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▽レス始

「GS美神 福音戦士大作戦!(GS+エヴァ)」

湖畔のスナフキン (2005-07-17 17:50/2005-07-17 22:33)

「ここは、いったい……?」

 ふと気がつくと、横島は見知らぬ駅前の広場に立っていた。

「でも、何で誰もいないんだ??」

 真昼間にも関わらず、その広場には一つも人影がなかった。

 とりあえず横島は、広場の階段で腰を下ろすと、もっている荷物を確認した。
 ジャンバーの内ポケットに手紙が一通と、写真が一枚。
 手紙を広げると、そこには『来い』と一言あるだけ。差出人も不明だった。

「なんじゃ、こりゃ!?」

 写真も方も、意味不明だった。
 亜麻色の髪をした美女が、前かがみになってしなを作っていた。
 かなりのボインちゃんだが、残念ながら顔にモザイクがかかっていた。

「まさか、美神さんじゃないよな?
 まあ美神さんが『胸の谷間に注目!』なんて、死んでもやりそうにないけど」

 そのとき巡航ミサイルが、横島のすぐ上空を轟音をあげながら、すっ飛んでいった。

「み、ミサイル!?」

 そのミサイルは、山の向こうから現れた巨大な化け物に衝突し、爆発した。

「ミサイルの次は、怪獣かよ……」

 横島はGSという、世間の常識の外のことを扱う仕事をしているが、今回の出来事はそのGSの常識から見ても、かなり逸脱していた。

「やべっ、こっちに向かってくるよ」

 怪獣がこちらに接近してきたため、横島は急いでこの場から離れようとした。
 横島の危険度感知センサーは、人並み以上に発達している。
 もっとも、女性からの攻撃に対しては、そのセンサーは極端に鈍感になるのだが。

 ドーーン!

 案の定、横島がいた場所に、戦闘機が落下して爆発した。
 横島は物陰に隠れて爆風をやり過ごしたが、更なる危険を察知し走って逃げようとする。
 しかし、広場から出たところで、見覚えのあるACコブラが、ドリフトしながら横島の目の前で停車した。

「急いで、横島クン!」

「た、隊長!」

 しかし、コブラのハンドルを握っていたのは美神令子ではなく、令子の母親の美神美智恵であった。
 横島が助手席に飛び乗ったのを確認すると、美智恵はホイールスピンしながら、コブラを急発進させる。

「いったい、何がどうなってるんですか!?」

「横島クン、よく聞いて。ここは、宇宙のタマゴの中なのよ」

「宇宙のタマゴ!?」

 その言葉には、聞き覚えがあった。
 かつてアシュタロスが、自分の願う世界を作るために用意した、新しい宇宙のヒナ形。

「いったい誰が、俺たちをこんな場所に引きずり込んだんですかね」

「これから、そいつに会いに行くところよ。横島クンも、彼から手紙をもらっているでしょう?」

「ええ」

 横島は肉太で達筆な字で、『来い』と書かれた手紙を見つめた。

「それじゃあ、こっちの写真は何です?」

 横島はきわどいポーズをした、水着姿の女性の写真を美智恵に見せた。

「あ、それは、私の写真よ♪」

「へっ!? た、隊長だったんですか?」

「けっこうよく写ってるでしょ。どう、ちょっとはドキドキした?」

「は、はあ……」

 そりゃ詐欺ッスよと横島は思ったが、身の安全のため、そのことは口には出さなかった。


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 『GS美神 福音戦士大作戦!』                   
                 第一話 −使徒・襲来??−     

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 そのあとN2地雷の爆風を文珠で防ぎ、地下の秘密基地に入ったら道に迷って、同じ場所をグルグル歩いていると、白衣を着たカオスとマリアが迎えにきたりといろいろあったが、何とか横島と美智恵は目的地のケージに到着した。

「明かりを・つけます」

 ケージに明かるくなると、横島の目の前に、巨大なロボットの顔らしきものが見えた。

「これは……ロボット!?」

「厳密に・いうと・ロボットじゃ・ないです。人の・造り出した・究極の・汎用決戦兵器。
 人造人間・エヴァンゲリオン・その・初号機です」

「まさか、俺にこれに乗れっていうんじゃ……」

「そのとおりだ」

 横島の頭上から、何者かが声をかけてきた。
 横島は咄嗟に、そちらを振り向く。

「久しぶりだな、横島君」

「て、てめえは……」

 横島は、驚きのあまり声を詰まらせてしまう。
 ケージの斜め上方に立っていたのは、額から二本の角を生やした筋肉質の男であった。

「アシュタロス! 貴様、死んだんじゃなかったのか!」

「待って、横島クン。彼は敵じゃないわ」

 そのとき、横から美智恵が割って入ってきた。

「隊長! これはいったい、どういうことです!?」

「外に敵がいたでしょう?
 あれは使徒と呼ばれているけど、このエヴァンゲリオンじゃないと倒せないのよ。
 人類と私の家庭の平和のために、お願い!」

「声の小さかったところが、えらく気になるんですが……
 でも、何で俺なんです? あんなのとガチンコバトルするなんて、俺以外に適役がいるかと思いますが」

 例えば、美神さんとか、雪之丞がいるでしょうと、具体的に個人名をあげた。

「令子は、今ドイツにいるわ。それにこの初号機は、横島クン以外には動かせないのよ」

「へっ、俺だけ!? なぜ何です?」

 正面きって敵と戦うことが未だに苦手な横島は、他に何か逃げる言い訳がないかと必死に考える。

「この初号機のコアには横島百合子君、つまり君の母親が入っているのだ。
 よって、彼女の近親者でないと、この初号機は動かせないのだよ」

「な、何だってーー! 本当かよ!?」

「残念ながら、本当なのだ。忠夫」

 アシュタロスの横に、横島の父親である横島大樹が姿を現した。

「オヤジ! てめえ、いったい今度は何をした!?」

「母さんに浮気がバレてな。そうしたら『反省するまで、帰ってきません!』と言われて、
 コアの中に自分から入ってしまったのだ」

 ルルルルルーと、大樹が両目から大粒の涙を流した。

「まあ、そう悲観することもあるまい。それに君も、けっこう楽しんでいるみたいじゃないか?
 昨日もここの職員の女性と、ずいぶん楽しそうに話し込んでいたしな」

 アシュタロスのその言葉が聞こえたのか、突然LCLの中から初号機の腕が現れると、大樹に向かってその手が伸び、指先で大樹を弾き飛ばした。
 ビタンと音をたてて、大樹がケージの壁にカエルのように貼りついてしまう

「エントリープラグがまだ入っていないのに……いけるわ!」

 微妙に意味が違っているが、美智恵がお約束のセリフを口にした。

「というわけだ。早く乗りたまえ、横島君」

「だから、何で俺が!」

「もちろん、タダでとは言わない。君への報酬はこれだ」

 ケージの横島たちが入ってきた反対側の入り口が開くと、頭と両腕に包帯が巻かれた女性──それも、横島にとって絶対に忘れることのできない──が、ストレッチャーで運ばれてきた。

「ま、まさか……」

「そうだ。君の思ったとおりだよ、横島君」

「ルシオラ!」

 横島は脱兎のごとく駆け出すと、苦しそうに息をしている彼女の隣に立った。

「ルシオラ!」

「あなた……誰?」

「俺だよ、俺! 横島だよ!」

「ごめんなさい……知らないの。私、たぶん二人目だから」

 これまた、お約束のセリフに、横島は激しいショックを受ける。

「おい、アシュタロス!」

「霊破片から復活したばかりで、まだ記憶が戻っていないのだ。
 だが、使徒との戦いがすべて終わったら、ルシオラの記憶を戻すことを約束しよう」

「本当だな?」

「ここでウソをついても、しかたあるまい」

「わかった。乗ってやるよ」


 マリアからエヴァの操縦法のレクチャーを受けた(こういう時にカオスが頼りにならないのは、横島は学習済である)横島は、エントリープラグの中に入った。
 ちなみに、カオスとマリアの報酬はアパートの家賃一年分。美智恵の場合は、GS本部とオカルトGメンのお偉いさんから圧力がかかり、どうにも断れなかったらしい。

(宮仕えって、やなものね……)

 そんなことを考えつつも、美智恵は作戦部長という今の役職に、それなりに刺激も感じていた。

『プラグ固定終了。第一次接続開始』

『エントリープラグ注水』

 横島の足元から、赤い色の液体が突然溢れ出してきた。

「うわっ! な、なんだ、これ!?」

「心配しないで。肺がLCLで満たされれば、直接酸素を取り込んでくれます」

「溺れるのは、いやじゃ〜〜!」

 横島はエントリープラグの中でジタバタともがいたが、LCLがプラグの中にいっぱいになると我慢できなくなり、息をガバッと吐き出した。

『主電源接続。全回路動力伝達。起動スタート』

『A10神経接続異常なし。初期コンタクトすべて問題なし』

『双方向回線開きます』

『シンクロ率、起動値を確保しています』

 三人のオペレーターが起動準備を進めた。ちなみにオペレーターは、ベスパ・パピリオ・ジークである。

「始めてで、これだけの数値を出すとは……なかなかやるのう、小僧」

 ディスプレイに映し出されるシンクロ率の数値を見ながら、カオスが感嘆の声をあげた。

「母親への依存度が強い……つまり、マザコンということだな」

「やかましい!」

 エントリープラグの中にいた横島が、カオスに文句を返した。

『第一ロックボルト、解除』

『解除確認。アンビリカルブリッジ移動』

『第一・第二拘束具除去』

『1番から15番までの安全装置解除』

『内部電源充電完了。外部電源コンセント異常なし!』

『エヴァ初号機、射出口へ』

 ゴゴゴゴ…………

 初号機の乗る台座が、射出口へと移動していく。


『5番ゲート、スタンバイ!』

 エヴァ初号機が、発射台に固定された。

『進路クリア。オールグリーン』

『発進準備完了』

「司令、かまいませんね!?」

 美智恵が、発令所上部の司令席に座っていたアシュタロスに、出撃の確認をした。

「もちろんだ。使徒を倒さない限り、私の未来はない」

 アシュタロスは両腕を組みながら、重々しい口調で答える。
 『私の』という言葉が、微妙に引っかかるのだが。

「発進!」

 初号機を載せたカタパルトが、真上に向かって急加速した。
 やがて地上のゲートが開き、初号機が第三新東京市にその姿を現す。

「いいわね、横島クン!」

「は、はい!」

「最終安全装置解除。エヴァンゲリオン初号機、リフト・オフ!」

 美智恵の声とともに、初号機を拘束していた最後の装置が解除された。
 拘束を解かれた初号機は、自然に半歩前へと進んだ。

「横島クン、とりあえず歩くのよ!」

「あ、歩くって、どうやって?」

「意識を集中して、歩くことだけを考えて。考えるだけでいいのよ」

 横島は歩くことをイメージした。
 するとエヴァの足が動き、一歩前へと進む。

「おおおっ! なんかすごいッスね!」

「その調子でエヴァを動かして、使徒を倒してちょうだい!」

 初号機の前方に使徒が立っていた。少し離れた場所から、こちらの様子を見ている。

「武器は無いんですか?」

「ごめんね、今回は素手で戦ってちょうだい」

 素手で戦えって、どないせえっちゅうねんと横島がつぶやいたとき、使徒の両目が突然光った。

「うわっ!」

 初号機が、頭を抱えてしゃがみこんだ。
 そのすぐ真上を、使徒が発した光線が通過し、背後にあったビルにぶつかって爆発する。

「ひゃっ!」

 今度は、真横へと飛んだ。
 初号機が飛んだ直後、今までいた場所に光線が命中し、十字形に光って爆発する。
 さすが、至近距離から発射される銃弾を見切って、かわせるだけの実力の持ち主と言えよう。

「横島クン! 逃げるのがうまいのはわかったから、早く攻撃しなさい!」

「そんなこと言われても、素手での戦いなんて経験ないッスよ。文句は美神さんに言ってください」

 美智恵は横島をこき使ってばかりで、大事なことを全然教えていない娘に対しいらだちを覚えて、小さく舌打ちをした。

「どわっ!」

 夜の第三新東京市をピョンピョン跳ねていた初号機が、突然地上へと落下した。
 よく見てみると、初号機の背中にケーブルがついており、それが長さいっぱいになっていた。

「何ですか、この背中についているケーブルは!?」

「アンビリカルケーブルと言って、外部からエヴァに電力を供給しているの」

「で、電気コード!?」

 初号機がアンビリカルケーブルにもがいているうちに、使徒が接近していった。

「横島クン、使徒が近づいてくるわ。いいから攻撃しなさい!」

「こ、攻撃と言われても……」

 横島は霊能力を使った攻撃以外は、ほとんど経験がないのである。
 どうしたらいいのか必死に考えているうちに、ふと閃くものがあった。

(そうだ。エヴァが俺の思ったとおりに動くとすれば、ひょっとして霊能力も……)

 横島は集中した。
 思い描くは、右手に出現する巨大な霊波刀。

「出ろっ、霊波刀!」


 出ませんでした。(爆)
 どこぞのSSと違って、そうそう都合のいい設定ばかりではないのである。

「ぐわああっ!」

 初号機に接近した使徒が、右手から光のパイルを打ち出した。

「落ち着いて、横島クン! それは幻痛よ」

「痛たたたたたっ! 攻撃されて痛いなんて、こんなロボット反則じゃーーっ!」

 使徒が初号機の頭に、パイルを何度も叩きつける。

「カオス、何とかならないの!?」

「マリア。神経回路のフィードバックを下げてくれ」

「了解・しました」

 だが、使徒の攻撃は止まなかった。
 初号機は立て続けにパイルの攻撃を浴び、さらには顔を掴まれて、背後のビルに投げつけられてしまった。

『頭部破損!』

『制御神経断線!』

『シンクログラフ反転! パルスが逆流していきます』

「回路遮断。せき止めて!」

「ダメです。信号拒絶・受信しません」

「横島クンは?」

「モニター・反応しません。生死不明」

『初号機、完全に沈黙しました』

「作戦中止! プラグを強制射出して!」

「ダメです。完全に・制御不能」

「何ですって!」


「どうやら、ここまでのようだな」

 発令所上部の司令席に座っていたアシュタロスが、バッとマントを翻しながら立ち上がった。

「私が出撃する」

 そういうとアシュタロスは、いつの間に作られたのか、司令席のすぐ後ろにあるシューターに飛び込んだ。

「出撃準備よ!」

 美智恵の指示が下ると、オペレーターたちが一斉に操作を開始した。

『ソケット固定完了。アシュタロス様、所定の位置に付きました』

『第一・第二拘束具除去』

『1番から15番までの安全装置解除』

『内部霊力補充完了』

『究極の魔体、射出口へ』

 司令席からのシューターは、初号機のケージとは別のケージに直結されていた。
 そして、そこに置かれていたのは、あの究極の魔体だったのである。
 アシュタロスは所定の位置(究極の魔体の額の中央)に潜り込むと、出撃を待った。

『進路クリア。オールグリーン』

『発進準備完了』

「究極の魔体、発進!」

 究極の魔体を乗せたカタパルトが、地上に向けて射出された。


 使徒は沈黙した初号機を無視して、ネルフ本部直上に向かって前進していた。
 しかし突如として、その前方に究極の魔体が現れる。

 グオオオッ!

 使徒は前方に現れたのが、新たな敵であることを認識すると、両目を光らせてビームを発射する。
 だが、そのビームは、究極の魔体の前方で突如として消滅してしまう。

「フハハハハハッ! そんなヤワな攻撃で、このバリアが破れるとでも思ったのかね!」

 究極の魔体は四つん這いになると、背中の主砲を使徒に向けた。

「主砲発射準備!」

 主砲の発射口に、みるみるうちに霊力が充填されていく。

「発射!」

 究極の魔体から発射されたエネルギーの奔流は、使徒が展開したATフィールドを紙屑のようにぶち破ると、使徒の全身を飲み込む。
 そして主砲が通過した後には、使徒の姿は何一つ残っていなかった。

『パターン青消滅。使徒の殲滅を確認しました!』


 横島が使徒と戦った翌朝、アシュタロスは薄暗い会議室へと足を運んだ。

「それにしてもネルフとエヴァ、もう少しうまく使えんのかね。
 零号機に引き続き、君らが初陣で壊した初号機の修理、および兵装ビルの補修。
 国が一つ傾くよ」

「オモチャに力をつぎこむのもいいが、肝心なことを忘れては困る。
 この世界を維持するために、我々の力も投じているのだ」

 その会議室のテーブルには、アシュタロスの他にも様々な異形の者たちが集まっていた。
 全身をうろこで覆われた者や一つ目の巨人もいれば、三面六臂の人物もいる。
 そしてアシュタロスの向かいの席には、背後から後光が射している人と背中に十数枚の翼をもった人が座っていた。

「そのとおりです!」

 アシュタロスが勢いよく机を叩いた。

「我々にとって、この計画こそが、この絶望的状況下における唯一の希望なのです!」

 各自の席の前にある小さなディスプレイに、『アシュタロス補完計画』というタイトルのプレゼンテーション資料が表示されていた。

「いずれにしても、使徒襲来によるスケジュールの遅延は認められへん」

「予算については、一考しましょう。それでは皆さん、お疲れ様でした」

 アシュタロスの正面の関西弁を話す男と、もう一人の男の発言で、この会議は終了した。
 他の人物たちの姿が一斉に消えると、アシュタロスも会議室から退出する。
 そしてこの場には、後光が射している人物と、関西弁を話す人物だけが残った。

「なあ、キーやん。アシュタロスのやつ、絶対勘違いしていると思うんやけど」

「ええ。宇宙のバランス維持のためとはいえ、復活を急ぎすぎましたかね」
 復活したアシュタロスが、『悪役はもうこりごりだ』と言ったところまでは、よかったんですが」

「まさか、『正義の味方をやらせてくれ』なんて、ぬかしてくるとはなあ……」

 二人は揃って、ハァとため息をついた。

「しかも、なんか作品間違えてますし」

「アシュタロスの奴、絶対ケツまで話を見てへんやろ。
 たぶんやで、最初の数話だけ見て、これが正義の味方やと思い込んどるに違おらへんわ」

 二人はもう一度、フゥとため息をつく。

「まあこないなったら、ヤツの気が済むまで、やらせるしかないんやろな」

「巻き込まれた人たちには、本当に気の毒ですが……」

「すまんが、ワイは次のコンペは休みますわ。
 温泉にでも行って骨休みでもせんと、やってられんわ」

「温泉になら、私もつきあいますよ」

 二人は疲れた表情を見せると、揃ってこの場から姿を消した。


 アシュタロスが会議を終えた頃、横島は病院のベッドで目を覚ました。
 そして、「知らない天井だ……」などと言わずに、すぐさま飛び起きる。
 関西人は、ツッコミを入れてくれる人のいないところでは、ボケないものである。

 病室から出た横島は、美智恵を探した。
 幸い、病院の廊下を歩いていた美智恵を、すぐに発見する。

「あら、横島クン。もう起き上がれるの? まだ休んでていいのよ」

「た、隊長! それより、昨日の戦いはどうなったんですか?」

 横島はその場で、昨日の戦いの顛末を聞いた。

「な、何ですって! アシュタロスが!」

「そうなのよ。それも、あの『究極の魔体』でね。あれが味方で、本当によかったわー」

「そんなこと言ってる場合じゃないですよ、隊長!」

 横島はアシュタロスに文句を言うため、司令室へと向かった。
 横島は司令室の場所を知らないので、美智恵に案内してもらう。

「やい、アシュタロス!」

「おお横島君か。昨日はご苦労だった」

「ご苦労かじゃないだろ、おい!」

 司令室はやたらと広く、天井や床に奇妙な模様が描かれていたが、横島はそれらには目もくれず、部屋の中央の司令席に座っていたアシュタロスに近づくと、机をバンと叩いた。

「あの『究極の魔体』は何なんだよ!
 あんなものがあるのなら、最初から出せばいいじゃないか!」

「ふむ、その件だがね……」

 アシュタロスは席に座ったまま、肘を机の上につけると口元のあたりで両手を組んだ。
 いわゆるゲ○ドウポーズというやつである。

「君も知ってのとおり、究極の魔体の本来のエネルギー源であるエネルギー結晶は、既にない。
 仕方なく、私がエネルギーを少しずつ補充しているのだが、それにはとても時間がかかるのだ。
 エヴァで勝負を着けたかったのは、それが理由だ」

 淡々と弁解の言葉を述べるアシュタロスに、横島はやや気勢を削がれた。

「それじゃあ、俺の報酬はどうなるんだ?」

「報酬とは、何の話かね?」

「とぼける気か? ルシオラだよ、ルシオラの記憶!」

「おお、そう言えばそうだったな。心配しなくても、大丈夫だ」

「本当か?」

「使徒は全部で17体。昨日倒したのが3番目だから、あと14体だ。
 全部やっつけるのに2クール……いや半年ほどかかるから、それまでに何とかしよう」

「は、半年だって! そんなにやってられるか!」

「嫌なら仕方がない。君を元の世界に返そう。
 ただその場合は、ルシオラはこちらの世界に残ってもらうことになるが……」

「くっ……! わかった、続けてやるよ!」

 こうして横島は、宇宙のタマゴの中の別世界で、エヴァ初号機のパイロットであるサードチルドレンとして、正式に登録されることとなったのである。


(続く?)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【あとがき】
 読んですぐおわかりかと思いますが、このSSは『新極楽世紀』(作者:おやぢさん)
 が元ネタです。(というか、配役変えただけの話かも)

 読んでツボにはまったので、勢いで書いてしまったのですが、この駄文を公開すべき
 かどうか、かなり悩んでいました。

 こっそり自サイトにUPしようかとも思ったのですが、NTのSSが元ネタですので、
 先ずはこちらでお目汚しをすることにしました。

 そういえば、NTは何気に初投稿ですね。
 この話はたぶん続かないかと思いますが、いいアイデアが浮かんだら(別作品になる
 かと思いますが)また投稿しようかと思います。


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