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▽レス始

「ヒーロー見参!! 外伝エピソード一(GS+色々)」

煌鬼 (2005-05-02 22:14)


その身に宿る力を恐れる青年


しかしそれは


一人の男との出会いによって


変わっていく。


外伝エピソード 竜と鬼の戯れ


「う、う〜ん。・・・な、なんやここ?」


政樹は目をこすりながら起き上がり、辺りを見回した。辺りをみると砂浜が見え、ここが海岸である事に気付いた。


(そうか・・・ワイはあの時あのバケモンにやられて海に落ちたんやな。・・・あれ?じゃあ何でワイはこんな寝袋に入っとるんや?)


そう、政樹は何故か寝袋の中にいたのだ。そんな中政樹に近づく足音がした。政樹は気配を消しながらその方向を見た。するとそこからは二十台後半、三十台前半の男が姿を現した。


「おっ!気が付いたみたいだな。いや〜びっくりしたぜ、朝起きてみたらそこの砂浜に倒れてたもんだしな」


男はそう言いながら持っていたコーヒーカップの一つを渡した。政樹は少々疑問を感じたが、男の独特な雰囲気に和まされたのかそれを受け取った。


「ところで聞きたいんやけど、ここは一体どこなんや?」
「屋久島だ」
「屋久島!?」


政樹はその言葉に愕然とした。政樹が乗っていたフェリーがいたのは瀬戸内海。つまり・・・政樹は長い時間海を漂流していた事になるのだ。


「それにしても一体何があったんだ?海岸に倒れていた以上なんかあったんだろ?」
「・・・それは」
「まぁ話せない内容なら話さなくていいぞ」
「申し訳ない」
「な〜に、気にすんな」
「そういえば、アンタはなんちゅー名前なんや?ワイは鬼道政樹っていいます」
「俺か?俺はな・・・仁志。日高仁志だ」


「そういえば日高はん。何であんさんは屋久島に来たんでっか?」
「俺はね・・・・・人助けみたいなものかな?」
「人助け・・・ですかいな」
「ああ。・・・お?帰ってきたな」


仁志は立ち上がりながらその方向を向いた。それにつられ政樹もその方向を見る。するとそこには、奇妙な赤い鳥の姿があった。そして仁志が指をパチンと鳴らすと、鳥は一瞬にしてCDのような丸いディスクに変わり、仁志の手の中に納まった。


「そ、それは式神でっか!?」
「お!よく知ってるな〜!!」
「ワイも一応式神を持ってるんや!!出て来い、夜叉丸」


政樹の言葉と共に影の中から夜叉丸が姿を現した。


「へ〜〜〜!!式神でこんなに具現化しているのは初めて見たな〜」
「そんなもんなんか?」
「うん。・・・と、どれどれ?」


そう言いながら仁志は腰に付けていた音叉を取り出すと、赤いディスクをはめ込み、そして回した。すると、ディスクから何かを読み取ったのか仁志は鞄から地図を取り出し、ある箇所をペンで丸を書いた。


「どうしたんでっか?」
「うん。まあ君になら話しても問題ないと思うけど・・・土蜘蛛って知ってる?」
「土蜘蛛っちゅーたら、あのやたらにデカイ蜘蛛の妖怪やろか?」
「まあそんな感じかな。俺はその妖怪の事を魔化魍と呼んでるんだけど、どうやらこの付近で土蜘蛛が潜んでいるようなんだ」
「そんだけ詳しい事から察するに、仁志はんはGSなんやろか?」
「ごーすと・・・なに?」
「ゴーストスイーパー。ようは悪霊祓い師の事や」
「ああ!!ん〜〜〜多分微妙に違うんだよな〜〜〜。基本的に悪霊とかそういうのは相手にしないし。それに俺には見えないからな」
「なんや変わっとるな」
「ま〜な。で、今からその土蜘蛛を退治しに行ってくるから、ちょっとここで待っててくれないか?」
「それなら、ワイも連れてってくれへんやろか?多少場数は踏んでるさかい足手まといにはならへんと思うで」
「結構危ないと思うけど・・・大丈夫か?」
「大丈夫や」
「よし、じゃあ行くか。でも、危なくなったらすぐ逃げてくれよ」
「分かっとります」


同時刻、木が生い茂る森の中で二人の怪しい男と女がいた。


「早くこの子に餌を与えて、里に降ろしてやろう」
「そうだね。この子にはもっと人を食らわして、大きくさせてやらないと」


そう言いながら二人はある洞窟を見ていた。そこには全身を黒と赤に染めた土蜘蛛が潜んでいた。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


土蜘蛛の雄たけびを聞き微笑む二人。その時・・・。


「この臭い・・・人間の臭いだ」
「そうだ。この臭いの人間を餌にしよう」
「そうしよう」


そう言うと二人は木の上をつたって移動を開始した。


「う〜ん。どこかこの辺りのはずなんだけどな〜」
「分からへんのか?」
「うん。タカの情報ならこの辺りなんだけど、どうも姿が見えない」
「試しにワイが霊波の流れを探知してみようか?」
「わりいけど、頼む」


仁志の言葉を受け政樹は森の中にある霊波の流れを読み始めた。


(これはちゃうな〜。これも、あれもちゃう。どこや・・・あ、あれか!?)


政樹は現地点から一キロ離れた場所に異質な霊波が放たれているのを感じ取った。


「どうやら移動してるみたいやな。はよ追わんとマズイかもしれんで」
「よし、じゃあ早速・・・って訳にもいきそうにないな」
「え?」


政樹は仁志が向いている方を見ると、二人の男女が立っていた。


「餌だ・・・我等の餌だ」
「私たちの子の餌になってもらいます」


そう言って二人は突如、異形の姿に変化した。


「あちゃ〜、ここで童子と姫か」
「なんやアレは?」
「簡単に言えば土蜘蛛の親だ」
「さいでっか。ほんじゃ、一気に片付けまひょか」


その言葉と共に政樹の影から夜叉丸が姿を現した。


「行け夜叉丸!!そいつ等を残滅するんや!!」


政樹の指示に従い、夜叉丸は一気に走り出し、童子に近づいた。


「ガア!!」
≪ブォン≫


童子は腕を大きく振ってくるが、夜叉丸はそれを掻い潜り膝蹴りを放った。ふるんだ一瞬を見逃さず、更に腹部にめがけて霊力を篭めた拳を連続で放った。


「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃ!!」
≪ベキベキベキベキベキベキベキベキ≫


何度も叩き込む夜叉丸。そして最後に零距離で霊波砲を打ち込んだ。それを受けた童子は一気に吹き飛び、木々をなぎ倒してやっと止まった。


「や、やったか?」


煙に包まれた童子を見ながら呟くと、イキナリ煙をかき消しながら姫が現われ、夜叉丸の腹部を思いっきり蹴った。


「がはっ!!」


強いダメージを受け政樹は膝をついた。立ち上がろうにもダメージが大きく、身体中が痺れていた。


(アカン!!このままじゃやられる!!なんかないんかコイツ等に勝つ方法は!?・・・船でのあの力を使えば。でも、あんな未知の力をワイが操りきれるんやろか?ダメや・・・自信がない)


そういっている間にも近づく姫。絶体絶命かと思われたその時・・・!!


「おっし。そろそろ交代だ。あとは俺に任せな」


そう言いながら仁志が政樹の前に立った。そして腰に付いていた音叉を手に取ると、それを気に軽くぶつけた。


≪キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン≫


森の中に響き渡る優しき音な鳴る中、仁志は音叉を己の額に当てた。すると、額に鬼を象った紋章が浮かび上がった。そしてそのまま仁志の身体を紫の炎が包む。・・・・・そして。


「たぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


鬼が・・・姿を現した。


「ぐるるるる・・・鬼!!」
「さて、いっちょ行きますか!!」


そう言って鬼は姫に向かって走り出すと、口を開き紫色の火炎を放った。


「ぐ、ぐぐがが!!」
「そりゃ!!」


油断したところを鬼は一気に殴りこむ。そしてそこから三本の鋭い爪を突き出す。


「ぐぎゃ・・・ぐぎゃぎゃーーーーーーーーー!!」
「ほっ!!」


苦しむ姫に向けて鬼は回し蹴りを打ち込んだ。すると姫は苦しみながら爆発し、粉々に砕け散った。


「お〜い、そろそろ起きてくれよ」
「う、う〜ん」


ペチペチと頬を叩かれ、政樹は意識を取り戻していた。


「・・・あれ?ワイは確か」
「おう。姫の攻撃を受け意識を失ってたんだ。・・・気分はどうだ?」
「大丈夫や?・・・でも、迷惑かけてもうたな」


政樹は溜息をつきながらガックリとしていた。そんな政樹に仁志は肩をポンと叩いた。


「気にすんな。俺も初めてあいつ等と戦ったときはボロボロになったもんだ」
「日高はんも!?」
「おう。だからあまり気にすんな」


政樹は自分とは違う“大人”の余裕を仁志から感じた事で、自分が船で体験した事を話し始めた。怪物に襲われ式神がまったく歯が立たなかった事、そして自分が異形の者に変わった事を。


「ワイはあの姫にやられて立てなかった時、あの時の力が使えればって思ったんや。でも、そんなに都合よく使えるのか、力を操りきれるのかという考えが頭の中を過ぎったんや」
「う〜ん。まぁ確かに危険な力を使うのにはやっぱり決意がいるからな〜」
「だけど・・・ワイは・・・」
「あ〜、そんなに深く考えないほうがいいぞ。力不足なら鍛えればいい」
「鍛える・・・でっか?」
「そう、鍛える。俺だって鬼になるために鍛えて鍛えて鍛えまくって、やっと鬼になれたんだからな。だから気にすんな。気にするぐらいなら鍛えろ」


仁志の言葉に悩んでいた事が嘘のような気分になった。そんな時、瑠璃色のオオカミが仁志のもとに駆け寄ってきた。


「お!おかえり」


仁志はディスクを音叉にはめ込み、一気に回した。


「どうやら童子の奴は君の攻撃を受けて結構弱ってるみたいだ。おそらく魔化魍の傍にいるだろうな」
「今回は待機しとります。足手まといにはなりとーないんで」
「分かった・・・行ってきます!!っしゅ!!」


そう言って仁志は森に向かって走り出した。


場所は変わって洞窟。そこには全身に酷い傷を負った童子と、餌を与えられない事に激怒した土蜘蛛の姿があった。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「もう少し待っておいで。今度こそ餌を獲ってくるから」
「そうはさせないぞ!!」


突如の第三者の声に童子と土蜘蛛はその声のする方を向いた。そこには音撃棒烈火『阿』『吽』を持った鬼の姿があった。


「さて、いっちょ行きますか!!」


そう言って鬼は走り出した。童子が迎え撃つが、鬼は棒で攻撃を巧みにかわし殴り飛ばした。そして土蜘蛛と対峙する。


「まだそれほどでかくはなってないな。ここで一気に決める!!」


そう言って鬼は土蜘蛛めがけて走り出そうとした時・・・。


≪シュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル≫
「な、何!?」


突如両手首に糸が巻きついたのだ。鬼は慌てて後ろを見ると、投げ飛ばしたはずの童子の姿があった。


「シネエ!!」
「くっ!!」


絶体絶命の状況となったその時・・・。


「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」


突如童子めがけて霊波砲が放たれ、その反動で蜘蛛糸が外れた。鬼はその方を見ると、そこには政樹の姿があった。


「お前の相手は日高はんやない、ワイや!!もうワイは負けへん!!行くぞ!!」


そう言って構える政樹。するとその時、政樹の足元に金色の竜の紋章が浮かび上がった。


(今ならいけるか?・・・よし!!)


政樹は両手を左の腰でクロスさせると、右手を前に突き出し右の腰においた。そしてそのまま右手を前に突き出す。


「変身!!」


その瞬間、政樹の身体は光に包まれ、そこからは黄金の竜の戦士『アギト』が姿を現した。アギトは固まっていた童子をアッパーで殴り飛ばす。


「日高はん!!コイツはワイが引き受ける。あんさんはその土蜘蛛を」
「了解!!そっちも無理すんなよ」
「分かっとります!!」


そう言うとアギトは立ち上がった童子に魔力の篭った拳を叩き込んだ。


「ぐふぅ!!」


童子が悶絶して下がったのを見逃さなかったアギトは、そのまま童子に掴みかかり投げ飛ばすと、落下し倒れている童子に踵落としを打ち込む。


「ぷげぇ!!」


奇声を上げながら苦しむ童子。そしてなんとか立ち上がるも、アギトの放ったドロップキックもどきで吹っ飛ばされた。


「よし、止めや!!来い夜叉丸!!」


アギトの声に影の中から夜叉丸が姿を現した。すると夜叉丸が突如光に変わりアギトの右腕に宿り、光の弓に変わった。


「はああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


気合を溜めるアギトの周りに凄い勢いで大気中の霊力が集まり、それはアギトの左手に宿った。そしてその左手を右手の弓に添えると、弦を引くように後ろに下げた。


「霊弓の型・一の型・『射』!!」


そして右手の弓からは、霊波の篭められた矢が・・・放たれた。


≪ザシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン≫
「グギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


その矢は童子を貫き、同じに大爆発を起こした。


「ふう、ふう・・・はっ!日高はんは!?」


そう言って変身の解けた政樹は鬼の方を向いた。するとそこでは、土蜘蛛の顔に三つの火の玉がついた物を取り付け、太鼓のように叩きまくる鬼の姿があった。それはどんどん勢いが増していき・・・そして。


「ハアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
≪ドドン≫


最後の二発を打ち込むと、土蜘蛛が膨らみ、そして爆発した。


「そうか。もう行くのか?」
「はい。ほんまお世話になりました」


政樹はフェリー乗り場にいた。仁志も見送りのためにわざわざ来てくれたのだ。


「とりあえず少しは鍛えれたと思うが、もし不安になったらここに来い。俺が鍛えてやるよ」


童子と土蜘蛛を倒してから数週間。政樹は仁志によって“鍛え”に入った。それにより政樹の霊力は上昇し、肉体的にも鍛えられていた。


「ありがとうございます。ワイはもっと鍛えてワイの中に眠るもう一人の自分を完全に操って見せます」
「おう、その意気だ。・・・そろそろ出向か。それじゃ・・・、またな」
「ほな・・・さいなら」


そう言って政樹はフェリーに乗り込んでいった。そしてそれから数分が経ち、船は出港していった。


「行っちまったか・・・ん?携帯か?」


そう言って仁志は携帯を開き、通話ボタンを押した。


「もしも〜し」
「お!香須実か」
「もう!!全然繋がらないから心配しましたよ。“ヒビキ”さん」
「悪い悪い。とりあえずこっちにいた土蜘蛛はなんとか倒したし、もうじきしたら帰るわ」
「りょーかい。・・・ん?ヒビキさん。何かいい事ありました?」
「いや、べ〜つに」


この後、政樹がヒビキたちと共に魔化魍と戦う事になるのは・・・まだずっと先の話♪


あとがき
ども〜、SSで初の外伝やっちゃいました〜。やっぱり主要メンバーがいない話を書くのはまた違った面白さがありますね。
この話ですが、横島たちがフェンリル編に入るまで、政樹に何があったのかを軸に作ったものです。よって、本編でしばらくはラブコメが続きます。おそらく砂糖を五キロ半吐くほどの甘甘になる予定です。では、本編でお会いしましょう。煌鬼でした。


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