今日は平和だ。 なにしろ、地球で侵略行為もしくはカツアゲや軽犯罪を犯す宇宙人がいなかったのだから。 俺の普段の一日にしてはかなり平穏な日である。
まあ、少し退屈だな、とは思うのだが。
「番台は退屈か、リョウ殿」
いきなり女湯の方にセイリュートが姿を現す。 番台に寄りかかり、俺に話しかけてきた。
「しかし番台は銭湯には欠かせぬもの。 それは銭湯の真理だからな」
最近はセイリュートは、地球のファッションに興味を持ったのか、セイリュートを表した実体を持つホログラムは、ピンク色のノースリーブと水色のロングスカートを着ていた。
前みたいな色気もなにもない服よりかはよっぽどマシだ。 これなら客も驚かないだろうし、第一かわいい。 唯一の不安は「リョウ殿、あれ買って♪」とか言い出すことだろうか。
……やべぇ、買っちまいそうで怖いぞ。
「いや、別にイヤってワケじゃねーんだけどな。 なんかこう、日々激務に身を置いてるのに、イキナリ休みになると……」
「刺激が足りない?」
「いや、過労死しそうで怖いんだ」
「心配するな、リョウ殿。 たとえ心停止しても、私がこれ以上ない優良な方法で蘇生してやるぞ」
「そういう問題じゃないんだけどな……」
この俺の目の前で終えぺらぺらと言葉を紡いでいる宇宙船は、全く持って融通がきかない。 地球人の俺と価値観が致命的に差があるのか、ひょっとしたら俺をからかっているだけなのか……多分、後者だと俺は思う。
「……大人、一人」
「お、まいど」
そうそう、客商売なんだから客のことを忘れちゃあいけないな。 セイリュートと話しているうちに、男湯に宇宙人が一人入った。
「……」
「……」
「……」
「……ちょっと待てぇい! 海賊野郎!!」
「あ? 俺は客だぞ、ちゃんと金を払った。 番台ごときがごちゃごちゃ文句言うんじゃねぇよ!」
「んだと。 耳に指突っ込んで奥歯ガタガタ言わせてやろうか、このボケェッ!」
まさに一色即発。 俺があいつをにらみつけると、へっぽこ海賊野郎は指を鳴らす。 ……ところでこいつの名前なんて言うんだっけ? 西山勘九郎、だったような……いや違うか。
「おや? ブラッドじゃないか。 どうしたんだ?」
「おおぅ! セイリュートかッ! そのイカした地球服もプリミティブで似合うぞッ! 邪魔だ、どけ地球人! その番台に俺が行くッ」
「馬鹿野郎! 番台に他人を入れられるわけねーだろ! 寝言は寝ていいやがれッ」
「まあ落ち着け、ブラッド。 私が今そちらに行く」
セイリュートがひょいと跳ねる。 華奢な体とモーションに似合わぬ高さまで飛び、俺を番台ごと飛び越えた。
そっか、実体があるって言ってもホログラムだったか。
……そういえば俺の上に乗っかったときにはやたら軽かったっけ。
……。
……やべ、昨日の夜のことを思い出しちまった。
「ふむ。 それでブラッド。 何の用だ? また何か厄介ごとを持ってきたのか?」
「う……いや、な、セイリュート。 『たまたま』こーゆーもんを持ってたんだが、使わないか?」
なんかよくわからんがフロッピーのようなものを取り出すブラッド。 これをセイリュートに渡したくて来たみたいだ。
「いらん」
……即答、ひどすぎる。
「……ま、まぁ、西や……いやブラッド。 そう落ち込むなよ……。 ほら、部屋の隅でのの字を書くなって……」
「う、ううう……」
ダメだこりゃ。
「……いや、俺はあきらめんッ! セイリュートが俺の船になってくれるまでッ! 頼む、セイリュート! あのぼうずが国を取り戻したら、俺の船になってくれッ!!」
「それは無理だな。 カナタ様が国を取り戻したら、私はリョウ殿の船になるのだからな」
「…………」
「…………」
ちょっとすっげーマズイことを言ってしまったんじゃないか、セイリュート。 海賊野郎の顔が今までに無いくらいすごいことになってるんだが……。 さっきの比じゃないくらい殺気のオーラを取り巻いて、俺をにらんできているぞ。
「殺すッ! そこを動くな、動いたら殺すッ! 動かなくても殺すッ!! チャカ! 一気に行くぞッ!」
ガッチョンガッチョンと音を立ててくみ上げられる、おそらく俺の頭を消し飛ばすぐらいの威力があるであろうでかい重火器。 それが今まさに、俺のことを全宇宙で一番最後に大切な命くらいに思っているやつが俺に向けて持っている。
……はっ!? 俺、ひょっとして死ぬのか!?
「死ねェェェェェェェェェェェェェ!!!」
あ、しまった。 親父にバレないように金庫の番号変えるべきだった。 ……くそッ、今頃、あのくそ親父はキャバレーにでも行ってるんだろうな……。
「待てッ、ブラッド!! くっ……バリア展開ッ!!」
そういや、カナタはどこ行ったんだっけ? ああ、そうか、買い物を任せておいたんだっけ。 確か今日の夕飯はアジのだから……。
「なんでだッ、なんでなんだセイリュート! あんなやつ……なんで俺じゃなくてあいつを選んだんだッ! くそっ、チャカ! フルパワーだ、バリアを突き破れッ!!」
ははは、変なもの買ってきたりしねーかな。 この前、へんなおもちゃつきのお菓子を買ってきたから怒ったが、別に一つくらいなら許してやるべきだったかな。
「ブラッドォォォォォ!! 私のバリアを貫けると思ったのかッ、リョウ殿に手を出すなッ!!」
「おおおおおおっ、俺は負けないぞ、セイリュート! たとえ、相手がお前だろうとッ!! 絶対にあいつを葬りさってやるぅぅぅぅぅ!!」
……。
「って! 変なこと考えてる場合じゃねぇぞ、俺ッッッ!! もうやめろ、ブラッド! そしてセイリュートも! みんな誤解しているんだッ。 もう、あり得ないほど誤解してるッ! 客は逃げるし、俺は怖いし、お前らは無茶苦茶に暴れてるし! いい加減にしろッッ!!」
「何を言っている! お前がセイリュートがたぶらかし、ほのめかし、洗脳したんだろう」
「たぶらかしても、ほのめかしても、洗脳もしてねー! っていうかほのめかしてどーすんだよ、ボケッ! 大体、セイリュートが俺の船になるなんて今まで全く知らなかったんだぞ!!」
「何!? リョウ殿! それではあの初めて床を同じくしたときのことは遊びだったのか!?」
「いや、そうじゃねぇ! というか、遊びじゃなかっただろアレは! お前が切羽詰まってるって言ってるか……あ、しまった!」
「あああッ! 貴様ッ! やっぱりそうじゃねぇか! 殺す、絶対殺すッ!! アボガドロ定数よりはるかに多くの数の破片にして宇宙にばらまいてやらぁ!!」
「そんなこと、私がさせると思ったかブラッド。 リョウ殿に手を出すというのならば、私は全力を尽くしてお前を倒すぞ!」
「……うッ……セイリュート……」
不意に、あたりかしこに転送装置発動のエフェクトが現れる。 次の瞬間には、暑苦しい筋肉を身にまとった装置が。
「記憶、まっちょーーーー」
非常にやかましい、この装置。 その名もミスターマッチョー。 全宇宙人必携の記憶抹消装置……らしい。 一体だけでも体感温度が三度ほど上昇してしまいそうなものなのだが、それ今度は俺の視界にいるやつだけでおよそ十三体……。
「……どわわわわわわわわわわッ!! セイリュート、戻せ、戻せ! 俺の記憶まで抹消する気か!?」
「大丈夫だリョウ殿。 調節してある……ま、消えるとしても大した情報ではあるまい」
「おいおい! そんなファジーな!」
ミスターマッチョーから一斉に放たれたビーム。 ……それが見えた途端、俺は記憶を失った。 くそ、セイリュートめ。 どこらへんが大丈夫なんだ……。
「……ん。 ああ? ここは……」
目をさめると、これまたキッカイな部屋で、俺はなぜか縛られていた。 ここは……セイリュートの中か?
「ご名答、リョウ殿……いや、リョウ。 ここは私の中。 暴れられると困るのでな、少々手荒ではあるがミスターマッチョーを使って眠ってもらった」
「ああ……ブラッドはどうなった? あいつはまだ俺のことを殺そうとしているのか?」
「いや、大丈夫だ。 ブラッドはちゃんと記憶を消しておいた。 ちなみに銭湯の客の記憶も、な。 明日にはまたふつうに接してくれるだろう。 まあ深層心理で私とブラッドのリョウを求める愛の激闘は記憶に残るだろうがな」
「……お前の大丈夫はあんまり信頼できないんだが……それにしても、今回もどこからツッコメばいいのかわからん」
「何を言うんだ、リョウ。 ツッコムと言ったらアソコしかないだろう? ……ひょっとして後ろの方の穴にも興味を持ち始めたのか?」
「違うって言ってるだろ! お前、絶対ワザとやってるだろ、そうだろ? ああ?」
「そう怒るなリョウ。 ……すまんな、また発情期が来てしまったのだ」
しゅんとしおれるセイリュート。 そしてそれを見て一切合切許してしまう俺。 ……きわめてやばい泥沼状態に陥られているような気がしないでもない。
……で、俺はなんで縛られているんだろうか?
「ふむ、その質問の回答を出すのはごく簡単だ。 ついでに言うが、リョウの思考は逐一読んでいるぞ。 ……他の女のことをかんがえたら、細切れにするからな、覚悟をしておいたほうがいい」
「……ちょっとまてーぃ!」
不穏当な発言があるのは別にいつものことだからいいとして、びっくりするほど縄がきつくなってきている。 さすがセイリュートの中、すごい締め付けだ。 ……下品だったな、反省。
そんなことを考えていると、縄がいきなりほどけた。 いや、ほどけたと言っていいものか、一瞬だけ解けたことは解けたが、なんだか変な形で俺を締め付けるようになってきたのだった。 まず手は後ろ手に縛られ、そのまま両足も。 そしてそのままキュッと短くなって、俺は海老反りに。
「は、はは。 冗談だよな。 セイリュート。 た、頼むから『今回は縄プレイで行ってみよう』とか言うなよな」
「…………」
セイリュートは目を合わせようとしない。
「い、イヤだーーーーッ! 俺はノーマルだぁぁぁ!!!」
「往生際が悪いぞ、リョウ! 私とエッチしてしまった以上ノーマルという発言が不適切だということをわからないのか」
「じ、自分で言うなよ馬鹿野郎! 縄をほどいてくれッ! 俺はもう帰るッ、いや、帰らせてくれ! 番台が、番台がーーーッ!」
「心配ない。 ユウリ様がもうすでに番台の代わりをしている。 神妙にお縄につけ」
「もう縄についとるから、ほどけこらぁぁぁぁ!!」
縄を外そうと必死になってもがけばもがくほど、手首と足首に巻き付いた縄がきつく食い込んでいく。 また、だんだんと手首と足首とのロープが短くなっていっているようで、どんどんと海老反りの角度が大きくなっていっているようだ。
や、やばい、泥沼だ。 このままじゃ俺の貞操がヤバイ。 少なくとも確実にヤられる。
「イヤなのか? リョウ」
「だから、イヤだって言ってるだろ」
「……そうか……」
顔を伏せ、しゅんとなるセイリュート。 声もトーンが落ち、普段の元気さがみれなくなる。
少し言い過ぎたか、いや俺は普通のことを言ったまでだ。 間違ってない。
「……太陽に突っ込んでやる」
「おおいッ! 待て待て待て待て!! 何、変なこと言ってるんだよ!」
「リョウに、お前なんて嫌いだ、と言われた。 もう私に生きている価値などない」
「すごい理由だな、おい! しかもそんなことひとっことも言ってないし」
いきなり強い重力を感じる。 セイリュートが動き出したのだ、それも猛スピードで。
「待てよ、おい! わかった、わかったからよ! 太陽に突っ込むなんてやめてくれよ!」
「え? それは本当か、リョウ」
「……」
はめられたというか、なんというか。 俺がここに来た段階で俺の敗北は決まっていたような気がする。
第一考えてみれば、ここはセイリュートの土俵どころか体内なんじゃねーか、勝てないのも無理ないな、ハハ。 はぁ……。
「そうかそうか、それは私としてもとてもうれしいぞ」
「……もう好きにしてくれ」
「では好きにする」
弾むような上機嫌な声で、さっきまでの態度がまるで嘘であるかのよ……いや、実際嘘だったんだけどよ、まあとりあえず急変した態度で俺ににじり寄ってくるセイリュート。 おそらく俺を追いつめようと楽しんでいるんだろう。 大丈夫だぞ、セイリュート。 俺はこの船に連れて行かれた時点でもう崖っぷちに足をかけていた、もう追いつめられるほどの余裕はない。
だけどやっぱり怖かったので、体をよじって少し逃げた。
「大丈夫、痛くは無いぞ。むしろ気持ちいいことをするのだからな。 ふっふっふ」
セイリュートがうれしそうに言った。
俺の手首と足首には痛々しい縄のあとがついていることだろう。 まあ、何を今更なことだが。
「ほれ、私の胸に飛び込むのだ、リョウ」
そう大して自慢できるほど大きくない胸を張って言うセイリュート。 いや、別に貧乳というわけじゃないんだが、巨乳でもない。 バスト占い風に言えば「もっとも限りなく正解に近い」大きさといったところだろうか。
セイリュートはしゃがみこみ、俺の顔をその胸を押しつける。 ピンクのノースリーブという首筋から肩に至ってまで比較的露出の大きい服をきていたせいか、やたら肌の色が見えた。
「ところでリョウ。 今日私は女性用下着をつけていない設定にしているのだが……」
「……知ってる。 というか、ばっちり見えてる」
ノースリーブの胸の谷間から、ほんの少しちらりとピンク色の小山が見えた。 それが何を意味しているのか言わずもがな。
「リョウ。 興奮するか?」
「いや、全然」
「そうか、私は興奮しているぞ。 確かめてみるか?」
手をつき、視線をおれと同じ高さにするセイリュート。 何を考えているのか、右手を前の襟に持ってきたかと思うと、それをめくる。 俺に胸を見せよう、けど素直には見せてやらないと言わんばかりにハタハタと揺らす。 ほんの一瞬とまた次の一瞬の光景がだぶり、セイリュートのぷっくりとふくれた桃色が俺の目に映った。
……う、俺の息子がむくむくと。
「ふふ。 これで少しは興奮しただろう。 リョウのペニスが大きくなってきたぞ。 その格好だと、前屈みになって隠そうとしてもできないだろう」
ズボンの前のふくらみをなでるセイリュート。 その瞬間、背筋がゾクゾクした。 ……くそう、俺の完全敗北どころか、追撃されているぞ。
とは言え、反撃できないところが縛られているところの最大のネック。 隙をついて舌で攻撃したとしても、こんな格好ではなんだか間抜けみたいな振る舞いをするだろうことが容易に目に浮かぶ。
「心配するなリョウ。 今日は私が奉仕する、ただそれだけだ。 しかも見返りなしでな」
「どっちかっていうと俺がいいように弄ばれているような気がするんだけどな」
「物は考えようだ。 これはシチュエーションプレイだと思えばいい」
「……俺はシチュエーションプレイに巻き込まれただけか」
「まあ、そういうことだな。 別に問題はあるまい」
問題大ありなんだが……。
「では、ま。 前置きや能書きはここまでにしておこうか」
「できるだけソフトに扱ってくれよ。 俺は壊れ物だからな」
「ふふ、注意書きに偽りあり、だな」
俺のズボンがあ、という間に脱がされる。 無論パンツも。 そして手品を使ったのかどうかよくわからないが、手足を縛られているというのに二つとも俺の体から離れた地面に置かれた。
いよいよ俺のビッグマグナムが露出し、外気に触れる。 さっきまでのセイリュートのアプローチのおかげでギンギンという擬音がふさわしい大きさにふくれあがっていた。
「そういえば、直にリョウのモノを見たことは今までに一度もなかったな。 記念だ、スケッチしておこう」
「やめんか、セイリュート!」
「むぅ、リョウがイヤというならば仕方ないが……残念だ。 型を作るだけで我慢しよう」
「それはもっとやめろよ! 型なんて作ってどーすんだ!」
「無論、リョウになんらかの理由で会えなくなったときや一緒に眠れなくなったとき用に型に取っておけばそれなりに気分でも安らぐことができるだろう?」
「……」
……どう答えればいいんだろうか? ここまで自分のことを思ってくれている娘に大して、むげにやめろと言えるわけねーし、でもそんなもん作らせるのもどうかと思うし。 なんかこう……苛立ちのようなものが……。
「嫉妬か? おかしいな、自分の一物に嫉妬するなんてな」
……。
「わかった。 リョウがそう思うのならこれもやめよう。 一つ知っておいてほしいことは、私がほしいのはリョウだけだ。 大丈夫、不安になることはない、私にはリョウだけなのだ」
……。
えぇい畜生、男冥利に尽きるぜッ!
「では、そろそろ……」
セイリュートが水色のロングスカートをめくりあげる。 やはり下着をつけていなくて、女体の神秘の結晶が露わになっていた。
そしてそれに反応してしまう俺(正確には俺の一部分)。
「て、おい。 服は脱がないのか?」
「もちろんだ、なんのためにこの服を用意したと思っていたのだ?」
「おしゃれ、じゃないのか?」
「ふむ、リョウに喜んでもらうためだったのだが。 気に召さなかったか?」
「……ん……まあ、その……に、似合ってるんじゃねぇか……」
「ふふっ、ありがとう、リョウ。 選んだかいがあったものだ。 今度、買い物にリョウと一緒に行くとき、本物の服を買ってもらおうかな」
「……」
お、おそれていたことが現実になりつつあるな……ただでさえ尻に火がついているってーのに家計に大ダメージを……。
「気にするな、リョウ。 冗談だ、言ってみたかっただけなのだ。 私は星之湯の経営を考えてしかるべきだったというのに無神経にも……」
「お前のせいじゃねぇよ。 今、客は増えてる。 カナタ達がクソ親父を抑えてくれているおかげでな……。 って、俺も息子ながら情けねぇ……」
「……すまなかった。 お詫びと言っては何だが……」
はらりと水色のスカートが地面に落ちる。 セイリュートの下半身が完全に剥き出しになり、潤んだアソコが細部に渡って目視できる。 粘着性のある液体が膝あたりまで垂れていた。
「やらないか?」
「本当にお詫びじゃねぇな」
「文句を言うな、リョウ。 さっきから注文が多いぞ、ぷんぷん」
「……。 お、俺が悪いのかなぁ……ずっと考えていたんだが、俺が、やっぱり悪いのか?」
「私をこんな風にしたのだから、リョウが悪い」
「そりゃ、キツイお言葉で」
セイリュートが俺の腕と足を縛っている縄をチラリと見ると、縄は再び勝手に動き始め、俺の体勢を動かしていく。 今度はマニアックな体勢へと……。
「こ、これは……親が子供をおしっこさせるときのポーズッ!」
「そうだッ! 男でこれをやられたらしばらくはショックで立ち直れまいッ!」
「立ち直れないと思うんならやめろよッ!」
M字開脚と言うのだろうか、たしかそんな名前の体勢だったと思う。 膝を折りたたまれそのまま開かれた状態。 縄が邪魔で足を閉じることはできないし、体を揺さぶってひっくり返ろうと思っても、それはそれでみっともないポーズをとってしまうことに気づいてやめた。
セイリュートの目がきゅぴーんと光り、俺が四苦八苦しているのを見て薄ら笑いすら浮かべている。
「さて、どうかな。 リョウ。 これから私においしくいただかれるわけだが」
どうかな、と聞かれてもこの状態でまともに返事ができるわけはない。 というより、しようとも思わない、の方が正確か。
でも強いて言うとするなれば、恥ずかしくて死にそうだ、をまず候補にあげることができるだろう。
こつんと額を押され、そのまま俺は後ろに転がる。
ますますもって恥ずかしい格好にされてしまった。 足を空に上げ、このままでは普通に尻の穴まで見えてしまう。 自然と、顔が赤くなっていくのがわかる。
「かわいいな、リョウ」
しかし慰めにはならない。
「さて、そろそろ待ちぼうけを食らって萎える前にいただくとするか」
セイリュートが俺の足と足の間に顔を埋めていく。 俺の将軍様が生暖かく柔らかいものに包まれていった。
「ふふふ。 こんはいは、ぜんひゃいとはひがってひゃまないからな」
……前回の痛い痛い記憶がよみがえる。 本当にあのときは死にそうだった。 もう、なんというか、久々に神様っていうものに本当に祈ったものだった。
ま、それはそれとして、今回は卒のない口淫だった。
「う、うまくなったなセイリュート。 前回より遙かに……はぅッ!」
暖かい舌が俺の暴れん「棒」に絡みつく。 ねっとりとしつこく、亀さんの頭の縁を沿うように舐めてくる。 てんやわんやでメルトダウン寸前。 あと一押しで赤いスイッチがオンになり、白濁液が先端から発射されるだろう。
「……ん……まだだ、まだ終わらんよ」
セイリュートが頭を引く。 結果、俺の砲塔は急停止。 フラストレーションが蓄積。
「ふふ。 まだ、イってもらうわけにはいかないぞ」
「くっ、ううう。 すっげぇ腹が立つのはなんでだ……」
「我慢したほうが、イったときに気持ちがよくなると聞いてな。 では、私の方が気持ちよくなる番だ」
セイリュートはそう言って、俺の頭の上にまたがってきた。 セイリュートの下半身のそう濃くない茂みの下に隠れていたピンク色の綺麗な割れ目が俺の目の前にどでんと晒される。 そういえば俺もそうまじまじとセイリュートのそこを見たことはなかったな。
「舐めてくれ」
俺は目をつぶり、言われるままにゆっくりと舌をのばした。 何か非常に熱いものが当たる。 それはネトネトとした粘液がつき、つつくとセイリュートが声を上げる。 ……それが何かは敢えて言わなくともいいだろう。
「……ゆっくり、ゆっくり頼むぞ、リョウ……」
湿ったソコにぐいぐい舌を侵入させる。 なんだか変な感触で変な味。
「うまい、うまいぞ、リョウ」
いや、俺は何にもしてないんだけどな。 ただ舌を入れて少し動かしているだけで……。 それがいいのか? 俺にはよくわからん。
「ああっ、いい……リョウ、いいぞ……いい、いッ!」
その瞬間、舌を一気に抜く。
「あ? あ……なんで……」
「なんで、って。 お互い、十分我慢しあっただろう」
セイリュートはわかったとうなずき、ゆっくりと立ち上がる。 そのまま周りこみ、再び俺の正面に。
「行くぞ」
俺が受け手というのが全くもって間抜けだが、まあ、悪い気はしない。
セイリュートがゆっくりと俺にしなだれかかってくる。 途中、セイリュートが左手で俺のモノを軌道修正し、ちゃんと着弾予想座標を計算したまま……。
「うっ……はぁぁぁぁぁ……」
俺は相変わらず、M字に開いた足をだらんとさせ、セイリュートが腰を動かすままにしている。
自分から動こうと思っても動けないところが、なんとも歯がゆいところか……。
「うっ、リョウ……気持ちいいか?」
セイリュートが聞いてくる。
確かに気持ちいい。 だが、今ひとつといった感じがする。
セイリュートの膣は俺のモノをやわらかく包んでいる。 動きも緩やかで、優しさに満ちている。 が、このままで満足できるかと言うと。
「あっ、はぁ……うっ……うっうううっ!!」
セイリュートの体が震える。 膣の反応とか諸々を考えてきっとイったんだと思う。
……俺は取り残されたまま?
「はぁっはぁっ……よかったぞ、リョウ……ありがとう……」
「おい、ちょっと待てセイリュート! おい……おい! 眠るな、おい!」
へたり、と俺の上によりかかるセイリュート。 俺はつながったまま、その上欲求不満の状態で取り残されてしまった。 怒張は収まらないし、縄はほどけないし……。 まさに踏んだり蹴ったり。
「……くー、くー……」
のんきに寝息まで立てているが、非常にはた迷惑。 なんかこう、空腹で飢え死に寸前の状態で、目の前にあった飯をイキナリ引っ込められたときのような……。
「……ん?」
俺を縛り付けている縄が若干ゆるんだような気がした。 いや、実際腕のところがかなり自由になっている。
「そうか、セイリュートが眠ったから……」
縄は見えないところでセイリュートの本体とつながっていて、きっとそこで操作したり、俺の思考を読んでいたりしたのだろう。 となると眠っている今が……勝機ッ!
二度三度力を込めたらすぐに縄はほどけた。 腹筋に力をいれ、そーっとセイリュートを横にする。
「ふ、ふふふふふ……手には縄ッ! 股間には直立で天を仰いでいるやんちゃボウズ! そして目の前にいるのは、わがままでさっきまで俺のことをいぢめていたお姫様ッ! ならばやることは一つだろう! 迷わず打てよ、打てば響くぞ、除夜の鐘ッ!」
自分でも言っていて意味不明だが……まあ、それほどの勢いがあるというわけで。
さっきまでされていた縛りを忠実に再現する。 やはり俺が縛られているよりセイリュートが縛られているほうが絵になった。 二つの胸のふくらみが隠しようもなくなり、やわらかい足が惜しげもなく開かれて、その中央がてかてかと艶を持って光っている。
くううっ、思わずこっちの趣味に傾倒してしまいそうだぜ。
「……と、とりあえず続きをしなきゃな……」
ごくりと喉を鳴らし、一旦収まりかけていた将軍様が元気を取り戻す。 そーっと近寄り、さっきまでの情事の続きをば……。
眠っている女性相手にこんなことをするのは少々気がひけるが、まあ、お互いさま、ということで。
そう心の中でセイリュートに謝りつつ、腰を押し込む。
……セイリュートは起きない。
「……ゆっくりだ。 ゆっくりしないと……セイリュートに気づかれたら、それこそ電光石火の勢いで俺がまたお縄になっちまう」
背筋に力をいれて沿っていた上半身をゆっくりとおろす。 セイリュートに顔がずんずんと大きくなり、ついには正面にまで。
そっと、口づけをする。 ……まだ起きない。
「ごめんなぁ、ごめんなぁ」
亀のようなスピードでピストン運動を行う。 さっきのセイリュートの焦らしのようなスピードよりかは少し早く、それでいてすぐに満足できるようなスピードよりかは遅く。
さすがはセイリュートというべきか、そんなんでも俺はそろそろ達してしまいそうになほどにもなる。
不意に、膣がキュッとしまった。
「……やあ、リョウ。 おはよう」
「お、いや、違うぞッ! 断じて違うんだッ! 俺は、えーと! 事故なんだよッ、これは」
セイリュートの目が開き、俺を覗いてくる。 その目は明らかに最初から最後まで全部知っているぞ、とでも言いたげで……。
「ほぉ? 事故か。 なるほど、ね」
ジト目。 そんな状態であるのにかかわらず、俺はいまにもデンジャーな状況だった。 セイリュートが膣をキュッキュとリズミカルに収縮し、これはこれでまた新鮮な感覚。 それでいて非常にマズイ。
「うを……悪かったって。 セイリュート。 やめてくれ……」
「ふふふ、止めるわけないだろう、こんな楽しいこと」
「うっ……イくッ!!」
……果てた。
「ん。 我慢していた分、気持ちよかったか?」
「ああ、サイコーにな……」
俺たちは再び口づけをした。 俺はそっと身を引き、セイリュートから離れた。
「すまぬ、リョウ。 この縄をほどいてくれないか?」
「ん? 自分でできるんじゃないのか?」
「……む、私の本体はガードロイヤル進行において段階的に進化するのだが、今、それの一番最初の変化中なのだ。 リョウが少し強引な方法でこちらを起こしてくれたが……いましばらくはこの縄をコントロールすることはできな……い……。 なんだ、リョウ! そのなにかよからぬたくらみを思いついたような顔はッ!」
「……ん? いやさぁ~。 この前から、なんか俺ヤられっぱなしだから、ここいらで一つ仕返しを……と思ってな」
「や、やめろ! 何を考えてるん……ひゃん!」
うるさい口を塞ぎ、手をセイリュートの胸にそっと添える。
「ひゃ、ひゃめてくれ! そ、そんな……そんなとこッ!!」
「ウェッヘッヘ、もう止められないぜッ!」
……あ、ヤベ……明日、また店開けねーな……。
ま、いいか。
数日後。
「リョウ殿ッ。 あの服ほしい♪」
「え? いや、あの、今月は家計がピンチ……」
「何も心配ないぞっ、リョウ殿の小遣いからでるんだからな」
「え? そ、それは……」
「……この前、人を縛ってナニしたと思っているんだ? 前だけならまだしも、アンなところまで太いのを入れて……ユウリ様に、リョウ殿がこの前なにしたか教えてやろーっと」
「……す、すまん、セイリュート! 服くらい買ってやるッ! だから勘弁ッッ」
「うむ、よろしい♪」
……トホホ……。
おまけ
「セイリュートッ! ほらッ、地球人用の服ッ! しかも今、地球人の間ではやっているっていう服なんだが……お前にプレゼントしたいんだッ。 もらってくれ」
「いらん」
……やっぱり、酷ぇ……。
後書き
「ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ」
「タマタマタマタマタマタマタマタマタマ」
「ギロギロギロギロギロギロギロギロギロ」
「クルクルクルクルクルクルクルクルクル」
「ドロドロドロドロドロドロドロドロドロ」
「カナカナカナカナカナカナカナカナカナ」
共鳴、×6!! (最後の違
どうもzokutoです。
大してすごいものでもなかったけど、なんとなく自分が気に入ったので前作「セイリュート・ラプソディ」の続編を書いてみました。 セイリュートが今回はリョウを縛ってHするというお話です。 今回もまたセイリュートは壊れています、あしからず。
ピンク2連投の上、両方とも一番湯のカナタというリスクの高さ、それでも怖じけず投稿する、それがzokutoのジャスティス。 とまあ馬鹿なことを言ってみたりします。 緑一色で寂しいですから。
次回も……続くかなぁ、コレ(笑)
「セイリュート・ラプソディ」「星龍刀・狂詩曲」ときたから次回は「Sairyurt・rhapsody」あたりでしょうか。 星リュートのスペルがちょっと怪しいところですが。
まあ、縁があったら次回またお会いしましょう。
では。