ある晴れた日の昼下がり
その日横島忠夫は疲れ果てて事務所のソファーで夢を見ていた。
「うーん、むにゃむにゃ」
しかし!!
「こぉーん!」
「ぐえっ!!」
紙を咥えた狐姿のタマモが無防備に昼寝をしていた横島の腹の上に乗っかる。
「タマモ、もう少しやさしく起こしてくれねーかな」
と言いつつタマモの咥えている紙を見る。
そこには今回の仕事の内容が書かれていた。
とりあえずソファーから立ち上がり大きく伸びをする。
タマモもポン!っと人間の姿になる。
「こんな日は事務所でゴロゴロしたいんだけどなぁ」
と愚痴こぼす横島に
「わたしも着いてってあげるからがんばりましょ♪」
なぜか上機嫌のタマモ
「おまえなんでそんなに機嫌がいいんだ?」
「だって除霊の場所が場所だもの」
そんなこんなで依頼先のデジャヴーランドに来た横島とタマモ。
「この遊園地って完璧な夢を提供するって言ってるわりに事件多いよなぁ」
「…ヨコシマ、それはマンガ上言ってはいけないことよ」
とりあえずデジャヴーランドの社長と話をして悪霊を除霊することに。
簡単な除霊だったため横島とタマモの手にかかれば物の15分でお化け屋敷のロボットにとりついていた悪霊たちは綺麗さっぱり除霊された。
「さーて仕事も終わったし事務所に帰るか」
「ねぇヨコシマ」
「ん?」
「せっかく遊園地に来たんだし少し遊んでいかない?」
「うーんそうだな、美神さんはいつも仕事が終わったらすぐに帰れって言ってるけど今日はほかに依頼も入ってなかったしたまにはいいか」
「キャーーーーーーーー♪」
「うわーーーーーーーー(涙)」
タマモに付き合わされて絶叫系の乗り物に何回も乗せられる横島。
「面白かったわねー♪やっぱり人間ってこーゆーくだらない事にかけてはサイコーね」
「お前よく体もつなぁ何であんな乗り物何回も乗れるんだよ」
「あっ!ヨコシマ次はあれ乗ろ♪」
「また絶叫系かよ」
と言いながらも横島は笑顔でタマモの後を着いて行く。
そしてタマモの気が済むまで絶叫系の乗り物に乗らされた頃にはもう辺りはすっかり夕方にになっていた。
「ふぅ、さすがにもう満足ね」
アイスクリームを食べながらタマモが言った。
「つ、疲れた」
「ねぇヨコシマ最後にあれ乗ろうよ」
「観覧車か、そうだな最後はゆっくりしたのに乗ろうか」
観覧車に乗り込む二人。
乗り込んで少しした頃突然タマモが口を開いた。
「…ヨコシマ、前から聞きたかったんだけどあんたなんで夕焼けを見るとき
そんなに悲しい目をするの?」
横島は不意を突かれたようにタマモを見た。
すこし戸惑ったが一度夕焼けを見て横島はタマモに話し始めた…
「…そう、だったんだ…」
タマモが小さく呟く。
すべてを話し終えた頃には観覧車はもう地上に着きそうだった。
観覧車を降りてからしばらく二人の間は気まずい雰囲気が漂っていた。
デジャヴーランドの出口が近づいてきたとき急にタマモが横島に話しかけた。
「…ねぇヨコシマ、ちょっと耳かして」
「ん?何だ」
「今日は付き合ってくれてありがと」
チュッ
「へ?」
「わたし先に外で待ってるね」
そういうとタマモは走り去っていった。
「?????」
呆然と立ち尽くす横島。
「ただいま~」
「ただいまっス」
タマモと横島が事務所の扉を開けた
刹那
―スカァァァァァァァァン
横島の額になにやら鈍器のようなものが見事にヒットした。
そして奥から怒りに満ちた声が聞こえてくる。
「よーこーしーまー(怒)こんな時間までタマモをつれてどこをほっつき歩いてた!!」
それから横島は小一時間これまでの事を美神たちに説明した。
「ったく、今度から仕事が終わったらすぐ帰ってくるのよ!」
「いいなー拙者も先生と一緒に行きたかったでござる」
「横島さん今度は私も…その…一緒に」
説明の途中でいきなりタマモが割り込んでくる。
「今日は楽しかったわよねーヨコシマ♪最後なんかヨコシマと二人っきりで
観覧車に乗ったんだもんね。そのあと出口の前でキスもしたんだから♪」
「へぇ~そうなんだ横島君(怒)」
「本当でござるか先生!?」
「横島さんがそんなことするなんて」
「ご、誤解だーーーーーーーーー」
「問答無用(でござる)(です)!!」
『今日はありがとヨコシマ。でもわたしはルシオラさんにも事務所のみんなにも負ける気はないからね。これから覚悟しなさいよヨコシマ♪』
あとがき
どうも藤林と申します。なんだか未熟さが一目でわかるなぁ。ここまで読んでくださった皆様本当に感謝いたします。