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「子狐タマモがグレたわけ(GS)」

犬雀 (2006-04-01 22:18/2006-04-03 22:22)

『子狐タマモがグレたわけ』


世の中にはちょっとした思い違いや行き違いが予想もしない結末を導くなんてのはザラにあるわけで。
それがバッドエンドか、はたまたハッピーエンドへと転ぶかは運命の女神のダイス一つで決まることもある。
まあ結末の見えた映画が面白くないように、人生だって先が見えない方が面白くなるものだ。
もっとも翻弄される当事者にしてみれば女神に異議の一つも唱えたくなるのは当然。
しかし運命の女神はただ微笑むだけでダイスを振りなおしてはくださらない。
女神の気まぐれに溜め息つきながらも足掻くからこそ人生とは面白いのかも知れない。

面白い人生といえば横島忠夫という少年はかなり数奇な星の下に生まれたといえる。
まあいかに見習いGSとはいえ人以外の存在と友達付き合いだの、師弟関係だの結んでいる人物はそういないだろう。むしろ世間一般のGSとしては異端に近い。

そんな彼と妖狐の少女が日も落ちた寒空に暗い森の中でひたすら震えているのは仕事だからに他ならない。
彼等の役目はただ一つ。
同僚のシロやおキヌ、そして上司の令子が追い詰める悪霊をここで待ち伏せすることだった。

ところで待ち伏せとは忍耐のいる作戦である。
もともと移り気な横島と気ままなタマモにとって、夜も更けた森の中で白い息を吐きながらただじっと待つなど苦行以外の何者でもない。
つくづく令子の人選には問題があるとは思うが口に出せば死ねる。
まだ二人とも涅槃に行く気はない。
それゆえにただただ待つ。
いつの間にか降り始めた雪があたりを薄っすらと白く染めても待つ。
とにかく待つ。
ただ待つ。
ていうか放棄して帰ったら死ぬ。確実に死ぬ。
このまま待ち続け凍死する可能性と比べたら比較にならない高打率で死ねる。
重くなった白い息を吐き散らし、凍える指を擦り合わせてじっと待つ二人に雪がしんしんと降り注ぐ。
先はまだ見えない。


ところで人間は勿論、妖怪とはいえ生身のタマモには一つの問題があった。
寒いと何がつらいかと言えば尿意が近くなるということだ。
これはつらい。
だが男である横島はいい。ある意味、立小便は男のステータスでありアイデンティティだ。
だから悪気も無く、セクハラであるとも思わずにこんなことを言えるわけである。

「悪いタマモ。ちょっと小便してくるわ!」

「ち、ちょっと!私を一人にしてここから離れる気?!!」

もしその間に敵が来て万が一逃げられたとなったら自分も折檻の対象になる。
それは避けたいと口を尖らせるタマモに横島は呆れの表情を浮かべる。

「ここでしろと言うのかお前は…」

「言ってないわよ!」

タマモだって年頃の娘だ。
好き好んで男の立小便をみたいとは思わない。
そもそもこの男はレディに対して小便をしてくると言い放って恥ずかしく無いのか?
それとも自分をそういう遠慮の対象外と見ているのか?
だったら由々しき事態だ。
かっての大妖、金毛九尾に対してなんと失礼であることか!
許せん!と目に怒りを湛えてみれば内股で股間を押さえてこちらを見ている横島と目が合う。その表情は段ボール箱の中で「キューン」と鳴く捨て犬のように哀れっぽかった。

「な、なによ…その目は…」

「もう先っちょまで出かかっているんだが…」

「先っちょ!…って馬鹿っ!女の子にそんなことを言うなっ!」

こういう場合、「先っちょ」とやらが何の先っちょかを想像したタマモの負けだ。
さすがにそれがわからないほど子供ではない。
男の構造がどうなっているか詳しくは知らなくても、男の形態ぐらいは知っている。
つまりすでに猶予は無いに等しいということではなかろうか。具体的には2cmぐらい?
それはマズイ。
このまま横島にお漏らしでもされた日には自分はとんでもない悪女ではないか。
いや悪女呼ばわりはいい。
かつては傾国の美女と言われた自分だ。むしろ望むところ。
しかし「無理矢理、男にお漏らしさせる悪女」と言う評価は嫌すぎた。

「し…仕方ないわね…早く済ませなさいよ!」

「うむ!まかせろ!」

何も任せた気はないがまあいいだろう。
とりあえず嫌な意味での悪女呼ばわりは避けられた。
後は今、敵が来ないことを祈るだけである。
「ふーっ」と脱力して吐いた息にかぶさるかの如く喜色漲る横島の声が自分を呼ぶ。

「おおお!タマモちょっと来てみろ!」

「なによ!」

「新雪にくっきりと金色に輝く『寿』の字が!」

「知るかっ!!」

「むう…ここまで見事に書ききったのは初めてだ。」

「うっさい!!」

この馬鹿はなんつーもんを乙女に見せる気だ。
どこの乙女が雪にしっこで書かれた『寿』を喜ぶと言うのだ。
コイツはアホだ。間違いなくアホだ。史上最大級のアホだ。
心にシッカリと刻み付ける。
なんで自分がこんなアホと一緒にいなきゃならんのかと思うと怖気が体を震わせる。

「む?タマモも小便か?」

「なんでよ!」

「いや…今、ブルッとしてただろ?」

いつの間にか戻ってきていた横島に「お前のせいだ!」と言い返そうとしてタマモは違和感に気がついた。
言われて見ればなんか下腹に圧迫感がある気がする。
脳内を検索するまでも無い、その感覚は膀胱に溜まった浪士たちが討って出るべく密議をかもしていると言うことだ。
平たく言えば尿意である。
そして不幸なことに尿意とは意識した途端に強くなるという困った能力を持っているものだ。

「ち、違うわよ!」

「でも顔色がだんだん悪くなっているぞ?」

「き、気のせいよ!」

「微妙に内股に…」

「うっさい!意識させるな!」

「やっぱり…無理しないでその辺でしてこいや」

「できるかぁ!!あうっ!」

尿意をこらえるときの大声はタブーである。
いらん刺激は膀胱内の浪士たちの怒りを買い、それがまた次の刺激を呼ぶと言う悪循環。
まさに魔のスパイラル。
しかし…しかし、自分は先ほど横島に何を思った?
異性の前で立小便 ─実際は見えなかったけど─ をする下品な奴と思ったではないか。
まさかその舌の根も乾かぬうちに「わーい。私もしてくる〜♪」と言えるか?いや言えない。
生物しての本能と妖怪のプライドの狭間で懊悩しているうちに、下腹の浪士たちのテンションは上がる一方。

(ご家老!もはや辛抱たまりませぬ!一刻も早く開門し討って出ましょうぞ!)
(ええい。待ちなされ各々方!まだ姫様からご沙汰が下っておりませぬ!)
(しかし篭城は侍にとって恥でございましょう!)

「開門した方が恥よ!!」

「はあ?」

「な、なんでもないわよ!!」

顔を真っ赤に染めて否定した瞬間にまた青ざめるタマモは出来損ないの信号機のようで。
そんなのを見ればいかに鈍い横島だって状況はつかめると言うものだ。

「なにも立ってしろとは言ってないだろ。ほら…その下の窪みにでも行ってだな。」

「うるさい!うるさい!!これは寒いだけよ!そうよ暖かくなればいいのよ!」

怒鳴った拍子に思い出したのはおキヌの心遣い。
確か寒かったら大変と彼女がリュックに入れてくれたコーヒーがあるはず。
それを飲めば体も温まろう。そしたら浪士たちも落ち着いてくれるかも知れない。

なるべく下半身に刺激を与えないように注意深く近づいたリュックから取り出したポットからやはりおキヌが用意した紙コップへとコーヒーを注ぐ。
白い湯気がほんわりとコーヒーの香りを乗せて漂う。
コーヒーはあんまり好きではなかったが、今はそんな贅沢を言える立場ではない。
まさに欲しがりません勝つまでは。

悲壮な決意で口にしたコーヒーはおキヌがたっぷり入れてくれた砂糖のせいか思ったより苦くなく、その甘味と温もりが彼女の優しさに思われてタマモは「ほっ」と息を吐いた。
心の中に浮かぶ聖母の笑みを湛えたおキヌの幻に「ありがと」と礼を言えば、それまで黙っていた横島が気の毒そうに首を振っていた。

「なによ…あんたも欲しいの?」

「タマモさんや…知っているかね?コーヒーには利尿作用というものがあってな…」

「り、利尿作用って何?!」

「しっこが出やすくなるのだよ。「うぞっ!」」

言われて見れば確かに一時は落ち着いたかに見えた浪士たちが今は意気揚々と陣太鼓を響かせ門の前に整列している。
もはや先ほどのコーヒーから得た温もりはどこかに消え、ダクダクと流れる冷や汗が背中を濡らす。
もはや開門は間近かも知れない。
追い詰められた少女の顔色がますます青くなり、口からは震えを伴った低い声がでた。

「横島…出せ…」

「何をだよ…」

「いいから文珠でトイレを出しなさいっ!」

「出せるかぁ!」

「あんたって男は!私に生き恥を晒せと!?」

「だからその辺でしてこいと言っているだろうが!」

「いいから出せっ!」

「なんて文字だよ!」

「んーと…『便』と『所』?」

「二個は無理だってーの。」

「んじゃ『厠』…」

「おおなるほど!」

横島から渡された文珠を握り締め、震える足を叱咤しつつそろそろと下の窪みに歩きだすタマモ。
気の早い浪士が大槌で門を叩く衝撃を宥めすかせて、やっとついたのは横島から死角になるであろう場所。
ホッと一息ついて『厠』を発動させてみれば、なにやら一人用のテントのようなものが出来上がる。
ざっと見回して覗かれる心配かないことを確認し、「いざ出陣!」と意気込むタマモに横島から気の抜けた忠告が届いた。

「タマモー。ミミズにかけるなよー。」

「なんでよ!」

「ミミズにかけたら腫れるぞー」

「マジでっ?!」

慌てて下を見ればそこは雪があるばかり。
考えてみればミミズさんは土の中でお休み中だろうとタマモは安堵の息を漏らし、浪士に出陣を命じたのだった。

ちなみに悪霊はといえばタマモが至福の時間を過ごしている間に横島によって切り捨てられたのだがそれは本筋とは関係ないので省略する。
とにかく名も無き悪霊は消滅し、タマモにとって最大の危機は去った…かに見えた。
まさか恐ろしい魔物が潜んでいたとは考え付きもしなかったのだ。


さて件の除霊から数日たったとある休日。
タマモは屋根裏の自室でぼんやりとベッドに腰掛けていた。
相方のシロは令子やおキヌと一緒に買い物に行っている。
自分も誘われたのだが、なんとも気乗りがしなくて断った。
なんだか体がだるい感じがするし微熱もあるような気がする。

しかしそれを口にしたら何だかんだ言っても心配性な仲間たちが「あーでもない。こーでもない」と騒ぐだろう。
それが不快というわけじゃあない、むしろ嬉しいけれど、今日はちょっと困る。
なぜなら違和感は原因は…彼女のもっとも秘めやかな部分にあるのだから。

なんと言うか二、三日前からどうも股間と下腹が疼く。
痛痒い感覚が抜けない。
気になってはいたのだが場所が場所だけに誰に相談するわけにもいかず悶々と過ごしていた。
特に排尿時に痛みがある。

「なんで?なんなの?」と独り言を言っても答えてくれるものは無い。
かわりにタマモの脳裏に浮かんだのは横島のあの台詞。

彼はなんと言った?確か『ミミズにかけたら腫れるぞー』ととんでもないことを言った気がする。

「ま、まさかっ!?」

あの時は切羽詰っていたから禄に確認もしなかったが、もしやあの雪の真下にミミズさんがいたのだろうか?
だったらマズイ。激しくマズイ。
年頃の乙女がミミズにしっこを引っ掛けて腫れたなんて恥ずかしいにもほどがある。

「で、でも…他に心当たりなんてないし…うう…確かめてみるしかないか…」

我ながら情けないとは思うが、もし腫れていたら一大事である。
別に誰に見せるわけじゃあないが恥ずかしいものは恥ずかしい。
しかしこのままにしておくわけにもいかず、ついにタマモはソロソロとキツネ柄のパジャマとやはりキツネのバックプリント付きのパンツをおろした。
股間を通り過ぎる風の冷たさに涙が出そうになる。

「し、下だけ脱ぐってこんなに頼りないものだったなんて…勉強になったわ…」

出来ればしたくなかったが…まあ勉強ってのはいつか役に立つものであると無理矢理、自分を納得させ、閉じられた乙女の秘密にそっと触れてみるが腫れているという感触は無い。
触診で駄目なら視診しかないわけだが、場所が場所だけにおのずと限界がある。
見渡せば部屋の隅に置かれた姿見が一つ。
下半身丸出しのままそれをエッチラオッチラと引きずってきて前におき、タマモはベッドに腰を下した。

凄まじく恥ずかしい格好をしていると自覚はあるけれど、ここまで来たらもう引き返せない。
兎に角、異常の原因を掴まねばならない。
半分ベソをかきながらタマモが姿見に向けてパックリと開いた時、突然、何の遠慮もなく部屋のドアが開いた。

「タマモー!美神さんたちどこに行ったか知らな………いか…」

「・・・・・・・・・!・・・・・・・?・・…!!」

振り返った先にはドアを開けたままの体勢で固まる横島の姿があった。
横島は呆然と自分の後姿を見ていたが、その視線がずれ、そこで目を見開いてさらに驚愕の表情を浮かべる。

時でさえ凍りつくような静寂…そしてついに横島が動いた。
ピシッと手を挙げ、どこの軍隊でも文句なしに通用する見事な敬礼一発。

「失礼しましたっ!G行為中であらせられたとは知りませんでしたっ!サー!」

「ちがうのこれはちがうのヨコシマはなにかかんちがいしているとおもうの」

「はい!いいえ!サー!不肖、横島上等兵このことは他言いたしませぬのでご安心を!!」

「ちがうのこれはあそこがへんなきがして」

「はい!サー!若いときにはよくあることでありますっ!!」

「ち、ぢがう゛っていってるのにいいい」

「はい!サー!泣くのでしたら、できればしまっていただけるとありがたいのですが!!」

言われて見れば確かに自分の足はぱっくりと開いたまま。
たちまち顔から血の気が引き、津波のように逆流して真っ赤に染まる。

「う゛えぇぇぇぇぇん!み、みみみみ、見たんだぁぁぁぁ!」

「はい!いいえ!サー!自分は見てません!ただ目の閉じ方を失念してしまっていただけであります!」

「馬鹿ぁぁぁぁぁ!!」

勢いよく走り出そうとしたものの足に絡まったパンツやパジャマのせいで派手に顔面から転倒するタマモ。
白く小ぶりのお尻を惜しげもなく晒して倒れ伏しピクピクと痙攣する姿は可愛いと言うか間抜けと言うか。
結局、タマモが我に返って泣きながら下を履くまで横島は敬礼をし続けたのであった。


やがてなんとか冷静さを取り戻し、二人は語り合う。
タマモとしてはこのまま逃げてしまいたかったが、横島の誤解を解かないと大変なことになりそうな予感がするのだ。
互いに顔を合わせぬまま気まずい思いを抱きながら会話を進めるうちにやっと話が見えてきた。

「あー…つまりなんだ…アソコが痛いと…」

「ぐすっ…ぐすっ…うん…どうしよう…」

「どうしようって…病院にいって診てもらうしかないわなあ…」

「ぐすぐす…注射する?」

「さあ…知らんけど…このままってワケにもいかんだろ…」

「う、うん…」

とにかくこのままにはしておけないと二人は出かけることにした。
熱があるなら大変なことである。
放っておけば取り返しがつかなくなるかも知れない。
早期受診に早期治療が病気に対するセオリーである。
妖狐が普通の病気にかかるかは知らないが、天狗のところにいくのはまず取れる手段をとってからとやってきたのは、腕は確かだが一風変わった獣医と定評のある山村医院だった。
受付で手続きを済ませ待つことしばし、やがてタマモの名前が呼ばれる。
心細そうにGジャンの袖を引くタマモを放っておけず、タマモの頭を撫でながら横島も診察室へと入っていった。

「ふむふむ…なるほど…」

「病気なんすか?」

「あー。多分、膀胱炎ですね。」

「そ、それって何?ミミズにかけたらなるのっ!?」

「いえいえ。細菌感染ですな。汚い手とかで触るとなることが多いです。」

「だからちゃんとスル時は手を洗ってだな。」

「ちがうのヨコシマはまたよくないかんちがいしているとおもうの」

「お薬だしておきますから。」

なんだかわからないがぎこちなく笑いあう二人に、山村医師はカルテを書きながら微笑むのだった。


診察も終わり「お大事に」と薬局で薬を貰って外に出た途端にへたり込むタマモ。
なんというか背中が煤けている。
すべての気力を使い果たしたかのような顔には精細が無い。

「どうした?」

「なんか腰が抜けた…」

「まあ…大事にならなくて良かったじゃないか…」

「ぐすぐす…妖狐生活25年…こんな辱めを受ける羽目になろうとは…」

「いくつだよ…お前は?」

呆れてポリポリと頭を掻く横島を下からタマモが潤んだ目で見上げてくる。
いつもは気取ったこの少女がこんな弱みを見せるのは珍しいことだった。

「ねえ…横島…」

「あ?なんだ?」

「今日のことは内緒にして…」

「あー。言わん言わん。そんなことよりなんか食って帰ろうぜ。」

勿論、横島は他人の秘密を暴露して喜ぶような趣味は無い。
相手が西条なら別かも知れないが、異論は色々あろうけどこう見えても女性に関しては優しいのだ。
少なくともどんよりと落ち込んでいる少女を見逃せるほど冷酷ではない。

「うん…私、キツネうどん…」

「あー。はいはい。ほれ。」

「え?」

タマモの目の前には意外に広い背中がある。
しゃがんで背中を向けるということはまさか「蹴れ」というわけではあるまい。

「腰が抜けたんだろほら。」

「う…うん…」

体を寄せた彼の背中はやはり広くて温かだった。
なんとなく頬を寄せてみれば男の匂いがする。
不思議と安心を感じて静かに目を閉じ、タマモと横島は一つの影となって歩き出した。


食事が終わって帰ってみれば事務所に漂う不穏な空気。
なんと言うか生暖かい。
さながら年頃の娘の机から18禁なゴム製品を見つけてしまった物分りの良い母親のような顔をした令子とおキヌ。
そしていつもの快活さとは違う微妙な空気を漂わせているシロがいて。
タマモの心を嫌な予感が集団で駆け巡る。

「な、なんなの?」

「あのねタマモ…その…なんか困っていること無い?」

「えーと…タマモちゃん…その…私はよくわからないけど…」

「タマモ…拙者…週に一度くらい別に寝るでござるか?」

「な…なんのこと…何よその生暖かい視線はっ!」

「「「いやだって欲求不満なんでしょう?」」」

思わず背後に立つ少年を振り向くが彼もわけがわからないと言う顔色だった。
しかし…しかしである。
事務所の女性陣がこんな空気を漂わせる理由は一つしかないじゃないか。

「横島あぁぁぁぁ!あんた喋ったでしょ!!」

「待てって俺はお前のG行為のことなど一言も言ってないぞ!!大体ずっと一緒にいたじゃねーか!!」

「言ったっ!今、言ったっ!これ以上ないってくらいに言ったっ!!」

「「「まあまあ…若いんだから仕方ないわよ…」」」

「だから違ううぅぅぅぅ!横島じゃないとしたら誰よ!」

その時、タマモは思い出した。
そう…この事務所にはもう一人人格がいるということに。

「人工幽霊…まさか…」

『あの…事務所の方々の健康管理も私の仕事かと…』

「うんうん…別に病気じゃないからね。」
「その…私も情報とか集めてみますから…」
「なんなら週に二度でもいいでござるよ…」

とてつもなく微妙な慰めにタマモは静かに顔を伏せる。
その小さな体が小刻みに震えていて、もしや泣いているのかと次の慰めの言葉を探して頭を捻っている一同の耳にかすかに届くタマモの呟き。

「み…み…」

「「「み?」」」

「みんな星になっちゃえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

そして事務所の中にタマモの怒りと悲しみの炎が吹き荒れた。


「ええ…なんか急にグレちゃって…はい。え?あ、年ですか?1歳です…え?でもキツネですから…って…ああっ!切らないで!み〇さん!〇のさーん!!」

後日、どこぞに相談の電話をかけている令子の後ろ、影になった事務所の片隅に禁煙パイプを咥えながらヤンキー座りしている荒んだ目のキツネ少女が居たそうな。


おしまい


後書き
ども。犬雀です。
えーと…なんて言うか…かなり微妙なネタって言うことで(笑)
どうしようかな〜なんて思いますが、とりあえずこのエイプリルフール記念SS(どこが)は今日と明日だけの限定公開といたします〜。

というわけで前作のレス返しは次作で。

ではでは


追記 ども。犬雀です。
まずはお詫びいたします。
上記、「限定公開」ってがエイプリル・フールのつもりでした。
軽い気持ちで「嘘」をつきましたが皆様から頂いたレスを読むうちに自分の間違いに気がつきました。
深く反省し、今後はこのような浮ついたことがないよう注意することにいたします。

本当に申し訳ありませんでした。

四月三日 犬雀 


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