夜は夢の始まり、朝は現実の始まり
では、その中間の朝日が昇る瞬間は……夢と現実の瞬間?
「いててて……」
横島は二日酔いが残る頭を掻きながら、起き上がる。
周りを見渡すと全員が鼾をかきながら熟睡している。
美神さんは一升瓶を抱えながら寝ているし、おキヌちゃんはその横でスースーと眠ってる。
シロとタマモは見た目年頃の体なのに、すさまじい寝相で眠りあっている。
自分の事務所のメンバーのある種、醜態に二日酔い以上の痛みが来るのは嘘ではないだろう。
周りにしても似たようなものだ。
雪之丞やタイガーはおのおのの恋人と抱き合って寝ているのが激しく横島はむかつくので、誰かが使っていたカメラにその写真を残しておくことにした。
「ククク、現像された時がお前達の最後だ……」
・
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む、むなしい。果てしなく虚しい……
横島は残りの酒とつまみを持って、桜の木の下に向かった。
空は白み始めているが、まだ太陽は見えずにいる。
このまま時間をつぶしていれば、朝日が見えるだろう。
「夕日じゃなくて朝日か」
彼女は知っていたのだろうか、夕日も美しいが、冷たい夜に温かみを与える朝日もまた美しいということに。
「やめよやめよ、言っても仕方ないことだし。」
そう思い、日頃は飲めない上等な日本酒をコップになみなみと注ぐ
「おっ」
桜の花びらがコップの日本酒に落ち、浮かんでいる。
「風流って奴だな」
ちびりと酒を飲むと、桜の花は底に沈みはじめる。
その後に再び散った桜が酒の上に落ちて、浮かんでくる
今のこの思いもこのコップと同じなのだろう。
「えーと、人生という酒の上にきれいなねーちゃんが浮かんでその事実に浮かれるけど、いつかは底に沈んで過去になる……か?」
小龍姫や老師は時たま、こういうことを考えるようにと彼に勧める。
自分としては、このように教養のありそうなことは苦手なのだが、続けていればこ言うことも浮かぶようになるのだから、やり続けることは偉大だなぁと感じる。
「って、散りすぎだろう? これ……」
いつの間にか散っている桜は彼の周りを絨毯のようにしている。
「こ、コップにまで……」
コップにまで桜の花がすごいことになっている。これでは桜酒だ。
仕方ないので一気に飲み干す。
「あー効くなぁ……」
頭に残っていた痛みは消えたが、その代わりに心地よい虚ろさが出始める。
桜の木の下には死体が埋まっているのよ
「誰の死体が埋まってるんだろうな」
埋まってるはずはないだろうけど、なんとなくそう思う
しかし、どうせなら死体よりも
「姉ちゃんの肢体の方がいいよなぁ」
いや、だめだろ。埋まってんじゃん。と自分に突っ込む
どうも、酔いがひどくなってきているみたいだ。
そろそろやめるか? と思うが、腕は今だにコップに酒を注ぎ続けている。
周りをなんとなく見渡す。今だに彼女達は眼を覚まさない。
先ほどまでのうるさいほどの鼾は聞こえずに、静寂が世界を包んでいる。
いや、違うか
「この木のせいか?」
桜の木は花を散らし続けている。その微妙すぎるほどの、いやほぼ無音の音が包んでいるのだ
無音ならば、余計なことを考えていただろう。
もしかしたら、彼女のことを思い浮かべていたかもしれない。
この場にいない彼女のことを
「まぁ、今考えてるから同じことか」
そう思い、またコップになみなみ注いだ酒を飲み干す。
ふー
酒臭い息が彼からこぼれる。
おっ、そろそろかな?
そう横島が思うと朝日が昇り始める。
だんだんと夜の黒さが消えていき、オレンジ、黄色、白と変わっていく。
一日の始まりという奴だろう。只、本来なら0時で日付は変わるがやはり朝日を見たほうが一日が変わったと思える。
「夕日もいいけど、朝日もいいわね」
「だろ?……」
あれ?
何で彼女がいるんだ?
あとがき
みじかっ!? 短いなぁ……自分……まぁ、それはともかく
お久しぶりです。リレーSSとはとてつもなく難しいです。
全然書けませんでしたし……
まぁ、一応はかきました。ですから最終話はお願いします豪様
後は任せました。
没案
ぼこっ!
「な、何だ!?」
横島の横あたりから腕が生えている。
ま、まさか本当に埋まってたのか?
ここにいない面子といえば…ま、まさか……
すさまじい悪寒と恐怖を感じながら横島は少しづつ盛り上がる土を動けないまま見続けた。
「ぷはっ!!ようやくでれた……」
そこからでてきたのは
「久しぶり」
あれ?
没案2
「わっ」
突如、自分の酒が入ったコップが奪われた。
後ろを向くと、コップに入った酒を飲む彼女の姿が
「ぷはー、美味しい」
何で彼女が?
「久しぶり」
あれ?
一応没案ですな。何度直したことか……
ではでは、今度こそ皆さん次の機会まで