「・・・さよなら」
その言葉が彼の口から発せられた最後の言葉だった・・・
彼の名は横島忠夫
今年18歳になったピッチピチの高校生だ、
いや正確には『だった』だろうか。
この見る人が見れば時代を先取りしたかの様に見える奇怪なオブジェを見て、
「うわ~肌に張りがありますね」
とか
「やっぱり若いってのは違うなぁ」
等と言えるのならば、『だった』と言う表現は間違っているのだろうが恐らく100人中99人は頷いてくれるだろう。
もちろん余った一人が横島忠夫本人である事は言うまでも無いが・・・
彼が生ゴミ・・・もとい素晴らしいオブジェになったには勿論経緯がある。
では、そんな彼の輝かしい1日の生活と共にオブジェになる少し前の時間に戻ってみよう。
貧困大作戦!! ~横島忠夫の1日~
「ちょっとオ痛が過ぎたみたいね!GS美神令子が極楽へ行かせてあげるわ!!」
「ガァァァァァ!!!」
凶悪な呪いの怨念を辺りに撒き散らしながら襲い掛かってくる怨霊
しかし
「吸引!!」
ビュゥゥゥ!!
パシッ
「はい楽勝」
どれ程強い霊でも僅か数行、漫画で言う見開き程度で片付いてしまうのは雑魚霊の悲しい性といった所か・・・
「お疲れ様です、美神さん!」
徐霊が終わり辺りに危険が無くなると同時に、おキヌちゃんが美神さんの側へ行く
「おつかれさん、おキヌちゃん。今日は頑張ったわね」
「はい!」
・・・
「じゃあ徐霊も終わった事だし2人で何か食べに行く?オキヌちゃん」
・・・・・・
「良いですね!最近美味しいって評判のお店があるんですよ」
・・・・・・・・・
「じゃあソコ行きましょうか」
スタスタスタ
美神さ~ん無視するのは良いですけど、せめて壁に埋まった俺を助けてからにしてくれませんか?
「昨日は散々やった」
あれから死に物狂いで壁から抜け出したと思ったら老朽化した地面に穴が開いて、
しかもそれが10階だったもんだから落ちて、穴が開いて落ちて・・・
そりゃあもうエレベーターの如く9階、8階、7階とスムーズに降りる事が出来ましたよチクショウ!
いくら不死身の忠ちゃんとはいえ流石に死ぬかと思った。
そりゃあ徐霊に行って悪霊って言われとったのが美人でグラマラスなネーちゃんだからってナンパしたのは駄目だったかも知れん。
だが・・・あんな綺麗なネーちゃんをナンパせずして何が男だ!!
まぁその後、急に形相が変わって恐ろしくて筋肉質な悪霊に変わった時は目が覚めたが・・・
「美神さんまだ怒ってるかな~」
怒ってたら確実に折檻だな
つーか昨日はオキヌちゃんまで加わってたしなぁ~
「はぁ」
ズダダダダダダダダ
はっ!この気配!!!
今の時間は・・・5時!!ぬかった!!
ちぃ!少し考えすぎていたみたいだ!
急いでドアを塞がなけれズバン!!!ばぁ!?
グシャ
「せぇんせぇ~」
キィィィ・・・
開かれた反動と俺をクッションにしてドアが閉まっていく
「今から拙者と一緒に散歩に・・・ってあれ?先生?何処に居るでござるかぁ~?」
・・・バタン
「シィロォォォォ・・・・貴様ぁぁぁぁ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
頭をダランとさせ右手を地面スレスレまで下げ左肩を気持ち上げ前かがみの姿勢でユラユラと近づいて行く
まるで何処ぞの奇妙な冒険をしている人達みたいに「キ○グ・クリム○ン!!!」とか今にも言いそうだ
「先生ぇ~こんな所に居たでござるかぁ~。と言うかどうしたんでござるか?」
「おめーのせいだよ!!!お前の!!」
もうね・・・疲れたよ・・・チクショウ!朝日が目に染みるなぁ~!!
「シロの奴近場近場って言ってたのに結局フルマラソン並の距離走りやがって・・」
ヒュルリ~ヒュ~ルリ~ララ~みたいな哀愁漂う姿で事務所に向かう
学校?そんなもん休んだに決まっとろう!!
1日を過ごすのにも死に物狂いな俺が学校なんぞ行ってる暇何か無いわ!!
それならば働いてチチシリフトモモを拝んでる方が何億倍も有意義じゃ!
「ちわ~す」
ガチャ
「ああ横島君、おはよう」
書類に没頭してんな~まぁあらかた年末だし、どうやって誤魔化そうとか考えてるんだろな~
ピラ・・・
ん?何だこれ?
何々、女子高の体育館にて女性の姿をした悪霊が出没。
しいては元学校の保健室職員の為穏便に解決願いたい、か・・・
報酬は・・・1000万・・
美神さんが、この手の面倒な徐霊をするとは思えん
ここは聖人御子の横島忠夫が悪霊によって苦しんでいる女学生を救ってあげようではないか!!
「美神さ~ん」
ギロッ!
こわっ!!
「何?」
「あ、あのですねぇ、この依頼俺に任せて貰えないっスかね?」
「どれ?」
ひぃぃぃドスが効いてるよぉ~
震える手を何とか抑えつつ紙を渡す
「・・・・ま、いいでしょ。悪霊って訳じゃなさそうだから危険は無いと思うし」
それだけ言うと再び書類に目を通し始める美神さん
おっしゃ~~~!!!女子高!ピチピチ!!美人教師!!ムチムチ!!
チチシリフトモモ――――!!!!!!!
「うっさーーーーーーーい!!!!」
ドゴム!!!
ガシャー――ン!!
まるで般若のような形相から繰り出されたスクリュードライバーは俺の体を易とも簡単に持ち上げ軽々と窓ガラスを突き破り飛ばされる
「しもたぁぁぁぁぁ!!!声に出してしもたぁぁぁぁぁ・・・」
見事なドップラー効果をしながら飛んで行く
「はぁ・・・やっぱり1000万じゃ徐霊は無理か・・・」
一人校長室でうな垂れる女性
若干25歳で私立の女子高を立ち上げた若き才能者である
しかし、ようやく学校として経営が軌道に乗り始めた所である
1000万以上の大金は出せない。これでも必死に集めた金額なのだ。
さてどうしよう?違うGSに頼むしか無いのかしら・・・
「はぁ」
ため息ばかりが出る
ふと外を見て見る
「び・・・の・・・ゃんや~~」
ん?今変な声が・・・
「び・・んの・・ねーち・・・や~」
また変な声が・・・そういえば最近働きどうしだったから
多分疲れ「美人のねーちゃんや~~!!!!」きゃ!!
ドンガラガッシャー―ン!!!
ピク・・ピクピク
「な・・何これ・・・」
いきなり校長室の窓を破って飛んで来た謎の物体・・いや奇怪なオブジェ
おそるおそる近づいて見る
良く見れば人間・・・に見えなくも無い
「ぅ・・う~ん・・」
「だ、大丈夫ですか!?」
肩を持って上半身を持ち上げる
とさッ・・
「う~ん・・ぷにぷにでエエ匂いや~」
そんな事を私の胸の中で言う青年。
とりあえず殴っておいた。
「・・・と言う訳なんです」
「小説って便利やな~」
とりあえず俺がGSと言う事を説明し、校長から霊の事を聞いた。
校長の話を要約すると、
さして悪い事をしては居ないが最近頻繁に霊が出る
このままだと学校の評判が落ちるので、どうにかしてほしいって事らしい。
「ふっお任せ下さい。このSGS(スーパーゴーストスイーパー)横島忠夫の手にかかれば、そのような霊なんぞたちまちにGO!TO!HELL!!ですよ」
「御願します、横島さん」
「ノンノン、横島だなんて堅苦しい言い方はしないで下さいよ。忠夫で結構ですよ」
「は、はぁ」
「じゃあ報酬の件頼みますよ」
スッと立ち上がりドアへ向かう
「はい、1000万円で宜しいんですよね?」
「いえ、違います」
「?」
他に何かあったかと考える校長
「もし・・・もし俺が無事に帰ってきたら、その時は朝までデートしてください。」
「は?」
「何なら・・・先払いで今!! この場ででも良いですがーーー!!!!!」
ビュ~んとルパンダイブで校長に飛びつく
ズゲシ!!!!
しかし校長のコークスクリューの方が速く
「お・・・黄金の左手・・・」
通常のパンチとは違い回転を加えた鋭い一撃が横島の頬を直撃し、
ドサッ
哀れにも地面に伏せる横島
1! 2! 3!! カンカンカー―ン!!
横島忠夫!!徐霊をする前に再起不能のダメージを負いKO!!!
「美・・・神さん・・・・・・お・・・キヌちゃん・・・シロ・・・タ・・・マモ・・・・・・」
消えかかりそうな意識の中、彼は最後の力を振り絞り言葉を紡ぐ
「皆・・・・・・そして・・・・・・ルシオラ・・・・・・・すまん・・・」
涙で視界が揺らめく
「もう・・・会えそうに無い・・・・・・さよなら・・・・」
女子高の校長室で美女とひれ伏す青年。
その後、彼女の連絡によって呼び出された美神達が彼に制裁を加えたのは言うまでも無く、
意識が回復した横島が女子高にて暴走し再び制裁を加えられたのは
また別の話・・・・・・
「美人なネーちゃんとかピチピチの若い子が居てるんやぞ!! こんなシャッターチャンス逃す奴は男や無いで―――!!!!!ひゃひゃひゃひゃ~」
今回の徐霊料金・・・横島忠夫のセクシャルハラスメントにより、謝罪の意味も含め
0円!!!
~~~~おすまい~~~~
後書き
始めましてウーロンと申します。
今回の話が初めての投稿になります
本当は徐霊シーンとかも書く予定だったのですが、止めにしました
書きたかったのですが文才が無い為に・・・
こんなショボイ話ですが良かったら見て下さい。
では