人には三大欲求というものが存在し、それぞれ食欲・睡眠欲・性欲といった三つの欲求が存在する。
そういった欲求は人だけでなく妖怪も例外でないといえる。
妖怪の一匹である白面金毛九尾の狐、その転生体であるタマモは特に食欲が強かった。
タマモはあげが好きである。
その中でも特に好きなのはきつねうどんと稲荷寿司である。
特に今最も食べたいと思ってるのは稲荷寿司だったりする。
先ほどきつねうどんを何杯も食べたため今度は稲荷寿司を食べたいというのが今の彼女の思いである。
しかし今はその稲荷寿司は食べられない。なぜなら彼女はお金がないからである。
お金がなければ物は買えないしお店で飲食もできない。前みたいに無銭飲食をするという手もあるがそれは美神に止められた。
稲荷寿司を食べたいがお金がなく、今美神は美神の母である美神 美知恵に呼び出されている為この場にはいない。
十分ほど前、タマモにきつねうどんを食べさせ事務所に戻ってきた所、丁度美知恵から事務所へ連絡が来て呼び出されたそうだ。
余談だが美神は顔を真っ青にしながらブツブツと何か言っていた……
美神が事務所からいなくなった為タマモと人工幽霊壱号しか事務所にはいなくなってしまった。
現在おキヌと横島は学校に行っている。タマモ曰くバカ犬のシロは朝の横島との散歩が終わった後2時間ほど
してから散歩へ行って来る と言って一人で散歩に出かけていった。
現在の時間は11時頃、シロが散歩に出かけてから1時間ほどが経過しようとしていた。
美神は出かけたばかり、シロは最初から当てにしてない、おキヌと横島は学校に行っている。
しばらくは稲荷寿司は御預けかと思っているとそこに救いの神(タマモにとって)が現れた。
「みっかみさあああああああん、貴方の横島が帰りましたよー!!!っていないのか……」
赤いバンダナが特徴の横島である。
横島の学校ではもう夏休みに入る前の短縮日課になっている、その為このような時間帯に事務所に来たのだ。
タマモにとってこれは願ってもない事だった、いくら貧困な横島とはいえ稲荷寿司のひとつぐらいなら買えるだろうと思ったからである。
「ねぇ横島」
タマモは横島に声をかける。
「ぬお!いたのかタマモ」
横島自身はタマモの存在に気づかなかったらしく驚きをあげた。
横島は煩悩の塊といっても過言でない。彼の女性の守備範囲は高校生以上である。その為対象は美神令子がこの事務所の中で一番ストライクなのだ。
その為真っ先に美神を求めてしまうのである。
尤もおキヌもストライクゾーンだがおキヌに手を出したら駄目だと自分では思っている。
タマモはそのストライクゾーン外で美神の事を真っ先に考えたためすぐにタマモに気づかなかったわけである。
しかしタマモからすればそれは許せない事である。彼女とて外見は中学生だが魅力的なナインテールで数多くの異性が魅了されている。
横島の守備範囲外とはいえ彼女のプライドに若干傷がつくこととなる。
このような思いを聞くとはたから見れば片思いの少女に聞こえるかもしれないが彼女はあくまで魅力が通用しなかった事に傷ついてるだけである。
横島 忠夫という人間に好意を抱いてるというわけではない。どちらかというと奇妙な人間としてみている。
それは隅においておこう。
先ほども申し上げたが今の状況にとって横島はタマモにとって救いの神的な存在だ。勿論言う言葉は決まってる。
「横島、お願いがあるんだけどさ稲荷寿司買ってくれない」
しかし当然貧困な横島は、
「お前なぁ、俺の時給どうなってるか知ってるだろ、今度買ってやるから勘弁してくれよ今はピンチなんだからさ」
当然断ってきた。
しかしタマモとてそれはわかっている。そういった時の為にこういう技を用意したのだ。
それは……上目遣いである。男性にとって異性の上目遣いは非常に効果的だ。そして中学生のような外見とはいえ彼女のような美少女がするのである。
いくら守備範囲外とはいえ女性に弱い横島は……
「わかったからそんな目で俺を見んでくれー!! ワイはロリやないんやー!!」
事務所の壁に頭をぶつけ自らの欲望を振り払おうとする横島。それを見てタマモは思わずニヤリという顔を浮かべた。
これで稲荷寿司が手に入る、そう思い思わず顔がニヤけてしまうタマモであった。
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場所は変わって商店街、ここは人だけでなく妖怪なども招き入れる世にも珍しい商店街である。
花屋や八百屋など様々な店が出ているがどれも今のタマモには興味がない。
彼女には稲荷寿司しか興味がない。その為彼女の目指す場所には寿司屋しかないのだ。
事務所から数分、ようやく目的地の寿司屋に到着したタマモは念願の稲荷寿司を買うことに成功したのだ。
「お前なぁ、よりのよってそんなに買うかぁ?」
「いいじゃない別に、それに多いほうが一個あたりの料金安いしアンタにもいいでしょ」
そんな会話をしつつ事務所に帰る途中横島はあるお店の前で立ち止まった。
本屋である。
「タマモ、悪いがお稲荷さん食べながらでいいからちょっと待ってくれないか。頼まれたものがあるんだよ」
タマモは別にかまわないといい本屋の外で稲荷寿司を食べながら横島を待つことにした。
タマモ自身横島の買う本など大体目に見えてる。たとえそれが頼まれたものだとしても。
よってタマモは横島の好きにさせる事にしたのだ自分が被害を被るわけでもないので横島を行かせた。
しかしこの後すぐに自分が被害を被るとは予想できなったようだ。
「悪いな待たせちまって」
少々悪気のありそうな声と共に横島は本を数冊持って出てきた。それらはすべて漫画本であった。
タマモは珍しい物を見たと思いつつも食事を再開したのだった。何しろ横島はお金がないため漫画を買う余裕がないからだ。
たとえそれがお金を借りて頼まれたものを買ってきた物だとしても珍しいからだ。
「ピートの奴がさ、これを買ってきてくれっていって……まったく自分で買えっての」
横島は愚痴をこぼすがタマモは驚いた。
ピートというヴァンパイアハーフとは一度会ったことがあるが彼はとても漫画を読む人間とは思えなかったためである。
彼はヴァンパイアハーフでありながら教会で唐巣神父の手伝いをして、さらには祝福までされている。
神父と同じくお金のない人の為に働いてる彼がよく漫画を買う余裕があったなと思った。
しかし彼が興味を示す漫画とは何だろうそう思い横島にお願いした。
「横島…その漫画って何なの」
「見ない事を勧めるが……まぁいいが後悔するなよ」
「別に漫画程度でそんな後悔だなんて大げさな言葉はいらないわよ」
そう半分小馬鹿にしつつもその漫画を開いてみる事にした。
横島が知らねーぞ などと言ってるが無視する。
そして目に入ってきたのが……
フォオオオオオオオ! それは私のお稲荷さんだ
時が止まった!
「おーい、タマモ大丈夫か?」
ボトッと食べかけの稲荷寿司が手から落ちていく……しかしタマモは反応がない。
「だからやめとけっていったんだ……」
そう、その漫画は究極!!変○仮面だったのだ。
その後暫くの間 稲荷寿司がトラウマになったそうだ。
「ふふふ、こういう風な格好して横島さんに迫れば僕の愛も受け止めてくれるよねぇ。」
「おお…神よ……」
暗い部屋にて漫画を読むヴァンパイアハーフとそれを扉の影から覗いて十字を切っている神父がいたそうな
終われ
−後書き−
やっちまった……
どうも眠れなくずっと起きてたらこんな電波を受信したので衝動で書いてしまいました。
一応処女作です。初めての作品がこんなのでいいのかと思いつつ作ってしまいました。
誤字の指摘や訂正したほうがいい部分がありましたら教えていただけたら助かります。
没電波
究極の魔体の時にて
横島は文殊を二つ取り出しそれに<魔><力>の文字をこめそれを飲み込む
横島の体から流れてくる魔力…そしてさらに文殊を二つ取り出し天へと掲げた
刻まれてる文字は<永><劫>
「アイオーーーーーーーーーーーン!!」
「やめんかっ!!」
ドゴスッ!!