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!警告!壊れキャラ有り

「T・O・P(GS)」

おびわん (2006-10-20 01:05/2006-10-20 01:15)


其処は何処とも知れない暗闇。

地上であるのか、はたまた地下か。
いや、この星この時空の中なのかすら定かでない『場所』。

全ての中心でありそうで、それでいて全ての外側のような『其処』。
ガシャンと金属的な重い音を立て、白い光が闇を切り裂いた。

照らし出されたのは、長大なテーブルと、上座に座った一人の少女。

巫女服、であろうか。独特の装いは、見る者にある種の官能さえ覚えさせる。
しかしながら、それを纏う彼女の雰囲気は、衣装に反して酷く重いものだった。

ガシャン。

再び、白に闇が切り裂かれ、彼女の右側に新たなる少女を召喚した。

角が有る。
和装と評して良いのだろうか。モンペらしき物を穿き、帯を締め、
袖なしの着物の脇には剣らしき物が鞘に収まりぶら下っている。

彼女もまた巫女服の少女と同じく眉間に皺を寄せ、組んだ両掌で口を覆っていた。

ガシャン。

三度目の光。角付きの少女の対面に現れたのは、二人に輪を掛けて変わった
服装の少女だった。

御河童に切り揃えられた美しい黒髪、額にバイザーを掛け、細身の体に
何処の国の物とも知れない服を纏っている。

だが彼女の一番の特徴は、やはりバイザーの上からピョコンとのびた、
二本の『触覚』であろう。

その彼女もまた、先の二人に負けじとしかめ面で虚空を睨んでいた。


「・・・さて」

バイザーの少女が現れた後、ようやく巫女服の少女が声をあげた。

「これより、081回目の定例会議を始めます」

ガタタンッ!!

その声を合図に三人は一斉に立ち上がり、見事に揃った動作で右手を掲げた。

「「「我等がっ、おっぱいの為にっっっ!!!」」」


                  T・O・P


「・・・・・・て言うかコレやめにしない? おキヌちゃん?」

着席後、バイザーの少女が少しだけ頬を染めて巫女服の少女に語りかけた。

「そうですね。私も何か違うと思います」

角付きの少女も同調するように頷いた。

「何を言うんですかっ! コレは私達の団結を確認する重要な儀式ですよっ!?」

二人の言葉に憤慨したように少女、おキヌは叫ぶ。

「でもねぇ、小竜姫さん・・・」
「ええ、ルシオラさん。何か卑屈な気がします」

そう言ってバイザーの少女ルシオラと角付きの少女、小竜姫は互いに頷きあった。

「むぅ〜〜〜。・・・ま、まぁとにかく、会議を始めましょうよ、ねっ!?」

いまいちな二人の態度にあごに梅干を作って唸ったおキヌだったが、
場の空気がしらける事を避け、取り合えず話題をスライドさせたようだ。

「あ、これ、北海道から取り寄せた『おっぱい饅頭』です」

そう言って箱を取り出した小竜姫。中から取り出した白い饅頭を、
おキヌとルシオラに数個づつ手渡した。

「へぇ〜、美味しそう」
「ご利益とかありそうですね」

そのおキヌの言葉に黙って手を合わせ、饅頭に頭を下げる三人。

「「「せめてもう一カップぷりぃず」」」

とりあえず絆は固そうである。


モグモグそういえば、今回から新たな同志が加わるんですよ〜」

饅頭を目一杯頬張り、ハムスターの様な頬でおキヌが微笑む。
下品、というよりもカワイイ、という印象が強いのは彼女のキャラクターの為か。

「「同志?」」

同じ様に饅頭を齧っていた小竜姫とルシオラが首を傾げる。
未来があるでちゅと豪語していた裏切り者以外で、そんなのいたかしら、と。

「お願いしまぁ〜すっ」

そう叫んでパンパンと手を叩くおキヌ。
すると何処からか数十人の野太い男達の声が聞こえたような気がした。

「ぞぉぉ〜れぇいっ!」

ガッチャンコン、ガッチャンコン・・・・・・。

重々しい音をたて、『何か』がゆっくりとおキヌの対面、数メートル離れた
テーブルの向こうにせり上がってきた。

自分達が座っている物と同じ椅子。
其処にベルトで縛り付けられた見知った少女。しかし彼女は何かに心底怯えたように、美しい髪を振り乱して喚いていた。

「「・・・あら、タマモちゃん」」
「い、いやぁ〜〜〜っ、肉は、変に温かい汁で湿った肉はいやぁ〜〜っ!!」

ああ、この子がいたかと納得する小竜姫とルシオラ。
彼女達の声も届かないのか、タマモはただ叫び続けている。

「マ、マッチョで、ムチムチで、プルプル震える柔硬い肉はいやぁ〜!
って、・・・はっ、一体何処よココはっ!?」

一体地下で何があったのか? しかしようやく正気に戻ったらしいタマモ。
虚ろげな瞳が一気に覚醒し、妖狐の本能で辺りを見回す。

「落ち着きました? タマモさん」
「ハっ、小竜姫におキヌちゃん、それにルシオラっ」

ようやく脳に届いた少女達の声に一体何のマネよっと跳びかかろうとしたが、
椅子に手足を拘束されている事に気付き、タマモは頬を膨らませた。

「コレは一体何のつもり?」

ブスっとした声のタマモ。
そんな彼女の雰囲気をさらっと無視し、にこやかにおキヌは語りかけた。

「今日はタマモちゃんにね、えへへ、私達の同志に成って貰おうと思って」
「同志? な、何のよ・・・」
「それはね・・・」

一端言葉を区切ると、おキヌ、小竜姫、ルシオラの三人は勢いよく立ち上がり、
指先まで伸ばした右腕を高々と掲げて唱和し叫んだ。

「この星のっ!」
「虐げられしっ!」
「総てのひんぬー達の為のっ!」

「「「我等TOP部隊っ!!!」」」

顔の赤い他の二人と違い一人満足げな表情のおキヌに、
タマモは覚めた目で呟いた。

「・・・・・・何ソレ」
「『ちっちゃいおっぱいのほうがぷりてぃ』の略です」

妙にキラキラとした瞳のおキヌに、タマモは返す言葉もなかった。

「今の巨乳こそ至上っていう社会の風潮を変える、っていうのが私達の
活動内容らしい・・・ですよ?」
「それに平行して、どうしたら胸以外の部分で敵軍と戦っていけるか、
なんていう問題なんかを議論していくらしい・・・わよ?」

着席した小竜姫とルシオラが恥ずかしげに呟く。

「ふん、バカらしい・・・。ってゆうか別に私は貧乳なんかじゃ・・・」

そう反論しようとしたタマモ。しかしそれに先んじておキヌは
手元にあるリモコンのボタンを押した。

「?」

うぃーんと。
今度は天井部から機械音が鳴り、何故か色とりどりの花が装飾された
ゴンドラがゆっくりと降りてくる。

その上に立っていたのはパタパタと忙しなく尻尾を振り、
両手で己の胸を恥ずかしそうに隠した少女、犬塚シロだった。

「せっしゃ、もう『びぃかっぷ』じゃきついでござるよ?」

ピキィッ!

その一言に石化したタマモを残し、再び動きだしたゴンドラは天井の暗闇へと消えていった。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

しゅるり、と軽いを音と共に外されるタマモの拘束具。
しかしそれにも気付かないまま石化し続けるタマモを生暖かい目で見詰める三人。

シ、シロ・・・。アンタ何時の間に・・・って、ハっ!!」

呆然としていたタマモだったが、自分に向けられる視線に気付き、
彼女は慌てて叫んだ。

「ち、違うわよっ! 私は貧乳なんかじゃないっ、成長すれば絶対・・・!!」
「「「そんな風に考えていた時期が私達にもありました」」」

三人声を揃え、目尻に涙さえ浮べて微笑む彼女たちに、タマモの心は遂に決壊した。

「違うもん違うもんっ! 貧乳なんじゃないもんっ、ちーがーうーもぉーんっ!!」

バタバタと駄々をこねる幼児のように暴れ、泣き喚くタマモ。
激しく振られる彼女の頭が、不意に何か優しく温かい物に包まれた。

「あ・・・、おキヌ、ちゃん・・・・・・?」

涙で汚れた顔を上げた先には、おキヌの慈母の微笑があった。

「いいのよ、いいの。あなたはそのままでもいいの」
「いい・・・・・・の?」

震える声で、まさに幼子のように彼女の胸に縋りつき、
タマモはおキヌに問い掛ける。

「わ、たし・・・、いいの? このままで、おっぱいちっちゃいままで、いいの?」
「いいのよ。むしろそうでなければ困る人が一杯いるわ」

タマモの髪を撫ぜながら、優しく囁くおキヌ。
まるで洗脳しているかのように。

「いいの、ね? 私、ココにいてもいいのねっ!?」
「いいのっ! それがあなたなんだからっ!!」

りんごーん。りんごーん。

鉦の音が鳴り響き、無数の白い鳩が虹の向こうへ飛んでいく。
タマモの瞳に生気が戻り、輝きを放っていく。

「私はここにいるわっ!! だっておっぱいちっちゃくてもいいんだものっ!!」

テーブルの上へ飛び乗ったタマモは、見えない鎖から解き放たれたかのように
天へと拳を突き上げた。hallelujah。

「おめでとう」
「おめでとう」

それまで黙って事の成り行きを見ていた小竜姫とルシオラの二人。
彼女らも感極まったように拍手し、タマモを祝福する。

「ありがとう小竜姫っ、ありがとうルシオラっ!」

そして世界中の愛好家に、おめでとう。


んで。

「タマモさんが入隊したのは良いんですが、私、少し不満があるんです」

世界の中心でアイを叫んでいた狐っ娘も今は落ち着き、
四人で新しく煎れたお茶を啜っていると、おもむろに小竜姫が呟いた。

「最近、原作本を読み返したんですけどね」

さらっとギリギリな事を告白する小竜姫。

「それで気付いたんです」

俯き気味に呟く彼女から、微妙に竜気が揺らぎ立ってくるのを確認し後ずさる
おキヌ達三人。

「私って、別に『ぺっちゃんこ』に描かれてたりするわけじゃないんですよねぇ」

ゆらぁりと上がった彼女の顔、その瞳に灯る微かな火。

「むしろふくよかに描かれてたりするじゃないですかっ」
「そ、そうかしら」

嫌な予感を背に、ルシオラはなんとか彼女をなだめようと笑いかける。

「ホラ、貴方がそうなったのは、そっちのほうがカワイイからとか・・・」
「『微乳姫』だとか『小隆起』だとか、あまつさえ『無乳姫』とかがですかぁっ」

瞳の火は一瞬にして消え、逆にダバダバと涙をながしながら聞いてくる小竜姫に、
さしものルシオラもどうにも答える事が出来ず、結局は項垂れた。

「小竜姫様・・・」
「おキヌさん・・・。私、昔にですね、何でも一つだけ願いを叶える宝玉っていうのを
探して、神界中を摩訶不思議アドベンチャーしたことがあるんです・・・」

テンパっているのだろうか、何やら怪しい事を言い出す小竜姫。
色々言いたい事はあったのだが、おキヌ達はとりあえず聞く事にした。

「それでですね、やっとこさ七つの宝玉を集め終えたんです。そしたら光とともに
神竜が現れて・・・」

遠い目をし、小竜姫は話しつづける。
いつしかおキヌ達は彼女の過去に引き込まれていた。

「で、何か願いを叶えてもらったの?」

羨ましげな表情でタマモが問うが、小竜姫は軽く首を振って否定する。

「・・・いきなりタイダルウェイブをしかけてきたんです」
「「「はぁ!?」」」

なんの事だ? とおキヌ達は首を傾げていぶかしむ。

「アトミックレイ、ミールストーム。もちろん私も応戦しましたよ。
しかし相手は伝説の神竜、戦いは一昼夜続きました」

凄まじい戦いを思い出しているのだろう、握り締められた彼女の拳が震えている。

「そして遂に決着はつきましたっ! 私は勝利したのですっ!!」
「ええと、・・・で?」

小竜姫以外の三人の間にかなり微妙な空気が流れるが、ルシオラが嫌々ながらも
代表して続きを促した。

「はい。戦いの後、神竜は私に言いました。『願いを一つだけ言え』って」
「「「じゃあっ!?」」」

今度こそっと身を乗り出す三人。

「もちろん『おっきくして』って言ったんですけど・・・」

何故かガクリと肩を落す小竜姫。

『その願いは神の力を越えている』って叶えては貰えませんでした」
「「「・・・・・・」」」

小竜姫の余りな告白に、おキヌたちは静かに涙した。
場の空気が一気に暗くなる。先ほどまでのテンションは既に彼女たちには無い。

「・・・私ね」

おキヌが爪楊枝を取り出し、無言で『おっぱい饅頭』に穴をあけているのを
横目に、ルシオラがポツリと呟いた。

「妹を見ると、たまにガっと掴んでギュっと捻ってブチっともいでやりたい時があるわ」

薄っすらと微笑み、空恐ろしい事を告白するルシオラ。
その言葉に、タマモは『この人もか』といった引き気味の目で彼女を見る。

「・・・老師がお持ちの『ふぁみこん』のですね」

さらに再び小竜姫が口を開いた。
おキヌ、ルシオラ、タマモの目が、再び彼女へ集まる。

「『でぃぐだぐ』というので遊ばせて貰ったんですよ」

握り締めた拳をゆっくりと眼前に持ち上げ、小竜姫は話し続けた。

「良いですね、アレ。プスっと刺して、空気を送って膨らませて・・・」

パッと手を開く。

ポンって・・・、うふふ」
「ナイスなアイデアね、私が作るわ」
「『きょぬーはんたぁ』ですね」

「・・・・・・」

くつくつと陰気に笑う三人に、タマモは流石について行けないと
口を開く。この空気を如何にかしたいのである。

「そんな後ろ向きな事を前向きに考えんじゃないわよ」

ピタリと笑い止み、少女達はタマモへと向き直った。

「どういう事ですか?」
「とどのつまり、アンタ達は結局きょぬーに対してのコンプレックスを捨てきれてない訳よ」

眉を吊り上げるおキヌに対し、タマモは冷静に答える。
知らず内、三人は姿勢を正して聞き入っていた。

「あのね、おキヌちゃんも小竜姫も、ルシオラ・・・は違うか。兎に角、アンタ達は、
心の底に未だに私だけはひんぬーなんかじゃないっていう想いを隠し持っているって事よっ!!」
「な、なんだってーっ!! って、何で私だけ違うって言われんのよっ!?」

ドギャーンッ!! と自分達に指を指したタマモに、一瞬納得しながらもルシオラは怒鳴り返した。ここで納得しきってしまえば、何か大切な物を捨ててしまうような気がしたからである。

「ふっ、笑止。笑うに止めると書いて笑止。ルシオラ。アンタだけは原作でひんぬー設定されているからよっ!」

自信満々に言い切ったタマモ。しかしそれでもルシオラは怯まずなかった。

「それは衣装の所為よっ。はっきり言って私と同じ服装をすれば、おキヌちゃんだって小竜姫さんだって、絶対にひんぬー設定、ううん、むしろ『えぐれむね』設定とかされるに決まってるわっ!!」

「「なっ、ぬぁーっっ!!??」」

思いがけない朋友が放ったぶっちゃけすぎな言葉に、おキヌと小竜姫は驚きと怒りの声をあげる。この時点で、TOP部隊の友情と結束は崩壊したのだった。

「私はキヌっ! 鬼が怒ると書いて鬼怒っ!!」

瞬時に暗黒化し、懐から凶悪な光を放つシメサバ丸を取り出すおキヌと、
無言で孫の手を背中に差し入れる小竜姫。

「ほほほほほっ!! 図星をつかれたからって、すぐにキレるってどうなのかしらぁっ!!」
「ムキーッ! コロシマスッ!!」
「GUOOOOOOOOOON!!!」

魔力全開にして飛び上がったルシオラ。無数の悪霊を召喚し、シメサバ丸を掲げたおキヌ。そしてバーサク竜化した小竜姫を尻目に、タマモは一人、その場から逃げ出した。


両腕を翼に変化させ、空へと飛び上がる。
後方からは、激しい爆発音、何かが崩れる音、そして哀れな少女達の怒鳴り声。

しかしタマモにはそのどれもがどうでも良かった。

「・・・通販にあったっけ、バストアップブラ」

ささやかでも己の矜持のため、暫くのお揚げ断ちを決意する。

彼女は大きく羽ばたいた。


                  えんど


約一年ぶりの投稿、皆様こんにちわ、おびわんです。
初めて『壊れ』指定作品を書いてみたのですが・・・、なんだコレ。

まあ、誰もが一度は書きたい『おっぱい』話、書けたので満足デス。


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