小さいときから『見えていた』し『聞こえていた』
物陰や街の通りに潜んでいる
神社や寺に行けばもっと感じた
幽霊や人間ではないものの存在を・・・・
見えているのに無視はできなかった。
10歳になったある日、両親に何気なくうち明けた。
笑い飛ばされると思ったが、二人とも真剣に話を聞いてくれた。
『紅のお屋敷にいっといで。きっと、力になってくれるはずや』
母に勧められ、夏休みが始まるとすぐ叔母の屋敷に預けられた。
むろん、不安はあった。ほとんどあった覚えのない叔母に、しかも夏休みの間中預けられるのだから尚更だった。
両親の話を聞いた叔母は、俺を預かることを快く引き受けてくれた。
その日から、叔母は俺に幽霊との接し方を教えてくれた。
夏休み中、俺は叔母に連れられていろいろな墓地や神社、お寺に行った。
土地が違えば住む存在も違う。
そして、いろいろな思いでそこに留まっている幽霊を極楽へ送ってやらなければならない。
それが『見える者の役目』だと教わった。
最後の日、俺は有名な某所の事故現場へ一人で出かけた。そこにはひどい死にかたをした幽霊が、極楽へ行けず一人彷徨っていた。
『恐れてはいけない。こちらが怖がったり、嫌がっているのがばれたらひとたまりもないからね。
だから、優しく普段友達と接するときのように話をするんだよ』
叔母の教えは俺を救ってくれた。実際に話をすると、幽霊は自分のことをたくさん話してくれた。
全部話し終えた後、俺は心を込めてお経を唱えた。
苦しみを癒された魂が空高く上っていくのが、まるできれいな花火のようで俺は思わず涙してしまった。
屋敷に帰った俺に、叔母は大きな包みを手渡した。中には綺麗な黒真珠で作られた数珠が出てきた。
『その数珠は、全部で108個の黒真珠でできている。お前に人外の存在が見えると知ったときから、これを手渡すつもりだったんだよ。
いいかい?お前は横島一族と紅一族、両方の血を引いている。横島一族は霊をこの世から消し去り、紅一族は成仏させることが使命だった。
お前の役目は、その両方を数珠と自分の力で行うことだ。もちろん、簡単にできる仕事じゃないしもしかしたら命を落とすかもしれない。
でも、誰かがやらなきゃいけないんだ!!大切な者を守るために、お前は戦えるかい?!』
俺は、黙ってうなずいた。
叔母は強く抱きしめてくれた。涙が俺の肩を濡らした。
それから、俺は数々の事件に向き合った。
命を落としかけたこともあった。
でも、俺はやめなかった。
大切な者を守りたかったから・・・・・
それは、今も続いている。
でも、まずは俺の少年時代を話さなければならないだろう。
まあ、気楽に聞いてくれ。
続く・・・・
横島が少年の頃の物語はあまり読めないので、自分で始めることにしました。
文章を書くのはあまりないことなので不安ですが、アドバイスなどよろしくお願いします!!