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▽レス始

「GS美神if 特別企画 ほのラブで行こう?(GS)」

テルヨシ (2005-12-28 01:49)

これは以前書いた十組のカップルを用いていくつか短編を書いてみよう、という企画です。
また、このSSはカップリング前提としてシロ×ケイ、タマモ×真友、美衣×唐巣です。
御了承ください。


彼、唐巣ケイが『それ』の魔力に取り付かれてしまったのは、まだ彼がケイとだけ名乗っていた時分である。
親子で横島の事務所で厄介になる事が決まり、そこでの生活にも慣れてきた頃。

たまたま横島の部屋に遊びに行った時が『それ』とのファーストコンタクトであり、『それ』の魅力におちた瞬間でもあった。

その後の彼の行動は早い。
母親である美衣を説得し(言うまでもない事かもしれないが、種族の定めとして美衣も『それ』の魅力のとりこになった)、
すぐさま自分達の家にも『それ』を用意する。

それ以来、この時期は『それ』をなくして語れない、というほど彼の生活の一部分となっていく。


それほどまでに彼が魅了されたもの。
それは冬の寒さに対する最終兵器。それなくして日本の冬を語るなど笑止千万!
といっても過言でないもの。


かの物の名は……『炬燵』という。


GS美神if 特別企画 ほのラブで行こう?
           〜冬 その寒さ対策 ケモノな彼等の場合〜 


「あ〜、ヌクヌクだ〜」
大好きな、それこそ一日中居てもかまわない炬燵に入りながらケイは年寄り臭く呟く。

「若さがないな〜ケイ。でも、まっ炬燵って良いよね。うちには無いからたまんないな〜」
「だろだろ。あ、みかん食べる真友?」
「貰う貰う。やっぱ炬燵にみかんは欠かせないよな。分かってるな、ケイは」
「炬燵のプロだから、ボクは」
「どんなプロだよそれ」
そんなやり取りをしながらみかんを食べ始める男二人。

炬燵の暖かさとみかんの甘酸っぱさが体に染み渡り、自然と声が出る。
「「あ〜、極楽だな〜」」


そこに突っ込みの声が入る。
「爺クサイでござるよ二人とも」
「まあ、分からないでもないけどね」


彼女達タマモとシロ、そして真友がケイの家に集まったのには訳がある。
学校でのレポート提出日が近づいており、皆でやろうという事になったのだ。

何故ケイの家になったかといえば、真友とシロ・タマモが住んでいる美神事務所から大体中間点にあり、
なおかつ彼の家には炬燵があったからである。


そんなこんなで皆で炬燵に入りながら勉強会となる。
みかんやお茶菓子を食べつつ、レポートは順調に進んでいく。
さして時間をかけずにレポートは無事完成した。


皆は炬燵に入りながら話したりゲームをしたりしていたのだが、ここにはインドアでなくアウトドアにこそ喜びを感じるものが居た。

「勉強も終わった事だし外に遊びに行くでござる」
「え〜、外は寒いよ。炬燵に入ってヌクヌクしてようよ〜」
「私も賛成」
「僕もそうしていたいな」
シロの提案にケイ・タマモ・真友から反対の声が上がる。
ケイと違い、タマモと真友は特に寒がりというわけでもないのだが、彼らもまた炬燵の魅力にはまりつつあり、外に出る気があまりしない。


「そんなことでGSがつとまるでござるか?」
「仕事や修行だったらボクだって外にでるさ。でも今は違うだろ。寒いときに暖かいところに居るのは当然だろ?」
「今日はさほど寒くないでござるよ」
「ボクには寒い。それに歌にもあるだろ。『ネコは炬燵で丸くなる』って。シロはその前を地で行きそうだけど」
「犬じゃないもん!」
「お約束な突っ込みありがとう」
これ以上言う事は無い、とばかりにネコの姿になりくつろぐケイ。


「う〜」
そう言いながらケイをにらむシロだが、ぜんぜん怖くない、むしろ可愛いくらいだ。
ケイにしても気にしないで炬燵の暖かさを堪能している。

そのやり取りを真友とタマモは生暖かく見守っている。
二人の対峙がどう決着を見るか楽しんでいるようだ。


土台口論という分野でシロが勝てるわけないのであり、この様なやり取りは何時もケイに軍配が上がる。
が、今回に限ってはその例外が起こるようだ。


何やら名案でも思いついたのだろう、シロが問いかける。
「ケイ、寒くなければ外に行くのでござるか?」
「う〜ん、そうだな行ってもいいけど……」
「じゃあ行くでござる」
「だから、外は寒いって……って、何するんだよ!?」
ケイは慌てる。それはそうだろう。
シロがいきなり彼の襟首をつかみ炬燵から引き出したのだから。

「炬燵に戻らしてよ〜」
「炬燵に戻らなくてもこうすれば暖かいでござるよ」
じたばた暴れるケイに対し、悪戯っぽい笑みを浮かべながらシロはケイを自らの懐に入れる。


「――――――っていきなり何するんだよ! 出してよ!!」
あまりの事に思考の沈黙から回復したケイは当然の要求をするも、
「暴れてはダメでござるよ」
無論却下されてしまう。

「あっ、何処触ってるでござるか。ケイのエッチ」
「ゴメン! わざとじゃ……。ってシロが出してくれればすむことじゃないか」
「出したら出かけてくれないでござろう? ダメでござる」
冬という事であり、流石のシロも厚着をしているため直接肌や下着が当たるというわけでもないのだが、
ケイには十分すぎる刺激だろう。また上記のことによりシロには精神的余裕がある。
二人の攻防は続く。観客がいる事を忘れ。


「タマモちゃん、みかん食べる?」
「うん、頂戴。なるべくすっぱそうのやつを。あれ見てたらとすっぱいもの食べたくなったわ」
幸か不幸か、彼等のやり取りは二人には届かなかった様だが。


「分かったよ! 外に出かけるからここから出してよ!!」
「ダメでござる。ここから出したらすぐに炬燵に戻って出かけないでござろう?」
「約束は守るよ。だから出してよ!」
「う〜ん、でもケイが居ると拙者が温かいからやっぱダメでござる」
「シロの嘘つき!!」


まあ、そんなやり取りがあったが、結局外に出かけることになった四人。
最初は真友、シロ、タマモの三人で歩いていたのだが、真友はマフラーを持ってこなかったため少々寒そうだ。

「大丈夫真友君?」
心配そうに聞いてくるタマモに
「大丈夫だよ。寒いけど」
と答えになっているのか、なっていないような返答を返す。


「あ、そうだ」
タマモはそう叫ぶなり狐形態になると、ケイを見習うかのごとく、タマモの服の中へ入り込んだ。

「タマモちゃん!?」
「どう、天然の毛皮よ。温かいでしょ?」
「う、うん」
いきなり懐に入り込まれた真友はいささか混乱気味で答える。

が、確かに温かいし、何より彼女を公然と抱きしめているようなものだ。
嬉しさ半分、照れ臭さ半分といったところだろうか。


一方のタマモはこの状況を大いに満喫していた。
彼女には家族がいない。
無論美神親子やおキヌ、シロ、横島達は彼女にとって家族も同然である。
だが、彼らの中に父親代わりとなるものはいなかった。
強いてあげれば唐巣神父かもしれないが、彼女と彼はさして接点が無く、とても甘えるという関係までには至らない。

そんな彼女だから、誰かの体温に包まれるというのはとても気持ちのいいものであった。


こうして四人は(実際に歩いているのはシロと真友の二人だけだが)冬の街を歩いていたが、一人沈黙を守り通すものがいる。
ケイである。


「ケイ、先ほどから何を黙っているでござるか?」
「……別に」
不機嫌な返事の見本のような返答を返すケイ。

「もしかして怒ってござるか?」
「……別に」

判を押したように先ほどと同じ答えだが、彼の言葉に嘘は無い。
騙された、というより引っ掛けられた感じはするものの、その事自体は特にもう怒ってはいない。


ただこのシロに抱きしめられている状況、というものがものすごく照れ臭くて。
そしてそれをシロに悟られたくなくてこの様な態度をとっているだけである。


「機嫌を直すでござるよ、ケイ」
そう言いながらシロは優しくケイを抱きしめる。

「あっ、あのシロ」
「何でござるか?」
「何かやわらかいものが背中に当たるから、抱きしめるのは止めてくれないかな?」
恥ずかしいのか、シロを見ずに頼み込むケイ。

そんな彼の反応にシロは気をよくしていた。
悪戯っぽく笑いながら、
「何が当たっている出ござるか? はっきり言わないと分からないでござる」
「……胸だよ」
「何でござるか?」
「シロの胸があたっているんだよ」

恥ずかしさを押さえ、はっきり答えるケイだが、
「それなら問題ないでござる」
「どこが!?」
「だって……当ててるでござるからな」
それと同時に笑うシロは何時も以上に綺麗に見えた、とはケイの弁である。

無論本人に言ってあげられるほど甲斐性も経験も現時点で無いケイは
「……」
沈黙を守るしか手は無かった。


まあ、そんなこんなで彼等は四人で過ごす時間を楽しんだのであった。


オマケその一 間違った選択?

「だって……当ててるでござる」
この言葉でケイは自分がからかわれていると悟った。

そして平静を保ちつつ(実際は心臓がバクバクと鳴っていたのだが)、
「そういう台詞はボクの母ちゃんくらいに胸がでか……」

そこまでは言いかけてケイは言葉を飲み込んだ。
自分の背後から尋常でない殺気を感じたから。

「胸が何でござる?」
顔は笑っているが目と声がそれをまったく裏切っている。

「なっ、なんでもないよ」
「そうでござるか」
まったく納得していない声でそう言うと、シロはケイを抱きしめる力を段々と強くする。
失言の代償としてケイは天国(シロの胸の感触)と地獄(万力で締め付けられるかのような体験)を味わう事となった。


オマケその二 悪戯な……

彼等四人が冬の街を歩いていると前方から女子高生が歩いてきた。
特に知った顔でもなく、取り立てて興味を持つことなく彼女とは通り過ぎるはずだったのだがそこに一陣の悪戯な風が吹いた。

多くの例にもれることなく、彼女もいまどきの女子高校生らしくミニスカートだったので見事にめくれる。
ケイはその時違う方向を見いていたので見ていないが、真友は真正面を向いていたのでばっちり見えてしまう。

真友も現代を生きる健全な男子高校生。
そんなシーンを拝めてラッキーと思っても罪は無いだろう。


だが今彼が置かれている状況が不味かった。

『カプッ』
そんな擬音が聞こえそうな感じでタマモは真友の耳に噛み付いた。
「痛たた。何するんだよタマモちゃん」
「自分の胸に聞きなさい。真友君のエッチ」
「しょ、しょうがないじゃないか。不可抗力だよ。見たくて見たわけじゃないし」
「でも見れてラッキーと思ったんでしょ?」
「そ、それは少しは……」
「エッチ、スケベ」
「ぐっ……」

事実は事実なので反論は出来ない。
へこんでいる真友にタマモはささやく。

「そんなに見たいのなら私が見せてあげるわよ」
「えっ!?」

その言葉に真友は何を考えたのか?
急に顔が赤くなり、挙動が不審になる。

「何を考えたのかしら?」
妖艶に微笑むタマモ。しかし今は狐状態なので分かるわけも無いが。

「えっと、それは……」
「真友君のエッチ」
そう言いつつ真友の耳を噛む。
先ほどとは違い甘噛みであり、ついでとばかりに舐める。

「―――――――っ!!」
声にならない悲鳴を上げる真友。


結局、タマモの発言が実行に移されたかどうかは二人だけの秘密。


オトナ編


時間は深夜。
唐巣ケイは温かい布団に包まれて夢の中にいる時間。
唐巣美衣となった美衣は自分の布団から抜け出す。

彼女が向かった先は……。


―――同時刻。
唐巣和宏は自身のベッドの中でGS関連の資料を読んでいた。
ふと隣から物音がしたので顔を資料から上げるとそこには先に休んでいたはずの彼の妻が目に入る。


「どうかしたのかい?」
微笑みと共にそう問いかけてくる唐巣に美衣は目線を唐巣と布団を行き来させる。

「仕方ないね、おいで」
そんな仕草で言いたいことが分かったのか、読んでいた資料を片付けると布団のすそを上げ、妻を招き入れる。

妻の体を優しくさする唐巣。
美衣は気持ちよさそうな顔をしている。

しばし二人はまったりとした時間を楽しんだ後、二人は寝る事にした。
若干美衣は物足りなさそうな顔をしていたが。

「おやすみ」
唐巣は美衣を軽く抱きしめ、自分の体の上へを置く。

それに答えるかのように美衣は顔を唐巣になでつける。
唐巣は寝るまで美衣をなで続けたのであった。


眠りに落ちるまでの時間に唐巣は思う。
猫形態の妻はなんて温かく、抱き心地が良いのだろうかと。


冬の寒い時期、彼等はこうして眠りに付く事が多い。
無論美衣が猫形態じゃないときも多々あるのだが……。

それは夫婦だけの秘密だろうか?


あとがき

いかがだったでしょうか?
このじきの炬燵は猫でなくても良いですよね。


ちなみに私は
『冬の寒い日に暖かい部屋で炬燵に入りながらアイスを食べる』
『夏の暑い日にクーラーの効いた部屋でラーメンを食べる』
というのがこれらの季節の贅沢だと思っています。
これに対抗できるのは『風呂上りに良く冷えたビールを飲む』くらいでしょうか?
未成年者の方は出来ないですけど。


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