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▽レス始

「結界(GS)」

さみい (2005-08-22 23:06)

私は城内の一室で女華姫さまと一緒に紫の法衣を着た僧から話を聞いていた。城内と言っても、この藩は質実剛健・倹約を藩の規範とすることもあり、極めて質素な作りらしい。私は他所の国には行ったことないけど、四公六民ということからも事実なのだろう。部屋には女華姫さまと私・奥女中の絵波さん、そして殿様が姫様の教育のために江戸からわざわざ招聘された御坊様。今日は御庭番の方々も特に警戒している。今日の御進講は内容が内容だから。

「それでは慈眼大師どのが築いた江戸の結界があと300年程で崩れると言うのか?」
女華姫さまが僧に問う。
「姫さまのおっしゃる通りですが、その頃には未来の人々は次なる結界を作っておることでしょう。結界が人柱で築かれている以上、いかに慈眼大師どのの法力を以てしても400年以上持たせることは無理でしょう。ですが人柱で築かれているからこそ、江戸や周辺天領を守る巨大結界を構築できたのです」
慈眼大師さまというのは100年前に将軍家康様にお仕えした天海さまのこと。政僧とも怪僧とも言われるが、ずば抜けた影響力で徳川幕府の盤石な基盤を築いた陰の功労者。
「慈眼大師さまはなぜ江戸に結界を作ったのですか?」
この僧から女華姫さまがご進講を受け始めて、初めておキヌが質問した
「そなたは姫さまのご学友のおキヌ殿か。それはですな、本来江戸は多くの人が住むには適さない土地だからということに他なりません。家康様が関東に初めて行かれた頃の江戸は、小さな漁村と言って過言ではない状況。太田道灌が築いた昔の江戸城が目立つ程度。各所で妖怪や鬼が跋扈し悪霊が巣くい、決して多くの人が住むに適した場所ではござらんかった。それを家康様が慈眼大師どのと共に計画的に寺社仏閣を配置され、江戸を覆う結界を作られました。家康様が東照神君になられ江戸の結界が完成するに至り、江戸は今の隆盛を得たのです。お城から見て天の方角である北を守る東照宮・鬼門を守る寛永寺、南を守る増上寺、裏鬼門や他の方角を固める五色地蔵。すべて江戸の繁栄のために要所要所に置かれております」


僧は姫様への御進講に江戸から参上した当初、驚いたのは孤児を『心の友』と言う女華姫の優しさであった。次第に強さと聡明さも感じていた。

「女子の姫様がなぜ政事や仏事神事に興味を持たれるのか?」
僧は一度聞いたことがある。
「世の中の半分はおなごでございます。おなごが学べば国は賢くなります。おなごはおのこには出来ないこと、子供を産んで慈しむことができまする。妻や母が賢ければ男も賢くなり、無用な戦や争いが減り極楽浄土に近付くこともできまする」
そう言って女華姫はほほ笑んだ。女性の地位が異常に低かったこの時代、女華姫の考えは異例のものだった。危険思想と言っても過言ではない。だが僧は驚くだけでなく姫の考えに賛同し、家臣や百姓から愛される姫様、という評判にも納得した。一緒に『心の友』にも勉強してもらえば、と言ったのは僧の方だ。僧は姫様に自分の教養のすべてを教えようとした。多岐にわたる仏道の知識・和歌・漢詩・論語・和算・各地の修行僧からもたらされる諸藩の動向・・・。女華姫がスポンジのように僧の教えを吸収すると同時に、御学友のおキヌも修めていった。当時としては最高レベルの教育を。


「結界が壊れた場合、被害はどの様になるのじゃ?」
女華姫さまの問を僧がどう答えられるのか息を飲みながら待つ。
「そうですな、江戸八百八町の内、人が住めるのは1割に満たぬかと。残りはすべて鬼や妖怪・悪霊が差配する土地となるでございましょう。霊障で病む者・妖怪が取憑いて騒ぎを起こす者なども多く出ることでしょう。」
「その前に手を打たねばならないわけじゃな」
「左様」
「300年後とは言え、人柱になる方やそのお身内にはお気の毒じゃ。しかし結界は人柱でないと駄目と申すし・・・」
いつも明るい女華姫さまの顔が曇る。私も姫様と同じ心配をする。皆のためとは言っても、その人の未来を捨ててまで得た安泰。江戸に住む人はその人柱の上に住んでいるようなものだ。人柱になった方に感謝し、皆が日々を精一杯生きなければ罰が当たるというものだ。姫さまもそう思われたのか一言呟かれた。
「ところで前回人柱になられた方の御遺族は?」
「姫、もう百年も前の事でございます。記録には残っておりませぬし、今となっては人柱の名前もわかりませぬ」
「そうか・・・」
姫様は悲しい顔をした。



・・

「おキヌ。起きな。今日はサテン寄っていこうよ」
隣の席の魔理さんの声が聞こえる。授業中に寝てしまったようだ。今日最後の授業は無事終わり皆帰る支度をしている。
(あたし、寝むってしまっていたんだ・・・。さっきの話、夢じゃない。女華姫さまとあたしは確かにお坊さんから聞いたんだ)
「おキヌ、どうしたの?」
弓さんが心配そうに尋ねる。
「ううん、何でもない」
そう言ったものの、私の心は晴れない。
「ごめん、今日は図書館寄っていくから」
親友たちに詫びながら鞄に教科書や筆記用具をしまう。
「残念ね。じゃあ魔理と二人で帰るわ」
「おキヌが図書館なんて珍しいじゃん。知恵熱出すなよ。じゃあね」
私は図書館に向かった。


(え〜と、あっ、これだ)
私は大学の図書館で江戸の結界について調べていた。六道女学院大学図書館はオカルトや宗教関連の図書を豊富に所蔵している。私のような付属高校の生徒も閲覧はできる。高等部図書館経由なら貸出も出来るが、本が特定できないと効率的とは言えない。特に今回のような場合、片っ端から調べた方がいい。閲覧室に並ぶブースのひとつに座り、電気スタンドをつけ机の上に10冊程載せて夢中になって調べていた。

調べが進むにつれて判ってきたことは、江戸・東京が今の繁栄を得ているのは結界のお陰なこと、結界が壊れれば本来霊的に脆弱なこの大都市はひとたまりもなく、霊能力のない一般人の居住に適した面積は23区内では10分の1程度しかないこと、そして一般論として結界を人柱で構築した場合は結界そのものに数百年の寿命があること。
(今の結界が人柱かどうかはどの本にも書いてないわね。そりゃそうか。当時の国家機密だものね)

私は泣きたくなってきた。ネクロの笛を吹く事ぐらいしか出来ないヒヨッコの私が、1100万人の安全に直結する重大な秘密を知っている。だれに相談しようか。一笑に付されるのではないか。美神さん?駄目。死津喪やその後の霊団の事件で散々迷惑をかけているし、そもそもこの件はお金にならない。横島さん?やはり駄目。私と同じ高校生だし、ルシオラさんがこの世界の『人柱』になった悲しい事実を思い起こさせてしまう。美智恵さん。そう、オカルトGメンに相談しよう。


そう決めた私は大学図書館を出てオカルトGメンに向かった。


オカルトGメン日本支部。私は10分以上も窓口の前に立っていた。銀行や郵便局のような窓口にはさまざまな人がくる。霊障の相談らしき人・警察や消防の関係者らしき人、などなど。私は意を決して端の受付の人に話しかける。
「美神隊長にお会いしたいのですが・・・」
「はい、お名前は?」
受付の人は事務的に言葉を返す。
「氷室キヌと言います」
「氷室様ですね」
受付嬢が電話をする。
・・・
「すみませんがアポイントは取られました?」
「いいえ、急な用なものですから」
「美神は会議中です」
「では西条さんをお願いします」
「西条は今日は不在です。霊障などでしたら2と3の窓口で対応しますので、窓口の側にある整理券発券機で番号札を取って、その番号が呼ばれるまでお待ちください」
私は頷いた。美神さんのお母さんじゃないけど、Gメンの人に話を聞いてもらえばきっと判ってもらえる。そう思ってカウンターの前の長椅子に座って順番を待った。

「はい、次の人。128番の人」
3番窓口で名前を呼ばれたのは2時間も後だった。既に日が暮れかけようとしている。
「128番の人!」
「あっ、はい!私です!」
「早くしてください!住所・氏名・連絡先電話番号と霊障の内容を教えてください」
係の人はパソコンの画面から目を離さずに告げる。
「はい、話は300年前に遡るんですが・・・」
私は一生懸命順序立てて係の人に説明する。
カチャカチャ・・・
係の人は私の話に相槌を打つでもなく、ひたすら無表情にパソコンに入力する。心配になりながらも30分かけて説明を終えた時には出入り口のシャッターは閉まり廻りには私しか一般人は居なかった。
あっ、5時過ぎてる。
「お先に〜」
隣の窓口の係員も帰宅していって、どんどんGメンの人は帰っていく。残ったのは私と3番窓口の係員、奥に座るちょっと偉そうな人だけだった。
カチャカチャ、カチャ。
漸くキーボードを打つ音が止まる。
「はい、お話は判りました。登録番号524288番で受付いたしました。」
「受理していただけるんでしょうか?」
「だから先程の番号で受付したと申し上げたじゃないですか!受理するかどうかは緊急度や影響度を鑑みてこちらで総合的に判断します。御苦労さまでした」
受付の人は窓口に『終了』と書かれたプラスチックのプレートを下げると奥へ消えて行った。奥に座る人が言う。
「あんた!正面は閉まったから、こっちから退庁してください!」
私は惨めな気持ちに沈みながらもオカルトGメンの庁舎を後にした。


一週間後。オカルトGメンからは一向に連絡がない。こっちは心配で授業にも身が入らないというのに・・・。今日の六時間目はそれで失敗してしまった。鬼道先生に急に当てられても何も答えられなかった。

「おキヌどうしたのよ?あんな問題に答えられないなんて。魔理でも判るような問題よ」
授業の後。弓が心配してくれる。
「アイツと何かあったのか?おキヌのことだから、ぜってぇ横島が原因だろ」
魔理も心配してくれている。私はまだボーッとしていたようだ。答えなかったら
「おキヌちゃんをこんなにした横島さんは成敗しなければいけませんわね」
と2人で話がどんどん進んでいって、気が付いたら今晩闇討ちするところまで話が進んでいた。危ない危ない。訂正しなきゃ。
その時、後ろで声がした
「氷室、職員室へ来い」
鬼道先生だった


「氷室、どうしたんや?」
職員室の鬼道先生の机の横に立って私は叱られて居た。
「お前らしくもない。何か心配事でもあるんか?」
鬼道先生に聞かれた私は俯いてしまう。鬼道先生の隣の席の白百合先生が助け舟を出してくれた。白百合先生は鬼道先生と大学で同期で、国語の先生。
「こんな所じゃ言いたくないわよね。大学部の喫茶室でいいからパフェでも食べないと話もできないわよね、氷室さん。御馳走様、鬼道くん」
「な、なんでや?」
私と鬼道先生は白百合先生に手を引っ張られていった。放課後の高校らしく、どこからかブラスバンドやピアノの音が聞こえる。ピアノはドナドナ。誰が弾いているんだろう。


正面には鬼道先生、横には白百合先生。なぜか私は大学部の喫茶室でパフェを食べている。白百合先生は幸せそうにパフェの生クリームを崩しながら言った。
「で、クラスで一番ネアカの筈の氷室さんは何で悩んでいるの?」
私は感極まって白百合先生に抱き着いて泣き出した。


「そう・・・オカルトGメンも酷いわね」
鬼道先生は黙って私の話を聞いている。白百合先生は怒っている
「私は家庭科の教師だけど、氷室さんの話の重要性は判るわ。全くお役所仕事の典型ね!一週間経っても何も動かないって、その窓口の人、ファイリングするためだけに仕事しているかしら」
「氷室、今の話を理事長先生にもう一度してくれへんか。」
「私からもお願い。ホント、オカルトGメン何か放っておいて、鬼道くんやGSを最初から頼ればよかったわね。」
「はい」
私は頷いた。

理事長先生はそのノンビリした口調とは裏腹に動きは速かった。鬼道先生からこの話の第一報を聞くと即座に美神隊長・唐巣神父を緊急招集した(昔、理事長先生の弟子だったので何があっても駆けつけるのが約束らしい)。私は3人にこの話をした。一週間前オカルトGメンに話したことを言うと美神隊長は頭を抱えながら私に詫びてくれた。
「おキヌちゃん、ごめんね。二重の意味でごめんね。ひとつはオカG隊員への教育の失敗、もう一つは令子の元で働いているおキヌちゃんが令子に相談しないくらい、あの子がカネにばっかり執心していること。今更ながら私って教えるの下手なのかしらね。窓口の隊員はしっかり再教育するわ。令子は・・・無理かしら」
「ま〜ま〜、令子ちゃんも〜芯は〜いい子だから〜心配〜ないわよ〜。それより〜今の〜話だと〜、まず〜結界が〜いつまで持つか〜確認が先決ね〜。それまでに〜対策を打たないと〜沢山の〜人が死ぬわ〜」
「単純に考えると家康が東照宮に神として収まって400年後の2017年だけど、それは結界が全て完成してからだし・・・」
「そうだね。おキヌくんの聞いた人柱の話を確認しないと。だが肝心の結界の中心は今は皇居のど真ん中だから確認は困難だな。神魔界の支援は受けれるかな?神界から話を通しておいて貰わないと。」
「そうね〜。小竜姫さまに〜お願い〜しましょうね〜」
「では先生は妙神山への連絡を、唐巣神父はGSへ連絡を、私は政府内に対策本部を設置させます。その後は・・・」
3人は次々と携帯電話や通信鬼で連絡を取り始めた。

私は3人の動きを呆然と見ているしかなかった。不意に後ろから私の肩が叩かれる。傍席していた鬼道先生と白百合先生だ。
「氷室さん、よかったわね」
「な、先生たちに話して良かったやろ」
私は思わずポロリと涙を流してしまった。
「鬼道くん、氷室さん泣いちゃったわよ。満腹堂のアンミツでも奢らないと氷室さんの顔は晴れないわよ」
「自分は意地でも俺に奢らせるつもりやな!」
「あったり前じゃない、ね〜、氷室さん」
私は10日ぶりぐらいに笑顔を取り戻した。


理事長先生の要請で小竜姫様とヒャクメ様が駆けつけ、結界のことが明らかになった。


都庁地下の霊的災害対策施設にある大会議室。20人ほどが座るこの会議室には首相・官房長官・国土交通大臣、防衛庁・警察庁・宮内庁の各長官、オカルトGメンの美神隊長や西条さん、GS協会の会長・役員数名、理事長先生、唐巣神父、そして小竜姫様とヒャクメ様が座っている。私は美神さん・横島さんと理事長先生・唐巣神父の後ろに控えている。初めて首相や大臣を見て、私も横島さんもキョロキョロして、首相の後ろに立つSPの人に睨まれてしまった。

隊長さんが司会を始める。
「この度は緊急にお集まり戴き申し訳ございません。今日の議題である、首都東京を400年近く護ってきた結界システムがそう遠くない将来に崩壊する危険について、まずヒャクメ様からご説明戴きます。ヒャクメ様、どうぞ」
「私は神界情報部のヒャクメなのね〜。調査した結果は次の通りなのね〜
 まず、天海の結界だけど、家康が江戸へ移った直後から構築を始め、家康が死んで東照宮に神として祀られて完成したのね〜。だから現在は388年目なんだけど、既に綻びが見られるのね〜。
 まず天海はローコストで築くために、既にあった将門首塚の霊力をブーストする方法を取ったのね〜。平将門は皆さんも知っているように関東武士の総大将で、勿論平家側。一方で家康はタテマエとして源氏の総大将。鎌倉幕府のシステムを流用して政権の正統性を確立しようとしたのね〜。だから将門の怨霊は本来は家康にとって負の力が働くのね〜。それで将門を首塚から神田明神に移封して、逆に家康の為に利用したのね〜。同時に寛永寺や増上寺・不動尊を計画的に配置していった。最後に家康自らが神になって天の方角に収まって万事完成なのね〜。さらに駄目押しで今の五色不動を指定してとことん強化したのね〜。今から考えてもすごい坊主なのね〜。」
パソコンのディスプレイに次々表示される地図を見ながら首相が呟く。
「どうせ俺にはそんなブレーンは居ないよ。それでコスプレの神様、あと何年持つんだ?」
首相の乱暴な言葉に慌てた宮内庁長官が言い直す。
「結界はあとどの位機能するのでしょうか、ヒャクメ様」
ここにいる大臣で祭祀に慣れているのは宮内庁長官だけだ。勿論ヒャクメが下級神族ということから丁寧に言い直しただけだが、それでもGS協会の役員たちは長官が言い直したことで安堵する。ヒャクメ様の人(神)柄を知っている美神たちは慌てなかったが...。案の定ヒャクメ様は首相の失礼な言い方もさほど気にせず答える。
「そうね、あと1年なのね〜」
廻りがざわつく。国土交通大臣と防衛庁長官がヒソヒソ話を始める。首相と官房長官も内緒話を始める。
「ヒャクメ様、危険個所の予測は?」
美神隊長が訊ねる
「皆さん、これを見て欲しいのね〜。」
パソコンの画面が切り替わる。表示されたのは東京都の地図。画面の殆どが黄色交じりの赤色になっている。皇居や大きな神社仏閣の場所だけがポツンポツンと緑に塗られている。一方奥多摩の方は多くが緑色だ。
「これが1年後の東京の霊的危険個所なのね〜。23区内は殆ど人は住めないのね〜。多くて5万人程度ね〜。赤い所は霊能力がない人は生命の危険もある場所・黄色は住むのに適さない場所なのね〜。勿論江戸も本来はここまで危険じゃないんだけど、400年近く悪霊や妖怪を抑えつけてきた反動が起きるのね〜」
「殆ど全滅じゃないか!」
ヒステリックに首相が叫ぶ。
「でも全員を避難させる余裕はあるのね〜。そのつもりが皆さんにあれば、だけど。」
会議室は大混乱となった。


「落ち着きなさい!」
小竜姫様の一喝が落ちる。竜神の一喝。政治家の人たちは皆腰が抜けている。漸く落ち着いた出席者。今日のことは結界の寿命の件を除けばGSの人たちは皆ある程度分かっていたが、政治家たちにとっては初めて聞く話だ。まさか自分たちが400年も前の結界に護られていたなんて。

結局この会議は3日後に再度開催することとなった。


会議が終わり首相や各大臣・長官が退出した後、GS・オカルトGメンと小竜姫様・ヒャクメ様だけで打ち合わせを行った。政治家が居ないのでGSたちはくつろいでいる。
「ヒャクメ様が脅した効果はあったわね」
隊長さんがお茶とお菓子を小竜姫さまに勧めながら言う。
「そうですね。日本の官僚は時々人間離れした程のんびりした計画を立てますからね。50年前の道路計画がまだ続いていたり、一部しか使用するアテもないのに30年前の計画の通り河口堰を作っちゃったり。ヒャクメがあれだけ煽れば、おキヌさんが心配することもなくなりますよ。良かったですね、おキヌさん」
「はい、ありがとうございます。小竜姫様・ヒャクメ様」
私はペコリと頭を下げる。
「いや〜、最初ビックリしたっスね〜。緊急招集されて、首相や官房長官も初めて見て、いったいどうなるかと思ったんスけど。」
横島さんも安堵してテーブルの上のお菓子に手を伸ばす。
私もすっごく安心した。寿命400年としてあと17年もある。政治家の人達は1年と思っているし、万全な対策を取れるだろう。
皆さんも安心したようだ。
「さっきの話、全て本当なのね〜。本当に1年しか保たないのね〜」
ヒャクメ様が爆弾発言をするまで。


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さみいです。ご無沙汰しております。
今回の話は江戸(東京)を護る結界に寿命があった、って設定です。天海の話はwebをあちこち見て作りましたので、元ネタ的には(GS+色々)になるかも。なお全話(予定では3〜4話)通しての主人公はおキヌちゃんです。
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