何気にGSキャラは知らないもの同士が多い
安らかな休日を 第9話
さわやかな朝、近くでは小学生達がラジオ体操をしている。そんな素敵で平和な朝であったが……
(こいつ……)
(こやつ……)
((で、できる!))
旧、横島住居であったアパートの前で睨み合う雪之丞とシロの姿があった。
そもそも、この二人がこの場で出会うのにはわけがあった。
雪之丞は常に外国の修行所などを転々としながら旅をしている。
そして、気まぐれにたまーに帰ってきては横島の部屋に止まらせてもらっているのだ。
時給255円の彼でも、住む場所はあるしカップ麺を余分に置いておくくらいの余裕はあるため特には気にしてはいない。ぶつぶつ文句だけは言っておくが……
さて、それはともかくとして。雪之丞の交友関係というのはかなり狭い。
なんせ、横島を中心としたGSメンバーばかりなのだ。
しかし、たかるほど親しい友人といえば横島しかいないので常に日本に帰国した時は頼っている。
今回も、寝床と食料をたかりにこのアパートに来ていた。
当然、横島がマンションに引っ越したことはまったく知らない雪之丞だった。
シロの場合は交友関係はそもそも美神事務所しかない。
今回も長老の許可が下りたので、富士の樹海にある里から東京にやってきたのだ。
まずは、自分の敬愛する先生に挨拶をするためにうきうきしながらこのアパートにやってきた。
だが、当然のことながら横島がマンションに引っ越したことはまったく知らないシロであった。
そう、二人とも横島に用事があり、偶然にも居合わせてしまったのだ。
(こいつ……人間じゃねえな。尻尾があるし)
シロは人の形態であっても尻尾が生えている。どう見ても特殊な趣味の人間とは思わない限りは人間とは思うことはない。
〈こやつ……魔の匂いがするでござる〉
シロは雪之丞からかすかに匂う魔装術の契約による悪魔の匂いをかぎ分けていた。
魔装術を極めた彼でも、悪魔の契約なければそもそも魔装術は魔装術とはいえないので契約は切れない状態だ。
それがとてつもなく雑魚で、自分でも倒せると片隅で思っていたとしても契約を切れないのだから仕方がない。
(いつまでも蟹っぽい悪魔ってのも嫌だし、ジークかワルキューレあたりでも頼むか……?)
正確には悪魔ではないが、魔族だから何とかなるのではと心のうちで思ってる雪之丞は今度二人のどちらかに会えば頼もうかなぁとも思っていた。二人にとっては迷惑だろうが。
それはともかく、二人の出会いはこんな感じだった。
「てめぇ、何もんだ?」
「拙者、魔に名乗る名前はないでござる」
雪之丞もシロもすでに戦闘態勢だ。雪之丞は魔装術を展開しようとしているし、シロはすでに霊波刀を出している。
お互いから流れる霊気の共鳴で場の空気が一気に重くなっていく。
「いくぞ、こら!!」
先取を取ったのは魔装術を出すと同時に走り出した雪之丞だった。
弾丸のように向かってくる雪之丞に対し、シロは
「先生が教えてくれた技をここで試すでござる!!」
〈何をする気だ?〉
シロは迫り来る雪之丞に
サイキック猫だましを使った。
「ぐわっ!?」
「今でござる!」
シロは眼をくらませた雪之丞に霊波刀の一撃を食らわせようとする、が……
「甘いんだよ!!」
と昔、横島との試合に使った連続霊波砲を放つ。威力はさほどではないが、連続に放たれる霊波は壁代わりとしてシロの攻撃を止めた・
(こいつ……)
(こやつ……)
(強い(でござる))
そして、今度は同時相手にに駆け出した二人
だが……
「ストップです。ミスシロ」
「止めなさいよ。こんな所で」
二人を止めたのはマリアとテレサだった。二人とも身長のためか、地面に足がついていない。
「マ、マリア?(殿?)」
そして、シロを止めた女性、テレサには面識がないのであんた誰?という顔をする二人
「まったく、朝から騒がしいぞ。アパートを壊す手間を省いてくれたのは感謝するがの」
「アパートの住民の引越しが住んどいてよかったのぉ」
そういいながら、二人の戦闘……主というか大半がに雪之丞の連続霊波砲のせいで完全に損壊したアパートを見るカオスと元幸福荘とこのアパートの持ち主のばあちゃんの姿があった。
「すまんすまん、まさか横島の弟子とはな。」
「いやはや、拙者も先生のご友人といざ知らず……」
あの後、用事があるといった4人に横島の現在の住所を聞き、二人で軽く会話しながら向かっていた。
雪之丞もシロも、横島の実力を半ば妄信じみているみたいだから会話が弾む弾む
「へェ、フェンリルか……くぅ~! 俺も戦ってみたかったぜ!!」
「拙者も猿神殿の会ってみたいでござる……」
少々近所迷惑なほどのでかい会話をしながら、マンションの横島の部屋の前に着いた。
マンション入り口の時に横島がロックをあけたので部屋のいることはすでに承知済みだ。
ピンポーン
「はいは~い」
そういいながら、扉を開けたのは……タマモだった。
「へェ……横島の奴、女を連れ込むようになるなんてな。」
そういいながら、雪之丞は自分と同じように女っ気のなかった当時を思い出し感心する。
シロはというと……顔をうつむかせている。
「あの……入らないの?」
「どうした~タマモ?」
横島がやってきた。
「オッス。久しぶりじゃねえか横島」
「ああ……シロ?」
横島は雪之丞の横にいるシロを見た。先ほどと同じように顔をうつむかせ、体が少しプルプル震えている。
「セ……」
「「「セ?」」」
「先生が雌狐に騙し取られたでござる~!!!??」
ワオーンと背後にフェンリルの映像を背負いながら吼えた。
((ス……ス○ンドや(よ)……))
と思いながら、横島とタマモは意識を手放した。
雪之丞は……
「ママ……ママ……弓……弓」
とぶつぶつ言いながら気絶していた。
「あ、あれ?」
シロはその様子にきょとんとした。周りの部屋にちょうど誰もいなくてよかったと後に横島は語る。
「本当に申し訳ないでござる……」
シロはあの後、こっぴどく3人にしかられた。自業自得といえば自業自得である。
「まぁ、もういいけどさ……」
一応はこのマンションの持ち主なので、先ほどの大声で近所迷惑になってない下記になって仕方がなかった。ご近所付き合いというのも気を使う。
「というか、雪之丞だっけ?……あまりいなり寿司食べないでね」
晩御飯用に作っておいた大量のいなり寿司をすべて食いきるかの勢いで雪之丞は食べていた。
「堅い事言うなって」
「作るのは私とタダオよ?」
そういうと、雪之丞もさすがにと思い、最後に一つを惜しみながら食べて終わった。
「雪之丞のほうは部屋も余ってるし、別にいいけど」
「すまねえな」
実は、今回の帰国からあまり外国で修行するのを止めたらしい。
出費がものすごいというのが主な理由らしいが、横島的には弓さんとはなれるのが限界なのではと考えていた。
当たらずとも遠からずだろう。
そこで、次の寝床を探すまで横島を頼ることにしていたらしい。
「前のアパートだったら、狭くてかなわんかったな……」
以前も何度かそういうことがあったが・・・夏じゃないのが幸いだったとだけ言っておく。
「拙者もここに住みたいでござる~」
きゅーんと泣くが
「そもそもお前は美神さんが保護者だろうが」
タマモや他の妖怪たちは名義で横島とオカルトGメンが保護者となっている。
それに対して、シロは美神が保護者だ。
近くのマンションでもないここにすむのはいささか問題があるだろう。
「タマモばかりずるいでござる~」
「まぁ、遊びに来ればいいんじゃない?」
こいつなら毎日来そうだな……と横島は思った。
後に一度だけ散歩という地獄に合い、霊能力が低下している彼は本気で入院しかけないほど疲労した。
その後は完全に散歩が禁止されたのは言うまでもないだろう。
あとがき
シロ&雪之丞登場
ようやく本編が進みました。これからもがんばっていこうと思います。
さて、次は誰を出そうか