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「私的名シーンGS再現劇場 ほのぼの編 銀河英雄伝説版その4(GS+銀英伝)」

テルヨシ (2005-07-14 23:40/2005-07-15 20:10)

このSSは銀河英雄伝説のあるシーンを参考に書いています。
ネタばれにはなっていないと思いますが、これから銀河英雄伝説を読もう&見ようという方はお気をつけ下さい。

また、銀河英雄伝説ファンの方、笑って許してください。
また弓清太郎、弓華というキャラが出てきますがこれは弓かおりの両親でありオリキャラです(GS美神ifを読んでいただけた人で覚えている方ならご存知でしょうが)。
そんなわけでGS美神ifの延長上のお話です。


街を一人の青年が走っている。
常人離れしたのその速さに周りのものは驚いているが、青年はそんな事には脇目もふらずただひたすらに走り続ける。


あとで冷静になると何故魔装術を使って走らなかったのか自分でも疑問に思う…、
訳はない。

そんな事をしたらオカルトGメンが出てくる騒ぎになりかねない。
そのくらいの冷静さを保てていた自分の感謝したい。

そもそも走る必要性があったのか? とも思わなくもないが、そこは若さゆえというやつだろう。


それはともかく、青年はある店にたどり着くなり飛び込んでいった。
その店には『花屋』との看板が掛けてあった。


私的名シーンGS再現劇場 ほのぼの編 銀河英雄伝説版その4


「親父、花だ、花をくれ。花なら何でもいい!
 いや、そうじゃない。とびきり綺麗な、女に喜ばれそうな花をくれ!」
開口一番、雪之丞はそう言いながら花屋の店主に詰め寄った。

あまりの勢いに何のことだかまったく分からなかった店主も、話を聞いて
「それでしたらこれなどいかがです?」
と白いバラを勧めた。


店にあった半分の白いバラで花束を作ってもらい雪之丞は料金を払う。

その時店主が優しい笑みと共に、
「頑張ってくださいね」
と声をかけながら花束を渡した。

雪之丞は心持顔を赤くし、照れ臭そうに笑い、
「アリガトな。成功する事を祈ってくれ」
と花束を受け取り店を後にした。


「ねえ店長?」
「何ですか」
雪之丞が立ち去ったあと、花屋のバイトは店長に気になる事を聞いてみた。

「先ほどのお客様に『頑張ってくださいね』って声かけてましたけどどういう意味です?」
「ああ、アレですか」
店長は何かを思い出すような仕草をしながら
「私にもあんな時期がありましたからね…」
と過ぎ去った時間を懐かしむように答えた。

「店長答えになってませんよ〜」
「あなたにもいずれ分かりますよ。それにお客様の事をあまり詮索するモンじゃありませんよ」
そういって店長はごまかした。


一方、そんな話題の原因たる雪之丞は緊張した面持ちでとある道場へと入っていく。
雪之丞が通り過ぎた門には『闘龍寺』とある。


かって知ったるなんとやら、自然に中に入っていくと目的の人物がそこにいた。
闘龍寺の一人娘であり、雪之丞の恋人たる弓かおりである。


「どうかしましたか、雪之丞?」
連絡なしに雪之丞が来る事は多々あることだが、なにやら何時もと様子が違うことを感じ取ったかおりはそう問いかける。

「あ、うん、ちょっと、な…」
雪之丞の性格に似つかわしくもなく歯切れが悪い返答。


何時にない雪之丞の様子に戸惑いを隠せないかおり。
そこでようやく雪之丞がもっている花束に気が付く。
(「もしかして緊張してますの?」)

自分の予想が正しければそういうことなのだろう。
だとすれば自分がすることは、すべき事は…。


「落ち着きなさい雪之丞。私は逃げたりしませんから」
そんな言葉と共に優しく微笑む。

そんなかおりに改めて見惚れる雪之丞。

そして深呼吸をし、自らを落ち着かせる。
「今日来たのはな…」


一方、そんな二人がいるところから少しはなれた場所になにやら人影がある。
かおりの両親である、清太郎と華である。

この二人、雪之丞とかおりの交際には反対どころか積極的に賛成である。
先ほど雪之丞から挨拶を受けた際、なにやら雪之丞が何時もと違うので様子を見に来ていたのである。


「母さん、これはもしかすると…」
「ええ、多分そうですわね」
何やら興奮した面持ちで二人の様子をうかがう。
距離が離れている為、会話は聞こえないがそれでも二人の雰囲気で会話の流れは大体分かりそうだ。


そして二人が生暖かく見守っていると、雪之丞が意を決したのか花束を渡しながら何やら叫んだ。
それに対し、かおりは嬉しそうに顔を縦に振り、そのまま雪之丞に抱きついた。


「でかした、雪之丞君!!」
「かおり、良かったわね!」
盗み見ている二人も嬉しそうだ。


両親が見ているとは思いもしない二人はそのまま顔を近づける。

「いい雰囲気だな母さん」
「そうですね」
娘と義息子のラブシーンを恥ずかしがることなく見守る清太郎と華。

あまつさえ、
「「よーし、そこで押し倒せ!!」」
なんて叫ぶ始末である。


「へ〜、誰を押し倒すんですの?」
二人の後ろから感情を押し殺した質問が聞こえる。

「そんなの決まって…、かおり何時の間に後ろに?」
「二人が何やら楽しそうな妄想に浸っている間です」
「妄想とはひどいな。私達の願望といってもらおう」
「そんな事はどうでもいいです! 何時から覗いていたんですか!?」 
脱線しかけた話の内容を戻したかおりに両親は悪びれることなく
「事の最初から」
と答えた。


その答えに雪之丞は石化した。
一世一代のプロポーズが見られていたのだから、ある意味当然かもしれないが。

「今日という今日は許しませんわよ、お父様、お母様!」
そう言うなり水晶観音を発動させるかおり。

「私にかなうと思っているのか!?」
対する清太郎も水晶観音を発動させる。


途切れ途切れの雪之丞の記憶の中には、なにやら破壊音と
「ごめんなさいね、雪之丞君」
との華からの謝罪がうっすら残っている。 


何とか気を取りなおした雪之丞。
ほんのちょっぴり闘龍寺が先ほどより壊れてぼろくなっている気がするが気のせいだろう。


「気が付きましたか雪之丞?」
「ああ、何とかな」
「身内の恥を晒してしまってすいません」

その言葉に先ほどの事を思う出し若干顔を赤くするが
「まあ、正直恥ずかしかったがいいさ」
とあっさり許してしまう雪之丞。
時折暴走しないでもないが二人共雪之丞をことを可愛がってくれるし、何より雪之丞自身も二人の事が好きだからだろう。


「それはともかく出かけますわよ」
「何処にだ?」
いきなりそんな事を言われて少々戸惑い気味の雪之丞にかおりは
「指輪をまだ貰ってませんわ」
をその目的を告げた。

雪之丞も本当はジュエリーショップにも寄り、指輪を買ってからプロポーズしたかったのだが、生憎サイズが分からなかった為諦めていたのだ。


恋人に渡す指輪をその渡す対象である本人と買いに行くというのに少し抵抗がないでもなかったが、自分達らしいのかもしれない。
そんなことを考えながら雪之丞は歩き出した。


「ところで雪之丞?」
「何だ? 指輪の予算なら常識の範囲内なら気にしなくていいぞ」
「そうではありません。あなた、白いバラの花言葉知ってますの?」
「いや、知らないぜ。花屋の親父にすすめられて買ったんだが何かまずい花言葉なのか?」
花言葉なんか知る由もない雪之丞は少々あせりながら聞き返した。

「そうですか。まあ白いバラが似合うようにこれからも頑張りましょうね、お互いに」
とクスクス笑いながら雪之丞に白いバラの花言葉を教える。

それを聞いた雪之丞は恥ずかしくて体が痒くなったそうな。
あまりの白いバラを使ったプロポーズのキザッぽさに…。


「まあ大体こんなところだ」
自分の事とはいえ、語り終わった雪之丞は照れ臭かったのかそっぽを向きながらそう締めくくった。


ここはとある飲み屋の一室であり、雪之丞がかおりとの結婚を控えたとある日。
横島、タイガー、ピートといった何時も暇さえあればつるんでいた友人たちと独身最後の酒を酌み交わしているところである。

話は当然のごとく二人の事になり、プロポーズの事を他の三人に話させられたところであった。


すでに結婚している横島と当分その予定がないピートは楽しそうに。
その相手が居るタイガーは熱心に雪之丞の話を聞いていた。


「ところで雪之丞サン。結局白いバラの花言葉は何だったんジャー?」
「あ、それは俺も気になってたんだ」
雪之丞同様、その手のことに疎いタイガーと横島はその点が気になったのか聞きたそうだ。


「いや、それは…」
らしくもなく言いよどむ雪之丞。

「教えてくれないんなら自分で調べるだけですケンノ〜」
「遅いか早いかの差だぞ」
二人が言う事ももっともなのだが、それでもここで話すべきか悩む雪之丞。

「何か悩むような花言葉ではないでしょう。プロポーズにはちょうど良かったんじゃないですか?」
「ピート、お前は白いバラの花言葉知ってるのか?」
「ええ、一応」
バラから精気を吸えるから知っているのか、七百年と長きに渡る人生の中で自然と覚えたのか。
ともあれ雪之丞が自分の口から言わなければピートの口から話されるだけだろう。


悩んでいて雪之丞は自分の口から話すことにした。


白いバラの花言葉を聞いた横島は爆笑した。
「いや〜、キザなプロポーズしたな雪之丞!」
タイガーは笑うのをこらえているようだが、あまりこらえられていない。
ピートは何故二人がそんなに面白がっているのか分からないようだ。


ちなみに三人の行動理由だが。
横島はすでに結婚しており、自分のとき(某神族により結婚式で自分のプロポーズした場面が流された)に笑われた分、心置きなく笑っている。
タイガーは笑いたいのは山々だが、ここで笑ってしまうと自分の時が怖い為、我慢している。
ピートはヨーロッパでの生活が長い為、その手のプロポーズが日本人の一般的な感覚では『キザ』に受け取られるというのが理解できていない。


「何時までも笑ってんじゃねえよ、 お前ら! 飲むぞ!!」
「あ、ああそうだな」
何とか笑いの発作をおさめると四人はまた飲み始めた。


ちなみに女性陣(かおり、ルシオラ、おキヌ、魔理)も後日集まり、その話を聞いた未婚のおキヌと魔理は、
自分の恋人がどんなプロポーズしてくれるのか夢を膨らませた。


  白いバラの花言葉は『わたしはあなたにふさわしい』


あとがき

いかがだったでしょうか?
元ネタは三巻のミッターマイヤーのプロポーズです。
原作では黄色いバラでしたが変えてみました。
以前ちょっと気になったので開きかけの黄色いバラの花言葉をちょっと調べてみたのですが『嫉妬』『薄らぐ愛情』
などとあまりいいものでないみたいです。
が、開きかけの黄色いバラは『君のすべてが可憐』 、開いてしまうと『嫉妬』 、散る間際の黄色いバラは『薄れゆく愛』
というのも出てきたり『敬愛』『尊敬』など何か国によっても違うッぽいし花言葉は複雑ですな。


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