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▽レス始

「君が、嘘を、ついた。(GS)」

Yu-san (2006-04-02 00:00)


〜ある夜:東京タワー〜
都会の喧騒を他所に、横島は一人“想い出の地”に佇んでいた。
「………………………………………寒」
当然であろう、暦の上では春とはいえまだまだ冷たい風が吹く今日この頃。おまけに上空三百メートル以上の吹き曝しなのだから。
「あーあ、下じゃ皆楽しんでるってのに。何で俺ここに来たんだろう」
何故今夜ここに来たのか、実は彼にも分かっていない。
だが、彼の胸の内の何かが、彼を急き立てて動かしたのだ。

(馬鹿だな俺、いつまでも引きずって…)

その時、ふわりとした風が、横島の髪を舞い上げた。
そして眼下に広がる夜景から、目が離せなくなった。

ホント、キレイね。

−!!

まさか、いや、だが、聞き違いようの無い声を確かに彼の耳は捉えていた。

久しぶり、でいいのかな

(ああ、久しぶりだな)

思ったより驚かないのね

(知らないのか?今日はウソが許される日なのさ)

まぁ。人間って身勝手な日を作ったものね

(ああ。まったくさ)

キレイ、まるで光の洪水ね

(夕日じゃないけどね)

ああ、それなんだけど…。ごめんね、私あなたにウソついてたの

(ウソ?)

うん、正確にはウソになっちゃったんだけどね。昼と夜の一瞬の隙間なんて気取っていたけど本当はね…

(本当は、何?)

あなたと一緒に見られれば、どんな景色でも良くなったの。
空でも、海でも、山でも、街でも。あなたと同じ風景がみられれば、それだけで

(でも、ここから眺める分にいいけれど、あの数以上に人がいて、イイ奴ばかりの世の中とはいかないかな)

でも、生きている。皆生きている。あなたが護ったこの世界で

(お前が護ってくれたのさ。文字通り全てを投げ出してね)


それから、二人はどうでもいいコトをおしゃべりしあった。
横島は、日常のツマラナイことを沢山語ってきかせた。


…じゃあ、私そろそろ…

(どこへ!?一体どこへ逝くんだ!)

私はどこにも逝かないわよ。只、あなたの奥の奥で、眠りにつくだけ…。
今までもそうだったし、これからもずっとずっと一緒よ。
だから、私は…………寂しくなんかないんだから

(………そうだな、そうだな、そうだな、そうだな)

元気でいてよ、ね?

(ああ、あんがと)

じゃ、またね

(じゃ、またな)


風が止み、沈黙だけが残った。


君が、嘘を、ついた。


〜了〜


く、暗いなぁ……。久々とはいえ、我ながら寒々しいネタをやってしもた。
次はもっと笑えるネタをやってみます〜〜


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