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▽レス始

「GS横島〜剣製の魔術使い〜(GS+Fate)」

クライン (2005-06-07 22:28)


 ――――――――――身体は剣で出来ている


――――――――――血潮は鉄で、心は硝子


――――――――――幾度の戦場を越え不敗


――――――――――ただ一度の敗走もなく


――――――――――ただの一度も理解されない


――――――――――彼の者はここに一人、剣の丘で勝利に酔う


――――――――――故に生涯に意味はなく


――――――――――この身体は、きっと剣で出来ていた


 気が付けば、真っ赤に染まる世界の中を、ただひたすら歩いていた。

 空は黄昏。大地には炎が広がり、足元には自分が歩いていた痕跡となる赤い液体―――自分の血。

 世界はただ赤く、誰かに助けを求めようにも誰も見つからない。痕跡すらない。

 視界が霞み始め、意識が朦朧とする。その原因が疲労なのか酸素の欠乏なのか、それとも出血多量故のものなのか・・・・・・。

 それでも助かるために、生きてこの地獄から抜け出すために、

 歩く。


 歩く。


 歩く。


 そして――――――倒れた。

 起き上がろうと手足に力を込めるが、全く力が入らない。這ってでも進もうとしたが、ただの徒労に終わってしまう。

 「くぅ・・・はあっ!!」

 気力を振り絞って仰向けになると、自分の意思に反して瞼が閉じていく。

 心の中で希望が次々と潰えてゆく。これが走馬灯なんだな、と思いながら。


 自分の短い人生―――ほんの七年分の人生の記憶が次々と浮かんでは消えてゆく。


 母が懲りもせず浮気をした父に折檻している記憶。


 初恋の少女と初めて会ったときの記憶。


 親友の少年達とイタズラをし、自分だけ吊るされた時の記憶。


 そして先程見た、赤い服の男が―――――――――黒い“何か”と戦っていた記憶。


 瞼が今まで以上に重くなり、意識が泥に沈むように消えてゆく。


 ああ、もうだめだ・・・・・・


 そうして意識が沈む前に見えたのは、沈む夕日、消えてゆく炎、そして――――――安堵する表情をした、先程戦っていた赤い服の男だった。


△記事頭

▲記事頭

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