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▽レス始

!警告!男女の絡み有り
18禁注意

「バレンタインも過ぎましたが・・(GS)」

柳野雫 (2005-02-21 08:34)


 ──その日。
 美神美智恵は、機嫌がちょっぴり悪かった。


 ベッドにうつ伏せになりながら。
 眉を顰めて。
 心なしか頬を膨らませて。
 口をヘの字に曲げて。
 拳を握って前に真っ直ぐ伸ばした腕を、時折思い出した様にばたばたと上下に振って、ぼふぼふベッドを叩いてその表面をへこませながら。
 「むうぅ・・」
 拗ねた子供の様な唸り声を漏らす。
 ついでの様に、その状態のまま、足の方もばたばた交互に、やはり上下に振ってみたりして。
 顔は、前を向いている。だがその瞳は、中空を睨んでいるだけで。
 ・・いや、正しくは、己の心に浮かぶ人物を、非難するかの様に。
 「・・公彦さんのばかぁ〜」
 それと共に思わず出る、拗ね気味の、幼い声。

 昼間に見せる、親の顔。Gメンとしての顔。
 それらとは繋がり様もない、その顔は。
 "女"として、より──"子供"の顔。
 構ってもらえなくて拗ねている、子供の顔。
 「・・ばかぁ・・」
 どこか寂しげな、力の無い呟きを零し。
 美智恵は、その顔を布団へ埋めた。


 一方。
 (・・恥ずかしい・・恥ずかしいわ!!この夫婦!!)
 思わず心の中で叫ぶのは、美神令子。
 その前には、父、公彦が。
 美神の事務所内。
 この場にいるのは、二人だけ。
 先程まで紅茶を二人に淹れていたおキヌは、その紅茶を出してすぐに自室へと引っ込んだ。
 シロとタマモは既に屋根裏部屋の自室へ避難済み。
 横島は──・・ひのめの世話を任せられ、取り敢えずGメンに。
 そんなこんなで、二人きり。
 因みに、公彦の鉄仮面は横島に貰った文珠、『封』で能力を封じている為、被ってはいない。
 そして、二人の会話の内容は。

 「・・・・・・ばっかじゃないの?」
 呆れを多大に含んだ言葉が、深い溜め息と共に、美神の口から漏れた。
 「・・まぁ、返す言葉も無いんだが・・」
 苦笑交じりに公彦。
 まぁ自分でも、馬鹿だとは思うのだ。
 それはもう、疑い様もなく。

 「・・美智恵の事は愛してるし・・それを千回言えって言うなら普通に言うんだけどねぇ」
 「だからさらっと恥ずかしい事を言うなぁーーー!!!」


 ・・心を読む事が出来ない代わりに、心は繋がっていたと。
 それを、否定したと捉えられてしまった、と。
 ──実際、そんな大袈裟な話では無いのだ。
 ただ、少しばかり・・公彦が迂闊で、美智恵が仕事続きで疲れていて、その日にここぞとばかりに甘え様としていたというだけで──

 

 「ふぃ〜・・。やっと寝てくれたぜ、ひのめちゃん」
 首をコキコキ鳴らしながら横島。
 そして、慣れた様にソファーに座る。
 Gメンに駆り出されるのはいつもの事だ。・・主に、子守役としてだが。
 「・・お疲れさん。しかし物凄いしわ寄せきたよねー、こっち」
 そんな横島に声を掛けたのは、デスクワークを課せられていた西条だ。
 「・・まー確かに。しっかしどー思うよ。・・今回のアレ」
 「どうって・・。人の家庭の事に口出しは良くないだろ」
 「・・思いっ切り巻き込まれてんのにか?」
 「・・取り敢えず夫婦喧嘩は余所でやれ。そして仕事に持ち込むな。・・そんなトコだね」
 「・・切実だな」
 「かなりね・・」
 「・・てゆーかよー・・」
 溜め息と共に。
 「・・成人した子供のいる夫婦が、しかも双方仕事抱えてる忙しい人達が・・バレンタインに会えないって話になって、実際そうなったからって、何でこんな他人巻き込んだオオゴトになるんだ?」
 「・・ハッハッハ。・・先生も気が若いよねー」
 「・・西条、目が死んでるぞ」

 

 「・・と、いうワケで・・お詫びと愛情の証にチョコレートケーキを持参して来たよ、美智恵」
 「・・・・・・ぶぅ」
 美神美智恵、未だにご機嫌ナナメ。
 娘に蹴飛ばされる様に、取り敢えず美智恵の元へ行けと送り出され。
 素直に来てみた公彦さん。
 チョコレートケーキまで持参して来たのだが、機嫌は直らない様だ。
 「・・おーい、美智恵ー」
 「・・よかったのよ、無理して来なくても。大学のあの助手のおねーさんと研究に勤しんでても」
 「・・おーい・・」
 ベッドでごろごろしたままぶちぶちと。
 「ひのめだって生まれてから三年も経ってないのに・・ああっひのめ!!ごめんなさい、貴女の親の関係は今此処で崩れるかもしれないわっ!!」
 「・・お〜い・・」
 何だか芝居がかってきた。
 公彦も流石に汗ジトだ。
 「・・父親に適している人ってどんな人かしら・・」
 そして、寂しそうにぽつりと呟いてみたり。
 因みにこの間中、公彦に一度も目を向ける事無く、今など完全にベッドの中、公彦に背中を向けている美智恵。
 勿論公彦の様子は、目に見えず。

   しーん・・

 「・・ぅ?」
 何の反応も示さない夫に、やりすぎたかと些か不安になりつつも動けず。

   きぃ・・ぱたん

 「・・はぅっ!?」
 ドアが開かれ閉められる静かな音に、思わず跳ね起き、慌ててそちらを振り返る。
 そこに、公彦の姿は無く。
 ドアの向こうからはパタパタと、遠ざかっていくスリッパの音と、薄くなっていく彼の気配。
 「あ、あぁっ!?」
 思わず声を上げ、意味無くオロオロと周りを見回して。
 「ちょ、ちょっとぉ!?」
 ばたばたとベッドを降りて、ドアを勢い良く開く。
 「・・や♪」
 「・・え?」
 声は、横から。
 扉が開く方とは逆の壁。
 そこには、壁に寄り掛かり、手をひらひらさせながら朗らかな笑みを向けてくる夫の姿。
 「あぅっ・・!!」
 (やられたわ・・!!気配まで消してたわね・・!?何て巧妙な罠っ!!)
 ・・夫が絡むとちょっぴり馬鹿になるのか、そんなアホな思考をかましつつ、呻き、顔を赤く染める美智恵。
 そんな反応をしてくる美智恵に、
 「・・さぁ、ここで二択だね?・・美智恵」
 にっこりと話し掛けてくる公彦。
 ・・その笑顔はどこか怖い。
 「・・は、はい?」
 緊張なのか怯えなのか、何故か姿勢を正して返事。
 そして、公彦がその二択を提示する。
 「・・これから、リビングに置いてあるチョコレートケーキを一緒に食べて、仲直りするか──それとも・・」
 とっても優しげな笑顔で。
 「・・ひのめに、親の関係が崩れて無い事を解り易く知らせる為に・・弟か妹つくる為の、夫婦の営みを飽きる迄続けるか♪」
 全開笑顔でとっても爽やかにのたまった。
 (私何かとっても大変な事言っちゃったーーー!?)
 美智恵、心の中で絶叫。
 「・・まぁ、飽きる事なんてある筈無いから、取り敢えず気絶する迄かな?」
 「け、決定!?それは既に決定なの!?後者に決定なの!?公彦さんっ!?」
 にこにこしながらスタスタとヤル気マンマンで近付いて来る公彦に、慌てながら後退りする美智恵。
 何か色々と必死。
 寝室へと逆戻り。そうして、ベッドまで追い詰められ、ぽすん、とシリモチ。
 「・・美智恵」
 「は、はい!?」
 至近距離。
 笑顔のままで、しかし静かな、何故か重量感漂い迫力を伴う声に、思わず反射的に返事をしながら、内心焦りまくりつつ。
 「・・激しいのと優しいの・・どっちがいい?」
 「決定なのねーーー!!?」
 夫婦ですから。


 


   くちゃ、ぢゅぷ、ぐちゅ・・

 粘質的な水音が響く。
 照明は落とされているものの、その水音の発生している場所がどうなっているのかを隠す事は出来ず。
 寧ろ微かな光に浮かび上がる美智恵の表情と、その場所を濡らす液体がぬらぬらと妖しく光り・・一層淫靡な雰囲気を醸し出していた。
 「ふにゃあ・・き、公彦さ・・ふあぁっ!?」
 快楽に蕩けていた美智恵の声が、悲鳴じみた声に変わる。
 ナカを愛撫し、掻き回していた三本の指の動きが激しくなり、胸の突起に歯を立てられ、尻に這わされていた指がその最奥へと突き入れられる。
 「ひぃっ・・!!・・ぁ、はぁっ・・」
 びくびくと身体を震わせ、吐息と共に、くたりと脱力する。
 ぬちゃ、と指を引き抜いて──
 「・・良かったかな?美智恵?」
 にっこりと、そんな事を尋いてくる。
 「き、きみひこさぁん・・も、指・・だけじゃ・・」
 潤む瞳に哀願の光を乗せて、美智恵は公彦に訴える。
 散々昴められた己の身体。
 なのに、もう既に濡れそぼり、熱い塊と精を欲しているそこには、まだ一度としてその欲するモノを与えられていないのだ。
 しかし、公彦はそんな訴えを軽くスルーして。
 「う〜ん・・。言葉を発せられる様じゃ、まだまだかぁ・・。やっぱり、美智恵の欲しがってるモノを挿れた時点でイく位にしておかないと、不足だよね?美智恵を拗ねさせて、不安にさせて、ひのめの将来まで悲観させた償いには♪」
 「ひんっ・・そんなぁ・・」
 思わず涙声になる美智恵。
 「大丈夫、ちゃんと満足するまで愛するから。・・あぁ、約束じゃあ気絶するまでだから・・満足するまで気絶しちゃあ駄目だよ?美智恵」
 「ひゃあぁ!?」
 そう言いながら、愛撫を再開する。
 今度は、愛液を溢れさすそこへ、舌を這わせながら。
 「・・やっぱり、僕も美智恵のナカ、僕ので満たしたいからね・・。お預けは、僕にとってもキツイから・・頑張って♪」
 「ひぃぃんっ・・!!・・き、きみひこさっの・・鬼〜〜〜!!」
 「酷いなぁ、僕はこんなに美智恵に奉仕してるのに♪」

 バレンタインデーを一日過ぎた夜の事だった。
 ・・この時点では。


 ──結局の所、バレンタインの日に研究で大学に泊まるとか公彦が言った為、美智恵が年甲斐も無くヘソを曲げ、ああなっていたという事である。

 ・・で。
 「・・隊長、ご機嫌でしたねー・・」
 「・・あー、うん、まー・・。親父とラブラブなんだってさ・・」
 「・・聞きました」
 先程までノロケ話を散々聞かされて、グロッキー状態な美神と横島。
 「・・で、西条・・何故お前が此処にいる・・」
 「・・いや、Gメンの中はちょっと・・色ボケ空間になっててねぇ・・」
 避難中の西条、ぼやきつつ溜め息。
 「・・ひのめちゃん、おりこうさんでしたね・・。二日もお母さんと離れてたのに・・」
 こちらも些か疲れた様子でおキヌ。
 「・・親孝行な娘でござるな・・。しかしひのめ殿の世話より、美智恵殿の話聞いてた先程の方が疲れたでござるよぉ・・」
 「・・夫婦にも、バカップルって使うのかしら・・?」
 やはりグロッキーなシロタマコンビ。
 ・・美神除霊事務所の面々、今日は仕事が出来そうもない。


 一方。
 「うふふふふ・・ひのめ〜、弟か妹、出来ると良いわね〜?」
 「だうー?」
 Gメンの色ボケ空間は、まだまだ続きそうだった。


 ・・ま、何はともあれ。

 夫婦円満はいい事だと言う事で。

 


アンタ誰だ。・・そんなカンジになってしまいましたな、美智恵さん・・(汗)可愛い美智恵さんを書いてみよう!!てのが目的だった訳ですが・・どうですか、コレは・・。えっちも温いですし。
そして私は公彦さんを何だと思っているのだ・・(爆)


△記事頭

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