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「ホタルノヒカリ(GS)」

りーか (2007-10-14 20:27/2007-10-16 03:54)

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諸注意
この作品はTSを含み、尚且つそのキャラでの絡みがあります。
そのようなものへの嫌悪感、忌避感をお持ちの方はご注意ください。
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彼が何をしたというのだろう。確かに日頃の行いが褒められたものとは決して言えないような行動はしていただろう。何せ彼は己の守備範囲に入っている女性なら見境なしにナンパと言う名のセクハラを仕掛けていたのだから。

しかし、それはナンパした側の彼にとっては美女に声をかけるのは当然の行為であるし、男の義務だとも思っている。たとえその返事に返ってきたものが悲鳴や、拳や蹴りなどといったものだとしても彼はめげる事だけはしなかった。

それは他人から見れば確かに行き過ぎていたのかもしれない。だが、たとえそれの対価だったとしても今、彼が直面している悲しみは大きすぎ、ひどく酷なものである。

何をそれほどまでに悲しむ事があるのだろうか。事情を知らぬもので、彼のことを知っている人間が見ればそう驚いたに違いないだろう。それほどまでに彼の悲しみは深く、慟哭の叫びを上げるほどのものだったのだから。

それには彼が就いている職業が深く関係していた。彼は霊能力を使い悪霊や妖怪などを祓うGS(ゴーストスイーパー)という職業に就いており、所謂悪霊祓い。退魔師というものだと思っていただければいいだろう。

それでは何故そのGSが関係してくるのか。それは世間では核ジャック事件と呼ばれる世界的大事件を起こしたソロモン72柱の1柱、魔神アシュタロスにあった。彼の魔神、アシュタロスは魂の牢獄という死の自由すらない永遠の地獄から逃れるために、あらゆる策を用いて全世界の神魔に反旗を翻したのだ。

その大事件の中心にその彼------------横島忠夫がいた。彼は最初、後にGS業界で一流と云われることとなる美神令子の色香に誘われ、彼女のところへアルバイトとして雇われる。高給取りと云われるGSどころか、普通のアルバイトと比べても圧倒的に低い時給250円という本来在り得ない賃金で。

彼は丁稚でしかなく、荷物持ちとしてしか役に立っていなかった。しかし、彼はアルバイトをこなしていく中で己も霊能力に目覚め、霊能力の中でも極めて稀で強力なオカルトアイテムである文珠を作り出せる才能を持っていた。文珠とは漢字を入れることでその文字通りの効果を発動し、あらゆる現象を引き起こす物。

当然それほどの能力者である彼が事件に巻き込まれない筈がなく、彼はバイト先の上司であり、雇い主である美神令子の母親の美神美知恵によって敵であるアシュタロスの作り出した三人の女魔族達の元へスパイとして送られた。

その生活の中で彼、横島はその魔族の一人である蛍の魔族であるルシオラと結ばれることになる。彼は彼女のためならば世界を敵に回してもいいとすら思った。
横島にとって初めて自分を本気で好きだと言ってくれた女性であり、煩悩以外で初めて心から好きだと言える女性だったのだ。しかし、彼女はアシュタロスの意思によって寿命が一年しかなく、過去のメフィストの二の舞を踏まぬように性的行為をすることで発動する監視プログラムを埋め込まれていたのだ。

それでも横島は彼女と自分のためにアシュタロスを倒すことを決意した。そうして結果から言えば世界は彼の手によって救われた。

彼には勝利の余韻などなかった。それどころか深い悲しみに囚われていた。

彼の隣には蛍魔ルシオラの姿はなかった。彼女は妹である蜂の魔族、ベスパとの交戦中に己を庇って致命傷を受けた横島を救うために、自身を犠牲にして彼を回復させたのだ。目を覚まして自分を心配する彼に大丈夫だから、と嘘をついてまで。

アシュタロスは敗北し、世界の脅威は去った。だが、その対価に一人の少年の恋人を奪い去って逝ったのだ。

彼は彼女と生きるために世界を救いたかった。だが結果を見ればどうだろうか。確かに世界を救うことはできた。だが、もっとも大切な少女は本当に蛍のように儚く消えてしまった。彼はどれほどの時間が過ぎようとも彼女と過ごした時のことを忘れられることはなかった。

事件後、彼女が好んで見ていた夕日を見ては一人黄昏るようになった。横島の同僚や、仲間はそんな彼を悲しげに見つめるしか出来なかった。ところが、彼女が復活出来るチャンスがあった。それは彼の子供として転生、復活させるものだ。横島の霊基構造のほとんどがルシオラのものであった為に可能だった方法。彼は喜んだ。最愛の女性に再び会える機会がめぐって来たのだ。しかし、運命はさらに過酷…な試練を彼に与える。


「どういうことだよ!」

横島は普段からは考えられないような声を荒げて怒声を上げていた。その原因であろう対面にいる目玉のアクセサリーのようなものを着けた奇天烈な格好をした女性は、焦ったような、慌てたような表情を見せていた。

「お、落ち着いて聞いて欲しいのね〜」

その彼女、神族のヒャクメが哀願するようにしても横島は平静など保っていることは出来ない。それほどまでに彼にとって重要で、大切なことであるのだから。

「横島さん、落ち着いてください。
確かに焦る気持ちはわかりますが、気を荒ぶらせていてはわかるものもわからなくなってしまいます」

ヒャクメの隣の、どう見ても人間には在り得ない角が生えた女性に諭されると横島は我に帰ったようにヒャクメにすまん。と謝って床に座りなおした。
彼女の名は小隆起……ではなく小竜姫といい。ここ、妙神山の管理人を務めるヒャクメと同じく神族の竜神である。その彼女ら二人と対面に座る彼以外には部屋の中には誰もいない。

今回横島は、ルシオラのことについて話があると妙神山に呼び出され、話を聞いていたところであった。

「それで……ルシオラが復活できなくなるってどーゆうことなんッスか! 俺の子供として転生できる筈だったんじゃないんですか!?」

ルシオラ…彼の最愛の女性にして魔神アシュタロスの娘。戦いの中で散って逝った彼女は彼の子供として転生することが可能だったはず。だが、呼び出されて話を聞けばもう彼の娘としても復活できなくなるかもしれないと言われたのだ。これで落ち着いていられるわけがなかった。

「それはルシオラさんの霊基構造と、横島さんの霊基構造が僅かずつではありますが融合していっていることに関係しています」

「ルシオラの霊基構造と俺の霊基構造が融合…!?」

「はい。ありていに言ってしまえば横島さんの体が魔族化していっているということなんです。
今の横島さんの霊基構造はほとんどルシオラさんのものですし、元々、人間が魔族の霊基構造を取り込んでそのままでいることは出来ないんです」

魔族化…それはルシオラの霊基構造を取り込んだ時点で考えられた可能性だったはず。だが、当初ルシオラの霊基構造は横島を侵食することを拒むように共存していた。
それはルシオラの横島への強い思いが成せる所業だったのかもしれない。そのおかげで横島はこうして無事に人間として今まで生きてこれたのだから。だが…

「それがどうしてルシオラが復活できなくなることになるんですか…?」

横島にはそれが解せなかった。霊基構造が融合したところでルシオラの霊基構造がなくなるわけではないのだ。

「二人の霊基構造が融合することでそれはもう別の物、要するに新しい存在として作り変えられることになるのね。
それはルシオラさん”だけ”の霊基構造を複写、再構成することは不可能になるということなの。
混ざってしまった物は元に戻すことは出来ない。だから、既に融合が始まっている今、復活させるには早ければ早いほどいいのね。
だから……--------------


ホタルノヒカリ


夕暮れ時、横島は自分の家であるボロアパートに文珠で『転』『移』してくると、敷いたままの煎餅布団の上に寝転がった。見慣れた小汚い天井を見ながら、頭の中ではヒャクメや小竜姫に言われた言葉がぐるぐると回っていた。

『ルシオラさんの霊基構造と、横島さんの霊基構造が僅かずつではありますが融合していっていることに関係しています』

『ありていに言ってしまえば横島さんの体が徐々に魔族化していっているということなんです。
今の横島さんの霊基構造はほとんどルシオラさんのものですし、元々、人間が魔族の霊基構造を取り込んでそのままでいることは出来ないんです』

『二人の霊基構造が融合することでそれはもう別の物、要するに新しい存在として作り変えられることになるのね。
それはルシオラさん”だけ”の霊基構造を複写、再構成することは不可能になるということなの。
混ざってしまった物は元に戻すことは出来ない。
だから、すでに融合が始まっている今、復活させるには早ければ早いほどいいのね。
だから……------------


『完全に融合してしまえばルシオラさんの復活は不可能。
そうでなくとも融合していけばいくほど復活させられる可能性は低くなっていくのね』


------------ ちくしょう…
彼の心は失意に満たされていた。
自身の魔族化。そんなことはどうでも良かった。魔族になってルシオラが帰ってくるのだったら喜んで魔族だろうが妖怪だろうがなっていただろう。しかし、それは彼女に本当に最期のトドメをさす事に他ならない。

ならばどうすればいいのか。何、簡単なことだ。既に答えは明示されている。子供をつくればそれでいいのだ。だが横島はルシオラ以外の他の女性と性交するなどと彼女に対する裏切りだと思うし、その相手の女性に自分の最愛の女性を産ませることなのだ。それだけは絶対にしたくはなかった。

今まではよかった。確かに早くルシオラと会いたかったが、焦らずともルシオラは必ず自分の子供としてでも戻ってくるとわかっていたのだから。まだ相手のことを考える必要などなかったのだから。

今は違う。一刻でも早く彼女を転生させなければ永遠に彼女と会えることはなくなってしまう。それどころか彼女を再び自分の手で殺してしまうことになる。

他の女性にルシオラを産ませるわけにはいかない。しかし、一日、一刻でも早くルシオラを転生させなければ復活できる可能性も潰えていってしまう。
そんなジレンマに陥っていた彼の脳裏に、ルシオラが復活できると言われたときのヒャクメの言葉が蘇ってくる。

『彼女を転生させるなら、ルシオラさんと酷似した霊基構造を持つベスパさんやパピリオちゃんが一番最適なのね』

もっとも、それを選択するかは横島さん次第なのね、と言われていたが。
横島はその言葉を思い出したときに何かが引っかかった。『ルシオラと酷似した霊基構造を持つ』ベスパやパピリオが復活には最適だと言われたのだ。

------------それは、殆どルシオラの霊基構造の俺だったらもっと最適じゃないのか?

何をバカな、“自分自身と”子供を作るなど不可能。それが出来ないからベスパやパピリオが最適だと言われたのではないか。
ところが横島には極めて希少にして万能の力を振るう文珠がある。それをもってしてもルシオラの復活は不可能だったが、だったら使い方を変えればいいんじゃないのか?そう思い至ったのだ。

その考えが浮かんだとき、横島は硬い煎餅布団からガバッと身を起こした。
思い立ったが吉日。その言葉を如実に表すかのように彼は意識下にストックされていた文珠を取り出すと次々に文字を込め始めた。

初めて文珠を作ったときは一文字づつ使うので精一杯。しかし、今は横島本人しか出来ないが複数同期させて使用することも可能になっていた。

『横』『島』『忠』『夫』『完』『全』『複』『写』『分』『体』

その文珠が発動すると、彼の体からブレるように彼の分身が出現する。横島はすかさず再び文珠を発動させる。

『美』『少』『女』『化』『解』『除』『禁』『止』

眠ったように目を閉じていた横島の分身の体が、瑞々しい肌と艶を持った外見年齢、自分と同じくらいの美少女へと姿を変える。解除禁止、というのは変化が解けるのを未然に防ぐために追加されたもの。ただ、ここで美少女と入れるあたり横島らしいというべきなのか…。

『存』『在』『固』『定』『錠』

最後の仕上げ。いくら文珠とはいえその効果が永続されるのかは疑わしいと云わざるを得ない。そこで彼女の存在を世界に認めさせ、固定化させるための文珠。恐らくこれで作り出された少女は分身ではなく、彼女という個として存在することができうるだろうと思ってのことだった。 
さておき、美少女はどこか彼の最愛の女性であるルシオラの面影があり、彼女と同じ艶やかな黒髪。ただ、彼女と違うのはボブカットヘアーではなくセミロングヘアーだということ。あと胸とか胸とか胸とか。
それは兎も角、妄想で鮮明に美少女やら美女のイメージを作ることのできる煩悩帝王横島プロデュースによる美少女だ。当然というべきか美神達と比べてもなんら遜色ないほどの美少女に仕上がっている。

さて、ここで問題がある。それほどの美少女に対して煩悩の化身横島はどうするだろうか?

「ん…。上手くいったのか…?」

そう言って横島少女が目覚めたときに見た物はパンツ一丁になってルパンダイブをキメる横島の姿だった。

たとえ元は自分だったとしても、これだけの美少女が自分の部屋にいるなんてもー辛抱たまらーん!!!!!!

きゃぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!

やはり横島は邪だった…。


「まったく、いくらなんでもイキナリ飛び掛ってくるんじゃねぇ……って、俺がそれを言えた義理じゃないか…」

横島少女が落ち込んだように頭を抱える。元々が自分であり、分身なだけに今までの記憶もある。つまり当然記憶には自分がそういったことをしていた記憶もあるのだ。その上に性格などは横島をそのまま引き継いでいると言っても過言ではない。
本当に言えた義理じゃないあたりが実にワラエナイ。

横島少女に襲い掛かり撃墜された邪……もとい横島は床にビタンと擬音がつきそうなほど見事に張り付いている。それを見て、複雑な表情を浮かべてしまう。

(ナンパしてシバかれたときっていつもこんな感じなのか…。
確かにこれだと今までで一回も成功しなかったのがわかるよーな気もする。
やっぱ男は顔なんか!? 所詮冴えない君でしかない俺では駄目だというのか!?
------------ 否ぁッ! 美女に声をかけるのは男の義務であり必然!
つまり俺はたとえ何千、何万と失敗したとしても美人のねーちゃんに声を掛けるのは必然であり、世界の真理的な行動!!
っつーわけで今から俺は夜の繁華街に繰り出して美人のねーちゃんをアブナイ夜のストーカーから守るべく出動して------------!!」

「マテやぁっ!! お前がストーカー的な行動をする方やないんかぁッ!?
------------ ハッ。っく、この俺にツッコミをやらせるとは貴様只者やないなっ!!」

「ハッ。今更気づきやがったんか、このッ短小早漏野郎!
そんな野郎は寂しく部屋で恋人の右手で自家発電してりゃあいいんだよ!」

「言いやがったなこのヤロウ!?
つーか、お前も俺なんやからもうちょっとソフトに言えないんかっ!!!」

「フッ。所詮この世は焼肉定食!
弱いやつは焼かれて定食の肉にされるのがオチなんやッ!!」

いつの間にか何時ものように復活した横島と、ツッコミどころ満載な台詞をお互いに撒き散らしてギャグ空間を形成する二人。なんなんだろうこの空間。なんなんだろうこの二人。ツッコミたいがツッコム兵はここには本当に残念ながらいない


「はぁ……はぁ……はぁ……。
…酷く不毛なことをしていた気がするのは何故だろう…」

「同感だな…。
よく考えりゃあ…自分の恥ずかしい経験を暴露して自爆しまくってるだけなんだよなぁ……」

「「…………」」

今更気づいた二人は阿呆のように黙るしかなかった。お互いに自爆しているだけに過ぎないことに気づいた途端、普段どれだけ自分がぶっ飛んだことをしているのか理解したのだろか。

「ま、それはいいとしてだ」

「いいのかよ!」

露骨に話を変えようとした横島に律儀にツッコム横島少女。だが横島はまぁまぁと彼女を窘めると真面目な表情に変わった。
横島は彼女の見ている中、手のひらに二つ文珠を作り出すと『遮』『断』とこめる。

「いちおー訊いておくが、俺がお前を文珠で創りだした理由はわかるよな?」

掌の『遮』『断』を発動させると横島の部屋全体を覆うように結界が形成される。それはこれから始められる行為で、発せられるであろう音やら声やらを遮断するためのものだ。

その結界が形成されたことを確認すると横島少女は小さく頷くと、覚悟を決めたように横島を見つめ返した。真剣な表情の美少女に見つめ返されることに慣れていない横島は、真面目な表情をあっという間にニヘラと崩すと------------

据え膳食わねば男の恥ぃぃぃぃいいいいいいいいい!!!

「うひいぃっ!!」

鼻の下を伸ばしきった表情で、煎餅布団の上で引き攣った表情を浮かべる横島少女へ襲い掛かった。
……やはりどこか締まらないあたり横島たる由縁なのだろうか。


布団の上に押し倒した少女の緊張しきった表情を見て、僅かばかりながら理性を取り戻すと、今まで見てきたAVやエロ雑誌等から覚えた知識の中からまず、どうしたらいいのか模索する。
初めてなのはお互い様。ならば自分は男なのだから女をリードすべき、っつーかリードしたい。

(やっぱ、基本はキスからだよな)

彼女の頬を優しく両手を添えるようにして挟むと、何をするのか察知したのか自然と閉じられた少女の瞼を見て、桜色に色付く彼女の柔らかそうな唇に自分の唇を重ねた。

「んっ…」

小さく横島少女の艶っぽい吐息が漏れる。その桃色吐息にグラリといきそうになった横島はブッチ切れる寸前の理性でギリギリ耐えると、にゅるりと己の舌を使って彼女の唇を割って口腔に侵入する。侵入した先で探していた横島少女の舌を発見し、自分の舌で絡めとると、己の本能の赴くままに強く吸い上げた。

「ふぅぅぅ…」

ぴちゃりという粘膜の擦れる音をたてて一旦唇を離すと、今度はさらに深く唇を合わせて、にちゃりぬちゃりと彼女自身を味わうように口腔の隅々まで貪るように舐る。閉じていた目を薄っすらと開けると横島少女は薄っすらと興奮からか、少し上気していた。
それに気を好くした横島は少女の頬へ添えていた両手のうち、右手を離すと彼女の豊かな胸へと挑み掛かった。初めて触る女性の胸。それは今までどれほど夢見てきたものだったか。興奮を抑えきれず、大きめなそれをTシャツの上からむんずと鷲掴みする。

「あっ、いたっ!」

「あ、わ、わりぃ」

しかし力が強かったのか横島少女はキスしていた唇を離してしまった。横島としても初めて触った女性の胸に興奮しており、少し力みすぎていたと反省して今度は優しく、ゆっくりと揉むように心がけて再び少女の胸に手を宛がった。

「あっ……ふぅ…っん」

「ああ……やーらかいしあったかい! なんて素晴らしい感触なんじゃぁああああ!」

揉めばマシュマロのようにやわらかく指が沈み、放せばゴムのように張りを取り戻す。その初めて味わう素晴らしい感触に思わず横島は魂の叫びを上げずにはいられない。
その、だくだくと感涙しながら美少女の胸を揉みしだく男の図。なんと犯罪臭が漂うこと極まりない光景だろうか。しかし、ここには彼のストッパーたる美神やおキヌといったメンバーはいない。要するに今は世界の真理的現象…つまりお約束も起こりえない。
正しく横島の部屋は彼にとって最高のフリーダム空間となっていた。

「…あふぅ、バカヤロウ…気持ちはわかるけど、少しは…あっ…ムードとか考えろ…」

そんな横島の奇行に呆れたのか、なんとなく女として冷静なのか、横島少女は少し潤んだ瞳で彼を半目で見つめた。それが効いたのか、横島はすまんと謝ると、一旦手を止めて、自分と同じ質素なTシャツを捲って脱がせてしまう。

Tシャツを脱がされ、当然横島と同じ服装になっている為にブラなどなく、遮るものがなくなった胸は、柔らかそうに揺れながら横島の目の前に姿を現した。
それを目の当たりにした横島は、ぐびりと無意識に息を呑んで彼女の胸を凝視していた。

白く弾力があり、その頂上に唇と同じ桜色に彩られた乳首。いくら自分でイメージしたものだとはいえ、実際にそれを目の当たりにするとではまた違ってくる。興奮を抑えきれない彼は、小さいながらも自己主張をしている桜色の可愛らしいそれを口に含んで舌で舐め回すように愛撫する。

「ふぁ……あぁん。これ、んッ! これが女の快感…。
男とは比べ物にならな------------ っひゃん!
それにしても…なんつーかでっかい赤ちゃんみたいだな…ふふふ」

彼女は若干快感のために上気しているが、搾乳される母親のような表情を浮かべて、胸に顔を埋めている横島の頭をそっと撫でる。横島はそれに何も言わずに一心不乱に胸にしゃぶり続ける。

数分も乳房を愛撫されていると最初どこか余裕がありそうな表情だった横島少女も、横島にいやらしく愛撫されているうちに段々性感が高まり、眉を寄せて悩ましげな表情に変わってくる。

白い胸に横島の舌が這い、硬くなった乳首を甘噛みされると、柔らかそうな唇から漏れる湿った吐息が女の艶を魅せる。

「あっ…やぁっ! くひぃ…」

「こんなに硬くなった乳首触られてえっちな喘ぎ声だして、そんなに気持ちえーんやな!」

「ひぁあ! ばかっ!」

女として初めて味わう快感に少女は成す術もなく呑まれるしかない。そこを横島に見られているというのは、彼女の羞恥心を掻き立てるには十分すぎた。
そして羞恥と快感の為に朱色に染まる顔を横島が見てさらに興奮し、両胸を寄せると二つの桜色の乳首を口に含んで舌で舐り、コリコリと甘噛みをする。

「きゃふっ! あっあっあっあっあっ! いぅっ! やぁん!!
ダメぇっ! イクッ、イッちゃう! んぅぅうううううううう!!!!」

ビクビクと体を震わせながら横島少女は初めての絶頂に達した。彼女のジーパンの股間の辺りは水で濡らしたように染みができており、じわじわと広がっていく。
彼女の体の下に敷かれていた布団も、まるでお漏らしをしたかのように濡れてしまっていた。どうやら彼女は水気の多い女の子のようだ。

本来ならば、この程度のことで絶頂に達することはほぼないのだが、彼女の体は横島の意思によってかなり敏感にできていた。つまり凄く感じやすい娘なのだ。

「ぐふふ…。さぁて、いよいよお待ちかねの…」

初めての絶頂に達して、荒い息を吐いてぐったりとしている少女のジーパンに手をかけて、細いウェストに手を回して少し腰を浮かせて下着ごと一緒に引き抜く。
その瞬間、少女の秘唇からむわっと濃厚な発情した女の匂いがたちこめ、横島の煩悩を激しく刺激する。
初めて実物を目にするソコは、くすみのない綺麗な赤色で、花のような形をしていた。

「おおお!! これが女体の神秘! 漢の浪漫!!
なんてえろいんやぁ!! もー辛抱たまらぁん!!!!」

彼は手に持っていたジーパンをそこら辺に放り投げると、彼女のスラリと伸びた白い魅力的な脚を自分の手で広げさせて、薄っすらと陰毛が生えている秘唇に貪りつくように口付けた。

「ひぃぃいい! やっ、やめぇ!」

既に愛液によってべとべとに濡れていた秘所から、新たに湧き出てくる愛液をじゅるずずずっと態と音を立てるように吸い上げて秘裂を満遍なく舐め回す。
まるで夢のようだ。正しく夢にまで見た女体の神秘に口をつけ、挙句に滾々と湧き出る不思議な味のする愛液を飲み干しているのだ。これで煩悩魔人たる自分が興奮しないほうがどうかしていた。

「んぁっ…! ふぁ! ぁっゃっ、あんっ!!」

秘所を無遠慮に貪られている横島少女は、最早頭の中が真っ白で何も考えることができなかった。初めて経験した絶頂で性感が敏感になっているところを激しく舌で蹂躙されているのだ。体を電流が走ったかのような、甘美な快感が駆け巡る。

コリッ------------ 夢中で少女の秘所を貪っていた横島の歯に、何か硬いような微妙なものが当たったような微妙な感触がした。

「きゃひぃ!! あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!?」

「うぉっ!?」

その途端横島少女が一度目の絶頂に達したときよりも激しく体を痙攣させ、秘裂から潮を噴いて二度目の絶頂へと達した。それに驚いたのは秘所を貪っていた横島だ。だが突然のことで驚いたが、当然というべきか潮吹きのことを知っていた彼は直ぐに気を取り直すと、愛液を噴出するそこへ躊躇なくかぶり付いた。

「あぁんッ! ぁっ…ぁっ…ぁっ…ぁっ…ぁっ…!」

必ずしも潮吹き=絶頂というわけではないのだが、どう見ても彼女は達していた。未だに噴出す愛液は秘所に顔を埋める横島がごくりと飲み下している。
横島の歯が触れたそれは秘裂の上側に存在する小さな突起、つまりクリトリスと呼ばれる陰核であり、女性がもっとも感じる部位のひとつである。突然触られても痛いだけのこともあるが、彼女は既に一回絶頂に達しており、体のほうも興奮しきっていたために激しい快感となって彼女を襲ったのだ。

そんな横島少女の痴態を、余すところなく見ていた横島の息子は既にギンギンになり、今にも臨界突入しそうである。そんな横島の目に映ったのは豊かな白い双丘。つまり彼女の胸であった。
それを見た彼がする行動はただ一つ。彼が男の夢、浪漫と言って憚らないもの------------パイズリだ。
横島は顔を埋めていた秘所から離れると、身に着けていた衣服を一瞬にして脱ぎ散らかすと、先程にも増して荒い息を吐いている彼女の裸体を膝立ちで跨ぎ、白く柔らかい胸を寄せて己の息子を挟みこんだ。
いざ動かん、というときになって上手く動けないことに気づく。

「あれ、これだけじゃよーできんな? あ、こーすりゃ………」

「ぅあんっ!」

それだけでは何かが足りないことに気づいた横島は、まだひくひくと痙攣している秘裂に手を伸ばし、彼女の愛液を掬い取ると、息子を挟んでいる胸の谷間に塗りたくる。
彼女の愛液をローション代わりにしたのだ。
準備が整ったところで横島はゆっくりと腰を前後に降り始める。

「うぉぉぉ! やーらかいチチに包まれる息子の感触がなんとも------------ ッ!
こりゃぁよすぎるーーー!」

にゅる…にちゃ…
横島が動く度に粘着質な音を立てて、ゆっくりと白い胸の間をグロテスクな肉棒が往復する。彼としては激しく動きたいこともあるが、今まで彼女を愛撫しているうちに昂ぶっていたこともあり、すぐに射精してしまいそうだったので耐えているのだ。
この柔らかな胸に包まれている感触を少しでも堪能したいがために。

「くぅん…この、なんつー羨ましいことを、あふっ…してやがる」

漸く我を取り戻した横島少女は、自分の胸で羨ましいことこの上ないことをしくさっている横島を目尻に涙を湛えて見上げた。
彼女は女であるためにその感触を楽しむことは不可能。だから目の前の男の自分が羨ましくて仕方がない。しかもそれが自分の胸でされているとすれば尚更だ。

「くぅ…そ、そんな目で見つめんといてぇっ!
------------ あ、あかん! もう射精ちまう!」

横島はサドッ気がないと思っていたが、涙を湛えて悔しがる美少女を無理矢理辱めているような気分になってしまい、イキそうでイケないよう微妙に保っていた息子は一気に臨界を突破してしまい、精液が吐き出される。

「うわっ! ば、ばかおまっ! 顔に掛けるんじゃねぇよ!」

ビクビクと震える肉棒から本日一度目の射精された精液は散々昂ぶらせていたこともあり、普段と比べても大量に吐き出された。そしてそれは当然のようにパイズリさせられていた横島少女の顔へ容赦なく掛けられる。
艶のある黒髪に白い精液がところどころこびり付き、彼女の綺麗な顔にも降りかかった。少女はその白い精液を興味本位からか、顔に掛かったものを指で少しすくって口に含んだ。

「に、にがっ! 精液ってこんな味なのか…」

そして予想外の味に顔を顰める。そこでいつの間にか自分の上から立ち退いていたふるふると、微妙に震える横島の様子に気がつくと同時に、嫌な予感を感じ取った。
------------ がばっ!

「なっ、なぁぁ!」

「ちくしょー! 可愛すぎるぞこんちくしょう!!」

それを感じた次の瞬間には横島に抱き締められていた。抱き締められたことにも驚くが彼の意外と逞しい胸板に思わず胸がどきどき------------ ッ!

(ち、違うんやぁぁぁ! ドキドキなんてしとらんっ!
これは気のせい、気のせいなんやっ! 行き成り抱き締められてびっくりしただけ!
ぁっ、でもやはり逞しくて、あったかくて、気持ちいいかも…------------ って今何を考えたぁぁあああ!!?)

抱き締められて悶えながら無自覚に横島少女は、頬を性的興奮以外の理由で薄っすらと染めてしまう。そんな彼女の様子にさらにヒートアップした横島は桜色の唇を半ば強引に奪うと目を合わせた。

「んっ!? …んふぅ……んにゅぅ」

「ん……そろそろ…入れるぞ」

狙ったかのようなタイミングで唇を奪われた横島少女は、どこかぼぅっとした表情で頷いた。既に二回も横島によってイカされ、びちょびちょに濡らされている秘裂は準備万端。あとは横島のいきりたつ肉棒を挿入するだけである。
横島は一回出したにもかかわらず衰えるどころか、なお荒ぶる息子を少女の秘裂にあわせるとゆっくりと腰を押し進めた。

「ぁんっ!」

にゅるっと亀頭がすべて埋まったところで何かにぶつかって進行が止まる。その感触に訝しげな表情を浮かべるが、それが処女膜だと察知した横島は、それを破るときにとてつもない痛みが襲うらしいことを思い出した。横島としては二人で一緒に気持ちよくなりたいという気持ちが大きい。そこで文珠を一つ取り出すと『淫』とこめて発動させた。

「なっ、なんだこれ。体が熱くなって…ふぁあ!」

「いくぞ…!」

短く告げると一気に処女膜を破る感触があったが一番奥まで突き抜ける。

「ぎっ…! ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「くぅ…なんつー感触だ…」

横島の大きな肉棒は彼女の膣に根元までは納まっていないが、子宮の入り口を感じると横島はそこで一旦動きを止めた。
少女の膣は押し入ってきた男を拒むようにきつく締め上げる。横島少女は突如お腹の中に現れた大きなものに息苦しさを感じながらも、隠し切れない快感を感じる。『淫』の文珠によって性感を引き上げられているのだ。そのために破瓜の痛みなど一瞬にして消え、膣を擦り上げられる快感に変わっていた。

横島も一回射精していなければ耐えられなかったに違いない。初めて男を迎えた膣は最初こそ拒むようにきつく締め上げていたが、少女の快感をあらわす様にねっとりと、絡みつくように蠢いて精液を強請るように肉棒を絞り上げる。

「くぉおおおおおおお!!」

「そんなぁっ! やぁっ! い、いきなり、は、激しっ…きゃんっ!
あっあっあっあっあっぁぁぁぁ!! くぅぅぅぅん! ふぁぁぁぁぁああああ!!!」

横島は無我夢中になって腰を振った。肉と肉がぶつかる音が響き、貫く彼女の嬌声が煩悩を直撃し、さらにそれを結合部が奏でるぐちゅにゅちゃっという卑猥な音が助長する。
少女の秘裂に出入りする肉棒に絡みついて放さない肉ひだごと引きずりだされ、また肉ひだごと膣の奥深くまで突き上げられる。そのたびに反り返った肉棒のカリに膣を激しく擦られ、陰核並みの感度の子宮口を勢い良く突かれる。

「か…はぅっ! た、ただお…もう少し、あぁんッ!! ゆっくり、くふぁ!!」

少女は初めての行為にもかかわらず、元から凄く感じやすい体質と『淫』の文珠の作用によって、膣から溢れる愛液が横島の肉棒を突き入れられるたびに飛び散ってしまうほどに感じてしまっている。

「そー言われても! む、無理やぁぁ!! お前が可愛過ぎるからいけないんじゃぁああ!」

それは横島も例外ではなかった。初めて味わう膣のヌルヌルした感触ながらいやらしく肉棒に絡み付いてくる膣肉と、柔らかな体に少女の淫らな表情と嬌声。既に射精してしまってもおかしくはないほどに興奮しきっていた。それでも保っているのは男の意地、彼女より先にイクわけにはいかないのだ。

「そんなっ、こと! 言われてもぉ!!」

横島少女にとってそんなこと言われても自分ではどうしようもない。自分を創り出したのは横島である。もっとも、自分で姿を変えたところで状況は同じだっただろうが。
とはいえ二人とも既に限界に近かった。横島少女は既に二回絶頂しているし、横島は一回射精しているとはいえ彼女の淫らに、熱く、粘着質に絡み付いてくる膣に与えられる快感に一度目以上に昂ぶらせている。

「あっ、もうっ、っだ! ダメェ!」

「っくぁ! もうイクのか!? そうなんだなっ!?」

「っぅうん! イクっ! もう耐えられないっ!!」

びちゃぐちゃと音を立てながら滴る愛液を掻き分けて、子宮を突き上げる横島の肉棒を小刻みに締め付ける。彼は蕩けきった表情で喘ぐ少女の背中に手を回し、己の胸に抱き締めて出来るだけ胎内の奥深くまで入れようと力強く突き上げる。

そして何度か子宮口を突き上げたとき、今まで散々肉棒に突かれて若干緩くなっていたところを抉じ開けられた。そうして子宮に押し入ってきた大きな横島の肉棒に子宮の奥を突かれ------------ ついに少女は限界を突破した。

「ぁんっ!! あっあひぃいいいいいい!! いっ、イクぅ!!!
イクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううううううう!!!!!」

強烈な快感に再び潮を噴きながら彼女は身を震わせる。
横島も収まりきらなかった肉棒が突然、何かグミのようなものを突き抜け、腰が密着したところで膣とは違う強烈な締め付けを感じ、それがトドメとなった。

「だ、だすぞぉぉっ!!」

彼女の潮吹きを下腹部に感じながらも自身も相当に昂ぶらせた欲望を解き放つ。
大量に吐き出された精液は子宮内部にそのまま注がれ、子宮をすべて満たしていった。

「あっ…あっ…あんっ…。
熱いの射精されてる……忠夫に種付けされちゃってる……」

抱き締められながらじわじわとお腹の中に熱いものが広がっていき、それが精液だとわかると横島に孕まされることの実感が湧いてくる。
横島は最後の一滴まで胎内に吐き出すと、腕の中でぼんやりとした様子で呟いている少女の頭を優しく撫でて性交の余韻に浸った。


「……しっかし、女の体がここまで気持ちいいなんて予想外だったな。
男の快感なんて比じゃねぇぞ」

横島少女は未だ胎内の奥深くまで突き刺さっている横島の肉棒の存在を感じながら彼の腕の中で息を整える。横島のソレは既に二回射精しているにもかかわらず衰える様子はまるでない。男を胎内に迎える覚悟を決めていたとはいえ、お腹の中に異物を挿入されている感覚には少なからず抵抗を覚えるのだが------------

------------ でも、気持ちいいんだよなぁ)

不思議なものだった。ルシオラ以外の女性と交わる事は良しとしなかった自分が、変な言い回しだが、自分が相手なら、相手も自分なのだから良いんじゃないのか。と苦肉の策とも言える思考の末、初めてシたセックス。そこで得た女性としての快感は想像をはるかに超える凄まじいものであった。それは『淫』の文殊も、感じやすい体質の影響もあるのだろうが、それを抜きにしても、だ。

------------ それに
横島少女は横島の腕に抱かれたまま、たった今お腹の、精液を大量に注がれた子宮の上あたりに手を置いた。これだけ注がれれば確実に妊娠するだろう。

------------ 母親の気持ちって、こんなんなんかなぁ……)

ルシオラを復活させるための交わり。それは自分に愛しいヒトを宿すということに他ならない。大切な、愛するヒトが自分に宿る…それは何故かとても素敵な事なのではないか、そう思えるのだ。おかしいのかもしれない。だけど、彼女にはそう思えてならない。

------------ なぁ…すげぇ今更なんだが、お前の名前…決めないか?」

一言喋っただけで無言になってしまった彼女に、横島はヤッてしまった気恥ずかしさを少し覚えながら声をかけた。ただ、その沈黙自体は自分も考え事をしていたので気にならなかった。しかし、いつまでもこの状態でいるわけにもいかず、どこかうっとりとした表情の少女に声を掛けたのだ。
横島の言葉に思考の海からあがると、横島少女はお腹に置いていた手を横島の体に回すと、困惑した表情で見返す。

「…ああ、そういやこのナリで忠夫ってわけにもいかないしなぁ」

最初横島の言った言葉の意味がわからなかったが、確かに美少女然としている姿では『忠夫』はどう考えても似合わないし、横島とどっちか区別できずに不便だ。

「そーゆーこと。だからさ、一応考えたんだけど『忠夫』の『夫』を変えて『忠佳』っちゅーのはどうだ?」

「…俺が言うのもなんだけど、安直な名前やなー」

確かに横島らしいといえば横島らしいが、それではいくらなんでもあんまりだと思ってしまう。そのビミョーな表情で横島を見返すと、案の定…

「しゃーないやないかぁあ! 俺は女の子の名前なんて考えたことなんてないんじゃぁあああああ!!!」

男の子の名前なら考えたことはあるのか。と突っ込みたいところだが、肝心の忠佳はそれどころではなかった。

「んぁっ! や、やめっ!! そんな急に動くなっ!! ふぁ、ぁっ、やぁんっ!」

横島が動くたびに艶めかしい嬌声が出てしまう。それは彼が動いた為に、子宮まで入ったままの肉棒がナカを擦りあげたのだ。そんな忠佳の様子にヒートアップした横島は再び臨戦態勢に入ってしまう。何せまだ彼の息子は彼女の胎内で固さを保っていたのだ。煩悩魔人の彼が今まで何も行動を起こさなかったことをおかしいと見るべきか。

「うぉぉぉ!」

「ひっ、あぁっ!! んはぁあああああああああぁぁああああ!!!」

じゅぷっ!そんな音が聞こえると同時に忠佳は体をガクガクと痙攣させる。子宮まで入っていた肉棒が膣口まで引き抜かれ、そこから肉棒を咥えていために口を開いていた子宮の中まで一気に貫かれて絶叫を上げながらイッたのだ。
結合部からは先程注がれた精液が肉棒と膣の隙間からあふれて描きだされている。
しかし、忠佳がイッたために精液を搾り取るように絡みついた膣肉に、今度は射精を耐えずに描きだされた分以上の精液を子宮の一番奥まで挿し込みながら注ぎ込む。
再び注ぎ込まれた精液に胎内が蹂躙されていく感覚に、彼女はもう一まわり大きい絶頂に達した。

「はぁはぁ…。まだ足りねぇ…まだぜんぜん足りねぇ」

横島は荒い息を吐きながら猛然と腰を振り出す。途端にあがる悲鳴交じりの嬌声を聞きながら、とまることを知らない煩悩に身を任せた。


忠佳を立たせたまま壁に手を付かせ、背後からその秘裂を突き上げるたびに散々注ぎ込んだ白濁液と忠佳の愛液が、じゅぶっぐちゅという音を立ててドロドロと床に零れ落ちて染みをつくる。

「ひぁっ! あはぁっ!! くふっ!! あぁん!!」

横島が既に何回、何十回も突き入れられているのにも関わらず、強い締め付けを保つ秘所へ肉棒を容赦なく根元まで打ちつけ続ける。そのたびに子宮を文字どおり抉られ、わずか数回突き上げられるたびに絶頂を迎えている。
後ろから膣内に肉棒を突き入れた横島の目に忠佳の後ろの穴…つまりお尻の穴が目に入った。どこかモノほしそうにひくひくと蠢いている様子を見ると何を思いついたのか、邪な笑みを浮かべると実行に移す。

「はぁ…はぁ…はぁ…おりゃ!」

「きゃふぅっ!」

ずぷり…まるでそう聞こえたかと思うほどに戸惑いなく横島は、そこへ人差し指を突き入れた。度重なる絶頂のために足をがくがく震わせていた忠佳はこれに堪らず崩れ落ちそうになったが、横島の腕に支えられた。

「そ、そこはぁっ! ち、ちがぁ、ああっ!!!」

思わぬところへ指を突き入れられ、抗議しようとしたところを秘所を突き上げられ、お尻に入れられた指をぐりっとかき回されて強制的に喘ぎ声と変わらされた。

「んー? 聞こえないなぁ? 忠佳ちゃんはここがいいのかなぁ〜? ほれほれ」

そういうとお尻に入れた指を二本に増やして強めにぐりぐりと抉った。余談だが、忠佳は食物類を摂取していないので汚いとか、そういう心配はない。

「だ、だめだって! くぁっ! そ、そんな指ぃい!!」

突き入れられながらぐりぐりと抉ってくる指を拒もうとする。しかし、横島はそんな反応に調子にのって三本、四本と増やしていく。忠佳は体に力が入らなくてそれにどうしようもなく受け入れるしかない。横島が指を抜いたころにはすっかりできあがってしまっていた。

「んー、そろそろいいかなぁ?」

という横島の不穏な呟きが忠佳の耳に入った。
何回も絶頂し、意識も朦朧としているが、それは何かよく聞こえた。

「な、何をするつもりっ、んあぁっ!!」

「おー、意外と入るもんだなぁ」

嫌な予感がした忠佳が抗議しようとしたところにそれは来た。今まで秘所に突き入れられていた肉棒が指によって随分ほぐされたお尻に挿入されたのだ。

「そんな、ところにっ、入れるなっ!」

忠佳の抗議を余所に横島は腰を振り出した。一方の横島といえば予想外の感触に感嘆していた。膣内とは違う柔らかな締め付けが肉棒を包み込んでいる。
ぬっ…にゅぷ…にちゅ…
秘所に激しく突き入れていたときとは違い、ゆっくりと動く。

「ふぅぅぅぅ…あぅぅぅぅぅ…」

忠佳から吐息が漏れる。感じたこともない感覚に戸惑いを隠せない表情の中に悦びが混じっているようにも見える。文珠によって性感が高められているのだから性的快感を感じてしまっても致し方ないだろう。

「ぬふふふふふ…なんだかんだ言ってお前も気持ちよさそうじゃねぇか」

意地悪な笑みを浮かべて後ろから耳元に囁くように呟く。相手が抵抗できないことを知っていての所業。大した悪党である。

「んなっ! そんなことはっ!」

ない、とは言い切れない彼女は言葉を詰まらせるしかない。そんな忠佳に笑みを深めるとゆっくりと挿入していた肉棒を早めに動かし始めた。

「あぅっ! な、なんで…こ、こんな…!」

挿入された肉棒からもたらされる隠し切れないほどの快感に戸惑いを隠せない忠佳。実際のところ性体感はあるので感じてしまってもなんらおかしくはない。

「ぐふふふふふ…それじゃあ、そろそろラストスパート、行きますか!!」

忠佳が感じていることを見て取った横島は、そう告げるとより一層激しく動き出した。そろそろ自分が限界だったということもあるのだが。

「あぁっ! ぁっ…ああぅ! んっんっんはぁっ!」

次第に快感を隠し切れなくなってきた忠佳は嬌声をあげ始めていた。にゅぷぬぷっと挿入される度に自分ではどうしようもないほどに感じてしまう。パンパンと肉と肉がぶつかり合う音が淫靡に響く中で、横島は忠佳の体を抱きしめて、最後の最後に腰を強く押し付けて欲望を吐き出した。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

お尻に熱い精液を注ぎ込まれる感覚についに忠佳も絶頂に達した。膣が収縮して大量に注がれた精液がドロリと零れ落ちて床に白い水溜りを作った。


「んぁ……くぅー…」

抱きしめた柔らかな体から力が抜け、穏やかな寝息が聞こえてくる。その様子にさすがに疲れた横島も苦笑するしかなった。

(寝ちまったか……当然っちゃ当然だよな。初めてでこれだけヤれば体力も相当使うか)

横島自身も性交の疲れのためにけだるい感覚を覚えながら、掌に『浄』の文字が入った文珠を作り出した。それを発動させると精液やら愛液やら、体液で凄まじい有様の部屋の中が綺麗に片付けられた。部屋と一緒に汚れが取れた布団に、腕の中の少女をそっと横たえてそっと体を近くにあったウェットティッシュで拭う。
続いて自分の体も…とその途中でどうせなら文珠で一緒に綺麗にしてしまえばよかったと思うが後の祭りだった。それだけのために文珠をまた使うのももったいないので、おとなしくウェットティッシュで体についた体液を拭い取っておく。
すべて拭き取った横島は穏やかな寝息を立てる忠佳の隣に腰を下ろした。

(ルシオラを復活させるため…結局これも自己満足なのか。
だけど……ルシオラ、お前のいない世界がこんなにも色褪せて見えるもんだとは思わなかったよ)

少し視線を下げればどこかルシオラの面影を残す少女の寝顔が目に入る。穏やかな寝息を立てる忠佳の頭をそっと撫でると、しっとりとした髪の毛の感触。軽くうぅんと寝返りを打つその仕草を見ていると、まるで本当にルシオラが隣にいるような錯覚に陥る。

------------でも、こいつはルシオラじゃない。ルシオラの代わりは誰にもできないしさせるつもりもない…。
忠佳は忠佳、ルシオラはルシオラとして生まれた。忠佳に、ルシオラを幻視するなんて忠佳にわりぃよな)

そのまま寝転がるとすぐに睡魔が襲ってきた。隣の忠佳を抱き寄せて、睡魔に抗わずに身を任せると闇に意識が消えていった。


◆§§§§§◆


翌日、二人の姿は美神除霊事務所にあった。そして二人の前には上司であり、オーナーの美神令子の姿。事務所の中にはなにやら剣呑な雰囲気が張り詰めており、下手な真似をすれば爆発するのは間違いない。

「…で、横島君。その女の子は誰なのか……説明してくれるわね?」

そんな重々しい空気の中で最初に口を開いたのはやはりというか、美神であった。
その言葉だけなら優しく尋ねられているようだが、実際は禍々しいオーラを放ちながら「話さねば今、ここで、二人まとめて、ブッ殺ス」と据わった目が語っている。その怒気を対象はいつもの横島だけではなく、今日はもう一人の黒髪の美少女…忠佳にも向けられていた。いや、正確には「ぁぁん? テメェ、誰だこの女狐が」というような視線であったが。室内で遠巻きに、いつもならその光景をまたやったのか、というような呆れた表情で見ているおキヌ、シロ、タマモといった面々も美神ほどではないが刺々しい視線を向けていた。

彼女らはいつもどおり出勤してきた横島に、いつもどおり、いつものように挨拶をしたのだ。しかし、今日はなにやら彼の雰囲気がいつもと微妙に違うことに気づいた。何も美神令子は単なる戦闘能力のみで一流といわれているわけではない。洞察力や判断力、観察力も今までの経験から人並み以上に培われているのだ。そして、それは他のメンバーも例外ではない。
そこで横島にその原因を、美神達自身からすればそこはかとなく聞きだそうと口を開きかけたところ、彼に手を引かれて見知らぬ、だがどこか既視観を覚える美少女といって差し支えない少女が入ってきたのだ。シロとタマモは純粋に訝しんでいるようであったが。そして何よりも二人の間の雰囲気が面白くない。なんとなく、どことなくだが甘い雰囲気をまとっているのだ。それも、恋人といったような。
普通なら気づかない程度のものではあったが、敏感な彼女ら------------ 横島に惹かれている面々としては看過できるものではない。おそらく否定するであろうが、美神、おキヌ、タマモ、シロは大なり小なり横島に対して好意を持っている。その横島がどこの馬の骨ともわからぬ女とそんな甘い雰囲気を匂わせているのだ。態度が刺々しくなるのも致し方ないだろう。

「…えっと、美神さん。なんで皆怒ってるんスか……?」

横島からすれば、美神達がそんな態度をとる理由が思い当たらない。今日はまだセクハラしたわけじゃないし、遅刻してきたわけでもないからだ。それは忠佳にしても同じことで、なぜそこまで怒ることがあるのか皆目見当がつかない。まさか、普段からいいように扱き使われている自分が、好意を持たれているなんて微塵も思っていないからだ。それは美神達の自業自得ともいえるのだが。
忠佳は女の子になった為に精神的な影響も出てきたのか、美神たちの剣幕が怖くて若干涙目になり、横島に握られている手をぎゅっと握った。彼は彼女の仕草と握られた柔らかい手の感触にいつもどおりくらりと行きそうになったが、何やら美神達のほうからピシリと不穏当な音が聞こえたような気がして何とか耐えることに成功した。…ギリギリセーフであったが。

「質問を…質問で返すんじゃなーーーい!!!」

「みぎゃぁああああああ!!」

横島はいつの間にやら二人目掛けて振り下ろされた、バチバチと鳴る神通棍から忠佳を庇って一人その身に受けた。それを見た美神が眦を吊り上げてさらに不機嫌そうな顔になる。これで先ほど忠佳に襲い掛かっていたのなら、さらに状況は悪化していただろう。

「……おーい…忠夫〜? 生きてるか〜?」

忠佳はいつものように床に平伏した横島をつついた。記憶的にはいつも自分が受ける立場だったのでその姿を見るのはどこか新鮮だ。

「いてててて……なんかいつにも増して力入ってたよーな…」

さすがに不死身といわれるだけあって、普通なら半日と立ち上がれないだろう程の打撃を受けても大丈夫な様子で、神通棍を受けたところを押さえながらよろよろと立ち上がった。美神はふんっとそっぽを向くと自分の椅子へ腰を下ろす。

「それで、その女の子が誰なのか…話してもらいましょーか」


「昨日、ヒャクメから呼び出しを受けて妙神山に行ってきました」

「ヒャクメから呼び出し…? もしかして」

美神とおキヌの表情に翳りが入る。勘のいい彼女らはそれだけで気づいたのだ。『彼女』関係のことだと。しかし、『彼女』を知らないシロやタマモからすれば何のことなのかまったくわからない。

「ねぇ…。なんで横島がわざわざ呼び出しされる訳? また何かやったんじゃないの?」

「そうでござるなぁ…。先生は女性が関わってくると物凄いでござるからなぁ…」

「じゃかぁしぃわ!! 俺だっていつでも女の尻を追いかけてるわけじゃないワイ!」

タマモとシロに反射的に言い返すが、普段の彼の行動を知っている者であれば信じられないだろう。当然のように二人から信じられないという視線を頂戴した。

なんかとってもドチクショーー!!

「シロ、タマモ、茶化すなら出てって。そんなこと言ってられるほど余裕がないの」

床の上で悔しがる横島を横目に、いつもとは違い即座に美神が二人に鋭い視線を向ける。いつもとは違う鋭い視線に二人も一筋縄でいかない話だと理解したのか口を噤んだ。

「そ、それで、どうだったんですか?」

おキヌが先を促すと横島も姿勢を直すと忠佳の隣に戻った。美神は彼女の隣に戻ったことに若干眉を寄せるが、それよりもヒャクメからの話が気になるので何も言わずに無言で続きを催促する。他の面々もそのことについて一言言いたいような顔をしていたが、美神が何も言わないので黙って見過ごした。

「……このまま放置しておけばルシオラの復活の可能性はどんどん低くなっていくそうッス。
原因はルシオラの霊基構造と俺の霊基構造が少しずつ融合していってるからだそうです」

「何のことだか拙者にはわからんでござるが、るしおらとは誰のことでござるか…?」

「さぁ…? 私も知らないわ」

「……二人には後で話すわ。横島君も、それでいいかしら?」

当然のように疑問符を浮かべた二人に美神は横島の方を向きながら尋ねる。そのとき、黙って話を聞いていた少女の顔が目に入った。そのとき脳裏に黒髪赤眼の触覚の生えた少女の姿が浮かぶ。横島の死に別れた恋人、ルシオラだ。どうしてこの少女の顔を見て彼女のことを思い出すのか…そう思った美神はあることに気づいた。
黒髪赤眼…脳裏のルシオラと目の前の少女の顔が重なる。そこで既視観の正体に気づく。

「…ルシオラ?」

------------ そうだ。横島が連れてきた少女はルシオラに似ていた。だからどこかで見たような感覚に囚われていたのだ。
美神が少女に向けた呟きはその場の全員の耳に届いた。おキヌがハッとしたように彼女へ目を向け、タマモやシロも少女へ視線を向けた。

「な、なんっスか?」

いきなり自分に集まった視線に戸惑った表情をする少女の顔は、改めてよく見ればルシオラそっくり…という程ではないが確かに似ている。美神たちが少女を見つめるその中で、タマモが鼻をスンスンと鳴らして匂いを嗅ぎながら一人不思議そうな顔をする。タマモは首を傾げながら隣にいるシロへ声をかけた。

「ねぇシロ…なんかその女から横島と同じ匂いがしない? 若干違うけど、双子みたいな感じがする」

「む…。言われてみれば確かにその御仁から先生と同じような匂いがするでござるな」

「なんですって!?」

タマモとシロの言葉に驚きを隠せない美神が横島と少女へ視線を向けると、さすが犬神だなぁ…と呟いている二人の姿が目に入った。

「よ、横島君……あんた、まさか…」

さすが伊達に一流といわれている訳ではなく、今までの僅かな情報から推測の域を出ないが、ある程度予想が付いたらしい美神が震える声と体で動揺を表す。しかし、おキヌたちはわからないらしく、美神の動揺している姿を珍しいものでも見るように眺めている。実際に美神が動揺することなど珍しいので当然だったかもしれないが。

「さすが美神さんっスね。恐らく考えているとおりだと思いますよ。
俺は横島忠佳。忠夫の妹でも姉でもありませんし、従姉妹だなんてこともありません。
俺は------------ 横島忠夫ですよ」

少女、忠佳からもたらされた衝撃の言葉に横島を除く一同が言葉を失った。よもや少女の正体が横島本人だとは思いもよらなかったのだろう。だが、同時に何故、という疑問も湧いてくる。

「な、なんで横島さんが二人もいるんですか! しかも女の子になって!」

「言ったろ? ヒャクメにルシオラの霊基構造と俺の霊基構造が融合し始めてるって言われたって。そのせいでルシオラの復活の可能性がどんどん低くなっていくってさ」

横島の説明を受けて、それでも美神とおキヌは納得出来かねる表情をしていた。それと横島が二人いる理由の関係がまったくわからないのだ。

「先生、さっきから出ているその、るしおらとは誰のことなんでござるか?
拙者が里から帰ってきたときにはそのような人はいなかったでござる」

「そうね、私も知りたいわ。時期的にシロが知らないなら私が知らないのも当然だけど」

ルシオラを知らない二人からすれば困惑を払拭できない。横島が二人いることも不可解だが、そうなった原因らしいルシオラなる人物を知らないのだから会話についていけてない状態であった。

「そうだな…。まず、二人に話しておかなきゃいけないか」

そうして横島はゆっくりと話を始めた。そのときを懐かしむように、哀愁を交えた表情をして。
つい半年前程に、世間では核ジャック事件と呼ばれ、関係者には魔神大戦と呼ばれる事件が起こった。冒頭に記したように、魔神アシュタロスが全神魔を相手取り、反旗を翻した事件だ。

そして、アシュタロスの生み出した三人の造魔のうち一人がルシオラだった。彼女達は強大な力と引き換えに一年という短い寿命しか与えられず、エネルギー結晶を取り戻し、計画を成功させるためだけの駒として創造された存在。そんな彼女達と敵として出会ったのが初めであった。

ところが、横島はひょんなことから三人の下へスパイとして送られることになった。そこでの生活は最初はペットとしてだったが、横島と触れ合うにつれ、いつしか三姉妹としてもペット以上の存在へとなっていた。

そんな生活が続いたある日、人間達の攻撃を受けたのだ。そのときに死に掛けた、敵であったはずのルシオラを救ったことによって二人の距離は急速に縮まったのだ。そのときからお互いに強く惹かれあい、ついにはルシオラは姉妹や、アシュタロスたちを捨ててすら横島と行動を共にするようになった。

しかし、その生活も長くは続かなかった。最終決戦の中で彼女の妹である蜂の魔族べスパとの戦闘になったのだ。ルシオラはべスパと比べてパワーで劣っていたために苦戦を強いられる。その戦いの中、べスパの渾身の一撃があわやルシオラを直撃しそうになったところを横島が庇い、その隙を突いてルシオラがベスパを打ち倒したのだ。
だが、ベスパが放った妖毒は魂の構成情報、つまり霊基構造を崩壊させるものだった。それはたとえ文珠ですらどうしようもなかった。そこでルシオラは己が死ぬことを承知で霊基構造を気を失った横島に与えたのだ。じきに意識を取り戻した横島はどこか様子のおかしいルシオラを訝しみながらも促され、アシュタロスとの決戦へと赴いていった。

そこでアシュタロスからもたらされた情報は、横島を打ちのめすには十分足りえるものだった。自らを犠牲にして横島を助けたが為にルシオラが死んだというのだ。横島は復活した美神とともに、世界のあらゆる法則すら覆すことが可能なコスモプロセッサーの中枢まで進行し、ルシオラを復活させようとするがアシュタロスに阻まれ、失敗するもののコスモプロセッサーの動力源であるエネルギー結晶の奪取に成功し、破壊しようとするが……。

「いいのかね? それを破壊すればルシオラは復活できなくなるぞ!」

アシュタロスに告げられた言葉に横島は迷った。
世界か、それとも愛する魔族の少女ルシオラか、どちらか選ばなければならない究極の選択。そして------------

「後悔するなら、お前を倒してからだ、アシュタロス!!」

…横島は世界を選び、エネルギー結晶を破壊した。


「……その後、ヤケになったアシュタロスが究極の魔体っつうのを出してくるけど、取り立てて話すことじゃないな。破壊したし」

「まぁ、そうして魔神大戦は終結した。………ルシオラを、俺が見殺しにして、な」

話を終えた横島と忠佳はまるで感情が感じられない能面のような表情で締めくくった。途轍もない話に重苦しい沈黙が事務所を包み込んでいた。美神は悔しそうな、悲しんでいるような表情で拳を握り締め、シロは涙をポロポロと溢しながらせんせぇ…と小さく呟く。タマモは普段の横島からは考えられないような苦行と絶望感を感じ取り、信じられないとばかりに目を見開いていた。おキヌは何もできなかった無力感に打ちひしがれ、俯くしかできなかった。

「だけどルシオラには復活するチャンスがあった。それが、俺の子供としての転生の可能性」

続いた横島の言葉に美神を除く全員が驚いた表情をして顔を上げた。

「ヒャクメから聞いたんだけどな。俺の中のルシオラの霊基構造を胎内で再構成して構築すれば復活させることができるってさ」

まさに寝耳に水だと言わんばかりの表情をする皆に忠佳と横島は苦笑いを浮かべるしかない。

「そこでさっきの話に繋がってくるんだけどな」

「どういうこと?」

「さっきも言いましたけど、そのルシオラの転生についてヒャクメに呼ばれたんですよ」

「ルシオラと俺の霊基構造が徐々に融合していってて、このまま放っておくとルシオラの転生が不可能になるらしいんス」

よく分からない、と疑問符を浮かべている皆を前に二人は少し考える仕草をするとたとえば、と切り出した。

「つまりですね、ルシオラを転生させるためには純粋なアイツの霊基構造が必要なんです。
それが俺の霊基構造と融合してしまうと別物になってしまってルシオラだけの霊基構造を取り出すことは不可能になってしまうんですよ」

「ちょっと待ちなさいよ。ルシオラとあんたの霊基構造が融合してあんたには何の影響もないわけ?」

「…さすが美神さんっすね。当然俺にも影響はあります。
俺の霊基構造とルシオラの霊基構造が融合することで魔族化するらしいです。
俺の霊基構造がありますから完全に魔族になるわけじゃなくて、半人半魔らしいですけど」

「そ、それはつまり先生が人間じゃなくなってしまうってことでござるか!?」

ようやく状況を飲み込めたらしいシロがガタンと音を立てて立ち上がった。見れば他の全員も同じことを言いたげにしている。

「そうだな。だけど、正直言って俺はそのことはどうでもいいんだ。
たとえ人間じゃなくなったとしてもルシオラが帰ってくるならそれでもいいと思ってる」

「付け加えるなら既に手遅れだ。ルシオラを復活させようがさせまいが、どっちみち俺達は魔族化することは免れないとさ」

一同は横島達の言葉に声も出ない。まさか、普段ちゃらんぽらんで女の尻しか追いかけていないような彼が、そんなことを考えているとは思いもよらなかったのだ。それに、魔族化するというのもその一因である。

「…まぁ、小竜姫様に神魔の過激派が動き出すかもしれないから注意しろとは言われたけどな。
なんなら妙神山にいってもいいらしいし」

「はぁ…。アンタがそこまで決めてるなら私達には何も言えないわよ。
それで、まだ続きがあるんでしょ? なんで二人になってるのか聞いてないわよ」

言い逃れは許さないとばかりに二人を半目で睨み付ける。他の全員も今までの話があまりにもディープだったために忘れていたようだが、まだそのことを聞いていない。
美神達の途端に鋭くなった眼光に二人は一瞬気圧されてたじろぐ。

「えーっと、昨日ヒャクメに話を聞いて帰ってきたときに、以前アイツに言われたことを思いだしたんスよ」

「なんて?」

「ルシオラを復活させるには、ルシオラと酷似した霊基構造を持つべスパか、パピリオが最適だって言われました」

「ってーことはアンタまさか!」

横島と忠佳は気づいたかと思ったが、話を聞いた美神達の纏う剣呑な雰囲気に戸惑う。なにやらよくない事で勘違いされているような予感がヒシヒシとする。
こういうときの彼の勘はよく当たるのだ…。

「昨日妙神山に行ってきたってことは、当然保護観察処分になってるパピリオもいるはずよねぇ……?

と、美神がバチバチと放電現象を起こす神通棍を手に持ち、

「となると、横島さんはパピリオちゃんとそーゆーことをするために行ってきたって事なんですよね…?
うふふふふふふふふ…横島さん、覚悟は…いいですか?

おキヌが真っ黒い笑みを浮かべてネクロマンサーの笛を取り出し、

先生…拙者は先生がそんなことをする人だとは思わなかったでござるよ

シロが両手にいつもより二回りほど大きい霊波刀を出現させ、

横島…アンタはそんな人間じゃないと思ってたのに……失望したわ

タマモが赤を通り越して青白い色の狐火を周囲に浮かべながら目が微塵も笑っていない妖艶な笑みを浮かべ、

「「ちょ、お前ら何か致命的な勘違いをしているぞ------------!!」」

しかし、暴走と勘違いの前に言葉は無力。
必死に弁明しようと後退する横島達二人にジリジリとにじり寄り、

問答------------

壁際に追い詰めたところで美神が、おキヌが、シロが、タマモがそれぞれ構え、

------------ 無用!!!!!!

一斉に二人の横島に大挙して攻撃を放った。

「「うぎゃぁあああああああああああああああ!!!!!」」

二人の断末魔の絶叫は周囲に広く響き渡ったという。いつも以上の絶叫にのほほんとお茶を飲んでいたお爺さんとお婆さんが、心停止してしまうなどの影響があったが、……全くの余談である………多分。

「「あー死ぬかと思った」」

そう言って何事もなかったかのように立ち上がった二人がいたことも全くの余談である。


「話を戻しますよ。
------------ つまり、本題はルシオラと酷似している霊基構造を持つ者が転生させる母体としては最適なんだ、という一点に収束しているんですよ」

「それって……」

視線を少女へ這わす。酷似しているどころかそのものの霊基構造を持ち、なおかつ女性体であるその存在へ。

「そう、俺は思ったのさ。
酷似しているどころかルシオラの霊基構造そのものを持っている俺がべスパやパピリオ以上に最適なんじゃないのか、っていうことを」

「もちろん、それは普通じゃできないし、普通の人間なら考えもしないことでしょうけど。
……でも、俺には文珠があるからこそできたこと。それに、嫌だったんですよ。
ルシオラ以外の女性とそういうことをするのも、その女性に俺の最愛の女性かもしれない子供を産ませることも」

美神達は何もいえなかった。あの煩悩魔人ともいう横島がそんなことを思っていたなんて想像もできなかった。美神はルシオラの復活の機会を自ら潰し、世界を取ったときの彼の慟哭の叫びを忘れたわけではない。だからこそ何も言えなかった。
おキヌ達からすれば、羨ましかった。死して尚、そこまで横島に想われている魔族の少女が。横島が心から愛し、求めた存在が妬ましかったのかもしれない。だが、だからこそ何もいえない。その横島の優しさこそが自分の惚れた理由の一因でもあるために。


◆§§§§§◆


「美神さん達、怒ってたな」

横島と忠佳の二人は思い出の場所に来ていた。普段ならまだ勤務中の時間であるが、今日はバイトは無理言って休ませてもらった。

「そうだな。だけど、これだけは譲れないさ。
それに、ルシオラを産ませるだけの道具なんて思っちゃいないから、お前も大事な人だよ」

彼女が好んでみていた沈んでいく夕日を見ながら、己の半身を片手で抱き寄せた。彼女はそれにビクッと少し反応するが、結局何も言わないでされるがまま彼の肩に身を寄せる。

「仮にも自分自身を口説くなよ。…ま、確かに疎かにされるよりましだけどな」

問題は色々と山積みであった。デタント反対派の過激派が、世間的に見れば大戦の英雄という立場の自分達を狙ってくるかもしれないということ。それに、もはや免れない魔族化。それにあのとんでもない両親…。
でも、とりあえず今はこれで満足だった。ルシオラの復活のための布石はうったのだ。今はそれだけで十分だ。前途多難ではあるが、自分は一人じゃない。新しくできた半身もいるし、事務所の皆、小竜姫様や、ヒャクメやパピリオだっている。

「ま、これからよろしく頼むぜ、忠佳」

「そんなこと今更だろ。確かに忠夫の相手は大変だけどな?」

「…あっ、おま、そっちの意味じゃねぇよ!」

「くっくっく…どうだか。昨日だって大変だったんだからな」

「お前だってあんなにひぃひぃいいながら気持ちよさそうに喘いでたくせに!」

「な、なななななんだと! そっちだってあんなにケダモノみたいに襲ってきたくせに!!」

「なにおぅ! それを言ったらお前だって------------

そんな二人の様子を、沈んでいく夕日だけが見ていた。


きっと続かない。


あとがきという名の言い訳

まず最初に、無駄に長い上、お目汚しをすみませんでした。つい衝動的に書きたくなってしまい、その衝動のままやってしまいました。
GSのSSを書くのはこれが初めてであります。18禁を書くのは二回目ですが。そのためにおかしい所などあるかもしれません。というか、たくさんあるでしょう。
GSのSSを今まで見ていただけでしたので、実際に書くと思っていた以上にギャグを入れるのが難しく、難儀しましたがどうでしょうか…。
なんとなく続編を匂わせるような文体ではありますが、多分、きっと、おそらく続きません。というか、続けられても困るでしょうし。

では、戦々恐々としながら感想、批判、その他諸々お待ちしています。


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