「アーーーーイム・バーーーーーーック!!!!!!!!!」
岸壁の天辺に仁王立ち、叫び声を上げる変態魔神が一柱。
背後では稲妻がビカビカ光っている。
「フッフッフ!!全世界の坊ちゃん、嬢ちゃん、兄さん、姉さん、おじさん、おばさん、爺さん、婆さん、待たせたNA!!!」
「私は今!!ここに!!壊れアシュ復活を宣言する!!」
ピシャーーーーーーンッッッ!!!!!!
一際大きな雷が落ち―――アシュタロスを黒焦げにする。
「フハハハハ!!見ろ、世界も私の復活を祝福している!!」
高らかに宣言するアシュタロス、でもアフロ。
というか祝福していたら自分に雷は落ちないと思う。
「そして私が復活した理由はただ一つ!!横島君の純潔を頂くことだ!!!」
やっぱりそれかいと思った方、その通りです。
というかうちのアシュタロスはそれ以外目的ありません。
「いつの間にか私の傍からいなくなっていた横島君・・・・・・おそらく何者かに連れ去られたんだろう。ああ、何て可哀想に!!今頃私のことを想って枕を涙で濡らしているに違いない・・・」
「だが!!こうして私が復活した以上、もう君に寂しい想いはさせない!!!」
いや、彼が自発的に逃げたという可能性は考えないんですか?
「むう、しかし復活したからにはこう・・・意表をつく登場をしたいな。いつの間にか横島君の家にいるとか夢の中に登場するとかはあまりに王道、しかし私はあえて斬新な演出を望みたい」
(作者にとって)イヤな前振りである。
斬新なってどうすればいいんだよ。
「・・・・・・・・・セーラー服を着て横島君と角でぶつかる、その時パンチラは欠かせない。なかなかいいが再会直後にパンツを見せるほど私は安い男ではない」
「・・・・・・・・・雪の降る夜に空から降ってくる、その時気絶していればなお良し。ふむ、惜しむらくは今が夏ということだ。どっかの小説みたく魔法が使えれば夏に雪を降らせられるんだが」
「・・・・・・・・・横島君の絶体絶命の危機に格好良く登場、ギター必須。これはいい!!まさに私にピッタリだ!!だが私はギターが弾けない・・・・・・バグパイプではダメなのか?」
「・・・・・・・・・横島君の宿敵として登場、敵ながら惹かれ合う2人、そして・・・!!・・・・・・原作とかぶっているな、これはボツだ」
ブツブツと漫画、アニメ、ドラマ、小説を見ながら登場シーンを考えるアシュタロス。
・・・とりあえずさっさと会いに行けばいいのに。
登校中の横島 忠夫はこのところ上機嫌を保っていた。
何せあの地獄から抜け出せたのだ、世の中全てが美しく見える。
再登校初日にクラスメートたちから『ついにム所に行ったのか!?』『覗きをした相手に包丁で刺されて入院してたんだって?』『ホモに囲われてたって本当か?』と聞かれても気にもしなかった。(一部真実あり)
先生に長期欠席を叱られようと、留年決定を告げられても屁でもなかった。
あそこに比べたら・・・。
思い出しかけて慌てて脳裏からそれを締め出す。
もう、あの地獄は終わったのだ。
思い出しただけで震えが来ることもなくなった、後はゆっくりと記憶自体をなくしていけばいい。
『前向きに、前向きに・・・』、ブツブツ呟きながら横島は教室へ入る。
「おはよー、皆♪」
「よう、横島」
「おはよう、横島君」
「うむ、朝の返事は元気よく!!基本だな、マイハニー♪」
ドガラガッシャーーーンッ!!!!!!
机を巻き込んで(一部男子生徒も巻き込まれ)ずっこける横島。
「・・・・・・ふむ、それは私に再会できた喜びのダンスと解釈し、私も負けずにとうっ!!」
ガラゴロドシーーーンッ!!!!!!
その人物も机を巻き込んで(こちらは男女関係なしに巻き込み)ずっこける。
そしてその終点が横島の上というのもまた見事。
さらにそこから目をキラリと輝かせ、彼の唇を狙うが。
ゾクリと背筋に悪寒が走った横島は身体全体の筋肉を最大限に活用、倒れた状態から無理やり身体を起こしてその人物を振り落とす。
「ぬおりゃあっ!!!」
「見かけによらずストロング!?」
振り落とされた人物はゴロゴロと転がり壁にぶつかる。
「ぬお、痛い!?いやこれはマイハニーから受けた傷!!ならば・・・快感?」
「気色悪いことを言うな!!ちゅーか何でお前がここにいる、アシュタロス!?」
そう、誰もが解っていたと思うがその人物はアシュタロスだった!!
「うむ、実はどういった登場方法がいいか悩んだ挙句、『いつの間にか仲間のなかに混ざっている』を選択したのだ!!」
・・・・・・・・・ビミョー。
斬新さを狙いすぎて煮詰まった挙句これなのか、というツッコミは本人も解ってますのでご勘弁して下さい。
「ていうか何でセーラー服!?」
「うん?これは学校指定の制服だが?」
「それ!女用!!」
「横島君、今の世の中は男女平等なのだよ」
「いいセリフだけど問題あり!!」
「やはり意表をついて裸エプロンの方がよかったかね?」
「もしそうだったら舌噛んで死ぬぞ!!」
「ならば私もその後を追おう!!」
"・・・・・・・・・・・・・・・コイツなら絶対そうする!!"
絶対絶対絶対死ぬ前に目の前のヤツを滅ぼす!!と心に決める横島。
閑話休題。
「というわけで一週間前から留学生として転入してきたアッシュ・タロース―――という設定でここの人間全てを洗脳した」
「おい!!洗脳って!!」
慌てる横島。
「安心したまえ。コスモ・プロセッサを使えば・・・」
「ああ、あれなら確かに簡単にできるな」
安心する横島。
「簡単にできてしまうので面白くないから、一人一人縛り付けて痛みを感じないようにして頭をパカッと・・・」
「聞きたくない!!聞きたくない!!それ以上言うなーーーっ!!!」
何か物凄いことを口走りそうになったアシュタロスの言葉を無理やり遮る横島。
そこに机を片付け終えたクラスメートたちが大挙してやってくる。
「おい、横島。お前アッシュと仲がいいな?」
まず男子生徒その1の発言。
「どこをどう見たらそういった結論になる!!?」
「いや、やっぱり解るかい?」
「ええい!ナチュラルに肩に手を回すな!!」
続いて女子生徒その1、その2の発言。
「え〜、でも〜、何か友達以上な感じに見えるけど〜。ね〜?」
「うんうん。ちょっといけない感じ〜〜〜!」
「どうしよう、横島君。すでにばれてしまってるよ」
「ばれてねえ!!つーかそういう事実すらねえ!!」
そして女子生徒その3の発言。
「ねえ、どっちが攻めで受けなの?」
「だいたい私が攻めだな。横島君は受け全般」
「「「キャ〜〜〜〜〜〜ッ♪♪♪」」」」
「信じるなよっっっ!!!!!!」
女子の歓声に負けないように横島が叫ぶ。
「そんな!!横島さん!!僕と誓い合った愛は嘘だったんですか!?」
「お前までふざけたことぬかしてんじゃねえ!!!」
ドガシッ!!!
「ひでぶっ!??」
男子生徒その2(金髪のヴァンパイア・ハーフ)をガゼルパンチで沈める。
「もしかして三角関係!?」
「横島君を取り合ってピート君とアッシュ君が決闘とか?」
「だったら俺はピートに賭けるな」
「俺はアッシュだな。見る限りかなり体格はいいし」
「よっしゃ!!『ピートVSアッシュ』!!一口千円からだよ!!」
「俺アッシュに五口!!」
「ピートに三口だ!!」
「三角関係ちゃう!!賭け事すんな!!あ、でも俺はアッシュに十口ね」
ノリのいいクラスメートたち、それゆえ横島のツッコミも冴え渡る。
最後にアッシュに十口賭けたのは両者の実力差を熟知しているからだろう。
さすが幼少の頃、大阪に住んでいただけある。
「まあそういうわけだからこれからよろしくな、横島君!!」
「俺、明日から学校に来ない!!」
こうして横島とアシュタロスのお笑い学校生活がスタートするのであった。
「しないって!!」
「お笑いよりもラブラブの方が語感が良くないか?」
「ラブラブじゃねーーーーーーっっっ!!!!!!」
チャンチャン♪
あとがき どうもお久しぶりです、操り人形です。久しぶりの内容がこれです、御免なさい。
時々物凄くギャグSSを書きたくなるんです。で久しぶりに壊れアシュが書きたくなったんです。いやー、楽しかったです。
それでは。