眩しいぐらいの青い空に、白い雲が浮かんでいる。
次には白い砂浜が来るのがお約束だろうが、俺の周りは白い砂利ばかりで、綺麗な川が近くにある。そこそこの大きさで、きっと魚がうじゃうじゃ居るだろう。
それと山奥のせいか、周りには誰も居らず、俺達しか居ない。少し向こうには鬱蒼とした木々が生え、偶に獣っぽい唸り声が聞こえて来る。
ああ、むっちゃ怖い。俺が血塗れだから、匂いに引き攣られて来たのだろうか。でも、向こうからは襲ってこない筈だ。なんせ寝そべっている俺の横には、かのフェンリルの魔力を受け継いだ人狼が居るしな。
そんじょそこら辺の獣がダース単位で来ても、負けはしないだろう。
時期は世間はGW真っ只中。とはいえ、俺は別に山へキャンプに来た訳ではない。
何故こんな山奥に来たかというと―
「先生。申し訳ございませぬ」
正座をして、深々と土下座をしているのは俺の弟子である犬塚シロだ。外見年齢は人間で言えば、中学生ぐらい。目にも鮮やかな紅い前髪、それとは対照的な白銀色の長い髪がとても印象的で、元気一杯、サンポ大好き、お肉大好きな人狼の少女だ。
人狼と聞いて、首を傾げる人も居ると思うだろうが、尾てい骨から生えている尻尾を見れば、誰もが納得するだろう。
「……まあ、何だ。取り合えず、体が痛いからヒーリングしてくれ」
俺がそう言うと、シロは屈んで人よりは長い舌で、先ずは俺の顔を舐めた。
これはプレイの一種ではなく、ちゃんとしたヒーリングだ。
どうも犬神というか、獣系の妖怪は舐める事がヒーリングになるみたいだ。舐めて治すのが動物らしいといえば、動物らしい。
それにシロは見た目美少女で助かっている。これが少年だったり、おっさんだったりしたら、目も当てられない惨状になっていただろう。
俺はノーマルで、女好きやっちゅーねん。ってな具合に。
顔を舐められ、こそばゆいなあと思いつつ、今までの事―今朝からの出来事を思い出した。つーか、そこに転がっている自転車の成れの果てを見れば、一目瞭然。俺達の事をよく知っている奴らなら、同情的な瞳をして頷くだろう。
まあ、あれだ。いつもするサンポで、シロが激走したって訳だ。山に入っても、そのスピードは留まる所を知らず、大型トラックや走り屋の車と壮絶なバトルを展開していったんだ。
どうやら俺とシロは、その筋の人達に有名らしい。人を乗せた自転車とロープで繋ぎ、爆走する女の子。しかも、車よりも速い。
……噂になるわなあ。
そんで話は戻すけど、峠の急カーブに差し掛かったところで、悲劇は起きた。
遠心力に負けて、ロープが切れてしまったのだ。今まで酷使しすぎたのが、原因だろう。俺はガードレールを飛び越えて、谷に落下。
いくら経験しても、自由落下ってのは慣れん。こう、ヒューッて、落ちていく感覚は内臓が動く様な感じがして、気持ち悪いんだ。
そーいった訳で、俺は怪我をして、自転車は大破。フレームは捻じ曲がり、タイヤは押し潰されて楕円形になってしまった。
世界を賑わせた事件を解決した際、美神さんは給料を上げてくれたので買ったのだ。自転車のお陰で、電車代を大幅に節約できた。
シロのサンポの分までを入れれば、自転車としては充分に使った事になるが、少しセンチメンタルな気分になる。
俺はお前の事を、一生忘れないと誓おう。
で、怪我はあまり大した事はない。ちょっとした打撲と擦り傷だけで、血は結構流れてはいるけど、それは額を切ったせいだ。
頭部の怪我は大した事はなくても、結構血が出るんだ。何十回、いや百の単位ぐらいそこを怪我しているから、熟知している。
つくづく頑丈な体だと思う。それにしても俺って、本当に人間なのだろうかと思う時がある。
タマモには『横島が、妖怪や魔族の類だとしても驚かないわ』って言われた事があるし、シロの場合は『そこまでの耐久力に回復力、余程凄まじい修行を積んだのでござろう』と、勝手に感動された。
確か、猿神に『わしの修行よりも数倍きついぞ』と、美神さんの折檻を見て言っていたなあ。
……俺じゃなかったら、死んでいたって事だろうか。そこは考えるのはよそう。怖い結果が出そうだ。
俺が変な事を考え終わっても、シロはぺロペロと舐め続けていた。
シロの舌は、とてもあったかい。彼女はまだ幼い(特に精神年齢)が、実を言うとこうされるとムラムラしてしまう。
今のところはまだ耐えられるが、シロがどんどん成長していったら……。アルテミスが憑依したシロは、美神さんにも負けないチチシリフトモモをしていた。もしその姿で迫られたら、俺の正気はもたないだろう。
下半身がむず痒くなる。しまった。ジュニアが反応してしまった。このままでは、シロに気付かれてしまう。
シロの事だ。俺が反応したと知ったら、攻勢をかけてくるかもしれない。最近、そーいった知識を手に入れたのか、妙に俺にひっついてくるんだ。
俺は急いで上体を起こした。
「おわっ!? どうしたのでござるか?」
いきなりの行動にシロは当然驚いていた。何か誤魔化さないといけない。
このまま前屈みの姿勢を維持してるのはきついし、カッコ悪い。
「えーっと、アレだ。腹が減ったんだ」
「そうでござるか。拙者、何か獲ってくるでござる」
俺の苦しい言い訳に、シロは疾風の速さで森に飛び込んで行った。その間に、俺は深呼吸をして、ジュニアを納めた。
はあ、シロに反応するってのは情けない。魅力的な女の子であるとは思う。でも弟子に対して、そーいった不埒な考えを持つのは、人として失格な様な気がするんだよなあ。
俺が人の道どうとかを語るのは、果てしなく似合っていない気がするが、それはそれだ。
「せんせー!!」
思考に没頭していたせいか、シロが早く帰って来た気がした。両手に中華なべの取っ手を掴み、そこには山盛り一杯の山菜とキノコがもあった。中華なべはそこら辺から、拾ってきたのか?
「てっきり、動物でも捕まえてくると思っていたぞ」
「何を仰る。ここは禁猟区でござるよ。勝手に獲ったら、捕まるでござる」
「ああ、そうだったな。シロ、詳しいな」
「先生と再会する前は、拙者が里近くの森林を取り締まっていたでござるよ。捕まえた密猟者は50人を越えるでござる」
シロは誇らしげにそう言った。50人も捕まえたって、そんなに多いんだな。しかし、シロは意外と社会に貢献していたんだなあ。
俺とはえらい違いだ。
「偉い。さすが俺の弟子」
俺は立ち上がって、シロの頭を撫でてやる。普通の女の子なら、髪形が乱れると嫌がるけど、シロだけは別。
とても喜ぶんだ。こういっては何だけど、犬っぽいからな、こいつは。
「えへへ、褒められたでござる〜」
と、シロは尻尾をブンブン振って笑顔になった。は〜癒されるな。
こーいった無垢な笑顔は、堪らなく魅力的だ。シロのせいで死ぬ目に会ったが、これでチャラにしてやろう。俺って、甘いよなあ。
「で、どういったのを作るんだ?」
「鍋にするでござる」
「山菜ときのこ鍋か。美味しそうだな。それとその中華なべはどうしたんだ?」
「森で拾って来たでござる。それとすぷーんも見つけたでござるよ。いつもはぽい捨てなど、けしからんと思うのでござるが、今日のところはらっきーでござった」
俺が思った通りの答えをした後、にっこりと笑った。
「それじゃあ、拙者はこれらを洗ってくるでござるから、先生は火の方を頼むでござる」
「ああ」
そう言ってシロは、川へと向かっていった。
さて、俺もやりますか。森へ入り、枯れ木を集める事にした。雑草を踏み締め、辺りを見回す。
季節柄のせいか、あんまないなあ。おっ、向こうに倒木がある。近付いて、栄光の手を使って皮を剥いだ。これは使えるな。充分だと思える量を、両手で抱えた。
川辺に戻ったら、次に火床だ。先ずは子供の握り拳ぐらいある砂利をどける。火床を中心に、大体2〜3メートルは土を露出させないとな。
で、乾いた大きな石でカマド作りだ。上から見てコの字になる様に汲み上げる。湿った石や、罅割れた石は使わない。火で温まると熱膨張で破裂する可能性があるからだ。
う〜ん、美神さんの元で学んだサバイバル経験は役に立つなあ。というか、いつの間にか出来る様になっていた気がする。山林でも結構、除霊活動をしているからな。
最後に倒木から引っぺがした皮と、枯れ木を何重にも敷いて、後は火を着けるだけだ。着けるもんは何にもないから、文珠でも使うか。
とてつもない無駄使いな気もするが、『火』と込めて放り込む。あっという間に火は燃え上がり、いつでも使える様になった。
「先生、準備はいいでござるか?」
「見ての通りだ。いつでもOKだぞ」
シロは水を満たした中華なべを石の台に置く。しばらくして煮立つと、彼女は適度の大きさに切った山菜ときのこ(たぶん霊波刀で斬り刻んだんだろう)をぶち込んでいった。何とも、シロらしい豪快な作り方だ。
グツグツと煮えてくると、シロは黙ってスプーンを使い、丹念に灰汁を取っていった。その顔は真剣そのもの、除霊時に匹敵する程集中している。ここでもらしいなあ、とは思うが俺は暇だ。手伝う事ないしな。
グツグツグツ………。
「……しまったでござる」
鍋を見詰めるシロは、唐突に声を上げた。
「どうしたんだ!?」
俺はびっくりして訊く。まさか、ここでヘマをやらかしたのか? 勢いで腹減ったとか言ったけど、俺の体内時計ではとうに昼過ぎだ。本当に腹が減っているんだぞ。
「調味料が全くないでござる。このままでは味気ないものになってしまうでござるよ」
シロの言う通りだった。こんな事するとは全く思っていなかったからな。でも、困ったなあ。腹は減っているから、詰め込めるかもしれんが、味がないの辛いな。
「う〜ん。……そうだ! 困った時の文珠だ」
「出来るのでござるか?」
「おう。漢字で書けるものなら、出来る筈だ」
さて何にするか。
そういえば、かの上杉謙信は武田信玄に塩を送ったという話があったな。この話はでっち上げかもしれんという説もあるが、塩はやはり欠かせない。『こしょう』や『しょうゆ』は、どういった字を書けばいいのか思いつかない。帰ったら、漢字の勉強をしよう。
困った時に覚えだせないってのは、目も当てられない状況を作り出すかもしれないしな。
あ、それと味噌なら分かるぞ。
俺はおキヌちゃんから手渡されたハンカチの上に文珠を1個置く。
先ずは『塩』と込めると、手の平一杯分出来た。
「おおっ!」
「やってみるもんだな」
自分でやっておきながら、ちょっとびっくりした。次は『味』『噌』だ。
これまたうまい事出来た。わっはぁ、自分の才能が怖いぜ。……ん? だったら『金(きん)』ってやれば、俺は大金持ちじゃないか!?
ダメだな。文珠は一定時間しか、効果がない。この塩や味噌だって、時間が経てば消える筈だ。
はぁ〜、一瞬でも喜んで損した。楽に金儲けは、出来ないってか。
「頼んだ」
「任せるでござる」
シロは味噌を鍋に放り込んで、スプーンで掻き回す。塩は使わない様だ。そういえば味噌だけで、結構しょっぱいもんな。
塩分の取り過ぎは体に悪いし。
「出来たでござる。シロちゃん特製、山菜ときのこ鍋でござるよ」
バーンと誇らし気に、シロは言い放った。山菜、きのこ、それに味噌のいい匂いが食欲を刺激する。
「いただきます」
「いただきますでござる」
俺とシロは手を合わせる。
そして手渡されたスプーンと使って、鍋からそのままかき込んだ。ま、皿はないからな。
「あっちっち。でも、うめー」
「我ながら見事な出来でござる」
舌鼓を打ち、俺達は食っていく。餓鬼も腰を引いて、逃げるぐらいの迫力を今の俺達は出しているかもしんない。
「はー、食った。食った。ごっそさん」
「お粗末さまでござる」
空になった、山菜やきのこが一欠けらも残っていない鍋を見て腹を撫でる。こういった青空の下で食べるメシはうまいもんだ。
「シロは意外と料理上手なんだな。肉以外でも出来るなんて」
「むー、酷いでござる。先生の為に、料理の腕を上げたのでござるよ」
「俺の為に?」
「そうでござる。里で一所懸命に花嫁修業をしてきたでござる」
「……」
シロが頬を若干染めながら、そう言ってきた。……これは告白の様な。
どうする? 俺は、その何だ。あれだ。シロの事は悪い気はしない。でもな……。
って、答えられる訳ねーだろ!
「うおおおおぉぉおおっ!!」
「先生っ!?」
頭がオーバーヒートした俺は川の中にダイブ。今の時期だと冷たいが、気にしてられるか。俺はそのまま目に付いた川魚を栄光の手で、ぶっ刺し陸に放り投げた。
我ながらよく分からん行動だが、その方が俺らしいだろ?
「シロ、お前も来い」
「は、はい!」
シロも川に入り、霊波刀で川魚を突き刺した。何となく霊波刀の使い方を、俺達は間違っている気もしないが、楽しくやる事にした。
「へっくし!」
散々川で泳ぎ、魚を捕まえた後、お約束の様に俺はくしゃみをした。
今は情けない事にパンツ1枚で、服は乾かしている最中だ。火の近くに置いていれば、すぐに乾くだろう。
シロの方はうまいこと足元だけしか濡らさなかったので、脱いではいない。俺はちっとも残念がっていないぞ。
「焼けたでござる」
シロは木の串を刺してある川魚を、俺の前に差し出した。
「あんがとな」
俺は礼を言い、それを受け取った。かぶりつくと塩気が充分に効いている。何本でも食べれそうだ。さっきの奇行は、シロに腹が減ったか
らという訳分からん事を言って、誤魔化した。
それにしてもこういった誤魔化し方をする俺は、充分に子供だ。シロの事、全然言えんな。
「はむっ、はむっ。……これは旨いでござる」
「そうだな」
そう言いつつ、俺達は10本あった魚を食べ尽くした。
「日が暮れたでござるな」
「参ったな。今日はここで夜を明かした方がいいかもしれん」
俺は満天の星空を見上げて、そう言った。さすがに真っ暗な森の中をさ迷う趣味はない。シロ辺りは普通に街まで辿り着けそうだけど、俺はそうはいかないだろう。
やはり、川の中に飛び込むべきではなかったかもしれん。
「しょうがねー。寝るか」
俺は乾いた衣服を着て、寝転がった。少し冷えるな。考えてみれば山奥だし、冷えるのは当たり前だ。
毛布があればいいんだが、ないものねだりしてもなあ。
ま、文珠の効力で『火』は消えないと思うが、それでもつかなあ。
と、そういうふうに考えていたら、不意にシロが隣りに寝て来た。
「な、何だよ」
「冷えるでござるから、添い寝するでござる。先生に風邪を引かせる訳にはいかないでござるよ」
「そう……だな」
いかん。シロがギュッと俺に抱き付くので、色々と微妙な部分が当たっている。こう胸とか、腰とか、足とか。
さっき答えをはぐらせたから、罰ゲームか?
「先生」
「どうした?」
俺がドキドキしているのを知らないシロは夜空を見上げていた。
「こうやっていると父上の事を思い出すでござる」
しんみりとした声で、シロが言う。俺は黙って聞く事に徹した。
「父上は偶に結界の外へ、一緒に出かけたでござる。今日、先生としたみたいにお料理を作ったり、魚を獲ったり……」
遠い昔を懐かしむ様な声。
「先生は……居なくならないでござるよね」
シロは俺の方を向く。今にも泣き出しそうな顔をしている。
「……居なくなる訳ないだろ」
俺はそう答えた。GSという職業をやっている以上、いつ死ぬか分かったもんではない。でも、俺はそう言いたかった。
大切な誰かが居なくなる経験を俺もしている。だからこそ、声に出して約束をしたかった。
「シロも知っているだろうが、俺の頑丈さは並大抵じゃねえ。かの斉天大聖と戦って生き残り、生身で大気圏突入、訓練なしで潜水80メートル。それに……」
俺は今まで死にそうになったけど、死ななかった体験を思い出す限り話した。話している内に思ったんだが、俺はやはり人間ではないのかもしれん。
「……つー訳で、俺は不死身の男だ。居なくなる理由はこれっぽちもないだろ?」
「せんせい」
「それにシロ、お前も俺の前から居なくなるなよ」
「え……」
俺はシロの瞳を真摯に見詰める。すげえ、恥ずかしいけど。
「俺にとって、お前は大事な女の子だ。居なくなったりしたら、どこまでも追い掛けるぞ。それも地獄の果てまでもな」
「……約束するでござる。拙者も居なくならないでござるよ。ずっと一緒に居るでござる」
「ああ」
シロは声を殺して俺の肩に顔を埋めた。あ〜、恥ずかし過ぎる。何気取ってんだよ、俺。
これはきっと星空が綺麗過ぎるせいだ。……て、これも恥ずかしいな。もしかして俺は、ロマンチストか?
俺は星空を睨んでみるが、もちろん何も答えてくれる訳はなかった。
そして一夜明けて、俺とシロは事務所に戻って来た。
時間はもう夕方だ。今朝起きてすぐに後片付けをして、火床は元通りに戻して、壊れた自転車を担いで下山。
金も碌に持っていなかったから、歩いてここまで帰って来たんだ。はあ、むちゃくちゃ疲れた。
「横島クン、それにシロ。あんたらは全く……」
で、俺達はオフィスで美神さんの説教を受けている。これはしょうがない。
心配かけちまったからな。何の連絡もせず、一泊した俺達が悪いんだ。
「あの、美神さん。もうそろそろいいと思います。横島さんとシロちゃんは無事でしたし」
おキヌちゃんが助け舟を出してくれた。やっぱいい娘や。
「そうね。私も怒鳴りすぎて疲れたわ」
彼女のお陰で、美神さんの説教は終了。最近、ネチネチとした小言が増えてきた。年のせいかね。
「それにしても横島と何してたのよ」
と、タマモが疲れた感じで口を開いた。美神さんの説教のせいかな?
「先生とあれ、そう『きゃんぷ』というものをしたでござる。一緒にご飯を食べたり、寝たりしたでござるよ」
ミシ。
今何か、ここの空間が凍った気がした。
「寝たの?」
「先生は暖かったでござるよ。それに『ずっと一緒に居る』って、星空の元で約束したでござる」
ひぃっ!? 美神さんとおキヌちゃんが俺をめっさ睨んでいる。
俺、何かしたか!?
この後もしばらくはシロが喋り続けた。俺はというと、2人の視線にビビッていた。
何でだ!? シロとはただ、師弟の絆を深めただけなのに。
「せんせー。サンポに行くでござるよ」
「あいよ」
後日、美神除霊事務所の前でいつも通りの光景が広がっていた。
あいも変わらずシロは、俺にサンポをねだってくる。俺はしょうがなく、新しく買ったニュー自転車にまたがった。
「今日はあんまり遠くまで行くなよ」
「はーい」
シロは子供みたいに元気よく返事をするが、全く信用ならない。また、崖から転落はしたくないなあ。。
俺はポケットに携帯があるか、チェックする。これは美神さんから貰った物で、地球のどこに居ても必ず繋がるらしい。
今度、遭難したらすぐにかけろと言ってきたが、使う様な事態にならないといいんだが。
「しゅっぱーっつ!!」
シロはスタートダッシュをかける。今日も元気一杯、フルスロットルだ。
俺は空を見上げ、無事に帰って来れる様に祈った。
あとがき
シロです。これ以上ないぐらいにシロです。
で、キャンプの描写ですが、私は数えるぐらいしかいってませんので、あんまり自信はないです。