今日も今日とてインベーダー撃退。
はるか彼方の星からやってきたナントカ国の王子カナタをうちの居候にしてからこの毎日だ。
やれ宇宙海賊(そもそも宇宙賊と言わないか?)だの、イカ型星人だのと喧嘩しなくちゃならねー。
「ああ……明日もやっぱり学校行けねぇなあ」
布団の中で呟く。
高校生の本来の仕事である学業も最近疎かになってるってし、まぁ、その点に関しちゃ元から学校なんてそんなに行ってなかったから別に文句はねーんだけど。
寝返りを打つ。 ふぅむ……今日は少し体がだるいな。 カナタから貸してもらったパワーユニットを使いすぎたせいか?
「……喉が渇いたな」
台所に牛乳が残っていたのを思いだし、体を折り曲げる。
そのとき俺の布団が不自然に膨らみ、もごもごと動いているのが見えた。
「……チッ! 何時の間に……」
膨らんだところを布団と一緒に蹴り飛ばす。 大体人の大きさほどの膨らみで、動きもなんともそれっぽい。 蹴りを放つと、やや少なめの感触があった。
「インベーダーかよ! 油断した!」
布団が舞いあがり、中に居たものも同時に吹き飛ぶ。 一応、蹴りには自信があるが侵略者に対してカナタの星竜刀無しで果たしてどこまでやれるのか。
ちっ、俺も耄碌したもんだ。 あいつ頼らずに招かれざる客を追っ払えねーなんて……。
「おらおらおらおらッ!! とっとと帰れよ!!!」
思いっきり地面を蹴りつけ、飛ぶ。 短い距離を一気に縮め、間合いに入った瞬間、打つべし打つべし。 布団に包まれたままのそれを左手で抑えつけ、右手で殴る殴る。 一瞬でマウントポジションに持ち込んで、あとはもう気絶するまで……。
七発くらい食らわせたときだっただろうか、相手の抵抗も止み、そろそろ気絶したか? と思った瞬間、一瞬にして布団の中身が消えた。 まるで最初から何も無かったかのようにふっと布団と俺が地面に密着する。
「……テレポーテーションか」
やつはおそらく瞬間移動したのだろう。 油断せず立ちあがって、あたりの気配を読む。 不気味なほど静まり返り、どこにも異星人の気配がしない……。
布団の中で再び動くものがあった。
「……そこかッ!!」
蹴りを一閃。 布団がもの凄い勢いで壁にぶつかり、へなへなと落ちる。
「……随分と挨拶だな、リョウ殿……」
「……は? せ、セイリュートかよ……全く、脅かすなよ……」
布団の中に居たものは、カナタの宇宙船だった。 正確には宇宙船の本体が写しているホログラム、っていうことなんだろうけど、俺にはよくわからん。 とにかく敵ではなかったということだ。 ちなみに本当の大きさの十六分の一ほどの大きさなのだが、まぁ、ホログラムなんだから大きさなんだからそんなに変わらないだろう。
握っていた拳を緩め、ほぅと一息つく。 それなりに張り詰めていた緊張感が解けていった。
「それよりすまなかったな。 いきなり変なトコに現れるもんだから、敵かと思っちまってかなり殴っちまった。 悪かった」
「いや、私もいささかやりすぎた。 こちらの方も悪かった」
それとは違う緊張感。
セイリュートは赤い瞳でSFちっくな格好をしている女性像だ。 いくらホログラムとは言え、殴ってしまった事には代わりは無い。 罪悪感が募る。 たとえ、ホログラムでは殴られたあとのエフェクトが映されていなかったといえども。
「……で、何の用なんだよ? カエル型の宇宙人がガンプラを買い占めて、地球を征服しようとでも思ってるのか?」
「いや違う。 私がここに来たのは飽くまで私用。 カナタ様との関わりは一切無いことだ」
「ふぅん。 ……結局何の用だ? 俺はもう眠りたいんだが……明日の仕込みでほとほと疲れてるんだ」
「それはな……」
くすりと笑い、手を口もとの寄せるセイリュート。 一挙一動が意味ありげに見えてくる……疲れてるな、俺も。
「私を抱いてくれないか?」
「……はぁっ!?」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。 抱いてくれとは……。
「す、すまないが、ちと耳がイカレちまってたようでよ、もう1回言ってくれないか?」
「私とセックスしてくれないか、と言ったのだ」
「……えーと、お前は一体俺にどういうリアクションをとってもらいたくてそんな事言ったんだ? とりあえず俺が今言おうとしていることは、おととい来やがれ、なんだが」
「何故だ?」
「何故って……お前、ひょっとしたら病気なんじゃねーの? 頭方面の」
宇宙船に病気があるのかどうかわからんが。
「ふむ。 リョウ殿に言われてみて今チェックをしてみた。 全て異常無し、オールグリーンだ」
「……は、はぁ……」
「それで答えはどうなんだ、リョウ殿? 私としてはあまり待たされたくないんだが」
じりりとにじり寄ってくるセイリュート。 座ったまま、体を動かさずに移動できるので見なれていてもドキリとしてしまう。
「えぇい、ダメだダメ! 何一瞬、惚けちまったんだ俺! 変なことを言うなセイリュート。 もう俺は寝る。 お前も帰れ」
「……ふむ……リョウ殿がそう言うのならば仕方ないな……相手を変更せねば……」
セイリュートはそう言うと、立ちあがり、部屋から出て行こうとする。
「おいおい! ちょっと待てよ! 相手って……誰だよ」
「ん? リョウ殿に抱いてもらえると予測していたからな、急に人は用意することは不可能だ。 だから現地民に協力を……」
「ばっ! 何言ってんだよ! そんなことしたら大騒ぎになるじゃねーか! 大人しく大気圏だか成層圏だか、埼玉県なんだかに帰れよ」
「ふむ、それは出来ないな。 今の私は発情期だ。 立体映像だけでも性行為をしなければ暴走してしまう」
「……発情期? なんだよそりゃ……」
発情期……なんてこった。 そりゃあ、セイリュートは宇宙船とは言え、なんかよくわからん宇宙生物だってことは知っていたが、まさか発情期まであるとはな。
なんというか宇宙かなんかご大層なモンの意志が働いているような気がしてならねぇのは俺だけか?
「大丈夫、心配するなリョウ殿。 私には実体が無い上、現地民には協力の後速やかに記憶を抹消させてもらう」
「だーッ、そういう問題じゃねーっつーの! いいか? お前は女なんだろ? もうちっと体を大事にしろって言ってんだよ!」
「いやだから、私のこの姿は本当の姿じゃ……」
「あーーーーッ! もう、分かったよ! 一々考えてるのも面倒くせぇ!」
息を大きく吸い込み、吐く。
「……付き合ってやんよ」
「おお、協力頂けるかリョウ殿。 正直、私もリョウ殿以外とヤるのは不安だったが……これで安心だ」
……中々男殺しの台詞を言ってくるセイリュート。 こいつの場合はきっと天然なのだろう、そう思いたい。
「ふぅ……一応言っておくけどな……こういうことはふつー、好きな男と女がするもんなんだぞ。 少なくとも地球ではそうなってる。 だから……」
「うむ、わかってる。 つまりリョウ殿は『お前はもう俺の女だ』といいたいのだろ?」
「うんうん、セイリュート、もう放さないぜ……って、ちがーーーうッ!!!」
「素晴らしいノリツッコミだ、この地球でのお笑いの水準を軽く超えている」
「ちょっと待てィ! 一体、どこまで本気でどこまで冗談なんだよッ! 無表情だから全くわかんねーよ!」
「ふふ。 さあて、ね。 リョウ殿の都合のいいような解釈をしてもらっていいぞ」
きゃ、キャラが変わってる……。
どこか無機質で事務的な返事ばかりしていたセイリュートが、段々人間臭くなってきたってーか、俺を弄んで喜んでいるってーか……。 非常に気持ち悪い。
「ん? どうしたのだリョウ殿。 そんなに私のことを見つめて」
「……あ? ああ、いや、別に……」
「……それよりも、早く抱いてくれないか? カナタ様が起きてきてしまうとまずい。 子供の時の記憶は大人になってからの障害になりかねんかな。 まあ見つかったら見つかったで、リョウ殿と銀河の果てまでランデブーするという手段があるが……」
……もうなんだか、俺、疲れました。 俺の目の前に居るのはセイリュートじゃないものかと思えばいいのかもしれない。 でも俺の目の前にいる美人……まあはっきり言えば美人なんだろーけど……その女はセイリュートそのもの。 そのギャップが少々辛い。
俺が頭を抱えて悩んでいると、セイリュートは何時の間にか全裸に。
「せせせせせせせせせせ、セイリュートぉ!? ばっ、おま、何してんだッ! 服、着ろ、服ッ!!」
「……? 何故だ? これから私達は懇ろになるのだろう? 服を脱がず…………あぁ、なるほど」
ポンと手を叩き、納得したような表情。 ……なんだか、いや〜な予感が。
「こう、もうちょっと革製の服を着た方がリョウ殿の趣味なのか。 拘束具とか、ボンテージとか」
「コラ、待てや! せめてウェイトレスの格好とか、ナース服とかにしてくれよ、俺はそんな変な趣味は持ってねぇ」
「ふむ、注文はウェイトレスとナース……オプションは耳? 尻尾? 動物は猫か? 犬か? マニアックなところで狐か?」
「そういう問題でもねーよッ! あああッ、とにかくッ! 普通にしとけ普通に! こら、悪魔の尻尾みてーの出すんじゃねー! 触手も要らん! 複乳って……それはちょっと俺を馬鹿にしすぎだろ」
結局は普通に裸の姿になった。
「そんなに見つめるな、リョウ殿。 照れるではないか」
「お前、宇宙船だろ? 照れるという感情は本当にあるのか?」
「いくらリョウ殿とて馬鹿にしないでもらおうか。 そんなものあるわけないだろう」
「……」
「冗談だ、宇宙船とは言え、元々は一個体の知的生命体。 全ての感情があるぞ、それこそ喜怒哀楽に含まれぬものも、地球人がもっていない繊細な感情も持ち合わせている」
なんというか、調子狂うなぁ……。 俺の暴れん『棒』は何時の間にか臨戦体勢で、脳内では「これは訓練ではない、繰り返す、これは訓練ではない」と放送をしているっつーのに。 腹を括るってこれから……その……せ、性行為に望もうってーのに、こうふざけられたら……。
「……すまないなリョウ殿。 このようなことに巻き込んでしまって」
さっきまでの明るさを潜め、しゅんとしなびるセイリュート。 俺の胸にしなだれてくる。 ホログラムのはずのそれ……今思ってみるとこの立体映像とどうやってエッチすんのか全く考えていなかったんだが、意外にもセイリュートの体は実体があった。 セイリュートの体は温かく、柔らかく、華奢だった。 ……俺の局所の海綿体はまさに暴走寸前……いや、だが、銭湯のせがれがこれ如きで果ててしまうのは末代までの恥だろう。 我慢、我慢。
「私らしくもない無意味な冗談は気にしないでくれ。 ……正直不安なのだ、私も発情期など初めてで」
「……ん。 そうなのか、初めてか、じゃあ俺と同じだな」
「そう、だが……地球では女性の初めてと男性の初めてとは後々の人生における比重がだいぶ違うだろう?」
「う、ま、まあそうだけどよ。 いや、切れ味鋭くスッパリ言ってくれるな。 ……いやだったらいいんだぜ。 俺が誘われたんだけどよ、俺みてーな無骨者じゃなくて、他の理想的な……」
「ふ、ふ、ふ。 私の理想的な異性がはたして、この星にいると思っているのか? リョウ殿」
「あちゃー……そうか……そうなるな……悪かった、偉そうに言っちまって……今のは忘れてくれや。 おまえもしょうがなく……」
「何を言っている。 誰も『いない』とは一言も言ってないぞ」
「え?」
「リョウ殿。 あなただ、この星で唯一……いや恐らく太陽系……銀河系、いやこう言ってしまったほうが楽だろう。 この宇宙で、私の好ましい異性は……リョウ殿なのだ」
「……は?」
「しかし、ライバルは多い。 ユウリ様やマリー殿、他にも多数、私が見たところあなたに好意を抱いている」
「……はぁ……? 一体何の話をしてるんだよ……俺にはさっぱりわからんのだが」
「……朴念仁……」
「あ? なんか言ったか?」
「いや、気にするな」
ふぅむ、やっぱり女っていうのは謎だな。 意味不明なことを平気で言う。
「では、能書きはここまでにして二人の夜を楽しもうじゃないか、リョウ殿」
「あ、ああ。 なんか釈然としねーがな」
ゆっくりと、唇を近づけてくるセイリュート。 俺の口を割って入ってくる舌はとても暖かかった。
「ぷはっ。 結構キスするのって息が詰まるんだな」
「ふふ、今のは上級者向けのキスだ。 さすがにリョウ殿には辛かったかな?」
「ぐっ、言うじゃねぇか。 この立体映像のくせに……銭湯の番台を舐めるなよ」
「舐めるのではない、口づけはもう少しテクニックが……」
「うるせーよ」
セイリュートの肩をがしりとつかみ、引き寄せる。
ふ、宇宙船とは言え、この奇襲に怯んだな。 今が勝機だ。
ぶちうー、と音が鳴るほど濃密なキッスをくれてやる。 ……いかんな、俺もセイリュートに感化されたのかキャラが変わってきているぞ。
「うっ……はぁ……リョウ殿……それはひきょ……」
俺の腕の中でもだえるセイリュートを無視し、強く強く抱きしめる。 やがて、セイリュートも観念したのか抵抗をやめた。 一通り、セイリュートの口の中を味わってから、ようやく腕の力を緩める。
「へへっ、どうよ。 これでも俺のことをガキみてーだと言えるか?」
「……あなたは子供のような人だな。 そのくせ、キスのテクニックだけは大人だ」
「へ、キスのテクニックだけじゃねーぜ、多分」
そう言ってそっとセイリュートの細い背中に回していた前に持って行く。 大きすぎも、小さすぎもしない胸を、ゆっくりと周囲の方からほぐしていく。
「あ……う、うまいな、リョウ殿。 正直、ここまで……」
「へん。 だから俺を舐めるなって言っただろう。 いちおーこれでも現役高校生なんだぜ」
「いや、現役高校生だからこそなんだが……あっ、そこ……だめ……」
かわいらしい小さな乳首を人差し指と親指で引っ張る。 すると面白いほど身を震わせて反応するセイリュート。 う〜む、普段はクールというか超然的な態度をとっている人がこう、真っ赤になって乙女らしい反応を見せるというギャップが溜まらん。
……やべぇ、親父みたいなことを考えてるぞ、俺。 あんなダメ親父みたいには間違ってもなっちゃいけねぇぞ。 理性を保て、俺!
「は……リョウ殿……やめないでくれ……頼む……ここでやめられたら……おかしく……なってしまうだろ……うっ、はぁあああ……」
……あああ、ダメだ。 堕ちちまいそうだ……涙目で上目遣いなんて陳腐すぎる、ハートがときめく要因としては陳腐すぎるさ……だが、ここまで破壊力があろうとは誰が予想できたってんだ。 ウヒヒヒと親父の顔がスケベな笑みを浮かべているマークの本能が「お前も同類だよ〜、一緒にスケベになろうよ〜」とささやいているのも、「そっちに行っちゃダメだ〜〜! 親父のようになったら子供が泣くぞ!! 子供なんてまだいねーけど」と叫んでいる俺の必死な顔の理性も、謎の第三勢力に一気にパンチで蹴散らされてしまった。
「こ、今度はここを頼む……リョウ殿……」
セイリュートが震えた手で俺の手をつかむ。 そしてそれを……。
「をいをいをいをい……待て待て待て待て! そんなとこ……」
「なんだ? いきなり引っ込めて……ははあ、リョウ殿、ひょっとしたら怖いのか?」
「ぐ……そんなことはねーよ、バーロ! こちとら銭湯の番台に座って立派に職務を果たしてるんでぇ! 女のお……お……お」
「ではなぜ、おま○こに触れたとき手を引っ込めたのだ? ほかに何か要因があったとは考えられないぞ」
「……少しはデリカシーってものをもてよ、セイリュート。 俺の方が恥ずかしがってたら格好がつかないんだが……」
「大丈夫だ、リョウ殿。 恥ずかしがっていても私はかまわん。 どちらかというと、赤くなっているリョウ殿も好きだぞ、たとえば今のような……」
……俺、ひょっとして完敗? 完全に手玉にとられているんだが……恐るべし、セイリュート。 というかむしろ、女、か……。
「では、リョウ殿が案外腰抜けであったということがわかったことで、私は積極的にならねばなるまい。 自らを濡らすことももちろん、リョウ殿の下の用意も……」
パジャマのズボンがするりと抜かれる。 勿論、次はパンツも。 俺の怒張がつんと天を仰ぎ、血管が浮き出ている。
「では、いただきます」
「いやな表現だな……うっ……」
ぬめりとした感触が、俺の背筋をゾクゾクさせる。 セイリュートの小さい口に、俺の息子が入り込み、快楽を甘受しているのだ。 口の粘液とむき出しの感受器が優しく摩擦する。
「う……ううう……」
思わずのけぞる。 セイリュートの頭は俺の股間部分で上下し、俺の一部分をほおばっている。
「……ぐ……遠慮……ねぇな……」
「もひろんだ。 リョウどのにえんりょなほしていはら、あさになってしまふ……」
「た、頼むから、喋らないでくれ。 先端が敏感になっちまってて……うっ……はああ……」
「りょうはいした」
じゅぽじゅぽという淫猥な音がBGMとなり、さらに俺を興奮させる。 ふとセイリュートを見てみると四つんばいになっているセイリュートの腰も不規則に揺れて……。
「……ほ、ほほぅ……俺も攻めに入るか……」
そっと体を動かし、俺の一物に釘付けになっているセイリュートから見えぬように手をセイリュートの腹の下に潜り込ませる。
「むっ、むむむっ!?」
セイリュートの聖域に指をいきなり突っ込む。 さっきは怖じ気づいてしまったが、今回は違う。 ちゃんと自信を持ってセイリュートの女の部分に踏み入れたのだ。
あそこは熱く、柔らかく、ネチョネチョしていた。
セイリュートが最初に挿入していた自分の指を片方の手でひっぱって抜き、まさに俺の指の独壇場。
「うむ〜〜〜っ!! むむむっむむっ!!」
セイリュートは思いっきりもがく。 ははは、だが、これは俺を弄んだ分の仕返しなのだ。 手をゆるめてやることはしないぞ。
「うはは。 どうだ、おもいしったかセイリュート!」
がりっ
…。
……。
………。
…………。
むきょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!! 衛生兵っ、衛生兵っっっっ!! 助けてくれ、俺の息子が重傷だっ!! 救急車を呼べ、レスキューを呼べっ、消防車を呼べっ、救急車を呼べっ(二回目)、警察を呼べぇぇぇぇぇぇぇ!!!
「あ……すまない、リョウ殿……その、リョウ殿も悪かったんだぞ、いきなりあんなことするから」
苦痛に苦痛を重ね、もはや苦痛のためにうめき声も出せず、ただただ苦痛から逃れるために布団の上で悶絶する俺。 ああ、天は男になぜこのような試練を与えたもうか。 もう、七回死ぬ方がマシなくらい……辛い。
「……すまない、リョウ殿……」
セイリュートはしょぼーんとした様子で、俺を見下ろしてくる。 なんというか……少しはじけすぎたか……。
「お返しに私の性器にもかみついていいぞ」
「だから、そういう趣味は持ってねーーってのっ!!」
「そうか? ふむ……地球人には同胞を傷つけて性的興奮を得るものがいるらしいが……リョウ殿は違うのか」
「違うって。 滅茶苦茶中途半端で変な情報しか持ってないのかよ、お前」
「……本当にすまなかった……」
「もう気にすんなよ。 俺ももう気にしてねーから……死にたくなるほど痛いけど」
言っておくが、体験者でないとこの痛みはわからないだろう。 ……無論、人生をつつがなく過ごしたいのならば経験しない方がいい。
「せめてのお詫びに……」
セイリュートが俺の上に馬乗りになる。 ……邪魔だ。 俺はゴロゴロ転がって痛みを忘れようとしているというのに……。
「……私から……」
仰向けに押さえつけられ、ほんの少しだけセイリュートが腰を上げる。 そして少しずつ後ろに下がっていって……。 おいおいおいおいおいおい、待て待て待て待て待て待て待て……それは……。
「いくぞ……私の処女と……リョウど……リョウの童貞が両方無くなる……とき……」
こう、ストン、という擬音がぴったりなほどの落下だった。 なんというか、今までのが全部おかゆだったとしたら、今のが味の濃いぃぃぃ〜〜〜インド料理ぐらいの出来事だった。 んまぁ……なんというか。
外してるぞ、セイリュート!
「……あ。 あはは……やっぱり慣れないことはするもんじゃないな。 というか……初めてだし……」
「しょうがねぇなぁ。 やっぱり俺がリードしてやんないと」
「いや、私が……ひゃっ! いきなり起きあがるな、リョウ」
これまたじたばたと暴れるセイリュートを組み伏せる。 秘所はぐっしょりと湿り、滴を俺の布団に落としている。
「ほれ。 俺に任せておけ。 お前は力を抜いて、呼吸を整えていろ」
「う、うむ……リョウ、任せるぞ」
ちょっと歯形がついているような気がする俺の自慢のビッグマグナムをそっとセイリュートの秘部に当てる。 大丈夫、一応セイリュート以上の知識はある、と思う。
「う……ぐう……っはぁ!! リョウ、リョウ……抱きしめてくれ。 私を……強くっっ!!」
「せ、セイリュート……セイリュートぉぉぉ!!」
……合体! 完了!! いやっほぅ!
それはもうがっちーんという擬音がぴったりなほどの合体だった。 さすが俺、ビバ俺ッ! そしてありがとぅ、セイリュート!!
女の中ってーのは暖かくて……こう、言葉で言い表せないような気持ちよさだ。 背筋がぞわぞわするのは当たり前、それ以外にも、勢いあまって動悸、息切れ、めまいもおこしちまいそーだ。
「はあ……はあ……リョウ、動いていいぞ。 もう、私は……大丈夫だ……」
「だ、大丈夫なのかよ。 初めては痛いって聞いたぞ」
「心配はいらない。 私のこの体は飽くまで仮初め、処女膜などは無い……そしてもう順応した」
「お、おう。 そうか……じゃ、悪いけど遠慮無く……」
グラインド、と言ったか、たしか?
俺は腰をゆっくりと引き、そのたびに先端のきのこの傘の部分にセイリュートを感じ、身もだえる。 腰を押すと、セイリュートの奥底を知る。
「うっ……ううう……もっと、強く……」
「うはっ。 俺、もう限界かも知れん」
「あああ。 まて、強くとは言ったが、そこまで激しくは……ひゃうッ!」
「す、すまんセイリュート。 ここまで来たら、もう止められん」
普段のモップがけと不良との喧嘩で鍛えられた下半身のピストンは、おそらく常人以上の強さを持っていたと思う。 セイリュートがあのクールに振る舞っている表情が一気に崩れ、目はとろんと垂れて、口はだらしなく半開きになり、唾液を端から漏らしている。 おそらく、多分、気持ちいいのだろう。
「りょ、リョウッ! リョウッ! リョーーーーーウゥゥゥゥゥ!!!」
「セイリュート! セイリュートぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
……そして俺たちは同時に果てた。
「……はぁ……はぁ……素敵だったぞ、リョウ」
「はは……ふぅ……そりゃどーも」
「二回目、行くか?」
「ああ勿論。 お前がダメっつっても止められないぜ」
「ふふ。 望むところだ。 あんっ」
そして、俺たちは朝まで愛し合った。
……腰が抜けるほど。
「は、ハハハ。 今日は銭湯開けられねーや。 すまん、カナタ」
「どうしたのカナー? リョウ。 昨日はぴんぴんしてたカナ」
「いや、もう……気にしないでくれ……」
セイリュートが後始末をしてくれたおかげでカナタにもユウリにも昨日のことはバレないですんでいる。 でもなぜか俺が腰を抜かしてしまったということだけは治癒してくれなくて……。
「あー、そうカナ。 昨日幽霊が出たカナ! 夜にリョウの部屋からセイリュートの声によく似た叫び声が……」
……すまない、カナタ。 口を封じさせてもらう。
「あ、手が滑った! ……いやあすまんなあ、カナタ。 ちょっと本気で殴っちまった。 ハハハ。 でもわざとじゃねえからゆるせよ」
「い、痛いカナぁ〜〜。 カナタには今リョウがわざと殴ったように見えたカナ〜」
「ふ。 カナタ様。 今のは偶然でしょう。 私が見ておりましたから」
セイリュートがいきなり姿を現す。 昨日の乱れた姿はどこへやら、発情期が過ぎてしまったらまた元のセイリュートに戻ってしまったかのようにクールに振る舞っている。 ああ、あのキリリとしまった表情が、かわいらしく崩れてほにゃほにゃしていたのに……なぁ。 こうしていると、昨日の出来事は全部夢だったのではないか、などと思ってしまう。
「……そうカナ〜? ま、セイリュートが言うんなら間違いないカナ〜」
「そうです。 ……そういえば、ユウリ様がカナタ様のことを呼んでいましたよ」
「わかったカナ」
たったったと子供らしく走るカナタ。 数歩進んですっころび、半べそをかきながらも銭湯へと向かっていった。 多分、俺が見張ってないことをいいことに、風呂に入る気だろう。 まあいいか、今日はどうせ開くことはできねーしな。
「……時にリョウ殿」
「あん?」
「次の発情期は、今夜だ。 またよろしく頼むぞ」
「……はぁ……はぁああああああ!?」
「私たちの発情期は訪れる年月は遅いが、一旦相手をみつけるとサイクルが短くてな。 はっはっは、リョウもうれしいだろう」
「……いや、もう……なんつーか」
「ふ、もう逃がさないぞ。 ダーリン♪」
無愛想だったセイリュートが笑みを浮かべ、ウインクする。 まあ、死にたくなるほどかわいい。
……ああ、俺、なんかもうダメかも……。
終わり
「俺はただスカっと生きてーだけなんだ!」(それ、激しく間違い
どもどもー、ご無沙汰ですが、zokutoです。
いきなりご挨拶が、破壊魔定光とかゆーお茶目っぷりを発揮しつつ今も元気に生きています。
今の小ネタ板ではエロが少ないですね。 なぜでしょう、ロリとかそういうのは結構旺盛ですが、まぁ、時流のせいでしょうか。
ま、それはそれとして。
今頃、一番湯のカナタです。 古いですね、あっはー。
コミックを読み返していて、なんで打ち切りになったんだろう、と枕を涙に濡らしています。
絶対可憐チルドレンは二の舞にならないように祈るばかりです。 いやほんと。
セイリュートはいいです、へっぽこ宇宙海賊にはもったいないほど。
ま、それはそれとして。
このSSはIRCチャットのとある御大から
「とりあえず全員、エロSS書くように。 もしくはフルコースな」
という発言の元に書かれました。 フルコースとはドリルとか輪切りとかのことです。
多分、おそらく、もしかして、このSSを発端にしてみんながエロSS書かざるを得ないようになればいいかなー、と密かに願っています。
ま、それはそれとして(しつこい)
修練が足りないですね、自分。 ストーリー構成能力がイマイチ。
もう少し短編でがんばってみて、さりげなくこれからも連載のヨコツマンシリーズを続けるつもりです。
まぁ、超名作と言われなくとも、せめて中堅SS作家と呼ばれるくらいの意気込みでこれからもがんばります。
みなさまの応援をうけ、微力ながらSSを書き続けますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
では。