逃げる
逃げる
逃げる
逃げる
逃げる
逃げる
逃げる
幼い少女は必死で逃げていた。少女は追われていた。警察は頼れない。何故なら、相手は人ならざるもの。この世に怨念を残したものの残滓。悪霊・・・っと言われるものの中でも知性を完全に失った太刀の悪い存在であり、そんな相手に対し、普通の人間では太刀打ちできなかった。そんな相手に追われ、少女が頼れる相手は一人・・・・・・・・。
「あっ・・・・・・・。」
少女が声を漏らす。走る先に一人の少年の姿が見えたからだ。
赤いバンダナをつけた少女と同い年くらいのその少年は、こんな時、少女が唯一頼れる相手。
「ぐぅおおおおおおお!!!!」
悪霊が吼える。少年のもとまで走りよった少女がそのまま少年の背に隠れる。
それに対し、悪霊は気にせず、そのまま少女を少年ごと飲み込もうとする。だが、次の瞬間、その悪霊はその少年の右腕によって、地面に叩きつけられた。悪霊を叩きつけた少年の右腕は淡い光に包まれている。
「ふん。」
つまらなそうに言った後、少年は飛び上がり、そして真上がビーダマのようなものを悪霊に向かって叩き込んだ。その珠には“浄”と言う文字が書きこまれている。
「グゥオオオオオオオおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
知性の無い悪霊の叫び。その場に光の柱が生まれ、その悪霊は珠に刻まれた言葉どおり、浄化されてゆき、そして消えた。
「・・・・・ありがとう、忠ちゃん・・・・」
「いつもの事だろ。それより、ちゃんと金払えよ。」
「うん・・・・・」
ぶっきらぼうにだが、どこか照れたように言う少年に対し、少女は顔を赤く染め、少し上目に少年を見ながら頷いた。
「うおおおおおおおお!!!!! あれが俺の娘かあああああ!!!!! よっしゃああ、見た感じかなりかわいらしい!! あの子の母親は相当な美人な筈!!!! 美人の嫁さんとかわいい娘!! 未来の俺、人生の勝ち組の第一条件みたしとるぞおおおおお!!!」
「もう少し静かにせんかああああああ!!!!!」
大声をだした横島を美神がど突き倒す。今までの光景は未来の横島の子供の姿だった。
セクハラとナンパを繰り返し、そのたびに失敗する横島に対し、「あんたなんかを相手にしてくれる女なんている訳ないでしょ。今の世の中セクハラにも企業の方は厳しいし、そんな事じゃあ、誰にも相手にされず、一人さ寂しく落ちぶれていくんでしょうねえ。まあ、今でも十分落ちぶれてるけど」と美神がからかうっていると、「そんな事ないのね〜」とどこからともなくヒャクメが現れたのだ。
そして、彼女は暇つぶしに未来を見ていて、横島の子供を観測したらしい。っと、いう訳で先程からその彼等の光景を視聴していた訳である。
「大体、あんなかわいい子があんたの娘な訳ないじゃないの!! どう見てもあっちの無愛想なガキの方でしょ。まあ、性格は全然似てなさそうだけど。」
横島をどつき倒した美神が、そう、少年の方を指差しながら言う。確かに少年は額の赤いバンダナといい、文珠というその能力といい、そのほかにも外見的に横島の特徴を色濃く受け継いでいた。
「そうなのね〜。あの男の子が横島さんの子供なのね〜。あの女の子の方は男の子の幼馴染で、生まれつき霊に襲われやすい体質で、ずっとあの男の子が守ってあげてるのね〜。」
「そ、そんな〜。そ、それじゃあ、あのガキの母親は誰なんだ!! 美人なのか!? 美人なのか!? 美人なのか!?」
肯定するヒャクメに対し、横島が情けない表情で詰め寄る。それを、ヒャクメはあははとごまかした。
「あはは〜、それは秘密なのね〜。っと、言うか私も知らないのね〜。未来が全部わかっちゃったら詰まらないのね〜。それに、これはありえる未来の一つでしかないのね〜。子の世界の未来としては可能性が高いけど、違う未来の可能性も十分にあるのね〜。」
「ちょっと、待て!! それじゃあ、結局、俺が一生モテナイ可能性もあるちゅー事か!?」
ヒャクメの言葉から気付いた事実に対し、「そういうことなのね〜。」と言いながらヒャクメはそのまま去っていた。
「まっ、そんなものよね。まっ、あんたみたいな物好きを好きになってくれる奴もこの広い世界にはいるって事はわかったんだから、精々がんばりなさい。」
「そうっすね」
からかうように言う美神に対し、割とあっさり立ち直った横島。そして、・・・・・
「もしかしたら、たくさんのねえちゃんをはべらせてハーレムを作れるかもしれないって事っすから!!」
「んな訳ないでしょーが!!」
余計な事を言って、三度美神にどつかれるのだった。
(後書き)
実は、これ、半分は俺が夢でみたストーリーです。夢のお約束通り、目が覚めたら記憶が一気に薄くなってしまったんですが、夢を見ている時は凄く面白かったんで細部を手直しして文章にしてみました。でも、文章にしたら、おもしろさが大幅に減ってしまったように思います・・・・・。
後、時間に関する色々な制約とかは元ネタが夢な事もありますが、細かい事を気にしない初期とかのイメージでしたので気にしないでください。
(設定)
主人公:横島の息子(10歳くらい):無愛想でやや金にがめついガキ。横島の霊的才能を受け継いでいてこの年にして文珠も使えるぐらいの天才。夢の中では何やら、ヒャクメのカバンのようなアイテムを使って、悪霊を閉じ込めたり色々してました。ジパングの信長のようなGSの上司の下でバイトをしている。案外照れ屋な所もある、少女に金を貰うのも照れ隠し?ちなみに母親は俺にもわかりません。
ヒロイン:主人公の幼馴染(同じく10歳位):霊に襲われやすい体質で幼い頃から主人公に守ってもらっていた。その代わり毎月、主人公にお小遣いをお礼としてさしだしている。眼鏡をかけている。
九条:夢の中で見た横島息子の上司の名前。外見はジパングの信長か椎名先生の書いたホームズ。