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!警告!壊れキャラ、男女の絡み有り
15禁注意

「深夜の新体操(GS)」

米田鷹雄 (2005-01-31 01:33)
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 愛子。
 机妖怪と形容される彼女は、横島のおかげで、クラスにとけこんでいた。クラスメートのみならず、教師にも一般の生徒と同じように扱われている。
 だが、体育ができない、名字がないなどの違いはやむをえないところだ。そんな中でも最大の違いは──彼女に帰るとことがないということだ。

               ○

「ん?」

 横島は、深夜の教室に物音がしていることに気づいた。
 それもかなり大きな音だ。

「こんな深夜に……」

 もうこんな時間には教師もいない筈なだと、自分のことを棚にあげ、いぶかしむ。
 が、それが自分のクラスからの音だということが判ると、見当がついた。

(愛子だな)

 彼女が“住んでいる”のは教室だ。
 そこで何かをしていも不思議はない。

(よし、少し、驚かしてやるか)

 そんな悪戯心を抱いた横島は、忍び足で教室の前にやってくると、一気に扉を開けた。

「コラ、愛子、なにをして……」
「よ、横島くん!?」
「……えええっ!?」

 確かに愛子は派手に驚いた。
 しかし、それ以上に横島も驚いた。
 彼女の姿は見慣れたセーラー服ではない。
 一瞬、裸と見間違えるほど、身体にぴったりとするレオタード一枚の姿である。

「よ、よ、よ、よ、横島くん。何しにきたのよ!」
「い、あ、ほら、今日のプリントだよ。あれ、明日もってこないと、退学にしよるなんていうから……それよりも、なんだよ、愛子、なにしてるんだよ?」
「え、そうよ、ほら……新体操よ」

 いささか落ち着きを取り戻した愛子は、横島に説明しはじめた。

「だって、運動部は青春じゃない! でも、私、この机があるでしょ。入部はできないから……」

 それで一人でもできること、机つきでも、少しはなんとかなるものを探してきたのが、新体操だった、というのである。

「なるほどなー」
「でも、机の上で、真似事するくらいだけどね。誰に見てもらえるわけでもないし……」

 淋しげな愛子の表示を、横島は見逃さない。

「ん、じゃあ、俺が見ててやるよ」
「え?」
「ま、いろいろ偶然が重なったんだから、いいじゃん」
「……でも、自己流だし、机の範囲だけだから、見てもつまらないかもよ」
「無問題。それとも、俺に見られんじゃイヤかなぁ」

 これには愛子が大きく首を横に振る。

「そんなことない! うん、横島くん。見ててね!」
 机の上に立ち上がった愛子は、どこからともなく、リボンを出し、演技をはじめた。
 それは確かに、動ける範囲が限定されるし、技術的にレベルが高いものではない。
 だが、彼女の一生懸命ぶりが伝わってくる。
 そんな生き生きとした姿には、思わずみとれてしまう。

(愛子……あいつ、こんなに綺麗だったんだな)

 光る汗。
 見せ付けられるようにあげられる足。
 揺れる胸。
 肌に張り付く白いレオタードは、彼女の身体のラインをほとんどそのままに浮き出させている。

(あ、あかん。変な気分になる……)

 そして、決定的な瞬間が訪れる。

「あ、きゃっ!」

 リボンを踏んづけてしまった愛子は、バランスを崩してしりもちをつく。
 それも、横島に向けて大股を広げるようにだ。

「!!」

 すぐに足を合わせた愛子は、探るような上目使いで横島と視線を合わせた。

「横島くん……今の……見てた?」
「いや、ほら、その、あの、素晴らしい神秘までもうちょっと感じで──」
「やっぱり見たのね」
「いかーん、また、俺はすぐに口走ってしまったーっ! 忠ちゃんの正直ものーっ!!」
「……じゃあ、どう思ったのかも口に出してもらえる?」
「い、いや、それはちょっと、えーと、さすがに……」

 が、やや前かがみになっている横島の姿勢を見れば一目瞭然だ。
 一つだけ深呼吸した愛子は、意を決して口を開く。

「……私はね。横島くんに見られていて、とっても気持ちよかった」
「へ?」

 愛子の顔が赤くなっているのは、運動のためだけではない。

「ほら、横島くん。私を見て……」
「あ、愛子!?」
「青春だと思わない。横島くんと二人きりの深夜の教室。そこで、横島くんのためだけに踊る私……」

 愛子の口調が次第に変わってくる。

「見て……こんなになっちゃったの……」

 彼女の胸の先に浮き出る二つの突起。
 それが乳首であることは、いうまでもない。

(私、露出狂の気であったのかしら……)

 頭のどこかで、今の自分を冷静に見詰めている自分もいる。
 だが、愛する人に自分の肢体を注視されることが、こんなにも感情を昂ぶらせるものだとは知らなかった。
 ここまできたら、もう止められない。

「横島くんに……愛する横島くんに見られたら、私、もう止まらなくなっちゃったの」
「あ、愛子!?」

 脳が混乱中の横島は呆然としている。
 だが、次の瞬間、プチっという音がして切れた──いや、いつものところに回路が繋がった。

「横島くん……いいよ……」

 手を前に組むようにした愛子が、一生分の勇気をつぎ込んで、横島に囁いたからだ。

「あ、あ、あ、愛子ーーーーっ!!」

 秘技・ルパンダイブを敢行。

「ああ、横島くん! そんなに乱暴にしちゃ……あんっ!」

               ○

 この日から、愛子には帰る場所ができた。
 そして、彼女の名前に名字もついた。
 「横島愛子」
 という名前がついたのだ。


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