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▽レス始

「GS横島〜剣製の魔術使い〜二(GS+Fate)」

クライン (2005-06-17 23:33)

GS横島〜剣製の魔術使い〜二


教会の裏庭で、日課のトレーニングを始める。

トレースオン
「同調開始」

ゾブリ

身体に熱した鉄芯が突き刺さる様な激痛と共に、魔力回路を構築する。

「――――構成材質、解明」

「――――構成材質、補強」

体中に魔力が暴れ狂う。死をイメージさせる様な激痛が駆け巡るが、精神力で無理矢理押さえつける。

ここで乱せばそのイメージは実際に、そして確実に襲い掛かってくるからだ。

        トレース オフ
 「――――っ、全工程、完了」

精神力が限界に達したために鍛錬を終わらせる。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」

全身から汗が噴出し、息は途切れ途切れになる。

―――魔術回路の構築

どんな魔術師でも、一度はその命を賭して挑むであろう儀式のひとつ。

そして、同時に何度も経験することは決してありえない儀式。

「すぅー・・・・・・はぁーーー」

大きく深呼吸し、息を整える。

本来、こんなことを何度もやる魔術師なんて存在しない。

構築には大きな危険を伴うがゆえに、体に無意識の内に魔術回路を使用するためのスイッチが形成される。才能がない奴でも二、三回やればスイッチが形成される。

同時に、自身の体に生成された魔術回路を認識できるようになり、後はそれを使用できるようにする、っていうのが、魔術師としての訓練の方法だ。

無論、知識は別だが。

しかし、俺はその例外に属する。

俺の体に存在する魔術回路は108本。

一代目魔術師としては異常に多い。一流と呼ばれる魔術師達と比べても決して見劣りはしないだろう。義父であり師でもある爺さんの見解では、血筋に強力な魔術師がいて、その血が偶々濃かったとの考えらしい。

それでも、俺の使用できる魔術に必要な魔力を生成するためには、そして俺が戦う相手を考えると、それだけでは全然足りない。

俺が戦う相手―――それは悪霊、邪術師、妖魔、死徒と呼ばれる吸血種、そして神や悪魔。

奴らと戦うには人の身ではあまりに脆弱。たとえ魔導を修めようと、その種としてのポテンシャルの差はあまりに大きい。

だからこそ、こうして生成できる魔力を増やすため、そして回路に流せる魔力量を増やす為に、何度も回路を生成し、回路自体を鍛えている。この九年間、ほぼ毎日欠かさず。

今では擬似神経の魔術回路は実在の神経に融合し、魔力を生成するようになっている。

それでもまだ、俺の持つ魔術を行使するのには十分とは言いがたい。

故に

トレース オン
「―――霊鍛、開始」

他の物を使ってそれを補う。

ハンズ・オブ・グローリー
右腕に発現させた青白く輝く鉤爪型の手甲、変則型霊波刀<栄光の手>を剣状にし、振るう。

右袈裟、逆袈裟、横薙ぎ、振り下ろし、刺突。

一通りやり終え、今度は次々と栄光の手の形を変えながら乱舞。爪、大剣、槍、鞭、槌、双剣、弓と次々と変形させ、今までに戦った相手を思い出し、攻め、守り、打ち、薙ぎ、交わし、受け流し、切り伏せる。

霊能に目覚めたのは今から二年前。魔力が尽き、ある意味で絶体絶命の時だった。そんな極限状態に、自己防衛本能の成せる業か、霊能力が発露し、なんとか窮地を脱した。

半年前まで自分なりに鍛えてみたが、知識が無かったせいか碌に霊力を練れなかった。それを知人に相談したところ紹介してもらったのが―――

「横島君、調子はどうだい?」

眼鏡をかけた中年男性が声を掛けた。


唐巣和宏。通称、唐巣神父。

俺のバイト先の上司(?)で、例の知人が霊能を鍛えるのに紹介してくれた人物である。

神父と言っても正式にはしばらく前に破門にされているので神父ではないのだが、教会を構え、その聖人のごとき性格から、皆にそう呼ばれている。

以前、教会の除霊法が一切効かない相手を除霊するために、教会の禁忌とされる魔術を使い、それが理由で破門されたそうだ。それ以外にも、教会が異端と呼び、問答無用で排除してきた妖怪に対して平等に振舞い続けたのも原因の一つらしい。

それでも決して信心を失わず、実力は現役GSとしては国内最高の人物。ただ、恵まれない依頼人からは一切依頼料を金を受け取らず、受け取った金も大半は寄付してしまう。そんな性格なので教会はひどく貧乏。俺が来る前はご近所からの御裾分けで食い繋いだ事もあったようだ。


「まだまだっすね。収束が甘いし無駄も多い。これなら下級の魔剣を投影した方が燃費もいいです」

自分の出した<栄光の手>を見ながら答える。

「まあ焦らないことだよ。ここに来るまで霊能に関する知識が無かったのだからね。それに君の魔術は人前で使うのにはあまり向いていない。特に同業者の前ではね」

 俺の答えに神父は苦笑しながら答える。

 神父も俺と同じく魔術使いだ。それも、魔術と同時に霊能も使う。

 根源を目指さず、ただ、困っている人を救うために魔術を使う神父は魔術師としてはあまりにも異端。そして俺の魔術を知りながら、ただ注意することを教えるだけの彼は魔術師としてのみならず、異端な術技を使う者たちの中ではあまりに異常。だが、そんな神父だからこそ皆に信用され、信頼される。

 師弟の関係で無く、人生の先輩として振舞う。そんな、自分の周りでは珍しい常識人で苦労人。それが唐巣神父だ。

 「そうっすね」

 栄光の手を解除しながら答える。そう、素人なら誤魔化せるが、霊能や魔術に詳しい相手には俺の魔術の異様さはわかるだろう。

 壊れない限り決して消えることのない投影の、真作に限りなく近い贋作の創り手。

 「そういえば今日はお客さんが来るって聞きましたけど」

 とりあえず魔術の話題から離れるために違う話題を振る。

 「ああ、私の古い友人でね。なんでも頼み事があるとか。君にも聞いてもらおうと思って呼ぼうと思ったんだ」

 どうやら客はもう来ているらしい。

(神父の古い友人って言うからいい歳したおっさんかおばはんなんやろーなー)

 等と考えながら神父と共に本堂に向かうと

 「初めまして、横島さん。僕はピエトロ、ピートと呼んでください」


 金髪碧眼の美形野郎がいた。


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