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▽レス始

「熱帯夜(GS)」

偽バルタン (2005-08-13 00:24)

*一応、コレ単品でも大丈夫とは思いますが、『帰り道』から続いております。


真夜中…だけど私は眠れない。


あちこちほちゅれた(解れた)ボロボロの網戸…そこから入り込む夜風はねっとりと重く生暖かくて…涼しさなんて感じられない。

ちりんちりん鳴ってる風鈴…これもただただ煩いだけで。

“くーらー”とか“えあこん”とか、そーゆーのは持って無いって。まぁ…ヨコシマなら仕方ないでちゅか…

扇風機だって今夜くらいの暑さだと、お部屋の中に篭った熱気をただ引っ掻き回すだけ…単なる役立たずに過ぎない。

とてもじゃないけどこんな夜は、掛け布団なんて掛けたくも無い。

…ついでに蚊とかハエだとかが、ぶんぶん煩く飛び回ってて…あーもーうっとーしーったらないでちゅねー!!


夏休みに私が過すヨコシマのお部屋…そこは“快適”だなんて言葉とは無縁のサイアクな有様だったりして。

寝苦しい夜…
眠れない夜…

あぁ…これが“熱帯夜”ってやつなんでちゅねー…


熱帯夜


SIDE:パピリオ

お気に入りのピンクのパジャマも…こんな暑くちゃ着ていられない。
だから今日お布団に入る時にはシャツとぱんつだけで。
…小竜姫に見られたら『はしたない!』って怒られそう…でも暑いんだからしょーがない。

…でも、それすらも汗でべたべたに濡れてしまって。ベちゃりと湿気った感触が、何だかとってもキモチ悪い。
むき出しになった手にも足にもお顔にも…ほかほか火照った素肌には、じんわりと汗が浮んでる。


「うう〜暑いでちゅ…」

「…あぁ…そーだな…」


思わず口に出たその呟きに、すぐ横から返事がかえる。
…なーんだ…ヨコシマも起きてたでちゅか。


「…暑いでちゅねー…」

「…あー…暑いなぁ…」


隣に寝ているヨコシマは、Tシャツにぱんつ…つまり私と同じで、下着だけとゆーカッコ。
…最も、コレは暑いからってだけじゃなく、いつもコレで寝てるんだってそーいってまちたけど。


「あぁぁ…暑い〜あつい〜アツイ〜…うぅぅ死むぅ〜」

「…あーもーパピリオ!“耳元”で暑い暑いって連呼すなや!余計暑ッ苦しくなんだろーが!
…それになぁ…」

「…それに?…なんでちゅかヨコシマ…」

「…暑いってぶちぶち文句たれる前にオレから離れろ!そーすりゃ少しは涼しくなんだろーが!」

「それはゼッタイにイヤでちゅ♪」


隣は隣でも、ヨコシマが居るのは私と同じお布団の上…そう私はヨコシマと一緒に寝てる。
『布団はひとつ枕はふたつ』ってゆーやつでちゅね♪
でもそれはしょーがない事。だってヨコシマのお部屋には、お布団が一組しかなくて。
だから、私はそのひとつしかないお布団で、ヨコシマと一緒に寝るしかないんでちゅ♪
しかもそのお布団は、とってもせまいものだから…今みたいにこーやって、ぎゅ〜っとふたりのカラダを寄せ合い、くっつけてなくちゃいけまちぇん♪そーしないと、手とか足とかがはみ出しちゃうもの。
でも…


「だーかーらー!オレは別に布団でなくてもいーっつたろーが!?
別に畳にごろ寝でも大丈夫だって…」

「それは駄目でちゅ。お布団無しで、おなか冷えちゃったりしたらタイヘンじゃないでちゅか?」


…ヨコシマは、明らかに不満たらたら。
む〜〜。
こーんなカワイイ美少女と一緒にねられるってゆーのに…ナニが不満なんでちゅかねー?
それともなんでちゅか?パピリオの“抱きまくら”になるのは、そんなにイヤな事だとでも?

…ちょっぴり“かちん”ときた私は…むぎゅっとヨコシマに抱きついた。


「だから引っ付くなって!
や…無理に同衾せんでもいーだろって言ってんのさ。…暑いんだろ?」

「暑いでちゅよ?でもパピリオは平気でちゅ♪」

「あーそーですか…」


暑い。確かに暑苦しい。
でも気にしない。暑くたって寝苦しくたって私はガマンするコトができる。
だって…今はそれ以上に…


「…それにね…?」

「…それに?」

「こーしてるのが……一番キモチ良くてスキなんでちゅよ…
ヨコシマの傍だと…安心して眠れるの…」


こつん…と、私はヨコシマの肩にアタマを預けて囁いた。

抱きついた私のカラダ全部で感じる…ヨコシマの確かな存在感は、私をココロから落ち着かせて、安心させてくれるから。
だから、暑くても大丈夫。

ヨコシマと一緒。
普段逢えない、一緒にいれないヨコシマを…今は私が独り占め。
それは何て幸せで、キモチのイイ事なんだろ…


「ぁ、ぁ〜…そ、そう…なのか」

「うんうん♪そーなんでちゅよ♪」


ふふん♪ヨコシマ…照れてましゅね?
暗くてよく見えないけれど、きっと顔まっかになってるでちゅ♪


ちりんちりん…
生暖かい風に吹かれて、ちっとも涼しくない風鈴の音が、お部屋の中に響き渡る。

私とヨコシマはお布団の上、きゅっとふたりくっついて眠れないままぼーっとしてる。


「…あー…暑いなぁ…」

「…あー…暑いでちゅねぇ…」


それは、ある夏の一日…
寝苦しい夜のお話…


後書き
横島クンとパピリオ…暑苦しい位に“べたべた”するお話を書いてみました。

冷房機具の無い部屋での、じめじめとクソ蒸し暑い真夏の夜…な感じが少しでもでているといいのですが。
…でも、そんな最中でべたべたってのもアレですかねー…
因みに横島クンの部屋、ハエや蚊が煩いのは蚊取り線香とか焚けないからです…“蝶々”のパピリオに、殺虫効果のあるアレはキツかろーって事で。

こんなのでも、突っ込み・感想等頂けると幸いです。


△記事頭

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