インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「おべんとおべんと嬉しいな(絶チル)」

Yu-san (2005-11-03 23:21)

注:この小ネタには今週号の(週刊サンデー49号)内容のネタばれが若干含まれておりますので、未読の方は注意願いマス。


皆本光一氏は優秀な人材である。
二十歳そこそこという若さで『ザ・チルドレン』を率いる現場運用主任の座に就けたのは、彼が緻密で高度な知識と合理的精神の持ち主であるからだ。

〜皆本の自宅〜
「あ、ホイッ♪」
まず葵が“ある物体”をテレポートで移動させてくる。
「念動(サイキック)ぅうーーーー!押し固め!」
さらに薫が“ある物体”をサイコキノで分割して丸め込んでいく。
「え〜と。これがタラコで、これがシャケで、こっちがツナ」
そして紫穂が“ある物体”をサイコメトラーで読み込んでいく。

「お前達オニギリ作りにワザワザ超能力を使うな〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
エプロン姿の皆本は叫び声を上げた。
「食べ物をオモチャにするんじゃない!見ろ、ぐちゃぐちゃじゃないか」
「え〜〜〜だってよぉ。いいじゃん食えれば」
「ま、ウチらはイヤやから、デリバリー頼んどくわ」
「じゃああたし、お花見用の懐石弁当がいいな」
「だから!駄目だって云ってるだろ〜〜〜〜〜〜!?」
今回のチルドレンの任務は、新メンバーのエスパーの選抜試験を兼ねた模擬戦闘。
レベル7のチルドレンと、レベル2〜3のエスパー+皆本の異色の対決である。
決戦を前にして皆本は、持参する為の『お弁当作り』をチルドレンに命じた。
当然のように面倒臭い、買えば済むと不満を漏らしたが皆本は許さなかった。
模擬とはいえ超能力戦争という非日常を体験する前に、三人に普通の日常を学ばせておきたいという考えだ。
……だったのだが、やっぱり超能力を使ってしまう三人娘だった。
「手を抜かずにちゃんと手を使え、手を!」


しばらくの間


「うっわ………オヤジ」
「はぁ……皆本はん、そら寒すぎやわ」
「……なんていうか、学歴では得られないものなのね」
「ち、違う!ついうっかりだ!そんなつもりじゃ……!いや、続けるぞ」
うろたえそうになった皆本だが、無理矢理にでも自分を落ち着かせて作業を再開させる。
(いけないいけない。あくまでもクールに振舞って自分のペースを守り抜くんだ)
ムキにならず黙々とオニギリを作る皆本。その態度が気に入らない三人娘が絡み始める。
「しっかし皆本もいい度胸だよな〜〜。あたしらと喧嘩しようってんだから」
「ふふん。いい気でいられるのも今のうちだけだぞ。悪いけど、今回は勝ちに行くからな」
「おお!皆本はん、珍しく強気やないの〜〜?」
「あたし達の手の内は知り尽くしてるってことかしら。でもあたし達も皆本さんのことはよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜く知ってるのよ」
「な、何や紫穂?どこまで探ったんや?」
「皆本の“好きなおかず”とかもか?ゲッシャッシャッシャッシャ!」
「さあ…?どうかしら」
−ブルブルブルブル
好き放題にはしゃぎまくる三人娘の挑発にも、皆本は肩を震わせながらクールに返す。
「やれやれ、君たちは指揮官の真の凄みというのを知らないな。古人曰く“獅子に率いられた羊の群れは、羊に率いられた獅子の群れに勝つ”ってね」
(……決まった!三日前から使おうと考えていて、タイミングを計っていたんだ)


しばらくの間


「あーー!薫、ツナ入れすぎやて。そら邪道やで」
「いーじゃん。あたしこれがいっちゃん好きなんだよ」
「何?このシャケ、冷凍モノじゃないの」
「完全無視かーーーーーーーーーっ………!あ、いや。まぁいい」
健気にひたすら耐える皆本。いぢくりまわしたい三人娘は更にしつこく絡み続ける。
すると、薫はやたら大きな握り飯を二つ作ると、両手に掲げて皆本に見せに来た。
「ほ〜〜ら皆本。こっちが母ちゃんでこっちが姉ちゃんだぞ♪どっちから食べたい?」


しばらくの間


「な・なな……、な!何の事だ一体!?」
「あは♪動揺してやがる。何を想像したんだよ皆本〜〜〜?」
「??皆本はん、何でこれが薫ちゃんのお母はん達なんや?」
「二人とも駄目よ、皆本さんを困らせちゃ。だ・か・らあたしが看てあげる♪」
−ガシッ
薫と葵が皆本の両腕を固め、紫穂がじわじわと迫ってくる。
「止めろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!止めてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

「何てね♪まぁどうせ健全な成人男子なら誰でも考える事だから」
「んじゃ皆本。これお前の分な、ちゃんと片付けろよ」
「そやな。食べ物で遊んだらバチ当たるゆうしな」
−…ハァハァハァハァハァハァ
散々いぢりまわされた皆本は荒い息を吐いてテーブルに突っ伏してしまい、満足した三人娘は、やっとオニギリ作りに取り掛かっていく。
「あー面白かった♪」
「じゃあ早く終わらせちゃいましょ♪」
「ほらほら皆本はん、さぼってないで手伝ってや♪」
皆本は精神的にも疲れきった身体に鞭打って立ち上がると、またオニギリを握りだす。
(く・くく…くそ〜〜。明日こそはこのクソガキ共に吠え面をかかせてやる〜〜)
「……葵、ほっぺにご飯粒が付いてるぞ」
「え?どこや」
「だから右のほっぺ」
「もう、どこやねん?」
「だから、そこだってば!」
疲れている為、ぞんざいな口調になる皆本。おまけに両手も塞がっていたため、つい。
−れる
「「「あ!?」」」
合理的精神に基づき、身体の別部分を使ってしまった。
「もぐもぐ…。全く、どうしてそうやって無駄手間ばかりかけさせ…ん?」


しばらくの間


あんぐりと口を開き、目を見開いて硬直する薫と紫穂。
そして、上気した右頬に手を添えて立ち尽くす葵。
「皆本はんに………あ、あ、あ、味見されてもーたーー♪あっかーん!皆本はん、サイッテーや♪二人の前でそれはあっかーーーーーん♪
自分の身体を抱き締め、身悶えしまくる葵。
「え?……………あ!!ち、違う!ついうっかりだ!そんなつもりじゃなくて!!」

−ガボォオオオオ!
薫は炊飯器の中に顔面を突っ込み、顔全面に飯粒を付けると皆本に向かって叫んだ。
「さぁ皆本ぉおおおおお!バッチコーーーーーイ!おらバッチコーーーーーイ!」

−ぴと
志穂は一粒だけ米粒を自分の右頬にくっつけると、無言で皆本にそれを向けた。
後はどうするか、判ってるわよね?と云わんばかりの態度だ。

イヤァーーーーーーーーッ♪イヤイヤイヤァーーーーーーーッ♪
「あかんて皆本はん!後五年程待ってや!そしたらお父はんにも会ってもろて……!」
そして葵は、完全に暴走してあらぬ人生設計まで口走り始めていた。


「だーかーらーーーーー!違うんだーーーーーー!」
結局この後、騒動を収めるため皆本は『明日の模擬戦闘でチルドレンが勝ったら何でも言う事を聞く』と約束させられてしまうのだが、それはまた別の物語である。


結論:皆本光一は頭のイイ阿呆である。


△記事頭

▲記事頭

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI