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!警告!壊れキャラ有り

「さんじの聖誕祭(GS+チルドレン+その他)」

甲斐晴 (2005-12-25 05:41/2005-12-25 05:44)


 24日の午後三時。


 クリスマスイブ、…か。

 この日を穏やかな気分で過ごせる時がくるとはあの頃は思いもしなかった。
 私も年をとったという事か。…いや、大人になってしまったという事か。

 …待ち合わせ場所はここで正しいはずなんだが……珍しいな、他に誰も来ていないなんて。まあ、待たせたあげくどつかれるよりマシか。
 私はぼんやり待つ事にした。駅前だし、今日は風もないし、コートさえ着ていればただ立っているだけでも寒くはない。
 …今年は、雪、降らないのだろうか……。

 クリスマス一色に染まっている街の喧騒が何となく心地よい。
 …なんて言えるのは、それを一緒に楽しむ人たちがいるからこそ、かも知れない。
 私は周囲の会話を聞くともなしに聞いていた。


「よう、皆本。今日は1人か」
「ん、ああ。このまま直帰できそうだよ」
「そうじゃなくて。このクリスマスに1人なのか、って聞いてるんだよ。チビどもはどうした?」
「今日は小学校の皆とクリスマス会なんだそうだ。おかげで今夜はのんびりできそうだ」
「じゃあ、暇か。暇だよな。では行こうではないか我々と飲み会へ。安心しろ、今回は美女が勢ぞろい! お持ち帰りもOK! 是非行こう」
「ち、ちょっと待て。いつもにも増してハイテンションだが、どうした」
「…………実はな、野郎が1人、ドタキャンしやがって……しかも理由を聞いたら『彼女ができた』だと! これが許せるか!?」


 それは許し難いだろう。
 クリスマス直前に恋人ができるなど…奇跡が起こるのが早すぎもいいとこだ。
 彼の言い分は妥当だ。


「だからいきなり人数が合わなくなっちまったんだよ。どーせ暇なら来いよ。こーいうイベントは楽しまないと損だぜ」
「そうだな……」
「あら、皆本さんに賢木さん」
「あ、ほんとだ」
「こんにちはー」
「こんな日に男だけ二人? 寂しいわねー」


 おや、一気に人が増えたな。


「そりゃそっちも同じだろう。人数が倍なだけで」
「だってやっと仕事が終わったんだから、仕方ないでしょ」
「それはそうと、今夜の飲み会、皆本さんも来るんだ?」
「いや、僕はまだ…」
「ああ。そうなんだ」
「って、おいっ!! 勝手に…!」
「だって他に用事ないんだろ? いーじゃん」
「あ、そうなん……って、ほたる! いい、抜け駆けはなしよ!」
「わかってるわよー(棒読み)」
「絶対わかってないでしょあんた!」
「じゃ、二次会は私と一緒に抜け出しませんか」
「うわ堂々!? 負けるもんですか! 皆本さんとりあえずあたしのメルアド…」


 …なんだろう。今、何か、胸に熱いものと冷たいものが………


「いや、あの、その………」
「どうせなら一緒に抜けて二人で飲みませんか」
「私の家へ来ません? 私、1人暮らしなの…」
「わー赤くなってる。可愛い」
「え、わ、ちょ、離れて…」
「腕組んだだけで赤くなるなんて純情なのね〜」
「お〜い俺の事、忘れてない?」


 ていうか飲み会はどうした。


「いや、そんな、皆近すぎ……」
「じゃあ飲み会に一緒に行ってその後朝まで二人で過ごしてくれます?」
「私と付き合ってくれるなら離れてあげます」
「ケッ………」
「あたしなら皆を撒けるわよ」
「誰か一人選べば皆諦めるでしょ。ね?」
「いやいきなりそんな……」


 だああ!! 何を純情ぶっとるか!! ウブなガキじゃあるまいし!!
 選べないというなら代われ!! 今すぐ!!!
 先約がなかったら俺が立候補したいくらい綺麗処が揃っとるというのに!!
 
 やったら皆にしばかれるからやらんけどな!!
 コートを着ててもボン・キュッ・ボンなのが丸わかりなねえちゃんばっかだぞ!!
 何をグズグズしとるかこの三下がァ!!!

 ………思っている事を絶叫しそうになったが、両手で口をおさえて私は何とか耐えた。私も成長した。
 だがしかし全身の震えを抑える事は今の私には難しかった。


 体の奥底から熱いものと冷たいもの、相反するものが同時に湧き上がってくる。
 新たな力が目覚めそうだ。
 心眼が開いた時もこんな感じだったのだろうか。


「賢木助けて…っていない!?」
「んもう皆本さんたら。こんな美女に囲まれて何が不満?」
「そうそう。大喜びでお金払います、とかいうんならともかく」


 是非ともお願いしたい。


「いやそういうわけじゃなくて」


 煮えきらん奴だな。


「いつもの美少女達だけじゃ物足りないでしょ。たまには趣の違う美女達をはべらせてみたいと思わない?」


 いつものだとおぅ!?


 こいつ、日頃から美少女をはべらせてるのか!? あんな気弱そうなナリして!?


「…………………許さん」


 誰が許そうとも我が許さん!!!

 懐から出した珠に私は強く念をこ


「サイキック・しっとアタァーック!!!」


「ぐはっ!?」


 ――――――あ?


「この世の正義を守るため! しっとマスクただいま登場!!」

 気がついたら、皆本なる男は地面にめり込んでいた。
 うむ。正義の行為だ。


「…な。か、かお」

「ふっふっふ。違うな。あたしの名はしっとレッド!!」

「うちはしっとブルー!」

「私はしっとパープル」


 三人の少女がかぶっている「しっと」の字が刻まれたマスクが白く、輝いていた。


「人がいない隙に飲み会に行ってちゃっかりおねーちゃんと二人で夜明けのコーヒーすすろうとはいい根性してるじゃないか」
「二次会にさりげなく二人で抜けるなんて…ずいぶん手馴れてるみたいやな」
「美少女達だけじゃ物足りなかったの。………そう」

「ま、待て。お前ら、クリスマス会じゃ…」

「知らんかった? うちらのクリスマス会じゃ二次会なんてもんはないんや」
「酒も飲めねーしな。会場人んちだし」
「お持ち帰りもないしね………」

「お、おい。待て。落ち着け」

「あたしが夜景の綺麗なホテルに予約取ってって言った時は駄目って言ったくせに…」
「お前らどーせ騒ぐだけのくせに夜景も何もないだろう!」
「うちは贅沢は言わんからプレゼントは給料3ヶ月分のもので十分だって言ったのに」
「滅茶苦茶いっとるわ! どんだけのもの欲しがってるんだ!?」
「別に指輪は16になってからでいいと思ってたけど……司令の言う通りね」
「ちょっと待て。司令って誰だ!?」


「「「問答無用!! 天誅―――!!!」」」


「ぎゃ――っ!!」


 私はゆっくりと歩き出していた。
 そうだ。忘れていた。

 世が移り変わり人がどう変わろうと。
 根源は変わらない。
 人が人である限り、その思いは―――必ず生まれてくる。
 魂は、不滅。
 もう、しっとの力は次世代に伝わっていたのだ………。
 私の出番は、もうない………。


「あ、いましたよ美神さん―――」
「ほんとだ。珍しいわよね。横島君以外全員遅刻するなんて……って、泣いてる!? そんな、10分程度待たされただけで!?」
「いえ、違うんです美神さん―――。ええ話があって………」
 そう。私は感動していた。感動のあまり、涙が止まらなかった。
 その感動を分かち合いたくて私はそれを話し出した―――――


「クククク………!! チビどもというコブ付だと知られれば奴狙いもグッと減るだろ……!!」(←チクリ魔)


「くくくくく…。女王達もあのマスクを気に入ったようだね…」(←マスク渡した奴)


           〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 ガチャ、ガチャ、……。

 夜にドアの音は結構よく響くものだ。

「ただいまー」

 チルドレン、そしてなぜかボロボロになった皆本がケーキの箱を持って帰宅した。

「おかえり」

「って、うわあ! 兵部!?」


 家に帰ったら、暖まった部屋で兵部がくつろいでいました。


「あ、兵部さんだー」
「「こんばんわー」」


「な、なんでここに…」
「わからないかい?」

 兵部は余裕のある笑顔で、

「クリスマスに1人は寂しいからね。遊びに来たよ」

「還れ。エスパー房へ」

「ふっふっふ。それはひどくないかい。せっかく部屋全体を頑張って飾っておいたのに」
 確かに今や部屋全体がクリスマス一色に染まっていた。紙細工の鎖やら星やら電飾もばっちり。
 しかも窓はスノースプレーで綺麗にデコレートされている。
「これって…お前らがやったんじゃないのか」
「ううん。ほとんど兵部さん。あたしらは少しだけ」

「………。上手だな。思いのほか」

 皆本はなんだかやりきれない気分になってきた。

「ありがとう。僕もクリスマス会なんて初めてだからね…」
 兵部は薄く笑った。

 ああそうだろうな随分永い事エスパー房にいたもんな80まで。

「兵部さん…。今夜は楽しもうぜ無礼講だ!」
「シャンパンもあるで。ノンアルコールやけどなー」
「今日は兵部さん飾りつけ頑張ったものね」

 うわあ、もう馴染んでるよチルドレン。ていうか妙に好意的だな。
 そうまるで老人会と子供会合同のパーティのように穏やかな光景だ。

 皆本、何となく疎外感。
 いや、馴染みたくないが。

 皆本が1人ぽつねんと立ち尽くしていると、兵部に群がっていたチルドレンは珍しく気遣うような顔でそっと歩み寄り、

「「「いる?」」」

 取り出したるは「しっと」とでかでかと書かれた三つのマスク。

「いらんっ!」

 


     ××××××

 ここには初めて投稿します甲斐晴というものです。
 誰もが思いついてやるかなと思いつつも早いもの勝ちという事でやっちまいました。
 壊れ表記を一応入れましたが、それほどではなかったかも。半壊程度ですかね。

 それではよろしかったら感想などお願いします。


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