リクエスト小ネタ:横島×シロネタ〜〜♪
alphonse様へ、愛を込めて送ります(爆)
〜とある山中にて〜
ひめもすのたりのたりかな。こんな形容詞がぴったりな春の野原。
しかし、そんなまったりとした空気を引き裂く疾風の如き影が…。
−ズドドドドドドドドドドドドオ〜〜〜〜〜〜!
「わんわんわんわんわんわんわん!」
「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ〜〜〜〜〜〜!」
−ゴドドドドドドドドドドドドォ〜〜〜〜〜〜〜ずさぁぁああああああ!
「到着でござる〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「うぐわぁああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜………」
慣性の法則。
運動する物体は、外部から力を加えられない限りいつまでも動き続けること。
つまり、車は急に止まれないってこと。
−ドンガラガッシャンガッシャンコーーーーー!
「せんせーーー!せんせせんせせんせせんせーーーー!着いたでござるよーー!」
疾風の正体は、元気150%の犬娘(狼でござる!)犬塚シロ。
「………………………………………………」
そして、引っ張られてきた犠牲者の正体は、横島忠夫。
「せんせーーーー!ホラ見てくだされ!素敵でござろう?」
「………………………………………………」
「こうして大自然に包まれていると、何だかワクワクしてくるでござるなぁ」
「………………………………………………」
「せんせ?どうしたでござるか?せんせ?」
「…………………………………………この」
「はい?」
「ぼけがぁああああああ!なんどいわせればわかるんだこのばかたれい!おれがとまれってさけんでるのにぐいぐいひっぱりまわしやがって!なにがだいしぜんだ!おれはもうぼろぼろだぞ!」
「…そ、そんなに怒らないでくださよ〜〜。この景色をみせたくてつい張り切ってしまったのでござるよ」
「ついうっかりでおれをころすきだったのか!かえりも同じことしやがったら玉葱食わせるからな!」
「わ、判ってるでござるよ〜」
「もっとゆっくり走れ。ゆっくり!」
「それよりもほら!行こせんせ!」
本当に判ってるのかと不安になる横島だが、無邪気にしがみついて来る愛弟子にはついつい甘くなってしまう。
「ほぉ、こりゃいい感じの場所だな」
「そうでござろう♪」
咲き誇る草花。降り注ぐ陽光。柔らかな風。まさに萌え盛る春の野辺。
「この間、ウォーミングアップの軽いサンポ中に見つけたのでござるよ。それで…せんせと二人で来たいなぁー…なんて思って♪」
「そっか…ありがとなシロ」
−撫で撫で
何とはなしにシロの頭を撫でてやる横島。シロはそれだけでもう狂喜乱舞だ。
−キャーーーー!キャーーーー!嬉しいでござるーーー!
飛び跳ね飛び跳ね、つむじ風を巻き起こし野原を駆け回るシロ。
「はしゃぐなっつうの!どこいくんだーー。…元気やなあいつは」
そんなシロを眺めつつ、感慨に耽りながら座り込む横島。
つい先刻までしがみ付かれていた腕に残る、ほのかな体温を感じつつ。
子供のようにはしゃぎ回る姿とはうらはらに、彼女の体は着実に存在感を増していく。
伸び盛りの手足、影の濃くなる胸元、しなやかな背中から腰へのライン。
一日一日と進化していく少女の体。
『女の子』は油断しているとすぐ『女性』になってしまうのだから。
そうなったら意識も身体に追いついてくるのだろうか?
今の兄のような友達のような、無警戒の距離も改めなければならないのか?
そうでなければならないし、そうなってほしくないような複雑な思い。
こんな風に自分を悩ませているなんて、彼女は気が付いているのだろうか?
答えは判らないし、まだ出したくない。
今はもう少しだけ。
そう、もう少しだけゆっくりと君と過ごしていたい。
「せんせーー!拙者一人ではお日様がもったいないでござるよ!さ、いこ!」
「だから、もっとゆっくりとだって!」
もう少しだけ、ゆっくりと君と過ごしたい。
alphonse様、こんなんで如何でしょう〜〜。