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「ママさんは魔女(GS)」

犬雀 (2006-05-28 21:33)

『ママさんは魔女』


小学校ならいざ知らず、まさか高校生にもなって自分の親の馴れ初めを書くなんて羽目になるとは思わなかった。
もっとも私の親は世間一般の職業ではない。
GSという特殊な仕事だ。
幼いころは密かに自慢だったけど、物心がつくにしたがってだんだん普通の仕事をしている親のいる子が羨ましくなっていた。
パパは売れっ子らしく忙しく世界中を走り回っていて滅多に帰ってこなかったし、ママは経営しているレストランが忙しくてほとんど家に居なかったし、家族でどこかへ出かけたなんて記憶はほとんど無かった。
まあ今は親とどこかに行こうなんて思わないけど。

それでも事情を知らない他人にはわからないことで、やっぱりGSの家庭がどういうものか興味があるのだろう。
私には大衆の興味に迎合するつもりも、知るという権利とやらに身を捧げる気も無かったが、小学校以来の親友の智子に誘われて入部した放送部の文化祭の出し物に『現役GSの生活』なんてインタビューが選ばれてしまっては是非も無かった。
それでも最初は必死に抵抗したんだけど。
誰だって自分の家庭のプライバシーを切り売りするのは嫌だろう。
だけど進級とともに部長になった智子が涙目で訴えてくるのも無視できず、さらには「お願い」と言う懇願が「だったら私から見た『現役GSの娘の生活』にする」と脅迫めいたものに変わっては頷かないわけにはいかなかった。
何しろ彼女とは小学校からずっと腐れ縁である。
色々と他人には知られたくない私の過去を彼女は知っているのだ。
私を説得していた彼女もそれを思い出したらしい。
眼鏡の奥の目を剣呑に光らせて「そーいえばさー。ふと思い出したんだけどー。『緑のカエル・マックロクロ事件』ってあったよねー。」と言われれば私には無条件降伏しか道は残されていなかった。
小学校の時の恥を今更になって晒されるのは遠慮したい。
あれが公表されれば私の評価は地に落ちるだろう。
そして次の日から「あれがカエルの娘よ」と人に後ろ指を指される生活に甘んじなければならないのだ。
幼いときの過ちがこんな形で自分に降りかかるとは。
もし時間移動が出来たら迷わずその時間に飛んで幼い私を拉致監禁するだろう。
実際にやろうとは思わないけど。

そんなわけで私は今、ビデオ片手にママの前に居るのである。

「えーと…それでママとパパとの馴れ初めを聞きたいの?」

「そ」

インタビュアー失格ではあると思うけど私はそっけなく言う。
だって今回のはあくまでも予行演習。
何しろ家の両親は常識では測れない。
そして子供にはやたらと甘い。
もし一発勝負でインタビューなんかを他の部員にやらせたら、どんなとんでもないことを言うかも知れないのだ。
大抵の親は自分のことを話しているうちにいつの間にか話題が子供のことにシフトし、そして最後には子供の恥ずかしい話へと変化していくという性質を持っている。
そして家の両親は揃いも揃って親バカゆえにその確率が異常に高い。
ここは事前にチェックして駄目な話題を封印した方が得策だ。

ママは少しだけ首を傾げたけど、すぐに頬に手を当てて目を細めた。
わずかにピンク色に染まっていくその顔には明らかな羞恥の感情が見えて、それなりの年のはずなのに少女のように見える。
実際にママは若い。下手をすれば私と姉妹に見られるほどだ。
それも私がママと一緒に出かけるのを嫌がるようになった理由の一つ。
幼いころは自慢だったママの美貌は私が成長するにつれて重荷になっていった。
「えー。若いママさんねー。」と言われるたびに自分が「老けた娘」と言われるような気がしてならなかったのだ。
そりゃあそんなはずは無いと言うことはわかるけど、感情の問題を理屈で解決するには私はまだ幼すぎた。
ちょっと嫌な考えになりそうな自分を誤魔化すように首を振るとママはなんだか懐かしそうな目でコーヒーの表面に浮かぶ泡を見つめていた。

「まあ、あの糞親父のことだからロマンチックなもんじゃないだろうけど…」

「そうねぇ…確かにロマンチックと言うよりはスペクタクルねぇ…」

「え?」

スペクタクルな馴れ初めってなんだろう?
確かにGSなんて職業はハードでバイオレンスなものだけど、それがどうして恋愛に結びつくのか私にはわからなかった。
自慢じゃないが私には恋愛経験が無い。
自分で言うのもなんだけど容貌には自信がある。
スタイルは…まあこれからに期待だ。
毎日、飲んでいる牛乳がいつの日にか身を結ぶと信じている。
だのに私は男の子と付き合った経験が無い。


それもこれもあの糞親父のせいだ。
あー。思い出しただけでも腹が立つあの暴虐の数々。

例えば初めてのバレンタイン。
ほのかに憧れていた上級生の先輩にあげようとお小遣いを貯めて買っておいたハート型のチョコ…それをこともあろうかわざわざ2月14日の朝に食いやがったのだあの糞親父は!
聞けば「バレンタインなどまだ早すぎる!父さんは許しませんよ!」と前々から言っていたらしい。
そして買いなおすチャンスがない当日早朝に早起きまでして食い散らしたのだ。
欠片も残らず食い尽くされたチョコを前にして呆然としていた小学生の私…うう…今思い出しても涙が出そう。

例えば中学の私。
夏休みの宿題を皆でやろうと仲の良かったクラスのグループが私の家に集まることになった。
最初、糞親父は「おー。俺も友達とやったもんだ」と笑っていたが、その中に男子が含まれるとわかると途端に豹変した。
それでも私は安心していたのだ。
何しろ夏はGSにとって稼ぎ時だったから、糞親父も膨大な依頼を受けていた。
それを放り出すことなど出来ないはずだったのだが、あの糞親父は数件の依頼を一日で片付けやがったのだ。
しかも何食わぬ顔で玄関に地雷を潜ませていたのだ。

玄関を入った途端に天井から降ってきた低級霊に纏わりつかれ、男の子たちは泣き叫んだ。
大慌てで出てきた親父が低級霊を追い払ったけど、男の子はもう一目散に逃げてしまった後だった。
残った女の子に「あー。パパがもっと早く気づけばなー。驚かせてごめんね。」と親父は頭を下げたけど、私はあんたの口元が会心の笑みに緩んだのを確かに見たぞアホ親父!
そしてそれから男の子は誰も家に遊びに来なくなった。当然だよね…くすん。


そして極めつけはつい先日。
高校に入学したばかりの私に届いた一通のラブレター。
古式ゆかしい手段だけど、それは確かに免疫の無い私には有効だった。
差出人は他校の生徒だったけど生真面目な文章が好感を持たせた。
さらに待ち合わせ場所も私の今評判の喫茶店で、知らない人だけどそのセンスに「会ってみてもいいかな?」と私に思わせた。
しかも今度は親父に気づかれる心配もない。
いくらあのアホ親父が非常識な親バカでもさすがに娘の私物をチェックするようなことはしていない。っていうか私がさせない。
中学の一件以来、親父は私の部屋への出入り禁止である。
それを告げた時、親父は世界が終わったかのように顔色を無くし、しばし呆然としていたかと思うとやにわに土下座して泣きじゃくった。
ちょっとは可哀想かもと思ったけど、今までの私に対する仕打ちを考えれば当然の結末である。
親父はしばらく泣きじゃくっていたが、それが効かないとみるやママを懐柔にかかった。
ママも最初は私を説得しようとしたが、私の意志が固いと見るや説得を諦めて親父を慰める方向に走ったらしい。
次の日の朝、妙にツヤツヤしたママと多少げっそりしながらも落ち着いた親父を見て私はママの懐柔が成功したと確信した…それにても家の両親はわかりやす過ぎると思う。
少しは私が年頃だということも考えてもらいたいものだ。

それはともかく、このラブレターの件は親父に知られることもなく進むはずと思っていた私だけどすぐに自分の甘さを呪うことになる。
自分が手出しできないと知るや、親父は別な手段を用意していたのだ。

当日、待ち合わせの場所に向かう私は何度と無く尾行の有無を確認しながらも初めてのデート ─まだ交際するとは決まっていなかったけど─ に心をときめかせていた。
それが油断だったのだろう。
親父は私の部屋に入らずとも私の挙動から今日の出来事を正確に察知していたらしい。
そしてあのアホだけどGSとしては日本屈指の親父がその気になればたかが高校生の娘の目を欺くことなど背中に触れるだけでブラのホックを外すよりも容易いことだった。
しかも狡猾なことに親父は自分の影を一切消して代理人による妨害工作を選択したのだった。

待ち合わせしていた喫茶店に手紙の主はいた。
なかなかの美形だっけど誠実そうな瞳が私にある確信を抱かせる。
(これは当たりだ)と。
苦節16年。
初めての彼氏。
ああ…デートはどこに行こうかしら。やっぱ映画なんていいかも。夏はそうねやっぱ海とか。
注文した品が届くまで無言で向かい合いながら私はそんな妄想に身を委ねた。
ママに言わせれば私の妄想癖は親父譲りらしいがそんなことはどうでもいい。
今は初めてのこの感覚をもっと味わっていたかった…のに…のに。

「おろ? 珍しいでござるな?」

「あれ。ホントね。」

甘い夢を打ち砕きに来たのは親父じゃなくて、子供のときから知っているシロお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんだった。
シロお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんは何だか棒読みな口調で「久しぶり」と言うと、断りも無く私たちの席に座ってそれぞれが飲み物を注文し出す。
突然の乱入者に呆然としている私を尻目にシロお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんは私の前に座っている美形君に話しかけ始めた。
ああああああ…美形君の顔がどんどん真っ赤になっていくうぅぅ。
そりゃさそりゃさ!シロお姉ちゃんは美人だよ。今だってボーイッシュな格好なのに大人の色気が出まくっているわよ。特にTシャツを押し上げている胸の量感なんかは凄いわよ!前に親父の持っていた写真を見たときは私と変わらないぐらいだったのに…。
そ、それはともかく!
タマモお姉ちゃん!なんでチャイナドレスなのっ?!しかもその大胆なスリットは何っ?!
もうね…店に居る男の人がみんなで注目しているじゃない。
ううう…凄すぎですタマモお姉ちゃん。

その後のことはよく覚えていないです…はい…。
わずかに残る記憶では二人が去った後で美形君が「今の人たちのこと詳しく教えてくれない?」って上気した顔で私に聞いてきたことだけで…。
ぐすん…そりゃあ…たかが高校生があの二人に勝てるはずないものね…。
こうして私の初デートはトラウマものの結末を迎えたわけで…。

でもね…知っているわよバカ親父…あんた後でシロお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんとデートしたでしょ。
んふふふ…携帯の着信履歴はマメに消しておくことねバカ親父。
勿論、私がそれをママにチクったのは当然。
天罰よ下れ!って思ったけど…多少のドタバタ騒ぎの後でまた妙にツヤツヤしたママとゲッソリしつつも得意げな親父を見て敗北感に襲われた私を誰が責められると言うの?
うう…私の両親は仲良すぎです。


まあとにかくそんなに仲が良い夫婦だから、よっぽど熱愛の末にと思っていたけどスペクタクルな展開だったとは意外だった。
とりあえずビデオを回すとママは照れながらも話しはじめた。


「あのね…昔ね、ママがね。GSの仕事でどうしても倒せない敵が出たのよ。」

「へー。」

「その時にね。パパに助けてもらったの。」

「まあ…あの親父は強いらしいってのは知っているけど…」

「そうねぇ…」

一瞬、懐かしむ目を天井に向けてママが語り出した話はとんでもねーもんだった。


「ママの所に来た依頼ってのが吸血鬼と思しき妖怪退治だったのよ。でも吸血鬼って強いから最初ママはGメンにお願いしたのね。ところがGメンさんが全滅したのよ。」

「美智恵おばさまも?」

「そう。西条さんも隊長さんもみんな病院送りになっちゃって…。それでママ責任感じちゃって一人で戦うしかないと思っていたら。たまたま通りかかったパパが手伝ってくれるって言ったの。」

「なんで?」

「令子さんはお母さんの看病に追われていてバイトが出来ないからって話だったけど…ママはパパの優しさだと思っているわ。」

「ふーん…」


「それで二人で決死の覚悟で吸血鬼退治に行ったんだけど…出てきたのは吸血鬼じゃなかったの。」

そこでママは思い出すのも恐ろしいとばかりに体を震わせた。
ママは落ち着いているけどGSとしてはかなり優秀だとアホ親父も伊達のおじ様も言っていた。
そのママがこうも怯えて見せるとはよほどの強敵だったらしい。
私も思わず唾を飲む。

「何が出てきたの?」

「それはね…吸肉鬼よ…」

「は?」

なんかとんでもない名称を聞いた気がする。
気を取り直して見ればママは口に出すのも嫌そうに顔をゆがめていた。

「血じゃなくて筋肉を吸う妖怪、その名も吸肉鬼…。もうね、すっごいマッチョな体を油でテカテカさせて、しかもマントにビキニパンツなのよぉぉぉ!」

そんな変態には勝てそうに無い。
ていうか会いたくも無い。

「西条さんたち男のGメンは吸肉鬼にプロテインを吸われて病院送り…」

吸えるんだプロテイン…。
ていうか人の筋肉にも含まれているのかしら?

「えー。でも西条おじ様とかGメンって対心霊特殊装備持っているじゃない?」

「ええ…だけどね。吸肉鬼は概念武装を持っていたのよ。まさに無敵の肉の鎧ね。」

「なにそれ?」

「簡単に言えば攻撃は全部勝手に避けちゃうの。」

「なんで?」

そんなものが存在するならばまさに無敵だ。
ビキニパンツだけでも無敵なのに無敵の二乗だ。

「どんなものにも、例えそれが弾丸やお札にも意志はあるわ…だから付喪神ってのは存在するんだし…。」

「愛子お姉ちゃんみたいに?」

愛子お姉ちゃんは妖怪だから年を取らない。
だから今は私と変わらないけれど私は子供のころから彼女をお姉ちゃんと呼んでいる。
今更、愛子ちゃんって呼ぶのも照れくさいし。

「そうね。そして物に宿るかすかな意志でさえ……『あんなテカテカと油ギッシュなマッチョに触りたくない』と思うのよ。それで勝手に弾道や軌跡を変えて避けちゃうの。」

「は…はあ…あれ?じゃあ美智恵おば様は?」

「………精神攻撃よ…。ママも危なかったわ…」

「どんな?」

「えーとね…吸肉鬼は肉のプロなのよ。だから服の上からでも筋肉がどうなっているかわかるらしかったのよね。ママも…。」


そこでママは苦しげに顔を歪めた。
触れられたくない部分に触れてしまったのだろうか。手が微かに震えている。

「お腹が3センチ弛んでいるとか…バストトップの位置が狂っているとか…太股に肉キレが出来始めているとか…もう酷いことを言われまくりで…。」

「そ、それは…恐ろしいかも…」

うん。怖い。
私だって胸のことを言われたら平静ではいられない。

「でしょ…でもね、その時にパパが必死に突っ込んでくれて精神攻撃は止んだの。」

「ふーん…やるときはやるんだ…」

少しは見直してもいいかも。バカ親父だけどやるときはやるらしい。
そうでなければあんなに強そうな伊達のおじ様と友達付き合いなんか出来ないだろう。

「でもね。すぐに捕まって脇の下に頭挟まれて…奴は高笑いするのよ。『くらえ必殺!  脇の下の香りプラス漢の汗の匂い』とか言われて…」

「うわぁ…」

思わず昔のパパに同情する。
そうね…少しぐらいなら尊敬してやってもいいかも。

「だんだんパパが痙攣してきて…もう駄目って思ったママは封印していた魔法を使うことを決めたわ。」

「封印?」

「ママね。それまで人前で魔法を使わないようにしていたけど仕方ないじゃない?だから魔法を使ったの。」

「どんな?」

「『ピーリカピリララ・ベビーパウダーよ。出ろーーーー!!』って…」

「………」

なんか危険な台詞を聞いた気がして私は絶句した。
コメカミがジクジクと痛み出してきたけどもう止まれない。
だってママは勢いがついたのか身振り手振りまで交えて熱く語り出しているし。

「それで粉のせいでギトギトが無くなった吸肉鬼はパパの起死回生のブレーン・バスターを食らって沈んだの。あなたにも見せたかったわよー。綺麗に弧を描いて凄く格好よかったんだから!」

「そ、そなんだ…」

知らなかった。
私のママはプロレスフアンでした。

「うん…でもね…魔女には魔女の掟があってね…魔女だと他人にばれてしまった魔女は…」

そこでママは一息ついて私を見る。
私は魔女の修行なんてしなかったから詳しいことはわからないけど、魔女には魔女の禁忌というものがあるのだろうことぐらいは想像できた。
ゴクリと私の唾を飲む音が静まり返った部屋に耳障りに響いた。

「『魔女カワウソ』になっちゃうのっ!!」

「は?」

あれ…何か変…。
なんだか凄い違和感が…。

「それを回避する方法はただ一つ…魔女と知った人と婚姻を結ぶこと!」

「あー…えと…」

「幸いにもママのポケットには婚姻届が用意してあったわ!死闘の末に気絶していたパパを叩き起こし、朦朧としていた彼に有耶無耶のうちに用意していた判子をポン!」

私はなんでママが美神さんたちに『おジャ魔女めぐみ』と呼ばれているかやっと理解できた気がした。
だけど問題の本質はもっと根本的なもので…。

「んーと…」

「その後は色々とあったけど…既成事実の前には勝てはせず、ついにママとパパは華燭の典をっ!」

「あー…んーと…」

「べ、別に焦っていたとかそう言うんじゃないわよ!これは運命だったの!」

今は立ち上がって力説するママに痛むコメカミを押さえつつ私は聞くことにする。
なんかこのままじゃ色々な意味で不安になりそうで。
本能の一部が「聞いちゃ駄目!」って叫んでいる気もするけれど、聞かないより聞いて後悔する方がマシだと思う。

「ね…ねえ…ママ。ちょっと聞いていい?」

「ん?なにかしら。」

「あのね…パパってその事件の前からママが魔女って知っていたんじゃ・・・・・・・・・・」

言葉途中で私は生存本能に従わなかったことを後悔した。
突然、ママは感情を失ったような顔を向けてくる。
先ほど警告を発した本能は今は「逃げろ」と叫んでいるが蛇に睨まれたカエルのように動けない。
ママはユラリと近寄ってくると私の両肩に手を置く。
ひいぃぃ…なんかバッドエンドっぽいよぉぉぉ。

トイレに行っておいて良かったと胡乱なことを考えはじめた私の耳にママは優しく唇を寄せた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知ったわね…」

「え…ママっ! 痛いっ! 肩が痛いっ! 」

「うふふふふふふふふふふふ…たまに母娘のスキンシップもいいわよね…」

「は、離してえぇぇぇぇ! 助けてっ! パパー! パパぁぁぁぁぁ!!」

こういう時にかぎってバカ親父は助けに来ず、私は無理矢理に引きずり込まれた自宅の地下室で、ママがやはり魔女であったこととパパはやっぱり昔からバカだったことをしっかりと理解させられたのだった。

それからしばらくて、智子に「インタビューはどうなったの?」と聞かれた私が心的ショック症状を起こして失神したおかげでこの話は没になったことを付け加えておく。


おしまい


後書き

ども。犬雀です。
えーと。今回はシリアスを狙ったはずなのに…はずなのに…。
次こそはめざせシリアスって感じで頑張ります。


では

1>黒覆面(赤)様
過分なるお褒めの言葉恐縮であります。
犬は常々、ギャグであれシリアスであれ解釈は読む方の自由と思っていますのでご随意に解釈なさってくださいませ。(平伏)

2>木藤様
実は大野氏も意識しておりました(笑)

3>滑稽様
次の作品はシリアスのつもりだったんですがー(笑)

4>透夜様
春と秋の対比というのは書き手としていろいろと考えさせられるものがありますね。

5>米田鷹雄様
犬は解釈は自由であるほうが面白いと思うのです(笑)
技量は…まだまだ未熟でありますればもっと頑張ります。

6>tiger様
こちらこそ読んでいただけで感謝であります。

7>柳野雫様
地の文が苦手というのもありますが、受け取り方は自由でということで(笑)

8>血の亡者様
和んでいただけで幸いです^^

9>aki様
実はラストの台詞回しはちと後悔しています。
もし書き直すときにはもう少し違った台詞にしたいと思うです(笑)

10>k82様
今回は魔鈴さんをいじって見ました(笑)

11>†としあき†肉球様
切ないと思っていただけるとは…喜びであります(笑)

12>Yu−san様
オチは…ない(笑)

13>S様
心理描写は苦手なもので…。
とりあえず即興気味に書いたものですから必要な描写も飛んでいたかもです(笑)

14>純米酒様
ある意味、現実というか未来の情景というか…そういう解釈もありだと思うです。

15>足岡様
いえいえ。足岡様のイラストも込められた思いとか意思は素晴らしいと思うですよ。

16>ヴァイゼ様
さあどうでしょう。
いつ時期の情景かそれを想像していただくのも楽しみのうちということで(笑)

17>偽バルタン様
わはは。鋭いです。はい。元ネタはその映画です(笑)


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