青い空、喧騒な教室、その中に一人の少年がいる。
目の下に隈をこしらえ何やらぶつぶつと呟いている。
周りの子供らも少年を避けて話をしている。
もちろん、話の内容は少年の事が中心のようだ。
内容を聞くに、少年は普段と違い誰よりも早く登校してきたらしい。
ゆえに誰も少年に話しかけられないがために、今の状態が続いている。
そんな中、その少年の親友に当たる子が登校してきた。
「おはよー、みん……。 ……何があったんや?」
普段道理に入ってきて挨拶をした少年は異様な雰囲気の教室にたじろぎ、近くの友人に尋ねる。
「んー、横島がなんか変なんや。」
その言葉に自身の親友を見に行く。
席に荷物を置き後ろを見るが、相変わらず目の焦点が合っておらず、少年が座ったことにも気づいていない様子だ。
「おーい、横っち? 大丈夫かぁ?」
「ん? ……あぁ、銀ちゃんかぁ。」
「珍しいなぁ、横っちがこないな時間に来とるなんて。」
「ん~。 夜中に起きて眠れへんかったから……。」
覇気が無い。 普段は元気の塊のような少年であり、たとえ病気や怪我をしても明るく登校してくる姿は、影も形も消えうせてしまっている。
いつもは話しかければ先生が注意するまで続く会話もあっという間に切れてしまった。
そんな沈黙の中、少年が親友に話しかけた。
「なぁ、銀ちゃん。」
「……ん? なんや?」
「俺、スカートまくりはもうせーへんし、勉強もちぃと頑張るわ。」
「「「「「「「なっ。」」」」」」」
少年――横島忠夫の言葉に親友――堂本銀一を含め聞き耳をすましていたクラスメートたちは固まり、喧騒としてた教室は静寂に包まれた。
とある小学生の物語
事の始まりは夜中だった。
小さい頃から優しくも厳しい父母に育てられた横島は、その父の悪癖と母の凶暴さを知らなかった。
もちろん、子への影響を考えた夫婦の約束事であり、横島にはそういった面を見せていなかったからである。
その事実に気づいたのは4年生の終わる頃だった。
たまたまトイレに起きた忠夫少年は、リビングの電気がついており、そこから父母の声がするのに気づいた。
当時多忙だった父は忠夫が起きるより早く家を出て寝たあとに帰ってくることが多く、会える日は休日ぐらいであった。
そんな忠夫は父の帰宅に喜び、リビングの扉を開けた。
そんな忠夫が見たのは、浮気に対して制裁をくわえている母の姿だった。
忠夫は何がおきているのか全くわからなかった。
ただ、父が何かをし、母を怒らせたということだけは理解できた。
それでも母のその力に萎縮し、その場に縫い付けられたように動けなくなってしまった。
そんな制裁も落ち着き、一段落ついた母が忠夫を見たときは怒られるかと思い、思わず目をつぶり黙って母を待っていた。
その母の手が自分の頭をなで、抱きしめられたときには体の力が抜け、涙でにじんだ目はその奥のなまものを視界から消してくれた。
自室に連れて行かれ、落ち着いた忠夫に母はゆっくりと聞かせてくれた。
その内容はなぜ父が怒られていたかについてだった。
そこから話は広がり女性に対しての事に繋がり、その過程で忠夫は学校での悪戯を伝え、もうしないことを母に誓った。
母もそんな忠夫に納得し、布団に寝かし、自身も寝室へと向かった。
ただ誤算だったのは、忠夫は今日の事が頭から離れず眠れなかったことと、明け方に聞こえた何かが廊下を這いずる音に少々の恐慌状態を起こしたことだった。
初めまして奇喜言います。
初めて小説を書いてみました。
本当はこれをプロローグに長編を書こうかなと思っていたのですが、思っていた以上に時間がかかり、皆さんすごいなぁと、ただただ思うばかりです。
大阪弁は間違っていたらすいません。 全くわからないので、もし違っていたらごめんなさいです。
前半は会話文をいれ、後半はなしといろいろ模索中ですが、皆さんの趣向に絡まれば幸いです。
今後も書いたときはよろしくお願いします。
それでは、失礼します。