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「コンソレーション(GS+政治ネタ少し)」

にょふ (2008-04-21 15:20)


「――につきましては、与野党の垣根を無くし、更なる発展を遂げる為に――」
 朗々と読み上げられる原稿は奇麗事の羅列。あくまで関係官庁が彼の為と言う正義の旗の下に書き記した、自分達の都合のいい内容。


「――でありまして。斯様な人権侵害をなくす事こそ平和への道――」
 故に誰も聞いている様で聞いていない。
 聞いてる者がいるとすれば、彼の事を応援している地元後援者か、それに順ずる彼に期待を抱く者。
 野党の中でも居る。彼の眠たくなる様な妄言の矛盾を聞き逃すまいと、一言一句逃さずに聞こうと、必死になり耳を済ませる者。はたまた、その野党の者の野次に呼応せんと虎視眈々と機会を伺う者。


「――経済界との連携をとり、今まで以上に日本と言う国の価値を世界に示す為――」
 彼の話が経済の話になり、幾人かは聞き耳を立てる。
 経済界と繋がりの深い政界ならではの光景である。経済界とは詰まる所大企業の集団であり、その利益から生まれる法人税は、国の歳入の大半を占める。
 更には政治家にとって重要な資金源である、パーティー券を買ってくれる数少ない集団でもある。そんな話になればたとえつまらない話とて、聞いているポーズぐらいとらなければ、次回の選挙に響くが故であろう。


「――各省庁の報告通りに――でございましたが――」
 今度は与党の大半の議員が耳を塞ぐ番だ。何せ各省庁からの報告と言っても、野党から迫られた資料提示の際の不手際……与党議員と高級官僚との癒着が発覚した事に対する謝罪文。そんな謝罪文であろうと、意に介さず朗々と原稿を読んでいる彼に野次を飛ばす野党若手議員。


「――につきましては、斯様な事が二度と起こらぬ様に周知徹底させ――」
 野次にも礼儀がある。まずは、当選回数の少ない議員が言わなければならない。当選回数が多くなるにつれ、議席の場所も後方に移り、そもそもの野次が物理的な距離から、意味を成さなくなる。
 更に言えば、探られたくない腹を探られる可能性とてゼロではないのだ。与党と野党……似ていない様で、根源は同じとする政治家でしかない。政治家の地盤に一番わかり易い政治活動として、道路……つまりは地元に公共事業を斡旋する。
 その時に、地元に影響力の大きい企業並への便宜を図らない政治家などいない訳がない……稀にクリーンな政治家も居るが、5回も6回も当選している議員には少ないだろう。
 しかも、それが与党議員だけであるとは限らない、野党とて政治家だ、省庁に働きかけ、地元に解り易い権力誇示、『自分が議員になったから、この道路は出来たのだ!』と、票の獲得に繋がる事に躊躇いはない。


「教育につきましても――」
 議会はざわめきながらも、誰も彼の話を聞いていない。
 昔……子供にもっと自由な勉強をさせるべきだと言う声の下、施行したゆとり教育の失策。試算もロクせずに施行した法案の為に、教育を受ける権利を迫害された人々がどれ程いたか。
 その所為で広がった格差をどう是正すると言うのか……教育機会均等法の崩壊がもたらした経済損失は、今尚払拭しきれていない。
 ならば誰が責任をとると言うのだろうか。
 そう問えば誰も答えない。今この場に居並ぶ議員や、裏で彼の演説を聞いている省庁関係者も首を横に振り『過去の責任者が居ませんので、なんとも答えられません』とだけ言って逃げるだろう。
 過去の責任者を呼んで来いと言えばどうなるか。それも、『私達にその権限はありません』と一言で逃げる。
 更に、ならばお前達が責任を取るのかと問えば、『我々には関係ありません、偏に過去の責任者が行った事です』とまた逃げる。
 子供に責任感の強い大人になれと奨励しておいて、自分達は、己が身の可愛さ故に、誰もが責任をとる事を拒絶する。


「――以上内閣総理大臣、横島忠夫の所信表明演説は終了致します」
 彼、横島忠夫は朗々と読み続けていた原稿から目を外し、議会に居並ぶ議員達に目をやる。
 権利に固執したベテラン議員。政界の黒い部分を知らずに初当選した芸能人議員。親が政治家と言うだけで地盤を受け継ぎ、選挙に当選した二世議員。
 与野党の垣根を越えて、節操のない顔ぶれ……彼、横島忠夫も、この世界に足を踏み込んだ内の一人。
 美神令子除霊事務所から独立し、事務所を持たぬフリーのGSとして築いた資産と、必死になり勉強し、一浪はしたが有名大学の経済学部に入学。そして美神美智恵・横島百合子と言う強力なブレーンを得て、横島は26歳の若さで衆議院に当選し、そしてここまで……与党総裁、つまりは内閣総理大臣と言う地位まで辿り着いた。
 その道は決して平坦な道ではなかった。時には手を汚す事もあった。それでも、彼の一途な想いと、切なる願いを胸に秘め、ただひたすらに駆け抜けた。


「――続きまして、公人、内閣総理大臣横島忠夫ではなく。私人、横島忠夫としての所信表明演説を行います」
 議会は瞬時に沸騰した。前例にない事を嫌う政界の悪しき習慣とも言える。前例がなければ機会が生まれない。
 そんな馬鹿げた事を百年近くも続けて来た伏魔殿。未だに女性総理大臣が生まれないものその所為であり、古き習慣を甘受し、変える事の中に生まれる責任をとりたくないと言う、自己保身のカタマリ。


「私は議員になる前、ゴーストスイーパーとして活動しておりました」
 そんな混乱に一瞥もくれずに、横島は続ける……彼が長年追い求めてきた夢。それを叶えんが為に。
 その為に失ったモノや、無くしたモノ、数を数えればきりがない程に、その手から零れ落ち、再びすくい上げ様としても、それは叶わぬ泡沫の夢。
 だから振り返らない、躓き、倒れ、這い上がり。打ち据えられ、我慢して、笑顔の下で泣いてきた。故に誰も……誰も横島を止める事は出来ない。


「一部の知識の無い人々は、一概にGSの事を暴利を貪る集団だと蔑み、その内容まで知ろうとせずに、無知が故に反感を抱いておりました事でしょう」
 横島は、年齢の所為か、生え揃ったヒゲを撫でながら回顧する。昔の彼の上司、美神令子の事を。


「何故悪霊を退治するのに億単位の金銭を要求するのか? 自らの命を危険に晒して戦う彼等にとって、それが当たり前であり。更には除霊道具と言われるモノは、精霊石と呼ばれる霊具の媒体希石の総数が少ない為に、霊具自体が高価にならざるをえません」
 美神令子、彼女は霊具の扱いに長けたGSであった。多岐に渡る霊具を、対象霊障に合わせて使い分ける天賦の才。更にその霊具の能力を最大限に扱う事の出来る霊力。これをもって彼女、美神令子は長年の間、GS業界のトップに君臨し続けた。


「オカルトGメンなる、公共の霊障対策室もあります……彼等は無料で霊障に対峙します。これは国が税金を使い、その装備を整えているからであります。高い消費税の大半は彼等の装備に充てられている事が何よりの証拠でしょう」
 美神の事を思い出した所為か、少しおかしげな笑みを零す横島。
 しかし、彼の笑みとは無関係に議会は慌しく糾弾している。横島の袖を引っ張ろうとしてそれを止められる与党議員。これ幸いと横島の言葉を記録している野党議員。省庁関係者は横島の突飛な行動に、ロクな動きもとれずに右往左往している。


「一般的に、GSは暴利を貪る悪で、オカルトGメンは無償で霊障を解決してくれる正義の味方……無知もここまでくれば笑えましょう」
 くくっ。と、くぐもった笑いを浮かべる横島。昔からの明るい笑顔はなりを潜めて、然も面白げに慌てふためく議会を見下ろす。


「さて、斯様な無駄話をする為に、この様な時間を割いた訳ではありません。GSの事を話したのも、本題に入る前の準備運動と言った所です……さて、30年前の出来事、多数の被害をもたらしたアシュタロスの乱は、忘れようとも忘れれぬ事でしょう」
 浮かべていた笑みを霧散させ、真剣な表情に変える横島。


「あの時、私も微力ながらその乱に参戦していました。あの頃はまだ高校生であった為に開示されている資料には載っていませんが……魔神アシュタロスを滅ぼしたのは私です」
 議会が静まる、議員の誰とて覚えている。その頃に当選した議員も居れば、その頃はまだ子供であった議員もいる。しかし、一様に覚えている、あの人類未曾有の危機の事を。


「さて。皆様は悪魔、もしくは魔族と聞けば一概に嫌悪感を抱くでしょうが、それは間違いです。何も全ての悪魔、魔族が悪しき存在であると言えませんので」
 議会は再び混乱する。何せアシュタロスの乱の後に、対魔族の為と称して、増税を決めたのは現与党。
 その正義が崩れるという事は、与党の代表である内閣総理大臣が、自らの黒き歴史を紐解き。あまつさえそれを開示するのだ……ダメージは計り知れない。


「私には友人が数多居ます……その筆頭にジークと呼ばれる魔界の軍人が居ます。更にその姉であるワルキューレとも友誼を結んでいます」
 横島の耳に何処からか、止めろや、カメラを壊せ等の叫びが聞こえている。それでも横島の紡ぐ言葉は止まらない。


「勿論魔族だけではありません、神族の小竜姫さまを筆頭にヒャクメ、猿神。更には知己を得た神魔は百では収まりませんでしょう」
 騒がしくも静まり返る議会、誰も知らない、横島の想いを。
 故に誰も解らない、横島の願いを。


「魔神アシュタロス……彼とて被害者でありました。皆様には悪の枢軸と呼ばれる可能性のある彼とて被害者です。想像して下さい。生まれ落ちた時は聖なる存在でありながら、ある時を境に邪悪な存在に崇められ……そして、死して尚、生まれ変わり、その記憶と悪である役目を押し付けられる事を……私には到底我慢出来ません。悪だと一方的に決め付けられ、最期は、神なる存在からの絶対的な殺害……誰が彼を責めれましょうか?」
 議台に置かれている水を飲み、更に言葉を紡ぐ。


「永遠に、死と悪を押し付けられた彼が起こしたのが30年前の混乱、その中で亡くなられた方々には、彼を恨む権利があります。しかし、直接的な被害を被らなかった人々が、彼を恨む権利はありません。私は、彼の娘と恋に落ち……そして恋人を、その戦いで失いました」
 議会が静まり返る。有名な話、未だに結婚もせずに独身を貫く彼の過去。
 それは、あの戦いの顛末を知る事が出来る議員ならば理由も知れる。アシュタロスの配下の下にスパイとして送られた横島忠夫、そこで知己を得たアシュタロスの娘のルシオラ。彼と彼女は短い時間ながらも愛をはぐくみ、更にルシオラは愛が故に父親であるアシュタロスを裏切り……その短い一生を終えた。
 横島は、そんな彼女の事を忘れずに、数多ある見合い話や、長年付き合っていた事務所の人々からのラブコールに答えず……今まで一途と不犯を貫いていた。


「私は恋人をアシュタロスに殺されました……しかし、私には彼を恨む事も、その権利もありません……憎しみは憎しみしか生まず、その連鎖を断ち切るには勇気が必要でありました。俺には、ルシオラが……心の中で生き続けているから」
 横島は自らの胸元に手をやり、そっと優しく呟いた……ルシオラと。


「ならばその禍根を断つ為に、何が必要であるか? 答えは数多ありましょう。魔なる者を全て討つ。神と魔が手を結び、永続的な平和を見つける。神を滅ぼし魔に聖なる存在になってもらう。全てを水に流し、人と魔、魔と神、神と人が手を繋ぐ…………どれも不可能です。人は未だに人同士で争う獣。神と魔も、長年の軋轢を解消するにはそれ以上の年月を必要とするでしょう。神と人とて似た様なモノ、人が危機に陥らなければ助けれぬ神。魔とて人を苦しめる事を運命付けられた存在故、人を救う事は叶わず……人は魔に怯え神に縋り、魔は神に挑み人を喰らう。神は人を見捨て魔を穢す……誰が悪で誰が正義なのでしょうか?」
 横島は周囲を見渡す……顔の色が青くなったり赤くなったりする議員たち……されど、己の身がそれ程大事か、誰も横島を止め様としない。そんな自己保身のカタマリに一瞥もくれず言葉を続ける。


「さて、私人、横島忠夫が言いたい事は、何故人は一方的に悪を決め付けようとするのか、神が清くて魔が穢れている? ならば我々人間は如何でございましょう? その中間? 否、清くて穢れている存在などありません……人間とは尊いのです」
 議台に置いてあった水の残りを飲み干し、喉を潤す。


「神魔より弱い人間は尊い。尊いと思うが故に、相手が憎ければ殴り、相手と理解しあえなければ殺し……そんな自分が尊いと思うが故に凶行に走る話など、人が人としてなった時から繰り広げられた事。それを止めろとは言えません。私とてオカルトGメンの最高責任者の西条氏とは、互いに反目し合い。互いに高め合って来た間柄……今更仲良く出来るとは思えません」
 回顧する……思えば前世からの付き合いであった西条輝彦との関係。絶対的な繋がりで、関係を切ろうとも、切れぬ相手。
 憎くて殴りあう事も仕方なく、憎過ぎて笑いあう仲間……大人になっても尚、逢えば笑顔で罵りあい。逢えば杯を交わして酒を飲み、昔話をして、未来の事を語り合う。そんな、大事な馬鹿同士。


「しかし……しかし、何故人はその仲違いをしても、通じ合える関係を他に向けようとしないのでしょうか? 人と言う存在が尊いから? それは言い訳です。人間は弱い、弱いが故に尊い。それだけは真実でしょう。ならば、その尊さを何故他に向けれないのか? 弱いが故の臆病。弱いが故に生き延びてきた功績、弱いが故に他を排斥して来た歴史……その中で犠牲になったモノはなんでしょうか?」
 ため息とも、感嘆ともとれる横島の深い息遣い。


「自然、動物……そして人為らざる人」
 横島の脳裏には、数多の人為らざる人の事がよぎる。


「私はGSと言う職業に就いておりました。故に人為らざる人と、会う機会に恵まれました……私の出会った人為らざる人は、その全てが人から迫害され、人から排斥され、人から全てを奪われて尚、更に命まで奪われようとする人々でした」
 横島の目尻に涙が浮かぶ、人と近くて人と遠い人。
 人から勝手に妖怪と呼ばれる人為らざる人……人であるにも関わらず、人から迫害を受ける対象である彼等の悲しみは。横島にとって、救うべき相手であり、退治しなければならない相手であった。


「何故人は彼等に手を差し伸べる事が出来ないのか? 人である前に妖怪である事を運命付けられた彼等に、人になる権利がないのは何故か? 人であり、人以上の力を持つ彼等は異端であり、尊い人から見れば排斥すべき恐怖だから? ……それは違います。人は歩み寄る事が出来る筈です。人が人と繋がりあえる様に、人為らざる人とて、人であるのだから」
 議台に雫が零れる。涙と言うにはあまりに強く、涙と言うにはあまりに気高く。


「ならば何が必要か? 答えは自ずと出るでしょう。恐怖故の排斥、無知故の迫害、傲慢までな蛮勇。一度全て捨てましょう。それが出来てこそ人間は尊く、それが出来なければ、尊い人である前に、未だに野蛮な獣である事を捨てれぬ愚か者です」
 議会を見渡す横島……未だに混乱は解けずに、更に横島の言葉に呼応するモノなど数知れている。
 大半は未知なる恐怖に怯え、無知なる大罪に縋り、蛮勇を振りかざし己の利権を護らんとする者。


「これは第102代内閣総理大臣横島忠夫ではなく。私人……GS横島忠夫にて、GS協会名誉理事、横島忠夫が本音。議会に斯様な混乱を招き失礼致しました……では、この議題は未来への道にならん事を祈り、願い……切望致します」

 彼は議台を去った、混乱する議会を後に

 ただ純粋に、人為らざるモノを愛した男

 ただひたすらに共存の道を願った一人の男

 今は亡き恋人を胸に抱いたまま


 あとがき


 何か政治ネタで書いてみようと思い、浮かんだ骨組みに肉を付けるとこんな風に格好良い横島君……色々間違えたかも知れません。

 横島×〇〇の甘々SSを書こうと思っていたのに、何故かシリアス? な作品が生まれました……すみません、ムラッ気が強い所為です。更には、長台詞が多かったので、改行した方が読み易いのか、かなり心配です。

 も、もちろん短編です、これ以上続けられる技量を持ち合わせておりません。選挙に及ぶ工程とか知りません、ついでに、衆議院議員に立候補する時の必要経費も知りません……確か、悔いの残らない選挙戦をする為には、3億円ぐらい必要だとかは聞いた事がありますが。


 あとがきに蛇の足


 前回、『愛のゆめ・蛇足』で頂いたレスの中に。Tシロー様が書かれ、紅白ハニワ様がお答えなさった、〇ぞん一刻の名シーンがありましたので、それに感化されて書きました。
め〇ん一刻の名シーン、桜の舞い散る墓のシーンをトリビュートしてます。
 決して本編が短いからと言う理由ではありません……本当でしゅよ?


◆◆◆


「ここに来るのも久しぶりだな……ん?」
 横島は東京タワーの展望台で夕陽を眺めていた。昼と夜の一瞬のすきま。短時間しか見られないからよけい美しい。
 それとは別に、何かを感じる。上の方から感じる二つの妖気。いつも一緒にいる二人の気配だ。

「ったく、なにやってんだか…」
 懐に常備している文珠を使い、人目につかぬ様に展望台の上に跳んだ。タマモとシロを驚かそうと、美神の風呂場を覗く為に会得した、気配を消す技術を使って。

「忘れるとかそんな事じゃないのよね」
「でござるな。ルシオラ殿は、既に先生の一部なのでござるよ……でも、それでも先生が好きでござる」
「初めて逢った時から、横島の中にあんたが居て……そんな横島を、私は好きになった」
「「……だから、あんた(ルシオラ殿)も、ひっくるめて横島(先生)を貰うわ(でござる)」」
 二人が紡ぐ紡ぐ言葉に淀みはない。朗々と紡いだ言葉には力があった。好きだから、好きだからこそ、横島の心の中にいるルシオラの事も愛したのだと。
 そんな、美しいまでの清い心を持った二人に、気付かれない様に気配を消していた横島の瞳に涙が溢れる。

(――俺、この二人を好きになって本当に良かった……なぁ、お前も喜んでくれるよな、ルシオラ――)

「よぅ、なにしてんだよ二人共」
 瞳にためた涙を拭い、そっと二人に近づく横島。拭った筈の涙が溢れそうになる事を必死に堪えて。この場で二人を壊したいほどに抱きしめたい感情も捨てて。

「今日が命日だって、美智恵に聞いたから…」
「今までの事、そしてこれからの事を、ご報告に…」
 タマモとシロも、横島の想いを理解しているのか、二人は、いつもの様に飛びつかずに。二人は静かに夕陽を眺めていた。

「そうだな。ここで……ここで俺はルシオラに命を救われた。あの時、ちょっとは気付いてたんだ。もうルシオラは助からないって……でもさ、でも、ルシオラは生きてるんだ。俺の心の中でずっと…」
 二人の言葉に、横島は胸を叩いて答える。心の中に確かに存在する、今は亡き恋人……生涯愛し続けると誓った恋人の名を。

「拙者は、ルシオラ殿に感謝しておりまする。その時、ルシオラ殿が命を賭して先生を救って頂けなければ、拙者は先生と再会する事は出来ませなんだ……故に、ルシオラ殿には感謝しても感謝しきれませぬ」
「……ルシオラは、私達と横島を繋げた……最愛の女性だから」
 横島の瞳に涙が溢れる。ひたすらに愛してくれるタマモとシロの事……そして、こんな……こんなにも綺麗で、こんなにも汚れた世界を救ったルシオラに――

「……ありがとう」

 ――だからありがとう

 二人に――傍に居てくれる喜びと

 ルシオラに――愛してくれた愛しさと

 想いに――誓った願いの清らかさと

 絆に――世界の刹那で出会えた奇跡に


◆◆◆


 あとがきに蛇の足の後書き


 『世界の刹那で出会えた奇跡に』と言う言葉は、自分で書いときながら、結構気にいっているフレーズだったりします。他に出典がありそうですが…

 未だに長編を投稿する覚悟が付きません。今、4作(GS+F〇te。ナデシ〇。恋姫〇双。〇きめき〇モリアルの四作です)の長編を書いているのですが……完結までもっていける技量をもっていません。プロット書くのが苦手です。

 そもそも横島×〇〇で、甘々な作品を書こうとして、何故か政治ネタに走った事すら、自分で自分がまったく理解出来ません。

 と、とにかくっ! 次回! 次回こそはっ! ……あぁ、骨組みが出来てるのに、肉付けが難しい。会話だけなら幾らでも書けるのに、地の文が恐ろしい程苦手っス……ちょっと泣きそうな拙僧でした。

 最後に、誤字脱字のご報告、更にはご指摘・ご注意等々、お手数とは存じますが、お願い申し上げます。ありますれば、ご感想等を送って頂きますと嬉しい限りでございます。


 レス返し、是非させて下さい


 星の影様

 早速、ダッシュを使わせて頂いてます。ありがとうございます!
 し、しかし……まったく横島君が一部シリアスではありませんでした。これはこれで好きなのですが(私は節操が無さ過ぎる!)。
 会話のみの構成は、流石に多かったかも知れませんが、あれでも結構削りました。会話のみだと、異常に書き易いので…
 これからは、恐ろしく苦手ではございますが、地の文も注意深く書いていきたいと思います! これからも読んで頂けると幸いです。


 Tシロー様

 めぞ〇一刻は私のバイブルです! 私は管理人さんが好きです。その為、高校卒業と同時に、寮のある会社に就職したぐらいですから……あぁ、夫婦で管理人だなんて…
 GMとの対決……その為に、妙神山で修行をつけてくれと猿神に頼んだ横島、しかし、猿神は問う「何故強くなりたいのじゃ?」と、横島は「……おかんに克つ為?」と答え、小竜姫さまがずっこけると言うシーンが、デスクトップ内に死蔵しています。
 こんな死蔵がなくなる様、更には、読んで頂ける様な作品を作っていきたいと思いますので、これからも読んで頂けると嬉しい限りでございます。


 @OKI様

 ≪従≫は凶悪ですね……今更ながらそう思います。
 文珠の使い方は、考えてて面白いのですが。反面、漢字の数が数だけに使い方が難しいです。私の様に漢字検定3級を無事失敗した人間には更に酷です。
 今回も読んで頂けていましたら幸いです。


 紅白ハニワ様

 ≪従≫は、効果の曖昧さ故に、使用が憚られていたかもしれません、私の駄目な脳ミソで、従=美神さん(横島君にとって、絶対的な女王様)からの命令程度の効果と位置づけてました……強引っスね。
 めぞん〇刻のトリビュートはいかがでしたでしょうか?本編同様、結構苦手なジャンルに手を出して、いい汗を掻いて、更には涙を堪えています。
 今回の作品も読んで頂けたのなら幸いです、次作は甘々だと思います……多分。


 lonelyhunter様

 すみません、今回はタマモが登場しませんでした。更には現在日本が抱える政治不安を基礎に書いたつもりです。
 次回からは、再びタマモも登場すると思いますが、現段階で、メインヒロインを書く構想が練れていません。
 lonelyhunter様のご趣味に合わない作品が続くかも知れませんが、それでも読んで頂けると嬉しい限りでございます。


 ジェミナス様

 オチで行為におよんでいる様な気もしますが、あれぐらいのエロが一番良いのでは?と稚拙ながら考えています。
 誠に申し訳ございませんが、『愛のゆめ』は前回で終了致しました。愛のゆめは、短編で構想を練り、レスを頂いて、急ぎ4話までは書いたのですが、完結出来ない事に気付き、あそこで終了とさせて頂きました。重ねてお詫び申し上げます。
 これから、読んで頂ける様な作品を作りたいと思いますので、読んで頂けましたら幸いです。


 フォールティー様

 毎回のご指摘・ご指南ありがとうございます。
 今回の作品は、自分が書きたいと思った、甘々な作品とはまったくの別物になりましたが。私自身、こういった作品が結構好きだったりします……書くのは苦手ですが。
 フォールティー様の仰られる様に、読んで下さる皆様の気持ちに迎合してしまっては、自分の想いを殺す事になりますので、自分が面白い更には納得した作品を、これからも書いていきたいと思います! 勿論、作品を発表した事に責任を持つ必要もありますが。
 未熟な私の作品ではございますが、これからも読んで頂けると、嬉しい限りでございます。


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