!!注意!!
以下の話には、逆行最強横島、心眼擬人化などの要素が盛り込まれております。
そういったものが肌に合わないお方は、お読みにならないようお勧め致します。
―― 心眼は滅びない ――
おっす! おら忠夫!
唐突だけど、実は今戦闘の真っ最中だ。
だからみんな、おらに元気を分けてくれ。
なーんてな。
何で戦闘の最中にこんな軽口を叩けるかというと、俺が時間を逆行して来た未来の横島忠夫だからだ。
妙神山の山奥でっ♪ 修〜行〜してっ♪ 斉天〜大聖の〜魂…は宿しちゃいないが技は宿した。体は無論この時代の横島だが、魂だけ未来から逆行して来た俺、最強。霊力は百億マイトを軽く超えるぜ。べたべたのお約束設定と言いたくば言え。
だから今相手している雪之丞程度なら、少し前美神さんにやられた馬鹿の真似じゃあないが、0.0000000001パーセントの力で充分だったりする訳だ。
どーだ凄かろ? 凄いと思ったら俺にホレろ! こんちきしょー。
そう。俺は今GS資格試験で雪之丞と戦ってる真っ最中だったりする。
ほんとはルシオラを死なせない為、アシュタロスと戦う直前くらいへ逆行するつもりだったんだが、どーゆー失敗かこんな時期へと飛んでしまった。
勿論この事は美神さんやおキヌちゃん、小竜姫様はおろか、俺のこの額に張り付いているバンダナ ―― 心眼にだって知られちゃいけない。つーか、これからルシオラが現れるまで20巻近くもの時間、文珠やら眷属やら妙神山流格闘術やらかめ頭波やらの力がバレんようにして過ごさにゃならんとゆーのは、正直ちょっと頭が痛い。
今もわざとぜいぜい息を切らし、不自然に大きな霊力が体外へ漏れる事がない様にとむしろそっちに気を遣いながら戦っている。額にくっついている心眼をも騙すってのは楽じゃない。この戦いが終わったら、こいつにだけは本当の事を話しておくか。何といっても、この俺の初めての戦友といえるやつだしな。
と、そんな事を思っていた時だ。俺の額に声が響いた。
「いかん!! 直撃する…!!」
「えっ…!?」
心眼の声にはっと気付くと、すぐ目の前に霊波砲が迫っていた。
余裕で、とはいかないが、幸い最強の俺ならば何とかぎりぎり避けられるタイミング。
だが、その時悲劇は起こった!!
バシュウウッ!!
俺の真の力を知らない心眼のやつが、額を離れて飛び出してしまったのだ。
「バッ……バンダナーーーーーー!!」
霊波砲の直撃を受けた心眼は、焼け焦げた細切れの布切れとなって飛び散ってしまった。
その破片の幾つかが、焦げ臭い臭いを漂わせながら俺の目の前を花びらの様にひらひらと舞う。
その瞬間、俺は何も考えられなくなって ――
脳裏には、ルシオラを失ったあの時の気持ちが鮮明にフラッシュバックした。
もう誰かを失うのは嫌だ!!
「うわああああああああああああああっ!!」
殆ど反射的に、後先も考えず俺は霊力を開放し文珠を作った。
込めた文字は『命』。
それを泣きながら、叩き込む様にして瀕死の心眼へと押し付ける。
「お…おぬし…?」
四つん這いで涙を零す俺の体のその下で、ぱあっと文珠が光を放った。
後から良く良く考えてみりゃ『蘇』とか、もっと無難な文字を込めりゃ良かった。
お察しの通り心眼のやつは生命を得、人の姿をとって蘇りやがったんだ。
文珠の発する光が収まったその場には。
衆人環視の闘技場で。
俺の体のその下に――
一見まるで、俺が不埒な目的でもって押し倒したかの様に――
とても美しい
ちょび髭をたくわえたおっさんが横たわっていたのだ。
何故か右手に短い槍を持ち、背には目玉模様の一杯描かれた亀の甲羅、とどめに「心眼」と名前の書かれた鉢巻を目隠しの様に巻いていたのはどういう意味か、今もって俺には解からない。
ところで、めげずにここまで読んでくれた読者諸君。
最強の俺がこんな泣き言をゆーのも何なんだが、これからどうしたもんだろう?
メドーサも居るこの場所で文珠の力がバレたからには、更に過去へと逆行するしかないのか?
それとも歴史が変わっちまうのを承知で、擬人化した心眼と共に今後を戦って行くか?
いや。そもそも一見、おっさんを無理矢理押し倒しちまってる形のこの体勢。
明日からみんなの視線が痛いに違いない。
誰かなんとかしてくれ。しくしくしく……。
終わり
続きません。
はじめまして。
安奈先生命と申します。
いつも皆様方の作品を楽しく拝読させて頂いております。
一度でいいから投稿してみたいものと思い、今回筆を取りました。
拙き物ゆえ「何じゃこりゃ!?」とお感じになる方もいらっしゃるかとは思いますが、
広い心でスルーして頂けましたなら嬉しいです。
それでは失礼致します。