に舌鼓を打ちつつ、周囲を見渡す。
 金成木財閥の新ビル竣工記念パーティーに集まった各界著名人達。政治家も居れば大手企業のトップ。プロスポーツ選手に大御所芸能人。表の人間ばかりかと思えば、裏の顔もちらほらと見受けられる、それを見極めれる美神も美神だが、それ以上に節操のない顔ぶれだった。

「みk、じゃない、令子さん。そんな事より、当初の目的を果たしましょう」
「そ、そうね……忠夫もいっぱい食べるのよ」
「はい、令子さん」
 当初の目的はなんの事はない、単純に『ただ飯食いに行くぞっ!』と言っただけだ。
 更に、美神の本当の目的は達成されたに近い。
 横島に名前で呼んでもらえて、すぐ傍に横島がいると言う幸せに浸れる今は、なにものにも変えがたい幸せだった。
 事務所に帰れば、包丁を研いでいる黒巫女や、自慢の霊波刀で素振りをしているであろう人狼娘、我関せずのポーズを貫いている狐娘も、横島の本質を知ってしまえば、確実にライバルになるであろう相手が居る……そんな事も忘れて、横島との物理的距離が近い今、美神の心は満たされていた。

「……にしても、随分と巧いわね」
 静かに食事をとる横島に意外そうな視線を投げ掛ける美神。
 普段の横島と言えば、事務所でおキヌが作った夕食を食べる時は、欠食児童顔負けのがっつき振りで食事を食い散らかす。それが今日はどうだ? まるで映画のワンシーンの様な場所にあって、それに見合った行動をとっている。
 確かに横島は、自信満々に大丈夫と言ったが、それでも何時もの横島しか知らない美神は、今の横島にギャップを感じて、更には、その食い意地の汚さの原因が自分にあることなど忘れて、乙女回路をキュンキュンさせていた。

「まぁ、令子さんと一緒に居ればこうもなりますよ」
 横島からすれば、あらゆる場面で一定以上の行動をとらざるをえない、美神の事務所でバイトをしている以上、この程度の腹芸など朝飯前だ。
 事務所でおキヌが作る家庭料理や、極稀に母親から送られて来る、惣菜(冷凍)も美味しいが、パーティー会場にある料理は、それとはベクトルこそ違うが超美味であり、それに、これ程までに豪華な食事など、この先食べられる保障はない。
 そんな思いが故に、横島の腹芸も巧緻を極めている。

「それもそうね…」
 横島の言葉に頬が赤く染まる美神。理由は簡単だ、横島が言った、『まぁ、令子さんと一緒に居ればこうもなりますよ』と言うフレーズが乙女の思考回路に触れたのだ。
 更に、『令子さんと一緒に居れば』の箇所を抽出して反芻している辺り、美神の妄想も横島に似ている……似なくていいのに。

「しっかし、このステーキにかけてるベアルネーズソースも美味しいし、グレイビーソースも秀逸♪」
 ベアルネーズソースは、フランスの伝統的なソース。調理方法は、澄ましバターとエストラゴン、エシャロットで風味をつけ。卵黄、セルフィーユとエストラゴンと酢をとろ火で煮詰める、製造方法が難しいソースである。
 グレイビーソースは、アメリカ系料理のソースで、軽く炒めた小麦粉や片栗粉に、肉汁を徐々に足し、滑らかになるよう、ゆっくりとかつしっかりと混ぜる。場合により、滑らかさを出す為に、牛乳や生クリーム、野菜ジュースを加える場合もある。
 この会場に用意されているソースはベアルネーズソースやグレイビーソースに限らず、多岐に渡ったソースが用意されている。
 超閑話休題。

「……よく知ってるわね」
 美神は驚きを隠しながらも、横島の変な知識に舌を巻いている。
 しかし、恋する乙女である美神にとっては、懸念材料でしかない。もしも自分が料理をして、それを食べてもらう日が来れば、その変な知識の所為で、ハードルが高くはならないだろうか?
 そんな心配が美神を支配して離さない。

「おかんに教育されましたからね〜」
「あぁ、それなら納得」
 美神も、それなら納得せざるをえない。先の事件の前に知己を得た横島の母、百合子。
 自分の母と比べても遜色の無いほどの女傑っぷり。美神は、そんな女傑の息子に対する情念は中々もモノだと感じている。
 幾ら可愛い一人息子だか知らないが、高校生にもなった息子のバイトに口出しをして、あまつさえ辞めさせようとしたのだ、美神からすれば良い感情は生まれない。

「それにしても……随分と見られてますね」
 横島は美味しい食事に舌鼓を打ちながらも、周囲の視線に辟易している。前回の時もそうだったが、美神の女神の如き美しさに、垂涎の視線を送られている。
 胸元の大きく開いた、情熱的な赤いイブニングドレス。高価ではあるが、決して特殊な服ではないのに、それを美神が着る事によって、ただのドレスが輝き出す。
 そんな美の女神も嫉妬する程の美しさ故に、美神へ送られる憧れと嫉妬の入り混じった視線。そんな視線に少々いらつきながらも、美神と一緒にいれる時間を、横島は噛み締めながら、美神に対する劣等感と焦燥感を募らせてゆく。

「視線を送るだけで、声を掛けない小心者なんて気にしちゃ駄目よ」
「でしたら、僕の様に、美神さんに声を掛ける人物の評価は如何なモノなのでしょうか?」
「金成木さん……まぁ、そこら中に転がってる男性よりはマシといった所ですわね」
「それは僥倖。それではそのマシな男性のダンスのお相手はして下さるのでしょうか?」
「ホストの誘いを断れる程、私の事務所も大きくありませんので……忠夫」
「解ってますよ令子さん、私は此処で待っていますから」


◆◆◆


「随分と、演技の御上手な事ですね」
「なんのことでしょうか?」
「いえ、私と私の家は、それなりに裕福でしてね。前回同様、貴女の周囲を探らせていただきました」
「それはご丁寧に……それで?」
「前回同様、貴女の周囲に男性の影は見当たりませんでした。オカルトGメンの西条氏の名が浮かび上がりましたが、所詮は兄と妹といった間柄。横島氏に至っては従業員ですから……貴女と対等に付き合える要因が見当たりませんでした」
 広い金成木財閥の私邸、その私邸の中でも一番広いダンスホールで二人は踊る。
 ワルツを踊る二人の光景は、まるで絵画の様に、それでいてまるでガランドウ。
 虚構が織り成す不協和音にも似た欺瞞。

「人の心まで調査できるとお思いですの? それでしたら浅はかですわね」
「無論、そのような事は考えも致しません。しかし、貴女の様な人につりあいの取れる男性はそうそう居ないことも事実」
「つりあいを考える時点で間違っているとは思いませんか?」
 互いにまわした腕の力にすら猜疑心が生まれる。信頼関係の築けていないダンス程、滑稽なモノはない。
 そんな馬鹿げたワルツを二人は舞う。

「はっはっ、それもそうですね……しかし、貴女ほどの女性が、そこら中に落ちている男性とパートナーを組む事も間違っているとも思います」
「つまりは、私のパートナーに相応しい男性と言うのは貴方以外にいないと?」
「結論を急がなくてもいいではありませんか」
「私のパートナーは忠夫ですから、パートナーを二曲も三曲も放っておくのも偲びありませんので」
 この広い金成木の私邸で、美神の視線には横島しか写っていない。
 英理人の視線には美神しか写っていない。互いに見うる景色が違うだけで、これ程までの淀みを生み出した。

「随分と信頼しているのですね。確かに先の事件での横島氏のスパイ活動は、褒められた行動ではありますが……それ以外にする事がなかったのではないのですか? 文珠とて万能ではりませんから」
「貴方に忠夫の魅力は解りませんわ。あの馬鹿の魅力はね」
「まるで貴女は姉の様な顔をするのですね、好意を履き違えていませんか?」
「家族を愛するのと同等に、彼を愛する事が何か違いがあると?」
「家族とパートナーは違います。血は水より濃いのですから」
 虚構の織り成す不協和音は留まる事を知らない。

「その考えを捨てれない時点で、貴方が私のパートナーになりうる可能性はゼロですわ」
「何故です? 私には貴女程の霊力はありませんが、それに代わるだけの力はあります」
「まるで子供ね」
 虚構の織り成した戯曲が終った。

「何故貴女は……貴女は、何故解ってくれない! 僕の想いを!」
 英理人が何故美神に再び求婚したのか?
 英理人が必死になって勉強したその時、資料に混じっていたのが美神の事だった。
 昔一度求婚した相手が、本当にオカルト業界最大手と言ってもいい存在であった事も理解し、再び美神に興味を持った。調べれば調べる程に英理人は美神に惹かれていった。
 大きな事件……香港で風水師が大量に行方不明になった件や、先頃に発生した辻斬りの件。果ては先の事件にも美神は関わっていた。
 英理人は震えた、あの女性が、英理人自身知らない世界で活躍し、尚且つ幾多の困難から立ち上がる信念。そんな美しくも気高い美神に、英理人は心から惹かれた。

「貴方が抱いている、私に対する想いは……初恋ね?」
「た、確かにそうですが……それが何か? 初恋は実らないというジンクスを実際に信じている訳ではないのでしょう?」
「勿論、初恋も時間が経てば愛に変わる可能性があるけど、貴方の場合は違うわ……貴方が抱いているのは憧れよ、それは恋や愛じゃない……それも変わり様の無い憧憬」
 美神は自分の前世に思いを馳せる。確かにメフィストは、初恋での恋愛感情を抱いていた。しかし、そこに憧れは存在しなかった。
 純粋に相手を必要とし、純粋に相手を愛そうとした。やり方を知らぬ稚児の戯れだったかも知れないが、それでも心の底から高島と言う横島の前世を愛した。
 だからこそ英理人の想いも解った。英理人の想いは愛や恋ではない、ただの憧れ。子供が抱く畏敬の念。そこに愛や恋が生まれる可能性はゼロに等しい。

「何故貴女は僕を必要としてくれないのですか! 私は貴女が欲しい。初めてだからこそ、初めて欲した!」
「それが子供の憧れなのよ、貴方には全てがあったのかも知れない。けど、本当に必要なモノがなかったのよ……あの馬鹿の様に純粋に、美神でもない私を見てくれて。前世の繋がりとかも関係なしに傍にいて……酷い事したのに、それでも私のパートナーでいてくれる馬鹿なヤツがね」
 美神と横島には絆があった。前世などといった要因が引き合わせた可能性とて否定出来ないが、原因を知り、それでも離れず傍に居た。
 先の事件でも美神は横島に世界と恋人との究極の二択を迫った。その結果、横島が恋人を失ったのに、それでも横島は美神の傍を離れなかった。
 絆があったからこそ傍にいる。傍にいたからこそ絆が生まれた。それは決して英理人には踏み込めない領域の……硬い、強い、死が二人を別った事もあった、それでも断ち切れぬ程の絆。

「……だから、僕の傍にいても尚、その瞳に写る人物は、横島氏なのですか?」
「流石は金成木財閥の次期当主、炯眼恐れ入りますわ。そういう事だから……残念だけど、貴方が私の瞳に写るには、まだ青いってところかしら」
「はっはっ、これは手厳しいですね……でも、少し解った気がします。貴女は強い。強い上に美しい……その心まで」
 美神と横島の硬く、強い絆を前にしてか、はたまた純然たる美神の想いに心打たれたのか。英理人の憑き物の様な焦燥感も鳴りを潜め、視線の先にも横島が写る。

「あら? 私の心はそこまで綺麗じゃないわよ……嫉妬もすれば素直じゃないし」
「だからですよ、子供じみた仕草にすら色気を感じます」
「褒めてないわよね?」
「褒めてますよ……悔しい程にね」
 美神と横島の絆が羨ましいと言えないだけ、英理人もまた子供だった。
 英理人に無いものが横島にあって、横島に無いものが英理人にはあった。それだけだ……英理人は深いため息と共に、自らの想いにも確かな絆を感じた。

「美神さん、貴女は素敵な女性だ……深い関係を結べない事は悔しいですが。それでも友人としてなら認めていただけますか?」
「認めるも何も……自分が友達だと思った相手が友達なのよ?」
「なら美神さんは私の友人です、僕が最も尊敬の出来る、憧れの友人です」
 これが英理人と美神の絆……友として、尊敬しあえる友人として、連絡は入れないかも知れないが、それでも会えば互いに談笑しあえる仲。
 それが英理人の本当に求めていた答えだったのかも知れない。

「だったら……アイツとの結婚式の時に、祝儀はずんでよね♪」
「金成木財閥を舐めないで欲しい、令子さん」
「そう? それじゃその時は宜しくね……英理人」
 二人は互いに微笑みあい、美神は、英理人を背にした。密かに想いを寄せる横島の元へ帰る為に。
 英理人は、気付いた自分の思いに決着を付けた安堵の所為か、周囲が見惚れる程の笑顔で、美神を見送っていた。


◆◆◆


 それからいくらかの食事と酒を摂り、気分が高揚したまま美神と横島は家路へと就いた。美神は演技の延長戦上と自己催眠に近い誓いを掛け、素直に横島に接すると言う戒めをつけた。

「あの〜、美神さん? ちょっとこれは厳しいと思うんですが」
 美神の胸が腕に当たる感触は、事務所に帰るまで腹芸を続ける事を義務つけられた横島にとっても、耐え難い程の煩悩が生まれそうになり、それを必死に我慢していた。
 偏に、これ程近くにいる美神から離れなくない、信頼してくれる美神の気持ちを裏切りたくないがために。

「我慢なさい、男でしょ」
 男の子から男にランク上げてあげたんだから。
 そうは言えないが、それでも美神は微笑む。横島の我慢する表情にか、はたまた限界を超えた横島を想像してか。それは美神にしか解らない。
 それでも、嬉しそうに微笑む美神に、横島は、ただただ見惚れていた。

「まぁ、そうなんですが……結構限界に近いんすよ〜」
 横島は、そんな事……美神に見惚れている等と、言える程の勇気を持ち合わせていなかった。
 いつもの様に軽口を叩いて、ひたすらに耐えている。美神の暖かさに触れ続けたいと思うが故に。

「駄目でしょ、私も頑張るから……あんたも頑張んのよ」
「? 美神さんが何を頑張るって言うんスか?」
 横島には解らない、美神の決意も、美神の気持ちも、美神も想いも……全ては同じ筈の純然たる恋心すら横島にはわからなかった。

「さぁ? とりあえず、このまま事務所に戻るわよ」
「うげ〜、このままっスか……持つかな?」
 嬉しげに、眩しげに、儚げに、横島を見据える美神の笑顔だけで横島は今までの美神の胡乱な言葉を噛み締めた。
 横島は別にそれで良かった――美神が笑顔で居てくれる事が一番の願いなのだから。

「頑張ったらご褒美あげるわよ」
「なんスかご褒美って?」
「これよ…」
 決意の表れを表現する為に、想いの強さを確認する為に、願いの数だけ祈りを込めて……美神は横島の唇に、自分の唇を合わせた。

「美神…さん?」
「先払いよ……だから、頑張りなさい」
「あ……はい!」
 美神の恥ずかしげに横島から視線を外す、そんな美神に二の句を言うのを憚ったのか、横島もまた虚空を見詰める。
 そこには、既に沈んだ筈の夕陽が――頑張れといった様な気がした。

「美神さん…」
 右足を動かすたびに緊張して、左足を前に動かす度に嬉しくて。

「なに?」
 互いの暖かさが触れる度に心が躍り。美神もまた、嬉しそうに横島に体重を預ける。

「俺――」
 横島の紡いだ言葉は、緊張と沈黙と歓喜――その三拍子はワルツの様に…


 あとがき(泣き言かも)


 此度も、拙僧の稚拙な駄文を読んで頂き誠にありがとうございます。美神×横島……ベタなカップリングですので、似た内容の作品があるのではないかと、結構ビクビクしています。類似した作品をお読みになったお方は、お手数ではございますが、管理人様へのご報告、お願い申し上げます。

 4月25日ぐらいから体調が悪く、そして同月27日に母の墓参りに集合菩提寺に行き、そこの人混みで体調悪化。翌日、吐血しました(咳きのし過ぎで喉が擦れた事に原因があります)……皆様におかれましては、重々にお体に気をつけて下さいませ。風邪はやはり辛いですから。

 今回の作品は、構想自体結構前からあったのですが、中々書ききれませんでした。更に、話の展開に至っては、若干早急な感じがしないでもないです……はぁ、自分の未熟さに嫌気がさす日々です。

 次作は……短編ネタがゼロと言う状況ですので未定です。一応、横島×ベスパの中編は書き進めているのですが……まだ完結まで書いてないので投稿できる状態でもありませんので、ちょっと時間は空くと思いますが、なんとか投稿したいと思います。

 ちょっと長くなりましたが最後に! 誤字脱字のご報告、更にはご指摘・ご注意等々、お手数とは存じますが、宜しくお願い申し上げます。ありますれば、ご感想等を送って頂きますと嬉しい限りでございます。


 レス返し、させて下さいませ。


 Tシロー様

 アシモト首相が私情に走って口走った言葉は、確かにこちらの世界とは懸け離れていると思います。現在の首相があんなこと言ったら……私は笑うと思いますが、マスコミには叩かれまくる事請け合いですね〜。
 愛のゆめの続編……うぅ、自身のHPを持てば……しかし予定がありません。そもそも自宅にネット環境すらないのが現状です……OTL。


 ぶらりん様

 演説だけが印象に残るのは、確かにその通りでございます。政治ネタと表記しておきながら政治的なモノを書けなかったのは、偏に私の技量不足でございます。
 キーやん教の各国からの攻撃……おぅ!? まったく想定していませんでした。横島君のノリで解決と言うか……キーやん自身が来て解決しそうな気がしてなりません。


 凛様

 ご指摘の通りに、自分でも確認しましたが、確かにこの場合の横島君は偽善者になってしまいます。私自身では予期していない事でしたので、凛様のご指摘がなければ気付かなかった事でした、ご指摘ありがとうございました。
 これからは、斯様な間違いのなき様に書いていきたいと思います。


 koto−様

 独善と偽善……私自身はそういった事を認識せずに書いていましたので。凛様、koto−様の御言葉は、骨身に沁みて勉強になりました。此度のご指摘、心からお礼申し上げます。
 最後の一言も嬉しい限りでございす。重ねて御礼申し上げます。


 アークヒーポフ様

 ヨゴレなどとんでもございません、私は重婚と見て、獣婚もありかな? と考えてしまったので…。
 前作の裏設定として、タマモとシロと一緒になる為に、イス〇ム教の国に行って、4人の夫人を貰うという設定がありました……私は外道です。


 lonely hunter様

 日本の政局は現在荒れております。それをヒントに書いてしまったので、lonely hunter様の様に、日本の情報を得る機会が少ない方が見られて、理解出来ない様な作品を書いてしまいました。申し訳ありませんでした。
 今回は、そういった感じも出ずに、美神さんと横島君の繋がりを、表現出来ていれば幸いです。


 最後の堕天使様

 更にそんな心配はありません、私はそれ以上の外道ですから……本当の事を言えば、愛のゆめの初期設定で、おキヌと小鳩も、横島君の傍に置こうかなと考えていましたので……ぎゃふん。


 フォールティー様

 オカルトGメンを貶める様な事を書いたつもりはありませんでしたが、それでも横島君が総理大臣と言う地位にあり、そして、その人物があの発言をすれば……大問題でありました。ご指摘ありがとうございます。
 長編につきましては、やはり完結させてからでないと、私自身の執筆速度が一番信用出来ないので、完結させてからぽつぽつと改定しつつ、投稿していきたいと思います。


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