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▽レス始

「最高で最低な演技(GS)」

アイク (2007-02-21 17:50/2007-02-21 17:54)

  俺は泣いた

  悔しくて

  情けなくて

  弱い自分が

  好きな奴を護れない自分が憎くて

  啼いた


  正直、俺はただのバカだ

  大見得はって、アシュタロスを倒すって言った

  確かに倒しはした

  おまえの・・・

  おまえの命を犠牲にして・・・

  一番、護りたかったおまえを犠牲にして・・・

  ルシオラ・・・

  俺はお前に何もしてやれなかった

  俺にはおまえに救われる価値なんて無かったのにおまえは・・・


  俺に、幸せになる資格は無い

  おまえを犠牲にした俺には・・・無い


  俺に出来るのはただ一つ

  それは演じる事


  おまえの言った“俺”を演じる


  それしか、俺はおまえに出来ないから・・・


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  最高で最低な演技     

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あるボロアパートの一室にその男はいた。
歳は17,8程の青年はただ天井を見つめる。

だが、見えてはいないだろう。

何故なら、ただ目を向けているにすぎないからだ。

その目に希望や喜びといった光は無く、ただ存在するのは虚無の闇。

だが、その顔は笑っている。
悲しくとも笑っている。

彼を知る者が今の彼を見れば、我が目を疑うだろう。
彼の笑顔はどんなバカなマネをしようとも、愛嬌が有り、優しさがあった。

今の彼の笑顔は、まるで彫刻。
昔の芸術家が作り出した様な、人形の様な・・・


いや、人形等のほうがまだマシな顔をしている。


カチ、カチと目覚まし時計の秒針が動く音がやけに大きい感じがする。

彼はふと時間を見た、時刻は午前5時半を指している。

「・・・いつもより10分ぐらい早いな」

彼の掠れた様な声は亡者さえも驚く程、冷たい。
ゆっくりと彼は立ち上がり、窓から光を注ぐ朝日を見た。

朝日は平等に、皆に暖かさを振りまき、
皆を暖かくする。

しかし、その光は彼に、横島に当らない。
例え当ったとしても、心には伝わらない。


ドンドンドン!

「せんせ〜!サンポの時間でござる〜!」

無駄に元気なシロの声に横島は扉を開く。

「やかましい!ちったあ時間を考えろ!」

「きゃいんっ!」

横島は“いつもの”横島になり、シロの頭を一発ゴツンと殴る。
今の横島に、先程の虚無は無い。

「サンポ!サンポに行くでござる!」

「あ〜分かったから静かにしろ」

横島に殴られても、シロは無邪気で天真爛漫な笑顔で散歩をねだる。
横島はそんなシロに呆れ半分な感じに言う。

            “いつもの横島”だ。

こうして、その日も始まる。


世界最高の・・・いや、人界最高の道化師の芝居が。


舞台は最高に美しく醜い人界。

公演時間は道化師の生きる時間。

観客は全ての者達。


誰もが笑い、誰もが喜ぶ最高の演技。


だが、道化師は気づかない。


気づけはしない。


部屋に、大切に置かれた蛍が光っている事に。


悲しく光っている事に・・・


気づかない。


―後書き―

俺、何やってんだろ?
書き終わってから何時も思う事の一つ。

今回のテーマは、思いの行き違い。

ルシオラの最期に言った言葉を、
自責や悲しみの塊になった横島がこう受け取って、
てな感じで。

電波でも受信したかの様に30分程で書いた一品です。


△記事頭

▲記事頭

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